- アメリカの大手格付け機関Weiss Rating社の格付け基準
- 実際の仮想通貨の格付けランキング
- 著名人による格付けなので信頼性が高い
仮想通貨は現在3000種類以上あると言われている中、いざ購入しようとした時どの仮想通貨を買えばいいかわからなくなることがあります。各仮想通貨について取り上げているメディアなどもありますが、どれも公式なものではなく、信用性は低いのが事実です。
そんな中、アメリカの大手格付機関Weiss Rating社から、仮想通貨の格付けが発表されました。これまではそれぞれの通貨の断片的な情報を頼りに取り引きしていましたが、各通貨を総合的に評価した情報は、これから仮想通貨取引を始める人やすでにしている人にとっても大いに参考になります。
仮想通貨の格付けの方法
仮想通貨の格付けを行うWeiss Rating社 (ワイス・レーティング社)
Weiss Rating社は1971年に創業した、アメリカの独立系格付機関です。企業や団体からはいかなる報酬も受け取っておらず、個人投資家や消費者から得られる収益で運営されています。
そのため、高い中立性と独立性を確保しています。金融機関や金融商品の格付を行い、米国政府会計検査院(GAO)からも高い評価を得ています。
Weiss Rating社 (ワイス・レーティング社) による格付け
2018年1月から行われている、Weiss Rating社 (ワイス・レーティング社) では上記3つの情報を組み合わせることで、以下の4つの指標に照らし合わせ、格付けを行います。
ただし、格付けは普遍的なものではありません。頻繁に変更され、また、Weiss Rating社の格付けがその通貨を保証するものでもありません。投資の目安とすることはできますが、最終的な判断はそれぞれの個人で行うことになります。
- リスク (Risk Index)
- リワード (Reward Index)
- テクノロジー (Technology Index)
- ファンダメンタル (Fundamental Index)
以下、それぞれの指標について具体的に説明していきます
リスク (Risk Index)
以下の項目を調査し、算出します。
①複数の時間枠における相対的/絶対的な価格変動
②最高値から最低への低下の頻度とスケールの検証
③市場の動向、バイアス、およびその他の要因
リワード (Reward Index)
以下の項目などで利益の要因を評価します。
①移動平均との比較
②ベンチマークと比較した絶対収益
テクノロジー (Technology Index)
以下の項目を手動分析によって計算・集計します。
①公開されているホワイトペーパー
②パブリックディスカッションフォーラムまたは発表
③各コインの基盤となるプロトコルのオープンソースコード
また、以下の項目も含まれます。
- 匿名性のレベル
- 金融政策の精巧さ
- ガバナンス能力
- コードを改善する能力または柔軟性
- エネルギー効率
- スケーリングソリューション
- 他のブロックチェーンとの相互運用性
ファンダメンタル (Fundamental Index)
以下の項目を集計します。
①業務処理速度とスケーラビリティ
②市場浸透率
③ネットワーク・セキュリティ
④ブロック生産の分散化
⑤ネットワーク容量
⑥開発者の参加度
⑦社会的認知度
【2019年版】仮想通貨の格付け
格付けのランク
Weiss Rating社では、次の通りの格付を行っています。
A:優良
B:良
C:普通
D:脆弱
E:大変脆弱
金融機関や金融商品の格付けは、一般的にAAA~Cで格付されますが、Weiss Rating社の格付けは異なるので注意が必要です。ちなみに2019年7月の格付けでは、「A」の評価を得た通貨はありません。
これまでも何度か発表がありましたが、「A」の評価を得たのは、「ネオ(NEO:NEO)」だけです。2018年2月23日付けの評価で「A-」の評価を得たのが最高となっています。
2019年 7月時点での格付け
RANK:A
なし
RANK:B
RANK:B-
RANK:C+
RANK:C
RANK:C-
仮想通貨の格付けの変更
これまでの6回の格付けで、リップルとビットコインが徐々に評価を上げています。
リップル (Ripple/xrp)はどうしてあがった?
リップルのこれまでの6回の格付けは、この様に推移しています。
C → C+ → C → C+ → B+ → B+
3月の6回目の格付では、全体の中で最高の「B+」の評価を得ています。
ボーダレスな送金を簡単・便利にするリップルは、想定するロードマップの通りに計画が進むと仮定すると、長期的な投資に向いている仮想通貨です。
しかし、リップルの概念とXRPという通貨は、切り離して考えた方がいいかもしれません。政府や金融機関が、規制によりXRPを締め出すという可能性もあります。
ビットコイン (Bitcoin/BTC)はどうしてあがった?
ビットコインのこれまでの6回の格付けは、この様に推移しています。
C+ → C+ → C+ → C+ → C+ → B-
セキュリティ技術と、時価総額1位という普及率が高く評価されています。その一方で、スケーラビリティ問題等による送金の遅延や高い送金手数料がネックとなっています。
また、それらを解決するための努力は行われていますが、すぐに解決できる方法が明らかになってないことも不安視されています。
著名人の仮想通貨の格付け
Weiss Rating社の格付け発表を受けて、業界のインフルエンサーも独自の格付けを発表しています。
イケダハヤトさんの格付け
ネット上ではイケハヤさんと呼ばれている人物です。仮想通貨のことを調べていると、必ずと言っていいほどイケハヤさんの記事が現れます。イケハヤさんは、ブログの中で格付を発表しています。イケハヤさんが高く評価しているのは、この2つです。
おもしろいのは、Weiss Rating社では最高の評価を得たリップルの評価が「C」というところです。「ユースケースと現在の価格から、そこまでの伸びしろはないと判断」とのことです。伸びしろは期待できないという判断なんですね。また、IoTの普及で大きく需要が伸びるとされているアイオタは「E」という厳しい評価です。「実用化に課題あり」とのことでした。
大石哲之さんの格付け
日本におけるビットコインの第一人者で、日本デジタルマネー協会の理事を務められています。ビットコイン研究所ブログの中で、格付けを発表しています。大石さんは以下の3点から、時価総額上位の通貨の格付けを行っています。
プロトコル (ディストリビューション、セキュリティ、コンセンサス、ハッシュレート)
ユーザー (ネットワーク効果、コミュニティ、サードパーティ)
技術開発 (開発者の層、技術力)
大石さんが高く評価したのは、次の2つです。
また、大石さんもイケハヤさんと同じく、リップルの評価は「E~D」と厳しめのものとなりました。
東晃慈さんの格付け
前出の大石さんと共同で、ビットコイン研究所を運営しています。ビットコインやブロックチェーンのエキスパートです。
東さんは、Twitterで格付を発表しています。東さんがA以上の評価をしたのは、A-:イーサリアムのみでした。
リップルの評価は「B-」なので、他の2人と比べると高評価でした。
仮想通貨の格付けまとめ
仮想通貨を格付けするということは、仮想通貨の一つの側面を見る上では、楽しめるものです。しかし、格付けは絶対ではありません。
また、仮想通貨とどのように関わるかによって、評価は全く違うものになります。短期的に売買を繰り返すトレーダーと、ブロックチェーンによる便利な世の中を目指す技術者にとって、同じ仮想通貨でも見方や評価は全く違ったものになります。
信頼できる大きな会社が格付けを行うということは話題性があり、参考になることも多いと思います。
しかし、それに振り回されないよう、自分のスタンスをしっかり定め、自分が納得できる取引ができるようにしてください。