知らないと脱税に?! 仮想通貨で得た利益は確定申告を!

1分で理解する要約
  • 給与所得と別に20万円以上の利益がある人は、個人で確定申告を行う必要がある
  • 脱税が発覚すると、500万円以下の罰金か5年以下の懲役になる
  • 税金は、自己破産をしても帳消しにならない

2017年は、仮想通貨界の盛り上がりで多くの『億り人(おくりびと:1億円以上の資産を築いた投資家)』が誕生しました。利益が出ると、納税の義務が発生します。しかし、誤った情報で、仮想通貨は脱税しやすいと誤解している人も多くいます。

ここでは、仮想通貨と税金の関係について、簡単にご説明します。仮想通貨で得た利益はしっかりと確定申告を行い、安心して日々のトレードに励んでください。

仮想通貨で納税義務が発生する人とは

仮想通貨で得た利益は「雑所得」になります。「雑所得」とは、「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得の9つの所得区分のどれにも該当しない所得」のことを言います。

仮想通貨のままで保有している間は、利益は発生していません。仮想通貨を『別の通貨』に両替したり、仮想通貨で買い物をしたタイミングで利益が発生します。『別の通貨』というのは、日本円(JPY)や米ドル(USD)はもちろん、他の仮想通貨も含みます。

例えば、ビットコイン(BTC)でイーサリアム(ETH)を買った時も、利益発生のタイミングに該当します。

1月から12月までの合計利益が20万円を超えている場合は、「給与所得・退職所得以外の収入が年間20万円以上ある」という確定申告の必要条件に当てはまるので、翌年の2月16日から3月15日の間に、各地域の税務署で確定申告を行わなくてはなりません。

会社員の場合は年末調整が行われますが、給与所得とは別に20万円以上の利益があれば、個人で確定申告をしなくてはなりません。

仮想通貨は脱税しやすいのか

仮想通貨は匿名性が高いため、税務署の目から逃れられると思っている人がいますが、実際は全くの逆です。

『億り人』という言葉が広く知られるほど、仮想通貨で富を築いた人が多く存在します。税務署が、そこに目を付けないわけがありません。

ハッキングによって仮想通貨の個人情報を抜き取ることは難しいことですが、税務署が仮想通貨取引所に調査に入れば、全ての情報を渡さなければなりません。ブロックチェーンによる強固なセキュリティは、この時は動かぬ証拠として押さえられてしまいます。

少なくとも、日本の取引所で取り引きしている場合は、脱税は絶対にできないと思っておいて間違いありません。

仮想通貨の脱税がバレる仕組み・タイミング

脱税する人が考えそうなことは、税務署でも見当がついています。取引所への調査はもちろん、個人のブログやSNSといった情報もチェックされています。

また、「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」によって外国の金融機関等を利用した脱税を防ぐ仕組みが作られました。世界中の税務当局が情報交換できることで、外国の取引所を利用した脱税もできなくなりました。

海外に移住したら仮想通貨の脱税できるのか

海外に移住すれば、日本の税制から逃れられるということはありません。海外に移住する時点で1億円以上の資産があれば、譲渡したと見なして含み益に課税する「国外転出時課税」の対象となります。

また、移住前に得た利益は日本で納税する義務があります。FXで得た利益を申告しないまま海外に移住して、逮捕された人もいます。

国境を意識する必要がない「ボーダレス」は仮想通貨の特徴ですが、税制も「ボーダレス」の時代に突入しています。

脱税がバレるとどうなるのか

脱税がばれると、当然ペナルティがあります。500万円以下の罰金か5年以下の懲役になります。また、本来の税額に「無申告加算税」や「重加算税」が上乗せされる場合もあります。

ブロックチェーンは改ざんできない記録です。その年にばれなくても、発覚すれば遡って税を徴収されます。いつ脱税がばれるかとビクビクしながら過ごすよりも、スッキリ払ってしまいましょう。

自己破産しても帳消しにできない

悪徳高利貸しから借金していても、自己破産すれば帳消しになりますが、税金の場合は自己破産しても消えません。自己破産と納税の義務は、切り離して考えられます。

税金のことを考えずに利益を使い果たし、さらに自己破産する状態になったとしても、納税の義務は消えません。利益が出たときほど、しっかりと確定申告を行いましょう。

税務署調査でわかった1000億の追徴税額の例も

仮想通貨を含む投資で多額の利益を得ている人は国税局査察部、いわゆるマルサについて知っておく必要があります。マルサとは適正な税金を故意に申告していない納税者を徹底的に調査し、脱税であることを証明した上で検察庁へ告発する部門を指します。

2017年の東京国税局の査察調査では、査察部によって告発が行われ裁判に発展した場合の全ての事案に有罪判決が出されたと公表されています。この事実を知ったうえで、自ら脱税をしようと考える人はそう多くないでしょう。また意図的であろうがなかろうが、税金の申告漏れが発覚した場合は追徴課税がかかります。

しかし日本経済新聞の報道によると、国税庁は2018年6月までの1年間に実施した所得税の税務調査の結果を発表し、所得税の申告漏れ総額は前年度比1.7%増の9038億円、追徴税額は前年度比7.6%増の1196億円に上ったことが判明しました。

また2012年には全国各地で大手パチンコチェーン店を運営する約40のグループが東京国税局などの税務調査を受けて、1000億円の巨額の申告漏れを指摘されました。どうやら租税回避に該当する行為を行なったと判断されたようです。もちろん本事案も脱税行為ですので、重加算税を含む追徴課税が下されたことは言うまでもありません。

税務調査で明かされた脱税事例

2018年度に公表された国税庁の税務調査では、仮想通貨取引で利益を得たにも関わらず、適切に申告しなかった事例が初めて公表されました。

会社員男性が複数の仮想通貨取引所に自身や妻名義の口座を開設した事例では、妻名義などの口座から得られた利益を申告しなかったため、東京国税局は脱税とみなし、男性に約5,000万円の申告漏れを指摘、重加算税税を含め約2,400万の追徴課税を行いました。

通常は確定申告や税金の支払いが遅れた場合において延滞税が最大年率14.6%かかりますが、悪質な脱税であると判断された場合は最大40%の重加算税が課せられます。

このような追徴課税や実刑判決のリスクを考慮すると、毎年適正な税金申告を行うのが得策です。くれぐれも税金の申告漏れが起こらないように注意しましょう。

脱税ではない!! 合法的な仮想通貨の節税対策

脱税は違法ですが節税は合法です。ここでは合法的な仮想通貨の節税方法についてご紹介します。

共通する節税法を行う

どの所得にも共通して利用できる節税方法は、特定の所得を生み出すために必要な支出をできる限り経費にしてしまうことです。

例えば仮想通貨の場合だと仮想通貨取引に必要なパソコンや通信費用、仮想通貨の勉強代としての書籍費用、セミナー費、講座代、コンサルティング料金などです。使った支出が「仮想通貨の所得を発生または増加させるために必要であった」という理屈が成り立つなら経費にすることができます。

事業所得や不動産所得の赤字と相殺する

仮想通貨の所得は原則雑所得になります。赤字の繰越など節税範囲の拡がる事業所得にするには、専業トレーダーになるなど営利目的で継続的に仮想通貨取引を行わない限り、基本的に認められない可能性が高いです。

一般的に「事業所得は損益通算可能で雑所得は損益通算ができない」といった不利な条件に注意が向いてしまいますが、ここには見落としがちな誤解があります。確かに雑所得の場合は赤字が出た場合に他の所得の黒字と損益を相殺することができません。

しかし雑所得が黒字で他の所得が赤字の場合は、損益を相殺して所得金額を算出することができます。この条件をうまく利用すれば、大きな金額の節税をすることが可能となります。詳しくは次項目以降で紹介します。

海外の中古不動産を購入し加速度償却する

本項目と次項目では雑所得の黒字と他の所得の赤字を相殺する方法について解説します。まずは米国や英国等の中古不動産を購入する方法があります。

日本の不動産を購入した場合は長期間の減価償却費の計上になる一方で、築20年物のアメリカの中古不動産を購入した場合は既に耐用年数を過ぎていることから、法定耐用年数の20%の年数で減価償却が可能といわれます。

例えば日本国内で新築住宅の耐用年数が20年で3000万円の不動産を購入しても、1年当たりの減価償却費は150万円です。しかし米国の不動産の場合は同じ金額の不動産を購入すれば1年当たり600万円の減価償却が可能となるのです。

この節税方法は、日本と住宅環境や法規制の異なる米国や英国などの中古不動産のみ成立します。アジアの不動産に関しては中古市場自体が活発でないため、ご紹介した方法は使えないのでご注意ください。

マイニングマシンの即時償却「中小企業経営税制」を利用する

次にご紹介する節税方法は経済産業省が主導する中小企業経営税制を利用する方法です。

この税制の適用が受けられれば、マイニングマシンを購入した年度に経費として全額損金にすることができます。マイニングマシンを使ったマイニングによる利益は事業所得で計算可能です。また万が一に適用が受けられない場合でも、5年程度の減価償却で償却できるのでご安心ください。

ただしマイニングマシンの即時償却の節税法にはデメリットがあります。それは将来にわたってマイニングで利益を出し続けることができるかどうかが不明という点です。そのため仮想通貨で利益を得た場合の節税効果のみを考えるのではなく、今後の仮想通貨環境も見据えて、ご紹介した節税法を利用すべきかどうかを検討する必要があります。

法人化する

法人化は一定の利益が継続的に発生する場合に有効な節税方法として知られています。個人事業主の場合であれば、所得が増えれば増えるほど税率が高くなる累進課税になるため、所得税と住民税を合わせると最大55%の税率を負担しなければなりません。

一方で法人の場合は最大でも35%程度の税率に安く抑えられます。さらに個人の受け取る役員報酬の額を下げれば、社会保険料を大きく削減することも可能です。また法人は使える経費の範囲が拡がるので、さまざまな節税法を行うことができるようになります。

ただし法人化するデメリットもあります。設立時に数十万円の登記費用がかかることや赤字でも法人住民税が最低7万円程度発生してしまいます。税務申告は個人とは比較できないほど複雑になるため、経理や申告の手間が増えたり、場合によっては税理士のサポートも必要になってくるでしょう。

エンジェル税制を利用する

最後にご紹介する節税法は中小企業庁が主導するエンジェル税制を利用する方法です。創業したばかりのベンチャー企業に投資を行えば、最大1000万円の投資額が当年度の所得から控除されます。

ただしベンチャー企業であればなんでもよい訳ではなく、各地方にある経済産業局から認定を受けたベンチャー企業に投資した場合のみエンジェル税制が適用されます。またベンチャー企業への投資になりますので、事業がうまくいかず企業が倒産してしまうリスクもあることは念頭に入れておきましょう。

仮想通貨と税金まとめ

仮想通貨で得た利益は確定申告を行い、納税の義務を果たさなければならないことを理解いただけたでしょうか。ちょっとしたタイミングや運で、誰でも20万円の利益を上げるチャンスがあります。利益以上の税金を取られることはありません。安心して仮想通貨を楽しむためにも、毎年の確定申告は忘れず行いましょう。

なお、仮想通貨は新しい市場で、法整備が現在進行形で進んでいる段階です。今後、税金に関することも変化する可能性が大いにあります。情報を小まめにチェックし、少しでも疑問がある場合は、必ず税務署や税理士に相談するようにしてください。

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