- 非中央集権的な仕組みを実現できるDapps
- Dappsを利用すれば高いセキュリティとコスト削減が可能
- ゲームと好相性のDapps
仮想通貨の広がりは、それに伴う様々な技術の広がりや発展も伴っています。この記事で挙げるDappsもその一つです。厳密に言うと、ビットコインなどの仮想通貨もDapps技術の上に成立するものです。また、Dappsはユーザーにより近い存在として、利用者が意識することなく様々なサービスの提供を行っています。
Dappsとは
「Dapps」は「Decentralized Applications」の略で、「ダップス」または「ディーアップス」と読まれます。非中央集権の分散型アプリケーションのことを指します。
Dappsの特徴
オープンソース
Dappsのアプリケーションは、オープンソース(プログラムが開示されている)でなければなりません。アプリケーションの改善を行う場合は、ユーザーの合意のもとで行われます。
コントロール主体は不在
中央集権的なコントロール主体・管理者はいません。すべての情報がブロックチェーン上に記録されることで、誰もがDappsの情報を閲覧することができます。そのため、一部の管理者が不正を行うということができません。
独自のトークンを持つ
Dapps内で利用可能のトークンを持っています。Dapps内のサービス利用の代金として利用されるほか、ユーザー同士でやり取りすることもできます。また、トークンの生成は、定められたアルゴリズムによって産み出されます。
Dappsの種類
Dappsは、大きく3つに分類することができます。
独自のブロックチェーンを持つアプリ(タイプ1)
ビットコインやライトコインなどが該当します。
タイプ1のブロックチェーンを利用して作られているアプリ(タイプ2)
ビットコインのブロックチェーン上に作られ、独自のブロックチェーンを持たないオムニなどが挙げられます。
タイプ2のプロトコルを利用して作られるアプリ(タイプ3)
オムニのプロトコルを利用し、分散型データストレージサービスを提供しているメイドセーフ(MadeSafe)などがあります。
Dappsのメリット・デメリット
メリット
最も大きなメリットは、非中央集権であることです。一部の管理者による不正や搾取ができません。また、管理者が犯罪者から狙われ、盗難に遭うリスクもありません。
2018年1月に、仮想通貨取引所コインチェックの巨額流出事件が起こりました。コインチェックだけでなく、日本国内の取引所はすべて、管理主体が存在する取引所です。もし、取引所がDappsを利用した非中央集権の取引所だった場合、個人の資産はすべて個人が保有しているため、1か所が狙われて盗難に遭うということは起こりません。
また、仮想通貨を売買する際は取引手数料が発生します。これは、運営主体が存在するために発生する経費です。運営主体が存在しなければ、高額の取引手数料が発生することもありません。
デメリット
Dappsが比較的新しい技術であるため、これまで大きな問題となった事例はありません。しかし、今後の普及・発展に伴い、スケーラビリティ問題による処理速度の遅延やセキュリティに関する技術的課題、Dapps内での手数料などのルール作りの課題が想定されます。
Dappsの活用事例
ゲーム
Dappsは、ゲームと相性が良いとされています。そのため、「Dapps=ゲーム」と思い込んでいる人もいます。
ゲームのほとんどは、イーサリアムベースのDappsとして開発されています。そのため、利用には少額のイーサリアムが必要になります。ゲームにもよりますが、ゲーム内のトークンを利用して、キャラクターやアイテムの売買を行うこともできます。
DEX
DEXとは分散型取引所のことで、「Decentralized Exchanges」の略称です。国内大手のbitFlyerやビットバンク、海外のバイナンスなどは全て、企業等の運営主体が存在する中央集権型の取引所です。
一方DEXは、そういった運営主体が存在しません。一定のルールが存在し、誰でも自由に利用することができる取引所です。個人が所有するウォレット間で取り引きが行われるため、1か所に多くの資産が集中することはありません。そのため、運営主体を狙った犯罪などに巻き込まれることはありません。また、企業等の倒産によって資産が引き出せなくなるというリスクもありません。
日本ではあまり馴染みがないDEXですが、すでに多くのDEXが存在しているので、いくつかご紹介します。
Cryptobridge:https://crypto-bridge.org/
EtherDelta:https://etherdelta.com/
Openledger:https://openledger.io/
この3つは、いずれも名の知れたDEXですが、基本的に日本語には対応しておらず、中央集権型の取引所と比べて情報量も少ないので、利用する際は十分に下調べをしてからご利用ください。
データストレージ
データストレージサービスは、Dropboxやグーグルドライブなどで提供されています。しかし、これらのサービスは運営主体の都合に大きく影響されます。保守やトラブルで、一定期間利用できなくなることもあります。
しかし、Dapps上で提供されるサービスは、そういったリスクがありません。また、1つのデータを分散化して複数の場所に保管するので、ハッキングなどによって情報を盗まれるリスクも小さくなります。
ストレージやシアコインなど、すでに多くのサービスが提供されています。
ID認証
サービスごとに異なるIDやパスワードを設定し、金融機関等だと本人確認資料として運転免許証やパスポートの画像を求められます。これらを安全に一元管理できるサービスが、Dappsの技術を使えば可能です。
既に、セルフキーやシビックなどのサービスが提供されています。
予測市場
宝くじや競馬など、日本でも公認のギャンブルは数多くありますが、賭け金の中から一定の割合で、胴元(運営側)が経費として徴収しています。競馬の場合は25~30%、宝くじの場合は5割近くが徴収されます。
しかし、運営主体がいなければ、それらは全て予想が当たった人への払戻金として還元されます。もちろん、運営主体による不正が行われる心配もありません。
カルダノは、当初はギャンブル用通貨として開発されましたが、汎用性の高さから、他の分野への応用も期待されている通貨です。他にもオーガーやグノシスなど、ギャンブルに特化した通貨が開発され、人気となっています。
Dappsのゲーム
Dappsとゲームの相性はとても良いとされています。イーサリアム上でDappsを利用したゲームが多く開発されています。その中から、いくつかユーザーが多いものをご紹介します。
Etheremon(イーサエモン)
仮想世界で、イーサエモンを捕獲・育成するゲームです。イーサエモンの販売やレンタルで、イーサリアムを獲得することもできます。
BitPet(ビットペット)
デジタルペットを購入・育成、さらに繁殖させるゲームです。BitPet内で利用するPOPという独自トークンは、イーサリアムと交換することもできます。
CryptoKitties(クリプトキティーズ)
デジタル・キャットを購入・育成し、繁殖やトレード、コレクションを楽しむゲームです。売買は、イーサリアムを使って行われます。
Dappsを始めるには
ここでは、イーサリアム上で開発されたDappsのゲーム利用を前提としてご説明します。
Ethereumアカウント(ウォレット)とDappsブラウザの準備
まず、支払いや受領に利用するイーサリアムのウォレットを準備する必要があります。MetaMaskや、Trustといったウォレットを利用することになります。
パソコンの場合は、ChromeやFirefoxにプラグインとしてMetaMaskをインストールします。スマホやタブレットの場合は、Trustのアプリをインストールします。MetaMaskやTrustは、Dappsを利用するためのDappsブラウザが内蔵されています。そのため、MetaMaskやTrustをインストールすることで、アカウントとブラウザを用意することができます。
取引所を開設→ETH購入
MetaMaskやTrustで、日本円でイーサリアムを購入することはできません。そのため、日本円でイーサリアムの購入ができる国内の取引所の口座を開設し、必要となるイーサリアムを購入しましょう。残念ながら、日本円が利用できるDEX取引所はありません。
ウォレットへの入金
取引所でイーサリアムの購入をしたら、それをMetaMaskやTrustの自分のウォレットに送金します。このとき、送金先のアドレスを間違えないように、十分注意しましょう。異なるアドレスに送ってしまった場合、永遠に失われるかもしれません。
もし、大きな金額の送金を行うなら、少額をテスト送金し、着金が確認できてから履歴等を利用して同じアドレスに送るようにすると、誤送金のリスクが低くなります。
DAppsを使う
Dappsのサイトなどを参照しながら、利用してください。日本語対応していないサイト(ゲーム)も多くあるので、そういった場合は十分に注意しながら利用してください。
Dappsの現状と将来性
認知度が低い
Dapps自体が比較的新しい技術です。その上、あまり表に出ることがない技術です。知らず識らずのうちに利用している技術なので、利用していても知らない、ということもあります。
始めるまでに工数がかかる
上記でDappsの始め方を簡単にご説明しましたが、いくつかの手順を踏まなければなりません。利便性という面では、まだ大きく改善する必要があります。
完全なスマホ対応がされていない
Trustなどのアプリが開発され、徐々にスマホやタブレットで利用する環境も整いつつありますが、Dappsの利用はパソコンでの利用を想定したものがほとんどです。スマホやタブレットの普及は急速に進んでおり、今後はスマホへのより一層の対応が求められています。
Dappsまとめ
仮想通貨と切っても切り離せないのがDappsの技術です。表に出ることが少ない、裏方のような存在ですが、その役割はとても大きなものとなっています。今後、Dappsの発展はより利便性の高いサービスの提供につながっていきます。
Dappsは、今後は世界のインフラを一変させる可能性も秘めた技術です。より便利な暮らしを実現するためにも、Dappsのより一層の発展に大いに期待していきましょう。