ビットコイン (BTC) 価格の決まり方

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松本 頌平 (Shohei Matsumoto)
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松本 頌平

暗号資産 (仮想通貨) を専門に扱うライター兼編集者であり、執筆作品はKasobuにて紹介されています。

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ビットコイン (BTC) の価格の決まり方

2021年4月に700万円を突破したビットコイン。実は4年前には10万円の価値もありませんでした。皆さんは、そんなビットコインの価格が、どうやって決まっているのかご存知ですか?

答えは単純で、「需要と供給」によって決まります。ビットコインは、他の金融商品と同じように、常時「取引所」にて売買がなされているため、買う人のほうが多ければ価格は上がりますし、売る人が多ければ価格は下がります。需給が決まる要因がわかれば、今後ビットコインの価格がどのように推移していくかを予測できるということですね。

ビットコイン (BTC) の価格が上がる原因

先に述べたように、ビットコインの価格上昇は「需要」が「供給」を上回ることで引き起こされます。つまり、「買う量が増えた場合」と「売る量が減った場合」に価格が上がるということです。

大手企業のビットコイン (BTC) 参入

直近で言えば、マイクロソフトがビットコイン (BTC) を決済通貨として採用したとき、米テスラ社が大量購入したときは、大きな価格上昇を引き起こしました。[1]

triangleこれは「買う人が増えた」事例です。

単純に彼ら大企業が大量のビットコインを購入することによって購入量が増えたというだけでなく、「大企業がGoサインを出している」ことでビットコインの信用が上がったことも、大きく需要を伸ばした要因となりました。

ビットコインは現状いくつもの課題を抱えているため、信用性に不安を抱えている投資家も少なくありません。ですので、ビットコインの信用が上がる出来事は、価格に大きな影響を与えることがよくあります。

半減期

ビットコインは、マイニングと呼ばれる取引の承認プロセスへの報酬として新規発行されます。この新規発行量が、数年に一度半分になることがあり、それを「半減期」と呼びます。これは「売る量が減る」事例です。

新規発行が半分になればマイナー (マイニングを行う人々) からの流通量が減少するため、ビットコインの希少価値は上がっていきます。実際、これまでにビットコインは3回の半減期を経験していますが、その後1年程度で毎回大きな値上がりが見られています。

ただし、これらの値動きには複雑な要因が関係しており、必ずしも半減期が影響を与えるというわけでもありません。更に、ビットコインは過去に比べて流動性が高くなっているため、流動性対比で見れば、半減期の与える影響は過去よりも小さい可能性があります。
そのため、半減期前後では半減期以外のニュースや、市場の流動性も考慮に入れながら投資を行う必要があるでしょう。

貨幣価値のインフレ

これは新型コロナウイルスを経験した2020年〜21年に顕著に見られた上昇原因です。ビットコインは金と同じように発行主体がおらず、世界共通の価値を持ちます。逆に法定通貨は国家が発行主体であり、それぞれの国家情勢に価格が左右されてしまいます。

そのため、国家の情勢が傾くと、人々は「価値の保存手段」として金やビットコインを購入するようになります。購入量が増えれば価格は上がりますから、貨幣価値の下落はビットコインの価値上昇と関係しているといえるでしょう。

事実、コロナ禍では多くの国が金融緩和を実施し、貨幣価値が下落したタイミングでビットコイン価格が大きく上がっています。他にも、2015年にギリシャが金融危機に陥った際、預金の引き出しが制限されたことをきっかけにビットコインへの需要が上昇した、というケースもあります。[2]

bitbank MARKETS, ギリシャ危機でビットコイン強気続く, 2021年6月29日参照

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ビットコインETFの承認

ETFは、上場投資信託 (Exchange Traded Fund) を指す言葉です。ETFは国家単位で申請が行われ、承認されるとその国の証券会社で、ビットコインを他の金融商品と同じように取引することができるようになります。

ETFに承認されると、取引の透明性が増し、機関投資家や一般の個人投資家が気軽に参加できるようになるため、需要の大きな増加が見込まれます。2021年2月、カナダでビットコインETF上場した際は、上場直後から一日足らずで、170億円近くの取引が行われました。現在、アメリカを始めとして多くの国で上場申請がなされており、今後の動向に期待ができるといえるでしょう。[3]

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大量保有者 (クジラ) の増加

ビットコインの保有者は、所有している金額に応じて海の生き物の名前が与えられます。中でも1000ビットコイン以上を保有する「クジラ」は、相場を動かしうるとも言われ、しばしばその数や保有量が話題に上がります。ビットコインの価格を決定する「供給」に大きな影響を与えるためです。

2021年3月から4月にかけて起こったビットコイン (BTC) 高騰の二ヶ月前にはクジラの数が過去最多を更新[4]

triangleしていたり、2021年5月18日のビットコインの大暴落の直前にも、クジラの大量売りがニュースになっていたりします。[5]

ビットコイン (BTC) の価格が下がる原因

今度は逆に、ビットコインの価値が下がる場合は「供給」が「需要」を上回っています。では、供給が増えるとき、需要が減少するときにはそれぞれどのような要因があるのでしょうか。

規制強化の動き

国家は時に仮想通貨を厳しく規制する場合があります。規制の内容は、ICOや匿名通貨などの特定のサービスに限定されるものから、取引所やマイニングといった仮想通貨の根幹となっている仕組みに対するものもあり、その大小は様々です。

ビットコインの価格に大きな影響を与えたことで有名なのは、2018年と2021年に行われた中国の規制でしょう。中国の規制は世界でも有数の厳しさであり、「暗号資産の禁止政策」という形をとっています。18年の規制が発表した直後には、ビットコイン価格が30%近く下落しました。21年5月にはマイニングと取引の規制を更に強める方針を見せており、当時下落を続けていた相場をさらに加速させる要因になったと言われています。[6]

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中国は電気代が安く、ビットコインマイニングの大部分を行っていました。ビットコインへの信頼はその計算量によって裏付けられていますから、需要の減少は不思議ではありません。もちろん、健全な仮想通貨の流通を支援する規制も存在するため、規制の本質を見極めることも重要と言えるでしょう。

セキュリティや技術に対する不安

まず、原理上はブロックチェーンに対して改ざんやハッキングを行うことはほぼ不可能です。しかし、個人や取引所のウォレットが攻撃を受け、秘密鍵が流出してしまうケースは珍しくありません。仮想通貨を狙ったハッキングが繰り返されると、資産としての信用が脅かされ、価格に深刻な影響を与える場合があります。

また、量子コンピュータの開発も、ビットコインのセキュリティと大きく関係しています。ビットコインは、ハッシュ関数という「逆算できない値」を算出する計算法にそのセキュリティを依存しています。しかし、量子コンピュータはその「逆算できない値」を逆算してしまうほどの計算力を持つと言われており、もしそれが実現すればビットコインの仕組みは根本から覆される可能性があります。実際に2019年には、Googleが量子コンピュータについての論文を公開し、一時ビットコインの価格が大きく下落しました。[7]

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現在のビットコイン (BTC) 価格は適正か

現在のビットコイン価格を巡っては様々な議論が展開されており、投資家の間で共通の適正価格がありません。計算方法によって大きく適正価格が変化しうる商品であるためです。

JPモルガンが顧客に情報提供として渡したとされる資料によれば、「メトカーフの法則」という「ユーザー数の二乗がネットワークの価値に等しい」とするルールに基づいた場合、適正価格は1BTC = 235万円。金と比較して適正価格を求めると1BTC = 5860万円で、現金と比較すると1BTC = 約2億円になるそうです。[8]

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このような背景もあり、一概に現在のビットコイン価格が安すぎる、高すぎるなどと断言することはできません。しかしながら、JPモルガンの査定の内、後者2つは現在のビットコイン価格を大きく上回っており、メトカーフの法則も、ビットコインブロックチェーンのユーザー数が増えれば増えるほど適正価格が上昇していく計算式であるため、今後のビットコイン価格が更に伸びていく可能性は十分にあるといえるでしょう。

今後ビットコイン (BTC) の価格はどうなるのか?

今後のビットコイン価格を考える際に重要になってくるのは、ビットコインが「既存の貨幣が成し得ない役割を持ちうる技術であり」「未だ完全なものではない」という二点です。

近い未来、私達が使用する通貨の選択肢として、「非中央集権的な仮想通貨」は必ず大きな存在感を保つはずです。例えば、先に述べたように国家の財政事情が悪化した際に、財産をヘッジする手段として仮想通貨が使用できます。実際にベネズエラやコロンビアなど、発展途上国では仮想通貨の取引量が増加傾向にありますし、2018年の米中貿易摩擦によって貨幣価値が下がった際には、やはりビットコインが大量に購入されました。[9]

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リスクヘッジの目的だけであればゴールドでも可能ですが、ビットコインは他のコインとの互換性をもち、決済にも使用可能、そして何より取引が圧倒的に容易であることに大きな強みを持ち、差別化が十分に可能です。とどのつまりビットコインは、その価値が上昇することは十分に考えられます。

しかし、一方で課題が多く残るのも現実です。ブロックサイズが小さく、手数料が増大してしまうスケーラビリティ問題や、半減期によるマイナーのインセンティブ減少、量子コンピュータ問題、そして何より、取引所や個人のセキュリティ問題はより広い普及を目指す上で解決が欠かせません。
更にはそうした課題を乗り越えても、国家の規制が強力なものであれば、それだけで仮想通貨の発展は閉ざされてしまうかもしれません。

そのため、こうした課題が解決され、技術の恩恵を安全に受けられる人が増えるほど、多くの人がビットコインを求めるようになり、価値が上がっていくのではないでしょうか。

ビットコイン (BTC) の価値に関するまとめ

ビットコインは「発行主体がおらず、世界共通の価値を持つ」ことに大きな価値を持ち、その将来性は明るいものと言えます。しかしながら、現状解決すべき課題が多いのも現実です。そうした課題が解決できなければ、他のアルトコインに先を越されたり、仮想通貨そのものが普及しきらない可能性も否定できません。

ビットコインに投資を考えている方は、こうしたニュースに注目して、売買のタイミングを考えてみても良いかもしれません。