中国が仮想通貨の規制に踏み切った背景・理由と規制緩和の可能性を探る

1分で理解する要約
  • 2017年9月に大きくICOと取引所を禁止
  • 2018年1月にはマイニング規制に踏切り規制をさらに強化
  • 規制の理由はきちんとした明文化はなく不明確
  • 規制緩和の見通しは政府と中銀にかかっている

【上海=張勇祥】中国の大手仮想通貨取引所である「OKコイン」と「火幣」は15日、ビットコインなど仮想通貨の取引と人民元への交換業務を10月末で停止すると発表した。大手取引所の一角「BTCチャイナ」も14日に同様の発表をしており、他の取引所も追随する見通し。中国における仮想通貨の取引所は事実上、全面的に閉鎖される。

...中略

ビットコインの元建て価格は2万元前後で下げ止まっている。

仮想通貨は価格の急騰と急落を繰り返しています。そのため、世界各国で仮想通貨との関係性はまちまちです。
中国でも2017年に取引を禁止する規制を打ち出し、全世界に激震が走りました。
そこで今回は、なぜ中国は規制を行ったのか、そしてそれは今後緩和される可能性があるのかについて深掘りしていきましょう。

中国における仮想通貨取引の現状

中国はもともと仮想通貨の取引量が世界一でした。しかし、規制後の仮想通貨の取引はこれまでと全く違った状況になっています。実は世界で仮想通貨を厳しく規制している国は中国ぐらいしかありません。

中国の仮想通貨の取引の現状を知ることは、他の国でも今後実施されるかもしれない規制のスタディケースになるでしょう。

中国の投資家の現在

中国は2017年前半まで世界一の仮想通貨取引量を誇っていました。ここまで仮想通貨が流行した原因は、人民元の信用がないことも要因の一つです。仮想通貨の取引だけでなくマイニング事業なども行わていました。

しかし、2017年9月に中国政府の規制が入ります。
 
ICOの全面禁止
一部の仮想通貨取引所でしか取引できなくなる

その結果、中国での仮想通貨の取引量は大きく減少してしまいました。

現在、中国でマイニングは行われているのか

中国政府が仮想通貨の規制をしたあともマイニング事業については行われていました。中国は電気代が安いことから四川省を中心に工場でのマイニングが盛んに行われていたのです。

しかし、2018年1月に中国政府はマイニング事業にも規制のメスを入れました。その結果、多くの工場は閉鎖されます。またマイニングを事業として行っていた企業は、アメリカやアイスランドに工場を移転しました。

ただこの時点では、マイニングについては完全に禁止されていませんでした。2019年になると、中国政府はマイニング事業についても禁止を検討していることが報道されました。

そのため世界の7割前後のマイニングが行われている中国ですが、今後マイニングができなくなる可能性もあります

中国国内で人民元での仮想通貨取引は禁止

中国では、2017年9月上旬にICOの禁止、人民元と仮想通貨との取引を禁止する規制と、立て続けに仮想通貨に対する規制強化を発表しました。この規制では、仮想通貨同士の取引を禁止している訳ではなく、あくまで人民元との取引にフォーカスされています。

この規制の影響で、HuobiやOKcoinなどの中国国内の主要な取引所は人民元と仮想通貨の取引を停止する措置をとりました。それまでは世界最大のシェアを占めていたチャイナマネーが一気に引いたことで、ビットコインの価格は一時30%以上も下落しました。

また、2018年1月前半には中国のマイニングファームが停止、国外に拠点を移さざるを得ない状況に追い込まれるなど、規制の対象は取引のみならずマイニングなどの仮想通貨周辺領域に及びます。

中国で仮想通貨取引が規制されたあと

中国は仮想通貨の取引を規制しましたが思わぬ影響がでました。仮想通貨の個人間でのやりとりが増加したのです。その結果、マネーロンダリングにも利用されました。

もし、犯罪を防止するシステムが整い、ライセンス制度の導入が可能になれば、取引が再開される可能性もあります。

中国の仮想通貨取引所は海外へ

中国で取引所を運営していたOKCoinBinanceなどは電気代などが安く事業がしやすい他のアジアの国に進出しました。日本・シンガポール・韓国など仮想通貨への需要が高い地域での活動を増やし、リスクヘッジと新規顧客を獲得し続けています。

日本がビットコイン (Bitcoin/BTC) の取引量で世界一位となる

中国での規制された仮想通貨ですが、その影響は日本にもありました。2017年4月に仮想通貨法が施行され、ビットコインが法的な通貨として認められました。

その結果、FX業者などが仮想通貨の取り扱いを始め、財務省から認可を得た取引所が多数誕生しました。また仮想通貨の価格上昇もあり、仮想通貨への関心が増え、実際に投資する人も増加しました。

2017年9月以降は人民元での取引がなくなりました。そのため、円はドルを抜いて世界一ビットコインが取引される国になったのです。

中国で仮想通貨が禁止された理由や背景とは

規制の理由として、はっきりと明文化があるわけではないのですが、おおよそのところ「投資家の保護」や「人民元の流出による価格の下落」、「直接管理できない仮想通貨への危機感」などが挙げられています。

もともと中国人民銀行(PBOC)は規制するガイドラインや法的定義や価値がないといった旨の声明を発表しつつも、中国政府はこれまで2年以上にわたってありとあらゆる金融市場のリスク一掃を唱え続けていました

中でも昨年の10月の共産党大会で、指導部はリスク管理を最優先課題の一つとして挙げたほど、金融商品のリスクへの懸念は非常に強いものがあります。過熱する仮想通貨への投資熱に懸念を持っていたところ、ついに国として取引禁止を打ち出したのです。

また、中国はこうした当局による管理が強い国のため、一部の富裕層にとっては資産を移すことが非常に難しい状況でした。

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、そのような人々にとって資産を分散させる上で非常に便利なものと捉えられ、大量の人民元が仮想通貨に換えられました。中国当局はこの状況が続くことで、人民元が流出し価格が下落することで国内経済に悪い影響を与えるのではないかと懸念したことも理由の一つでしょう。

中国で仮想通貨が再開される見通しは?

一方向的に規制の策を講じてきた中国当局でしたが、アメリカ帰りの経済学者易綱(イ・コウ)氏を、中国人民銀行の行長(総裁)に任命するというビッグニュースが飛び込んできました。

もともとイ氏は仮想通貨に肯定的な見解を示す、親市場派経済学者。

イ氏の任命から数週間ですでに、中国政府は初めて同国の決済業界への外国企業の進出を許可し、世界的ECサービス「アリペイ」を展開するアリババや、「テンセント・ペイ」を提供する同国最大のテクノロジー企業テンセントといった国内の巨大企業と海外企業を競合させています。このタイミングでのイ氏の登用は、そういった意味でも仮想通貨市場に良い影響を与える可能性があります。

また、同様に中国の習近平国家主席も市場改革に肯定的見解を示す親市場派です。一部報道においては、「9月に中国人民銀行があのような方策をとったのは、習国家主席の政治的談話を支持するため。習国家主席が自身の政府を再度確立したら、政府が仮想通貨市場を開く可能性が高い。」とする見解も報道されています。

しかし、本当に緩和されるのか、いつ緩和されるのかについては依然不透明なままです。仮想通貨はまだ新しい領域のため今後の見通しや影響を予測することは困難です。中国は国内の経済を管理する体制と言われており、リスクの高い仮想通貨をすぐに推進する可能性までは断言できないのが本音です。

しかし、仮想通貨が社会に根付き安定してくれば、今回の規制を緩和することも考えられます

まとめ

世界各国で仮想通貨に対する強弱様々な規制が行われています。中国でも人民元との取引の禁止という規制を行うことで、自国の経済や主導権を保護しようとしています。今後規制が解除されるかは不透明ではありますが、これからの仮想通貨がどう社会に浸透していくかにかかっていると言えるでしょう。

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