仮想通貨の今後と将来性

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田中丸 凛太郎 (Rintaro Tanakamaru)
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田中丸 凛太郎

KasobuのAssociate Editorです。暗号資産、株式、FXなど幅広い経済・金融系分野のリサーチを行っています。 彼は2021年1月にドットメディア株式会社にインターン生として入社し、同社オウンドメディアの制作ディレクション・運用に携わっています。

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【6月最新】仮想通貨の価格推移・動向

2020年から上昇トレンドを続けていて、600万円台を推移していたビットコイン (BTC) でしたが、2021年5月に320万円台、実に最高値から約50%まで下落しました。2021年6月27日時点は360万円台[1]

Market Kasobu, BTC, 2021年6月27日時点

triangleを推移していますが、なぜヒットコイン (BTC) はこれまで急落したのでしょうか。

一番の理由は、テスラ社CEOイーロン・マスク氏によるビットコイン決済中止の発表が考えられます。テスラ社は、2021年2月に会社資産の7%にあたる1600億円規模のビットコイン (BTC) を購入していましたが、ビットコイン決済中止の発表を受けて[2]

triangle、テスラ社がこのビットコイン (BTC) を売却するのではないかと危惧した投資家達が、慌てて売却に走ったため価格の暴落が起こったとみられています。

さらに中国による仮想通貨規制方針の再発表[3]

triangleや、アメリカの監視強化の表明[4]など、各国が続けてネガティブな声明を発表したことも下落に影響したといえます。

ビットコイン (BTC) の下落はイーサリアム (ETH) やビットコインキャッシュ (BCH) 、ライトコイン (LTC) といったアルトコインにも影響を及ぼし、仮想通貨市場全体が下がり調子となりました。

仮想通貨の今後

直近の価格推移をみて、2017年のバブル期のようにこの下落トレンドが続くのか、あるいは上昇に転じることができるのか、気になる方もいるでしょう。

先述したとおり、仮想通貨市場全体はビットコイン (BTC) の動きによって大きく左右される傾向にあります。仮想通貨の今後の可能性を探るにはまず、ビットコイン (BTC) の歴史を振り返りつつ長期的な要素を考慮する必要があります。

ビットコイン (BTC) が今後期待されているポイントに注目して将来性をみていきましょう。

  • ビットコインETFの承認
  • ビットコイン決済圏の拡大
  • ライトニングネットワークの実装

1つめは、ビットコインETFの承認です。ビットコインETFとは、上場投資信託で株と同じようにビットコイン (BTC) が取引できる仕組みです。

ビットコインETFが承認されれば、ビットコイン (BTC) の現物を保有することなく市場に参入可能になります。これにより、機関投資家を含むより多くの投資家が参入し、多額の資金が流入すると予測されるため、価格の上昇が見込まれます。

2021年2月11日にカナダ規制当局が初めてビットコインETFを承認し[5]

triangle、この流れを受けて、長年申請を却下してきたアメリカの証券取引委員会 (SEC) もビットコインETFの審査を積極的に行うようになりつつあります。今後もETF承認の動向は注目です。

2つめは、ビットコイン決済圏の拡大です。ビットコイン (BTC) は投機対象としてだけでなく、決済手段としての需要もあります。

既にアメリカでは実店舗でビットコイン決済が可能であったり、ビットコイン (BTC) は実生活に浸透しつつあります。最近ではPayPal[6]

Paypal Newsroom, PayPal Launches "Checkout with Crypto", 2021年3月30日参照

triangle、Mastercard[7]といった大手決済サービスが続々とビットコイン (BTC) の取り扱いを発表しています。

ビットコイン (BTC) は法定通貨にないメリットを多数持っているため、今後決済圏が整備されていけば実用的な普及も考えられます。

3つめは、ライトニングネットワークの実装です。現在のビットコイン (BTC) は決済速度と手数料の高さが課題となっています。

ライトニングネットワークは、ブロックチェーンの外で取引するオフチェーン取引によって、決済速度と安い手数料を実現する技術です。ライトニングネットワークが実装されれば取引のしにくさが解決され、ビットコイン (BTC) の価値も高まると考えられます。

4つめは、世界各国の規制強化の動きです。

中国やアメリカなどの各国が仮想通貨に対して規制強化を発表するたび、一時的に価格は下落する傾向にあります。しかし、仮想通貨を用いた詐欺やマネーロンダリングを未然に防止し、健全な市場を形成するためには規制は必要不可欠なもので、国際的な枠組みで適切な法整備がなされていけば、長期的には投資家が参入しやすい環境が整い、需要の増大に繋がります。

5つめは、半減期の影響です。

ビットコイン (BTC) の発行枚数はの上限は21,000,000枚と決まっています[8]

Metzdowd, Bitcoin v0.1 released, 2009年1月8日参照

triangle。これはビットコインが増えすぎて希少性が下がり価格が下落することを防ぐためです。そのため、この上限枚数を超えないよう定期的に新しくマイニングによって新規発行される枚数がプログラムで調整されます。これが半減期です。

ビットコインは (BTC) は約4年に1度のペースでこの半減期が実行される仕組みになっていて、次の半減期は2024頃と予想されます。

半減期を過ぎると供給量が減り希少性が高くなるので、価格は上昇する傾向にあります。一部のトレーダーでは半減期は価格上昇のマクロ的要因にはなり得ないと主張する意見もありますが、2012年、2016年、2020年の半減期では価格上昇が起こったのは事実なので、今後次の半減期である2024年に向けてどのような動向を見せていくのか注目です。

アルトコインの今後

ビットコイン (BTC) だけでなく、イーサリアム (ETH) やリップル (XRP) などの主要なアルトコインについても今後の動向を見ていきましょう。

イーサリアム (ETH)

まずは直近の価格推移を振り返ります。

2021年4月中旬からビットコイン (BTC) は下落トレンドに入りましたが、イーサリアム (ETH) は対照的に、2021年5月中旬に42万円台の最高値を更新するなど、上昇トレンドを継続していました。しかし5月下旬にかけ下落に転じ、執筆時点では20万円台[9]

Market Kasobu, ETH, 2021年6月29日参照

triangleを推移しています。

イーサリアム (ETH) の今後を予測するポイントは以下の2つです。

  • スマートコントラクトの開発・実用化
  • DeFi

1つめは、イーサリアム (ETH) のスマートコントラクトの開発・実用化です。スマートコントラクトとは、イーサリアム (ETH) のブロックチェーン技術を利用して、中央集権的な管理者がいなくても公正な契約を結ぶことができるという画期的な技術です。スマートコントラクトは、不動産売買、金融、マーケットプレイスと行った分野への活用が期待されています。

2つめは、DeFiです。DeFiとはdecentralized finance (分散型金融) の略称で、上述したスマートコントラクトを金融分野で実装することにより、管理者の存在しない分散型の金融サービスを実現する技術です。

銀行、取引所といった従来の金融サービスは、中央の管理者が取引を仲介する仕組みとなっていたため、手数料や時間的コストが発生していましたが、DeFiでは管理者を通さずユーザーとユーザーが直接取引する仕組みになっているため、スムーズかつ利便性の高い取引が可能になります。

DeFiの多くはイーサリアム・ネットワーク上で稼働しているため、DeFiの活躍の場が広がるとともにイーサリアム (ETH) が上昇する可能性があります。

DeFiを活用したDEX (分散型取引所) の台頭など、DeFiを取り巻く環境は日に日に注目度を増しています。

リップル (XRP)

リップル (XRP) は2021年4月上旬から中旬にかけて60円台から180円台まで高騰し、最高値を更新しましたが、5月に入ってから緩やかに下落し、執筆時点では70円台[10]

Market Kasobu, XRP, 2021年6月29日参照

triangleを推移しています。

リップル (XRP) を発行しているリップル社は金融機関向けの国際送金サービス「RippleNet」を提供しています。これまでの国際送金は金銭的・時間的なコストが問題視されていましたが、リップル (XRP) を利用すれば低コスト、短時間で国際送金が可能になります。

RippleNetには既に世界40ヶ国以上300社以上の金融機関が参加していて、今後の展開に注目です。

ビットコインキャッシュ (BCH)

ビットコインキャッシュ (BCH) は2021年4月から5月中旬にかけて6万円台から17万円台の最高値まで上昇しましたが、他のアルトコインと同じくその後下落トレンドに入り、現在は5万円台[11]

Market Kasobu, BCH, 2021年6月29日参照

triangleを推移しています。

ビットコインキャッシュ (BCH) は2017年にビットコイン (BTC) から分裂して誕生した通貨です。ビットコインのスケーラビリティ問題に対して、ブロックの大きさを拡張することで処理能力を向上させ解決を試みたのがビットコインキャッシュ (BTC) です。

ビットコインキャッシュ (BCH) の将来性を推測する上での論点は、ビットコインキャッシュ決済の普及と基軸通貨として取り扱う取引所の増加の2つです。

ビットコインキャッシュ (BCH) は通貨としての利便性向上に向けた開発作業に加え、積極的な普及活動も行われています。ビットコインキャッシュ (BCH) を基軸する取引所などの仮想通貨事業も増えてきていることから、その信用性や将来性に期待を寄せる動きに注目したいところです。

仮想通貨投資の必要性

仮想通貨投資は資産運用の方法として合理的なのでしょうか。

仮想通貨投資のメリットは主に3つです。

  • 小額から運用可能
  • 初心者でも始めやすい
  • 分散投資先として機能

1つめは、少額から運用できる点です。ビットコイン (BTC) の最小取引単位は0.001BTC=約500円で、始める際の敷居が低く気軽に資産運用を始められます。

2つめは、初心者でも始めやすい点です。仮想通貨投資には短期間で利益を出す短期トレードと数ヶ月から数年の長期間保有し続ける長期トレードがあります。短期トレードは売買のタイミングを見極めるために頻繁に相場をチェックする必要がありますが、長期投資は将来的に価格が上がれば利益を出せるため、頻繁にチャートを確認する必要はなく、通貨を保有しているだけでかんたんに運用できます。

3つめは、分散投資先として機能する点です。他の金融商品に投資している方にとっても、分散投資先として仮想通貨への投資は有効です。仮想通貨は株式などの金融資産や不動産などの実物資産と異なる値動きをするため、リスクヘッジとして機能します。

仮想通貨の今後まとめ

仮想通貨は決済・送金システムを変革する存在として期待されています。

今回の記事では、仮想通貨の技術的な課題、法整備の拡充など、中長期目線で見た仮想通貨の将来性を解説しました。

投機的なニーズの多さから短期的な上昇・下落ばかりが注目されがちな仮想通貨ですが、仮想通貨の目指すビジョンを理解し、よりマクロな視点から将来性を考える姿勢も、投資戦略を練っていく上で大切です。

情報ソース・引用元一覧

1

Market Kasobu, BTC, 2021年6月27日時点

6

Paypal Newsroom, PayPal Launches "Checkout with Crypto", 2021年3月30日参照

7

Mastercard Newsroom, Why Mastercard is bringing crypto onto its network, 2021年2月10日参照

8

Metzdowd, Bitcoin v0.1 released, 2009年1月8日参照

9

Market Kasobu, ETH, 2021年6月29日参照

10

Market Kasobu, XRP, 2021年6月29日参照

11

Market Kasobu, BCH, 2021年6月29日参照