イーサリアム (ETH) 今後の展望や将来性は?2021年以降の価格動向・見通しを予測

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橋爪 塁成 (Ruisei Hashizume)

イーサリアム (ETH) とは

イーサリアムとは、ヴィタリック・ブテリン氏によって考案されたプラットフォームです。イーサリアムはDApps構築のためのプラットフォームとして開発され、そのための機能としてスマートコントラクトと呼ばれる機能が実装されています。スマートコントラクトとは、プログラムによって自動的に契約を実行する仕組みのことで、イーサリアムはこのスマートコントラクトをブロックチェーン上で実装することが可能です。

ちなみにイーサリアムはプラットフォームとしての名称で、内部通貨は「イーサ (ETH) 」と呼ばれています。しかし、日本ではプラットフォームも通貨も合わせてイーサリアムと呼ぶ場合が多いです。

イーサリアム (ETH) 過去の価格推移

2014年にプレセールが行われ、2015年に正式リリースされたイーサリアムでしたが当時の価格はわずか数十円ほどでした。その後は徐々に価格が上昇していき、2016年3月に実施された「ホームステッド」アップデートの際に価格が急上昇。それまで1ETHの価格は約500円でしたが、この急上昇で約1,600円となりました。

さらに同じ年の4月から6月にかけて、分散型投資組織「The DAO」がイーサリアム上でICOを行ったことで再度価格が上がります。ところがThe DAOのコードに脆弱性があったことから、ハッカーに大量のイーサが盗み出されたしまう「The DAO事件」が発生しました。この事件の影響により、約2.000円まで上がっていたイーサの価格は約1,000円まで落ち込むこととなります。

2017年には再度大規模な盗難事件が起きるなどして価格が急落する場面があったものの、イーサリアムをビジネスで活用することを目的とした企業団体である「EEA」の発足や「ビザンチウム」アップデートによる影響で、最終的にイーサの価格は約16万円まで上昇しました。

その後の2018年は年始以降価格が下降し続け、年末には1万円台を記録。これはビットコインを含む仮想通貨全体の価格が下がったことや、中国政府によるICO規制が原因です。2019年には複数回あったアップデートの際に価格が上昇したものの、2020年前半には新型コロナウイルスの影響で価格は再び1万円台まで戻ってしまいます。

しかし、2020年後半からは分散型金融「DeFi」のブームや移行が開始した「イーサリアム2.0」への期待感から価格が上がり続け、2021年5月には過去最高価格となる40万円代後半を記録しました。その後は、中国政府が同国の事業者に対して仮想通貨に関する業務を禁止する方針を示したことなどから仮想通貨全体の相場が急落。ある程度は持ち直したものの、2021年5月末時点でのイーサの価格は約27万円です。

イーサリアム(ETH) の今後と将来性

イーサリアム2.0へのアップデート

イーサリアムはリリースされた当初から4つの段階的なアップデートを計画していました。既に3段階目までのアップデートは完了しており、最終段階のアップデートである「イーサリアム2.0」が2020年末から開始しています。イーサリアム2.0のアップデート内容は主に以下の2点です。

  • コンセンサスアルゴリズムの変更
  • シャーディングの実装

現在のコンセンサスアルゴリズムであるPoWで行われるマイニングは、大量に電力を消費するため、環境に悪影響という問題を抱えています。一方変更後のPoSでは、マイニングではなくイーサ (ETH) をブロックチェーン上に預け入れる「ステーキング」でブロックの生成に参加するため、大幅に消費電力を下げられる予定です。

2020年の11月にステーキングは開始され、32ETH以上のイーサ (ETH) をデポジットコントラクトにロックすることで参加できます。ステーキングに参加するバリデータは開始時から順調に増えており、2021年6月の時点でネットワーク上にステークされたイーサは500万ETHを突破しました。これは日本円に直すとおよそ1兆3,600億円です。

ステーキングの現況は「beaconcha.in」から確認できます。

また、現在のイーサリアムは利用者が増加したことにより、送金の遅延などが起こるスケーラビリティ問題を抱えています。これに関してはブロックチェーンのブロックを分割して処理を高速化する「シャーディング」の実装によって解決される予定です。

このようにイーサリアム2.0は、現行のイーサリアムが持つ課題を解決するためのアップデートです。ただし、このアップデートには少なくとも1年以上の時間がかかる見通しで、それまでは現行のイーサリアムも稼働し続けます。

ライデンネットワークの実装

先ほど説明したようにイーサリアムはスケーラビリティ問題を抱えていますが、その解決策はイーサリアム2.0だけではありません。その1つが「ライデンネットワーク」です。

ライデンネットワークとは、トランザクションの処理をブロックチェーンの外(オフチェーン)で処理することで、ネットワーク全体の処理速度を向上させるための技術です。こうしたオフチェーンプロトコルのことを「レイヤー2技術」と呼びますが、ライデンネットワークを含むレイヤー2技術が充実すれば、トランザクションの処理が高速化され、手数料の低下も期待できるでしょう。

DeFiの市場拡大

DeFiとは分散型金融とも呼ばれ、中央管理者の存在なしに金融サービスのやり取りを誰でも簡単に行える仕組みのことです。DeFiはイーサリアムのスマートコントラクト機能を利用して実装されます。そのため、DeFi市場の価格によってイーサリアムのプラットフォームとしての価値も大きく上昇しました。

実際に2020年後半のイーサリアムの価格上昇は、DeFi市場の盛況が原因です。イーサリアムのブロックチェーンを利用したDEX (分散型取引所)としては、「Uniswap」や「SushiSwap」が挙げられます。これらのDEXが独自に発行したトークンが取引所に上場されていることから、今後もDeFiは仮想通貨市場に大きな影響を与えるのは間違いないでしょう。

EEA (Enterprise Ethereum Alliance) の存在

2017年に発足したEEA(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス)は、イーサリアムのブロックチェーンをビジネスに活用することを目的とした企業の団体です。EEAにはマイクロソフトやIBM、JPモルガン、トヨタなど数々の大企業が参加しています。

このことから、世界中の企業がイーサリアムの将来性に着目していると言えるでしょう。また、今後ビジネスの分野においてイーサリアムの活用が広がれば、イーサリアムの価格もさらに上昇することと考えられます。

イーサリアムETF申請の承認

2021年4月17日にカナダでイーサリアム上場投資信託 (ETF) 申請が承認され、トロント証券取引所に上場を果たしました。また、2021年5月にはアメリカでイーサリアムETFの申請が行われ、証券取引委員会 (SEC) が受諾しています。アメリカではこれまでビットコインETF申請が複数回にわたってすべて却下されてきたため、今回の申請が承認されるかは難しいところです。

しかし、将来的にでもアメリカでイーサリアムETFが承認されれば、これまで仮想通貨に興味を示してこなかった投資家たちがイーサリアムの購入を行うことが予想されるため、価格は大きく上昇すると考えられます。

イーサリアム (ETH) 今後の不安要素は?

イーサリアムの今後の不安要素としては、各国の政府による仮想通貨規制の強化が挙げられます。

2021年の5月下旬にイーサリアムやビットコインをはじめとする仮想通貨全体の価格が急落しました。この原因は、中国の金融監視期間が同国内の金融機関に対し、仮想通貨の関連業務に携わることを禁止する方針を発表したことにあります。この発表以前、イーサリアムの価格は約38万円でしたが、この発表を受けて約26万円まで急落。最終的に23万円まで下落が進みました。その後は価格をやや持ち直し、2021年6月現在は20万円代後半で推移しています。

過去にも、中国でのICO規制やG20サミットで検討された仮想通貨規制の強化などを受けて価格が下落したことがあり、こうした各国政府の動向には注意が必要と言えそうです。

今後のイーサリアム (ETH) 価格予想

2020年後半から2021年にかけて、イーサリアムの価格は大幅に上昇しました。その原因の1つとして、先ほども説明したイーサリアム2.0への期待感とイーサリアムブロックチェーンを利用したDeFi市場の拡大があります。特にDeFiは誰でも簡単に利用できることから、新たな形の金融として今後も多数のユーザーを集めるでしょう。DeFiの中にはイーサリアムのスマートコントラクト機能を利用して実装されたものが数多く存在します。

また、ブロックチェーンを利用した「NFT」市場の拡大もイーサリアムにとって追い風となりそうです。NFTとはデジタルデータを非代替性トークンとして取引する仕組みのことで、これまでに数多くのデジタルアート作品などが出品され、中には1億円を超える高額の値が付けられたものもあります。現在、NFT取引の多くがイーサリアムブロックチェーン上で行われており、NFTマーケットプレイスの最大手である「OpenSea」もその1つです。

今後DeFiやNFTといったイーサリアムの機能を活かしたサービスが拡大したり増えたりするごとに、イーサリアムの価格は上昇していくと考えられます。

イーサリアム2.0移行への今後のロードマップ

2021年:ビーコンチェーンの稼働とマージ

ビーコンチェーンとは、イーサリアム2.0でメインチェーンとなるブロックチェーンのことで、イーサリアムにPoSを導入します。具体的には、PoSのバリデータノードを管理する役割です。イーサリアム2.0移行への第1段階として、2020年12月1日にビーコンチェーンの稼働が開始されました。またその1ヶ月前の11月にはステーキングも開始されています。

ただし、イーサリアム2.0へ本格的に移行するにはまだいくつかの問題があり、2022年までは、送金やスマートコントラクトに伴うトランザクションの処理を行うことはできません。そのため、ビーコンチェーンが本格的に利用できるようになるまでは、今まで通り現行のPoWチェーンがトランザクションの処理を行います。つまり、PoWチェーンとPoSチェーンが共存する形になるのです。そして移行への準備が完了すると、PoWチェーンとPoSチェーンがマージ(統合)されます。チェーンのマージが行われた段階で完全にコンセンサスアルゴリズムが変更され、マイニングが終了します。

2022年:シャードチェーンの全稼働

先ほど説明したように、イーサリアム2.0で実装されるシャーディングはイーサリアムブロックチェーンを分割、拡張することで、トランザクションを並列して処理できるようにする技術です。そのシャーディングのために追加されるのがシャードチェーンで、シャードと呼ばれる分割されたデータの連なりで構成されています。なお上述したビーコンチェーンはそれぞれのシャードチェーンを検証するバリデータノードをランダムに割り当てます。

シャードチェーンの稼働によってトランザクションを処理する速度は向上しますが、現在トランザクションをオフチェーンで処理するレイヤー2技術の開発も同時に進んでいるため、ビーコンチェーンの本格稼働が優先されている状況です。シャードチェーンが全稼働するのは、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムがPoSに完全移行した後となります。

イーサリアム (ETH) 今後の見通しや将来性まとめ

現在、イーサリアムはその独自の機能から、DAppsやDeFiを実装するためのプラットフォームとして利用が拡大しています。

また、現行のイーサリアムが持ついくつかの課題を解決するためのアップデートである「イーサリアム2.0」や「レイヤー2技術」の開発も進んでおり、今後さらに使いやすいプラットフォームへ成長していくことが期待できます。

各国の仮想通貨に対する規制強化などの不安要素もあるものの、イーサリアム自体には高い将来性があり、今後の価格も上昇していくと考えていいでしょう。イーサリアムの今後の動向に注目です。