ビットコイン (BTC) への投資はリスキーなのか?
ビットコインは世界中の人々に次世代の価値交換の形として知られるようになりました。実際にビットコインを用いた支払いなどを行える場も整いつつありますが、ビットコインの懸念点は価格の不安定性にあります。
2020年の年末には1BTCの値段は300万円代でした。しかし2021年4月には1BTC=約700万円を記録しています。このような価格上昇は投資家にとって稼ぎやすいポイントかもしれません。しかし一度大きな値上がりを見せた対象は大きな値崩れを起こします。2021年6月7日現在のビットコイン価格は約400万円です。4月の最高価格と比較すると約40%の値下がりを見せています。
ビットコインで利益を狙うなら将来性をふまえた投資戦略と相場の急変に左右されない心得が必要になるでしょう。
なぜビットコイン (BTC) に価値がついているのか?
特定のモノやサービスに価値がつくのは、そこに需要が存在するためです。
ビットコインも必要性を高めていくことで、需要が高まり大きな価値が発生する結果を生み出しました。それでは現在発生している需要は、ビットコインのどのような特徴がきっかけになっているのでしょうか。
成功する通貨共通の6つの特徴を持つ
ビットコインは新しい通貨の形として誕生したデータです。そのデータがドルや円のように支払い手段として流通するにはいくつかの特徴が求められます。そしてビットコインは通貨として成立するための条件を満たすための設計もされています。
その条件とは「希少性」「分割可能性」「実用性」「移動可能性」「耐久性」「偽造耐性」の6つが揃っていることです。これは、歴史上成功している通貨の殆どが持っている特徴であり、通貨を通貨たらしめる条件と考えられています。ここでは、これらの条件についてかんたんに説明していきます。
希少性
通貨において、供給 (希少性) のコントロールは非常に重要な意味を持ちます。供給が過剰になるとモノの値段が高騰し、経済の崩壊にも繋がります。ビットコインは発行上限が2100万枚と制限されており、供給ペースも一定であるため希少性が担保されています。 [1] かそ部, ビットコイン(BTC) - 基本情報, 2021年6月29日参照
分割可能性
成功する通貨の殆どは、より小さな単位に分割することができます。より小さな単位の存在は、市場に存在する全てのモノ・サービスへの対応を実現します。ビットコインは、最小単位が「Satoshi (1Satoshi = 1/100,000,000BTC) 」となっており、十分な分割が可能です。
実用性
ある通貨が通貨として成立するためには、その通貨でモノ・サービスを購入することができる、信頼できる場所がなければいけません。ビットコインは、既に多くの決済サービスが存在し、決済できる店舗も年々増え続けています。もちろん、まだ普段遣いをするほどに普及しているわけではありませんので、今後の動向にも注目が必要です。
移動可能性
通貨の流通には、ユーザーが簡単に資金を移動させられるシステムが必要です。ビットコインブロックチェーンは、ウォレットアドレスを読み込むだけで即座に送金ができるシステムになっています。
耐久性
通貨が有効であるためには、最低限の耐久性が必要です。直ぐに壊れてしまうもの、分解できてしまうもの、経年劣化に耐えられないものは通貨として流通するには不十分です。この点で、ビットコインはデータ上にしか存在しない仮想通貨ですので、物理的な破損の可能性はありません。
偽造耐性
通貨は、頻繁に偽造されることがあってはいけません。ビットコインはPoW (Proof of works) というコンセンサスアルゴリズムを使用することによって、限りなく偽造されにくいシステムを実現しています。万が一仮に偽造が発生しても、全世界にいる検証作業をしている一般ユーザーが即座にそれを発見し、改善することができます。
ビットコイン (BTC) に使われる技術が評価されている
ブロックチェーンは世界中のマシンによってシステムが維持されています。また不特定多数のマシンでつねに取引の検証が行われており、その結果不正取引を封じることにも繋がります。
この検証には従来の人員を介した精査が必要ありません。そのため取引成立までに日数を要していた各種契約なども、ブロックチェーンを利用することでスムーズに素早く完了させることが可能です。
ブロックチェーンの活用例として、医療分野では患者のカルテや個人データ、さらに治療法などの暗号化に踏み切っています。世界の医療機関は必要に応じてデータ提供や参照も可能になり、隙のない医療を実現できます。また中国のアリババグループによる流通追跡サービスの開発など、ブロックチェーンの利用で既存のシステムを格段にアップデートできる点で、今後も様々な分野での活用が期待できるでしょう。[2] Coindesk, アリババがブロックチェーン戦略を活発化──開設した中小企業向けプラットフォームの狙いと役割, 2021年6月29日参照
ビットコイン (BTC) 投資のメリット
流動性が高い
ビットコインは仮想通貨の中でも初めに誕生した通貨です。仮想通貨の時価総額ランキングでも1位を記録しており、世界で最も取引されている通貨です。
世界中に仮想通貨取引所が設立されていますが、ビットコインはどの取引所でも取り揃えがあります。このようにどこでも誰とでも自由に取引ができることを「流動性が高い」といいます。さらに取引量も多くなることで買値と売値の差であるスプレッドも狭くなるため、有利な取引も実施可能です。
送金・決済の手数料が安い
ビットコインは送金や決済の際ブロックチェーン上に取引記録が残されます。その時にブロックチェーンの利用料として手数料を支払いますが、近年では手数料が高騰しているのが現状です。
理由としてビットコインの需要が急激に増加したことがあります。ブロックチェーンを構成するブロックは収納できる取引記録の量が決まっています。しかし許容量を超える取引記録の数によって送金づまりを起こし、素早い送金を行うために手数料も高騰してしまいました。この問題はビットコインブロックチェーンの仕組みに関することで、ビットコインの今後を左右する問題となっています。
インフレのリスクが少ない
インフレは通貨の価値が下落する現象です。ビットコインは、現在でこそ価格変動の激しい通貨として知られていますが、実はシステム上ではインフレが起きにくい仕組みが採られています。というのも、ビットコインの供給ペースは一定になるようにプログラムされており、完全に民主的な多数決よってしかそれを変更することができません。
国家の場合は、政府が通貨の発行量を決めていますから、量的な金融緩和などがあると急激にインフレを起こす可能性があります。
ただし、ビットコインにもインフレリスクがあります。ビットコインを大量保有する投資家が市場に大量のビットコインを流入する場合がそれにあたります。大量保有者は「クジラ」と呼ばれ、彼らの動向は常に世界中から注目されています。[3] glassnode, No, Bitcoin Ownership is not Highly Concentrated – But Whales are Accumulating, 2021年6月29日参照
少額から投資を始めることができる
ビットコインは年々価格が上昇を続ける仮想通貨です。そのため1BTCを獲得するには高額な費用を費やさなければなりません。しかしビットコイン取引は必ずしも1BTCを手に入れる必要はありません。
ビットコインの最小単位は0.00000001BTCのため、数百円あればすぐにビットコインとの交換が可能です。他の投資では取引を始めるために大きな準備資金が必要な場合もあります。ビットコイン投資は気軽に取引を始められる手段だと言えるでしょう。
ビットコイン (BTC) 投資のデメリット
ボラティリティが大きい
ボラティリティは、価格の変動差を意味します。ボラティリティの大きい金融資産は、一般的に「ハイリスク・ハイリターン」であると考えられており、ビットコインもその例外ではありません。例えば、2021年の4月には 1BTC = 700万円を超えましたが、5月の終わりには 1BTC = 350万円まで下落しています。もちろんその分高騰による大きな利益を得る可能性もありますが、最低限自分の資産が急激に減る可能性があるということを理解してから投資をすることをおすすめします。
またボラティリティの高さは、ビットコインが通貨として普及するための大きな課題でもあります。価格が安定しないことは、支払う費用が日々変動することを意味しており、ビットコインを支払い手段として利用するのは難易度が高いです。
ハッキング被害のリスクがある
ビットコインは近年大きな値上がりを見せる銘柄です。世界的に取引が展開されているだけあって、不正な資金獲得をもくろむハッカーにとっては格好の的です。最近では各取引所のセキュリティ体制も整いつつありますが、過去にはセキュリティの脆弱性をつかれ数十億から数百億円規模の資金流出事件も発生しています。
ビットコインは電子データでありオンライン環境ではいつハッキングを受けるか分かりません。そのためビットコインの管理体制には十分に気を配る必要があります。
ウォレットや秘密鍵を紛失すると二度と戻ってこない
ビットコインを管理する上で最も大切なのは秘密鍵の管理です。ウォレットと呼ばれる所では仮想通貨の秘密鍵を保管しています。秘密鍵の流出は保有資産の流出を意味します。そのため管理先のウォレットは特に厳重な保護が必要です。
ウォレットには様々な種類が存在しています。利用用途や保有量によって最適なウォレットを選択することが快適なビットコイン管理に繋がります。
ビットコイン (BTC) の将来性
ビットコインはこれまで説明してきたように、メリットだけでなく問題点も多く存在します。需要の高まりによって発生した送金詰まり問題があることで、送金時間の延長と手数料の高騰化が発生して実用性に欠けます。ビットコインに続いて登場した通貨の中にはビットコインの問題点を改善した銘柄もあり、実用性でビットコインがトップを走り続けるのは難しいかもしれません。
しかしビットコインの仕組みは、中央管理者に依存する現在の紙幣制度を大きく覆す可能性があります。様々な業界でブロックチェーンが導入される傾向もあり、知名度は高まり続ける一方です。金融業界ではビットコインを担保にした金融サービスなど、新しいビジネスも発生しています。[4] Coindesk, 大和証とクレディセゾン、暗号資産・担保ローンを開始──合弁企業のFintertechが発売, 2021年6月29日参照
仮想通貨取引所でも基軸通貨として機能することを考えると、ビットコインは今後も時価総額1位の通貨として需要を伸ばすことが期待できるでしょう。
ビットコイン (BTC) 投資のメリット・デメリットまとめ
ビットコインは仮想通貨の始まりとして大きな知名度を持っています。実用的な問題を抱えつつも様々な要素を踏まえて考えると、今後も需要を伸ばすことが予測できます。そのため大きな価格上昇を見せている現時点でも、ビットコイン取引に踏み切る価値はあるかもしれません。
しかしビットコイン取引はボラティリティが大きいため、投資の難易度が非常に高いです。余剰資金を利用して、ドルコスト平均法のように価格の乱高下に左右されないような投資方法を実践すると長期的に利益を得られるかもしれません。