ブロックチェーンETFの仕組み

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田中丸 凛太郎 (Rintaro Tanakamaru)
この記事の編集者
田中丸 凛太郎

KasobuのAssociate Editorです。暗号資産、株式、FXなど幅広い経済・金融系分野のリサーチを行っています。 彼は2021年1月にドットメディア株式会社にインターン生として入社し、同社オウンドメディアの制作ディレクション・運用に携わっています。

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ブロックチェーンETFとは

ブロックチェーンETFは、上場投資信託 (ETF) の一種で、ブロックチェーン事業を展開する企業の株式を運用する金融商品です。ビットコインETFと違い、あくまで投資するのは企業の株式なので、仮想通貨に直接投資するわけではないことに注意してください。

ブロックチェーンETFがつくられた背景

ブロックチェーンは、ネットワークに接続した複数のコンピューターでデータを共有することで、データの耐改ざん性、透明性を実現する仕組みです。従来のような中央の管理者を必要としない、新たな金融システムを構築する可能性を秘めた存在として期待されています。

ブロックチェーンはそのポテンシャルや適応力の高さから、仮想通貨にとどまらずアプリ開発やエンタメ業界、バイオ技術や農業分野にまで幅広い業界で応用されていて、将来は世界のGDPの約10%がブロックチェーン産業で占められるとも言われています。

このような背景から、投資家たちはブロックチェーン領域の投資に前向きになっています。ブロックチェーンに投資する方法はさまざまです。たとえばイーサリアムのような、ブロックチェーンを基盤としている仮想通貨を購入することも方法の一つでしょう。しかし仮想通貨投資は難しく、ボラティリティが大きすぎるため手を出したがらない投資家もいます。

では、ブロックチェーン技術の開発に注力している企業の株式を購入するのはどうでしょうか。たとえばIBMのような企業がブロックチェーン開発によって大きく業績を伸ばせば、投資家もその恩恵にあずかれます。しかし個別株への投資は価格が極端に上下するリスクが付いて回るので、これも手を出しづらいという声があります。

そこで需要が出てきたのがブロックチェーンETFです。ブロックチェーンETFに投資すれば、投資信託のメリットである分散投資ができるのに加え、株式投資ならではのリアルタイムトレードも可能です。このように、上場投資信託という形で間接的かつ低リスクでブロックチェーンの将来性に投資できるのが、ブロックチェーンETFのメリットです。

ブロックチェーンETFの銘柄構成の仕組み

ここでは例を用いて、ブロックチェーンETFにおける銘柄選定方法について、証券取引所Rality Sharesが提供するBLCN (Reality Shares Nasdaq NexGen Economy ETF) を例に解説します。

BCLNでは、投資先の企業を選ぶ際、候補となる企業に対し「ブロックチェーンスコア」という点数をつけ、その企業の事業がどれだけブロックチェーンの発展に貢献しているかという観点から評価します。具体的な評価基準としては、ブロックチェーンを活用したプロダクトの完成度とそれが経済に与える影響、研究開発やイノベーションを起こすためにどれだけ投資をしているか、企業の業績などです。点数の高い上位50~100社が指標に入る資格を持ち、上位のものから優先的に株の保有率が割り当てられます。この保有率のバランスは半年ごとに調整されます。

ブロックチェーンETFの代表的な銘柄

去年特にリターンが大きかったETFを3つ紹介します。

1つめは、BLOK (Amplify Transformational Data Sharing ETF) です。証券取引所Amplifyが提供するアクティブ型ETFで、運用資産額5億3590万ドル、年間パフォーマンスは112%を記録しました。BLOKは、ブロックチェーンの開発や活用に積極的な企業の株式に80%以上の資産を投資しています。55銘柄で構成されており、日本からは楽天やSBIなどが採用されています。保有率の高い上位3銘柄は、マイクロストラテジー、マラソン・パテント・グループ、シルバーゲートキャピタルです。マイクロストラテジーは、財務資産として累計約2500億円ものビットコイン (BTC) を購入したことで注目されているアメリカ企業です。マラソン・パテントは大手の仮想通貨マイニング企業で、シルバーゲートキャピタルは仮想通貨関連のソリューションを提供している企業を子会社に持つアメリカの銀行系持株会社です。[1]

Amplify, AMPLIFY TRANSFORMATIONAL DATA SHARING ETF, 2021年6月5日参照

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2つめは、BCLN (Reality Shares Nasdaq NexGen Economy ETF) です。証券取引所Rality Sharesが提供するインデックス型ETFで、運用資産2億1910万ドル、年間パフォーマンスは62.8%を記録しました。前述したとおり、投資先は「ブロックチェーンスコア」という指標に基づき、ブロックチェーン業界への貢献度が高い企業が選定されています。保有率上位3つは、ギャラクシー・デジタルホールディングス、百度(バイドゥ)のADR、カナンのADRです。ADRは米国預託証書と呼ばれ、米国市場で取引できる外国企業の有価証券です。ギャラクシー・デジタルホールディングスは仮想通貨を中心とするサービスを展開するカナダ企業、百度は大手検索サービスプロバイダーの中国企業、カナンはビットコイン (BTC) のマイニング機器を販売する中国企業です。[2]

SirenETFs, Siren Nasdaq NexGen Economy ETF (BLCN), 2021年6月5日参照

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3つめは、LEGR (First Trust Indxx Innovative Transaction&Process ETF) です。証券取引所First Trustが販売するインデックス型ETFで、運用資産5720万ドル、年間パフォーマンス22.5%を記録しました。投資先は、ブロックチェーンの技術開発や、ブロックチェーンを利用した商品開発を行う企業から選定されています。グロース株とバリュー株の両方に投資する混合戦略をとっているのも特徴です。保有率上位3つは、百度のADR、マイクロンテクノロジー、台湾セミコンダクターマニュファクチャリング(TSM)のADRです。マイクロン・テクノロジーはメモリやストレージといった半導体を製造するアメリカ企業で、台湾セミコンダクターマニュファクチャリングは集積回路を開発する台湾企業です。[3]

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ブロックチェーンETFに対する批判

ブロックチェーンETFは登場してからまだ間もないため、総合的なパフォーマンスを評価することは難しいですが、直近2年間ではおおむねプラスのリターンを記録しています。しかし、ブロックチェーンETFが長期的な利益を上げられるかには懐疑的な声もあります。ブロックチェーンの理念は確かに目新しく、将来性が期待できるものですが、実際のところ今後長期的に普及していくと断言するのは難しく、まだまだ技術的な課題を持っています。

また、各国の法規制の動向も注視しなくてはなりません。例えば中国ではマイニング事業を行う企業を規制する動きが加速していて、このような企業の銘柄を扱うETFに投資していた場合、想定していた利益が得られないことも考えられます。

ブロックチェーンETFの仕組みまとめ

ブロックチェーンETFは、ブロックチェーン事業を行う企業の株式を扱う上場投資信託です。ETFで取り扱われる銘柄は、客観的な指標に基づいて選出されるのが一般的で、実際に高リターンを記録したETFもあります。

一方で、ブロックチェーンの将来性はまだ不透明な部分も多く、確実に利益が得られると断言することはできません。ブロックチェーンETFで資産運用を検討している方は、他の投資信託と同様に分散投資を行いながら運用するのをおすすめします。

情報ソース・引用元一覧

1

Amplify, AMPLIFY TRANSFORMATIONAL DATA SHARING ETF, 2021年6月5日参照

2

SirenETFs, Siren Nasdaq NexGen Economy ETF (BLCN), 2021年6月5日参照