- G20でも暗号資産(仮想通貨)について注目するようになった
- G20の会議によって暗号資産(仮想通貨)市場にも大きな影響を与える
- 金融安定理事会でも暗号資産(仮想通貨)を重要視している
暗号資産(仮想通貨)は世界的にユーザー数が増えて、多くの人から利用されるようになりました。「G20」も暗号資産(仮想通貨)に対して無視することができなくなり、それぞれの国で対応が求められるようになっています。
本記事ではG20の暗号資産(仮想通貨)に対する対応や各国今後の方針について解説します。
G20とは
G20とは『Group of Twenty』の略称であり日本やアメリカ、中国や韓国など20の国々で構成されるグループです。アメリカやイギリスなどの先進国から、メキシコやサウジアラビアのような国が含まれています。1年に2回から4回の間隔でサミットを行っており、世界経済やエネルギーなど幅広い議題を題材にしています。
G20と暗号資産(仮想通貨)
G20の暗号資産(仮想通貨)に対する対応
G20ではマネーロンダリングやワイロなどの犯罪にビットコインが悪用されることを防ぐため、暗号資産(仮想通貨)の法整備をする会議を積極的に開いています。
2019年10月18日、G20財務省・中央銀行総裁会議はワシントンで会合が行われたあとステーブルコインに対するG20の方針をまとめたプレスリリースを発表しました。その内容はステーブルコインは深刻なリスクを生じさせるというものでした。
しかし、2020年になりG20の複数の関係者が現金の代わりとなるデジタル通貨を容認する方向で議論を進めていることが判明しました。その理由は日本などの各国の中央銀行がデジタル通貨の導入を実施する動きをみせたことから、G20も対応に追われてたと考えられています。
G20とビットコイン
2021年になり、欧州中央銀行のラガルド総裁がG7、G20規模でビットコインを規制する必要があると述べました。ビットコインは大きいおかしなビジネスやマネーロンダリングの活動を助長しているからという理由です。
G20が与える暗号資産(仮想通貨)市場への影響
G20は暗号資産(仮想通貨)の市場に大きく影響を与えます。2018年3月にG20が行われてから、7月中はビットコインの価格が90万円にまで高騰しています。
暗号資産(仮想通貨)はリスクが警戒されているため、市場の成長には時間がかかりますが、評価されていることも確かです。長い目で見れば、暗号資産(仮想通貨)市場も大きくなると期待できます。
デジタル課税制度
上記で紹介したG20首脳会議をきっかけに、「デジタル課税制度」についても話し合われるようになりました。デジタル課税制度とはグーグルやアマゾンなどのIT企業に向けた課税であり、課税逃れを防ぐための制度です。
現在の法律では工場などの拠点を持たないIT系の海外企業には課税ができず、制度が課税逃れに悪用されている指摘もあります。
暗号資産(仮想通貨)が脱税に悪用される事態を懸念して、G20参加国に対してOECDはデジタル課税指針を2021年に提案していくと発表しました。
G20の暗号資産(仮想通貨)に関する協議内容
次の3つについて今後も議論を重ねると発言しています。
- 暗号資産(仮想通貨)を禁止ではなく規制する方向で考える
- テロやマネーロンダリングなどの犯罪防止や本人確認の導入
- 各国に自主的な規制の導入を提言
このように暗号資産(仮想通貨)についての議論は徐々に進んでいる状況です。
テロなどの犯罪防止、本人確認
暗号資産(仮想通貨)に規制が必要な原因は、暗号資産(仮想通貨)がマネーロンダリングに使われたり、テロ組織の資金源になる懸念があるからです。各国ともこれらの犯罪を防止する規制の導入を考えているようです。
日本の取引所では金融庁に登録している取引所では本人確認が義務付けられています。
各国に求められる自主規制
日本や米国の暗号資産(仮想通貨)に対する自主規制は各国から評価されています。日本では金融庁主導で暗号資産(仮想通貨)交換業者16社が日本暗号資産(仮想通貨)交換業協会を設立するなど、業界でも自主的な規制に積極的です。また、問題を起こした業者に対する行政指導も行っています。
米国でも州ごとに規制はありましたが、米国証券投資会が国全体の規制を進めています。暗号資産(仮想通貨)業者に対しても、証券と同様の規制を掛けることを発表済みです。2019年にはFacebookが暗号資産(仮想通貨)リブラを発表していますが、リブラには深刻なリスクがあるとし発行を認めないことを2019年の10月に発表しました。
G20各国の暗号資産(仮想通貨)に対する対応
2018年3月にG20の会議ではじめて暗号資産(仮想通貨)についての議論が行われました。ここでは、G20のなかでも主要4カ国の暗号資産(仮想通貨)についての協議内容や対応について解説します。
日本
日本は、2017年に改正資金決済法が成立しました。
これにより暗号資産(仮想通貨)交換業者の登録制度を開始しています。また暗号資産(仮想通貨)の盗難などが起きた複数の業者に対して行政処分を行っていますが、暗号資産(仮想通貨)の価格や発展に影響する規制は行われていません。
米国
米国は暗号資産(仮想通貨)の管轄が決まっていないため、州によって規制内容が異なります。ただ、証券取引委員会は違反をした暗号資産(仮想通貨)取引所に対しては、証券と同様の規制を掛けることを認めました。
中国
中国では、中国人民銀行がICOでの資金調達を禁止しています。
また暗号資産(仮想通貨)取引所を閉鎖させただけでなく、海外の暗号資産(仮想通貨)取引所にもアクセスを禁止しています。中国はインターネットについてもアクセスを遮断することがあるので、よほどのことがなければ、この状況は変わらないようです。
欧州
欧州はフランスやドイツが規制案の提出や暗号資産(仮想通貨)の一部取引を取り締まるなど規制に向けて動いています。またEUを離脱する予定のイギリスも一部規制をすべきと発言しました。
参考 : 仮想通貨はどのように規制されている?日本の規制状況や各国の規制状況を徹底解説!
金融安定理事会による報告
「金融安定理事会」はG20にも負けない規模を誇る国際組織です。金融安定理事会のランダル・クォールズ理事長も、2019年2月に暗号資産(仮想通貨)の規制の重要性について述べました。
また、2020年の4月にはステーブルコインの脆弱性について述べたり、各国の規制当局に対して暗号資産(仮想通貨)の成長をしっかり監視し、規制の抜け穴がないか確認する必要があると述べました。
銀行や規制当局と話し合いながら暗号資産(仮想通貨)の運用に関する構造を見直して、安全に利用するための環境を目指しています。
金融安定理事会とは
国際金融に関係した規制や監督などを行う組織
G20と暗号資産(仮想通貨)のまとめ
暗号資産(仮想通貨)はG20にとっても見逃せなくなり、積極的に話し合いが行われるようになりました。各国でも規制は変わり、一枚岩になりません。
G20の話し合いによって、暗号資産(仮想通貨)の市場も大きな影響を受けます。金融安定理事会でも規制に関する構造が見直されるようになり、これからの動きには目が離せません。