DeFiレンディングとは
DeFiレンディングとは、金融機関などの特定の管理者がいない、つまり仲介者なしで仮想通貨におけるローン提供を指します。DeFiレンディングは、お金の貸し借りなどの契約がスピーディかつ低コストでできるスマートコントラクトの技術の発展により誕生しました。
貸し手は仮想通貨を貸し出す目的でDeFiレンディングプラットフォームに登録することができ、借り手はP2Pレンディングとして知られるプラットフォームを通じて、直接ローンを受けることができます。DeFiレンディングでは、第三者に貸し出した際の利息がそのまま収益となるメカニズムになっています。
DeFiレンディングはさまざまな仮想通貨を用いて取引を行うことができますが、スマートコントラクト技術を活用しているイーサリアム (ETH) が主流となっています。
DeFiレンディングでは年利が100%以上になるものもある[1] DeFi Rate, Crypto Lending Interest Rates for June 2021, 2021年6月26日参照など、銀行などで定期預金を組むよりもずっと高い利回りで運用が可能といえるでしょう。
DeFiレンディングを理解する
メリット
DeFiレンディングの主なメリットは以下の2つです。
- 銀行に資産を預けたときよりも高い金利で運用できる
- ガバナンストークンを手に入れられる
DeFiレンディングを活用したときの金利は状況や貸し出す仮想通貨の種類によっても異なりますが、先述したとおり高いものでは年利が100%以上[2] DeFi Rate, Crypto Lending Interest Rates for June 2021, 2021年6月26日参照になるときもあり、銀行で法定通貨を預けるよりも利回りがはるかに高い傾向にあります。
またもう一つのメリットとして、DeFiレンディングで仮想通貨を第三者に貸し出すと、利用したプラットフォームのガバナンストークンを入手できる場合があります。ガバナンストークンとは、そのサービスまたは仮想通貨のプロジェクトの方針や方向性において提案や投票をする権利が付与されたコインを指します。
例えば、2018年にサービスが開始されたレンディングサービス「Compound」を活用するとガバナンストークンCOMPを獲得できます。コンパウンド (COMP) は、Compoundで使える投票権であり、仮想通貨としてのコンパウンド (COMP) 自体の価値も上がりつつあります。
デメリット
DeFiレンディングにはデメリットもあります。主なデメリットは以下の3つが挙げられます。
- 仮想通貨を貸し出しているときに資金がロックされる
- 貸し出し中の仮想通貨やガバナンストークンの価格変動リスクがある
- DeFiレンディングは法整備が不十分
DeFiレンディングを活用して仮想通貨の貸し出しを行うと、その期間、資金は凍結されてしまいます。自分が所有する資産の流動性が低下してしまう点はデメリットといえるでしょう。
また2つ目のデメリットとして、貸し出し中に大きな価格変動が起きた場合、すぐに対応することが難しい点が挙げられます。資金がロックされているため、たとえ所有する仮想通貨が暴落しても売却することができません。そのため損失が大きくなる可能性があります。また入手したガバナンストークン自体の価格変動によっても、収益に影響が出ることがあるでしょう。
3つ目は法整備です。レンディングを含むDeFiサービスは日本の金融庁で許可が降りているわけではありません。現状、日本の金融庁は規制における調査も実施[3] 金融庁, ブロックチェーンを用いた金融取引の
プライバシー保護と追跡可能性に関する調査研究 5.2 課題への対応策, 2019年3月20日発行しており、今後DeFiレンディングに対してどういう動きがなされるかは注目すべき点です。
DeFiレンディングの仕組み
DeFiレンディングは、特定の金融機関などを通さずにユーザー同士で仮想通貨の貸し借りができるプラットフォームです。管理者がいない、つまり事業者などが仲介に入らずユーザー間で貸し借りができるため、DeFi (分散型取金融) のサービスの一つに分類されます。
管理者がいる中央集権型取引所のレンディングとは異なり、DeFiレンディングでの貸し借りはスマートコントラクトを用いて行われます。そのためスピーディな手続きと安価な手数料での取引が可能です。
借り手側は利息を支払う必要があり、貸し手は受け取った金利を収益にできます。なお借り手が返済しないのを防ぐために、MakerDAOといったレンディングプラットフォームでは借りる金額の150%を担保にする仕組みが起用されています[4] DeFi Rate, Collateralized loan in DeFi, 2021年6月26日参照。
主要なDeFiレンディングプラットフォームは、以下の3つが挙げられます。
この中でもCompoundはDeFi人気の火付け役としても注目を集めており、イーサリアム上で稼働するプロトコルです。
なお先述したとおり、これらサービスは日本の金融庁から許可を得ているものではないため、自己資金に対するリスク管理はしっかりと行いましょう。
DeFiレンディングの始め方
DeFiレンディングの始め方の大まかな流れは、以下の通りです。
ほとんどのDeFiレンディングプラットフォームは、イーサリアム上で稼働するスマートコントラクトを活用しているため、ウォレットとレンディングを連携させる際に仮想通貨のイーサリアム (ETH) が必要になる場合があります。
まだイーサリアム (ETH) を持っていない方は、まずは国内取引所でイーサリアム (ETH) の購入をする必要があります。
イーサリアム (ETH) が購入できる国内仮想通貨取引所には、以下があります。
イーサリアム (ETH) の購入を済ませたら、イーサリアムウォレットへ送金を行います。
イーサリアムウォレットで代表的なのは、MetaMaskと呼ばれるWebウォレットです。イーサリアム系統の仮想通貨だけではなく、ブロックチェーンゲームや分散型アプリケーションDAppsにも連携できるので、このウォレットひとつ持っていると安心でしょう。
MetaMask公式ホームページにアクセスしてウォレットをダウンロードしましょう。ブラウザの場合は「Chrome」を、携帯の場合は「iOS」か「Android」のどちらかを選択できます。
Google Chromeに拡張機能の追加ができたら、次にセットアップを行います。初めて使用する場合は「ウォレットの作成」を選択し、パスワードなどを作成していきましょう。
設定が完了したら、次はご利用の取引所からMetaMaskへイーサリアム (ETH) を送金します。MetaMaskのアカウントに表示されるアドレスをコピーして、取引所に送金先としてアドレスを貼り付けます。また実際に貸し出しを行いたい通貨がイーサリアム (ETH) 以外にもある場合は、その通貨の送金も行っておきましょう。
MetaMaskに送金が完了したら、DeFiレンディングサービスを連携させます。
ご自身が使いたいDeFiレンディングプラットフォームの公式サイトを開きます。Compoundの場合、トップページの右上に「Connect Wallet」のボタンがあるのでクリックすると、いくつかのウォレットが表示されるので「MetaMask」を選択し連携を完了させましょう。
連携が完了したら資金の貸し出しを行います。引き続きCompoundを例にご説明します。
画面上には「Supply」と「Borrow Markets」の通貨一覧が表示されています。今回は貸し出しを行うため「Supply」に表示されている貸し出したい通貨を選択します。ウォレットに入っている仮想通貨の残額が表示されるので、貸し出したい数量を記入し「SUPPLY」をクリックします。
貸し出しを開始した通貨は、左上の「Asset」というところに表示されます。貸し出しをやめたい場合は、通貨を選択し「WITHDRAW」をクリックすると引き出しが可能です。
なお貸し出しによる収益は、算出されたAPYに基づいて付与されます。また利用しているサービスのガバナンストークンでも受け取れます。ガバナンストークン自体の価値も日々変動しているので、値上がりを期待して保有しておくのも良いでしょう。
主要な分散型取引所と提供しているガバナンストークンは以下の通りとなっています。
- Compound:コンパウンド (COMP)
- Uniswap:ユニスワップ (UNI)
- AAVE:アーべ (AAVE)
ほしいガバナンストークンがある場合は、それらを基準に使用するサービスを選ぶのも良いでしょう。
DeFiレンディングのまとめ
DeFiレンディングとは、金融機関などの管理者がいない、ユーザー同士で仮想通貨の貸し借りができるサービスです。
DeFiレンディングサービスを提供するプラットフォームによっても金利に差はありますが、一般的に金融機関で法定通貨を預けるよりも高い収益が期待できると言えます。
DeFiレンディングでは、低コストで金銭契約が結べるスマートコントラクトがイーサリアムブロックチェーン上で稼働しているため、送金やサービスを利用する際にイーサリアム (ETH) が必要な場合があります。
これからDeFiレンディングを始める場合は、まずはイーサリアム (ETH) を購入しましょう。ほとんどの国内取引所でイーサリアム (ETH) を購入することができますので、以下記事を参考にして取引所を選んでみてください。
DeFiレンディングのメリットでもあるガバナンストークンは、貸し出しを行うだけでもらえるため大変お得です。これらDeFiレンディングサービスのガバナンストークンは価格変動しており、ガバナンストークン自体の価値が上昇していく可能性もあるでしょう。
取引所に眠っている仮想通貨がある方は、DeFiレンディングで収益を増やすこともひとつ手段として考えてみてはいかがでしょうか。