- イーサリアムとは何か
- イーサリアムの特徴について
- イーサリアムの発行上限枚数
暗号資産(仮想通貨)には多くの種類があり最もメジャーな通貨はビットコインで、ビットコイン以外の通貨をまとめてアルトコインと呼びます。アルトコインは全世界で1,500種類以上ものあると言われています。
イーサリアムは数あるアルトコインのなかでも人気が高く、時価総額は第1位のビットコインについで第2位です。本記事ではそんなイーサリアムの発行上限枚数について紹介します。
イーサリアム (Ethereum/ETH) とは?
イーサリアムは2020年11月12日現在、時価総額5兆円超と暗号資産(仮想通貨)のなかで第2位を誇ります。ここではまだイーサリアムについてよくわからない人のために、イーサリアムについてくわしく解説します。
イーサリアム (Ethereum/ETH) はスマートコントラクトを提供するプラットフォーム
イーサリアムは暗号資産(仮想通貨)の名称として親しまれていますが、正しくは「スマートコントラクトを提供する分散管理型プラットフォーム」です。
ブロックチェーン上に「スマートコントラクト」と呼ばれる機能を組み込むことで、分散管理を実現しています。
従来のブロックチェーンでは、トランザクションなどの情報を保管しているブロックがチェーン状につながっていました。
しかしイーサリアムはブロックに情報だけでなく「アプリケーションの保管」を実現しています。
ブロックチェーンとスマートコントラクトの2つの技術を組み合わせ、送金などの当事者間のプライベートなトランザクションがプログラムとしてブロックチェーン上に保管されます。そして契約の執行条件をクリアすると自動的に契約が執行されるしくみです。
イーサリアム (Ethereum/ETH) は暗号資産(仮想通貨)とは違う
- イーサリアム=プラットフォーム
- イーサ=暗号資産(仮想通貨)の名称
イーサリアムはすでに解説したように、「分散管理型のプラットフォーム」のことを指しており、厳密には暗号資産(仮想通貨)のことではありません。
プラットフォームとは、ブロックチェーンの技術を使ってデータの改ざんを防ぎながら情報を保管する環境のことです。
イーサリアムはそのプラットフォームにスマートコントラクトの技術を組み込んで作られています。イーサリアムで利用される暗号資産(仮想通貨)の正しい名称は、「イーサ」です。
しかし日本ではプラットフォームを意味するイーサリアムと通貨を意味するイーサのいずれもイーサリアムと表現されており、ほとんどの国内取引所でもイーサではなくイーサリアムという名称を使用しています。
イーサリアムの本来の意味を知っておけば、さまざまな場面で役立つはずです。
スマートコントラクトとは?
スマートコントラクトをかんたんに説明すると、ブロックチェーン上にプログラムを書き込み、特定の条件をクリアすると自動的に要件が実行される機能のことです。
主に暗号資産(仮想通貨)で使用されるブロックチェーンのうち、トランザクションが書き込まれたブロックはチェーン状につながっています。トランザクションとは以前の保有者から受取った取引のハッシュ (暗号化されたデータ) 値と、送金先アドレスなどを含め、「所有者の秘密鍵で電子署名したもの」でインプット (入金) とアウトプット (出金) によって構成されています。
イーサリアムは、トランザクションが保管されたブロックチェーン上にプログラムを書き込み、特定の条件を満たしたときにのみ自動で処理することが可能です。このしくみのことをスマートコントラクトと呼び、イーサリアムの特徴の1つとなっています。
ある店舗で「3回目の買い物客には5%オフを適用」とルールを設定したとしましょう。実店舗ならば来店ポイントカードなどによって買い物回数をチェックしなくはならないため、店舗スタッフの仕事が増えて業務効率が下がる可能性もあります。
しかしスマートコントラクトを利用したネットショップならば、注文を取りまとめるごとに顧客の購入履歴をチェックできるため手間がかかりません。
このようにスマートコントラクトは暗号資産(仮想通貨)だけでなく、実際の商品の売買や不動産取引などにも応用可能でき業務効率の上昇が可能です。そのためいろいろな分野での利用が期待されています。
イーサリアム (Ethereum/ETH) の特徴
イーサリアムの主な特徴は以下の6点です。
- 非中央集権のプラットフォームを提供
- 発行上限のない暗号資産(仮想通貨)「Ether (イーサ) 」
- 開発者チーム 「ETH DEV」による開発
- 独自のプログラミング言語「Solidity (ソリディティ) 」
- ヴィタリック・ブテリン氏による考案
- ICOにも応用可能
ここではイーサリアムの6つの特徴についてそれぞれ解説します。
非中央集権のプラットフォームを提供
イーサリアムでは非中央集権型の「dApps」と呼ばれる分散管理型プラットフォームを提供しています。dAppsはDecentralized Applicationsの略称です。専門技術を持ったプログラマーでないと開発が難しいと言われていたdAppsが、イーサリアムが登場したことでより手軽さを増し、多くの人が開発できるようになりました。
銀行や企業、政府などの中央管理者によって稼働する中央集権型ではユーザーに意思決定はありません。しかし非中央集権型では、アプリケーションを利用するユーザーが分散管理することで、仕様変更などの意思決定に参加可能です。
dAppsではP2Pでつながり、そのネットワーク上で分散してブロックチェーンの情報を共有・保管しています。イーサリアム以外の多くの暗号資産(仮想通貨)が非中央集権のプラットフォームを提供していますが、イーサリアムの最大の特徴はスマートコントラクトを組み込むことで自動的に要件を執行できるため管理者が必要ない点です。
たとえば銀行口座から毎月末に5万円の自動引落しがあるとします。中央集権型の1つである銀行では管理者によってこの引落し業務は執行されますが、イーサリアムならば管理者がいなくても、取引の承認ができればプログラムによって自動的に引落しが執行されます。
発行上限のない暗号資産(仮想通貨)「Ether (イーサ) 」
暗号資産(仮想通貨)の種類は世界で約1,500種類と豊富です。メジャーなビットコインでは2,100万BTC,ビットコインキャッシュも同じく2,100万BCHです。
上限枚数の多い通貨としては、ライトコインの8.400万LTCやリップルの1,000億XRPなどが挙げられます。このように暗号資産(仮想通貨)では発行上限枚数があらかじめ設定されている通貨が多いです。
すでに発行上限枚数を発行済みの通貨もあれば段階的に発行している通貨など通貨によっても発行枚数は異なりますが、発行上限枚数を設け通貨の希少性を高めて、価値が下落しないようにするのが目的です。
一方で、少数派ですが発行上限枚数を設定していない通貨もあります。イーサもその1つです。イーサの発行枚数は2020年11月12日現在では1億枚を超えています。
イーサリアムは発行上限数がないため、ネットワーク活動に支障のないレベルで発行量をなるべく抑える取引がポイントです。発行上限数がないからと言って、大量に発行すればイーサの価値が減少します。
開発者チーム 「ETH DEV」による開発
イーサリアムは創始者であり、開発者でもあるヴィタリック・ブテリン氏を中心とした「ETH DEV」によって開発されました。「ETH DEV」は2020年の現在も機能のブラッシュアップやメンテナンスなど意欲的な活動を続けています。
一般的には、自社開発チーム以外のエンジニアが開発に携わるケースはあまり見られません。
しかしイーサリアムでは、開発に貢献した人を対象とした報酬体制を採用しています。
これによって「ETH DEV」以外の多くのエンジニアたちが開発に携わるチャンスを獲得し、イーサリアムはより優れた開発を行えるようになったのです。
イーサリアでは以下の4ステップで開発を進めています。
2020年中には第4ステップであるセレニティへの移行が段階的にはじまります。セレニティでは、イーサリアムを大幅にアップデートしたイーサリアム2.0をリリースする予定です。
独自のプログラミング言語「Solidity (ソリディティ) 」
「Solidity (ソリディティ) 」とは、イーサリアム上で作動するスマートコントラクトを実装するための開発言語のことです。
スマートコントラクトを作動させるためには、「コントラクトコード」を実行しなくてはなりません。コントラクトコードは、コンピューターならばすぐに理解して実行できますが、人の場合にはコードを見ただけではすぐに理解するのは難しいでしょう。
そこでコントラクトコードを理解するために使われるのが、Solidityです。Solidityは、コンピューターの機械言語ではなく、人間が使う言語に近いため何が書かれているのか理解しやすい点が特徴です。またミスやエラーなどのトラブルの原因も見つけられます。
Solidityを使ってコードを書いて完成したコードをコントラクトコードに翻訳することで、開発作業やよりスピーディーかつスムーズに行えます。
ヴィタリック・ブテリン氏により考案
イーサリアムはヴィタリック・ブテリン氏が19歳のころに考案されました。ヴィタリック・ブテリン氏は、まだ暗号資産(仮想通貨)が世界に普及する前から暗号資産(仮想通貨)に興味を持ち、最初の通貨「ビットコイン」に関する雑誌「ビットコインマガジン」を創設するなど、暗号資産(仮想通貨)業界に長年貢献してきた人物です。
その経験を活かし、2013年にはイーサリアムのホワイトペーパーを発表、翌2014年にはイーサリアムのプロトタイプを配信しています。
ICOにも応用可能
イーサリアムのしくみは、暗号資産(仮想通貨)を利用したICOにも応用可能です。ICOとは「イニシャル・コイン・オファリング (Initial Coin offering) 」の略称のことで、暗号資産(仮想通貨)の新規発行による資金調達方法の1つとして知られています。
イーサリアムで「ERC20」と呼ばれる独自の通貨を発行しています。ERC20が発行される前は、通常トークンの仕様をウォレットや取引所に合わせて変更する必要がありました。しかしウォレットや取引所が対応していな通貨の送金に関しては、基本的に不可能だったため、手間をかけて新しい通貨を作らなくてはなりませんでした。
新通貨の標準規格であるERC20は、多種多様の通貨を同じインターフェースで利用できます。これによってユーザーはより快適に送金できるようになり、結果的にERC20をベースとした多くの通貨が流通するようになりました。
イーサリアム (Ethereum/ETH) のメリット
イーサリアムの主なメリットは以下の3点です。
- 送金にかかる時間が短い
- 発行上限・半減期がない
- システムの信頼性が高い
ここでは3つのメリットについてそれぞれわかりやすく解説します。
送金にかかる時間が短い
イーサリアムは、送金にかかる時間が短い点が1つ目のメリットです。暗号資産(仮想通貨)は、1つの取引が完了するまでに、取引内容の承認が必要です。この承認作業を「マイニング」と呼びます。
暗号資産(仮想通貨)の代表的なビットコインのマイニングは「約10分に1回」です。一方イーサリアムは、「約15秒に1回」と圧倒的に時間が短いため、すばやい決済が可能です。
送金時間が短いと、海外取引所に仮想通貨を送るときや商品代金を暗号資産(仮想通貨)で支払うときにも便利です。
発行上限・半減期がない
すでに「イーサリアム (Ethereum/ETH) の特徴」内で解説したとおり、イーサリアムには発行上限がありません。ビットコインなどのように発行上限数が決められている通貨の場合には、発行枚数が増えるごとに供給量を減らす「半減期」があります。
半減期の前後は価格が変動しやすい傾向がありますが、イーサリアムは発行上限が設定されていないため、半減期もなく安定した価格を維持しやすい点がメリットです。
システムの信頼性が高い
暗号資産(仮想通貨)で使われるブロックチェーンは、データの改ざんを防ぐことから信頼できます。またこの信頼性の高いブロックチェーンにスマートコントラクトを組みわせることで、より信頼できるシステムである点もメリットと言えるでしょう。
運用していく上でセキュリティーホールを狙われる可能性があります。しかしイーサリアムのシステム自体がハッキングされる可能性は低いため、ユーザーは安心して取引できます。
イーサリアム (Ethereum/ETH) のデメリット
どんな通貨にもメリットがあればデメリットもあります。デメリットを正しく理解することが大切です。イーサリアムの主なデメリットには以下の2点が挙げられます。
- スケーラビリティの問題がある
- 改ざんに対する強度が高すぎる
スケーラビリティの問題がある
イーサリアムは送金スピードが速く取引承認までの時間が短い点はメリットですが、その反面でブロックチェーンの1ブロックを約15秒で1回処理できたとしても処理数が増えればそれ以上の時間がかかっています。
またイーサリアムはトランザクションだけでなくブロックのなかにスマートコントラクトの実行プログラムを組み込んでいるため、1ブロックの情報量が多く、結果として取引スピードが低下する点はデメリットでしょう。
イーサリアムが暗号資産(仮想通貨)のなかでも時価総額が第2位と人気の通貨です。普及するほどにスケーラビリティの問題は深刻化しており、ネットワークの処理速度を高めることが必要です。
現在イーサリアムではスケーラビリティの問題に対する対策は検討されていますが、いまだに解決されていません。
改ざんに対する強度が高すぎる
ブロックチェーンはハッキングに強く、データの改ざんをできない特徴があります。イーサリアムのそのブロックチェーンにさらに、スマートコントラクトを組み合わせてより高いセキュリティーを実現しました。
しかしイーサリアムの組み込まれたプログラムや情報に万が一間違いがあると、改ざんに対する強度が高すぎるためその間違いを修正することが非常に難しいとも言えます。
間違いが修正しにくいために、過去にはトラブルも発生しています。2016年6月に起こった「The DAO 事件」です。DAOのスマートコントラクトの欠陥を利用した手口により、約360万ETHがDAOプールから別のアドレスに送金され盗難にあいました。
The DAOにはDAOの運営に賛同しない場合に、投資家が預けている資金をDAOから話して新しいDAOを作成可能な「スプリット」という機能を用い、送金の指示をすると「特定の報酬を特定のアドレスに1度だけ送金する」システムです。
しかし1度の指示で完了することなく、資金移動が完了するまでに何度もスプリットを繰り返すバグが発生していました。The DAOの脆弱性をハッカーによって突かれた結果、約360万ETHも盗まれています。
ただしスプリットで分離された資金は、最低27日間はアドレスから移動できないしくみだったため、運営側は27日の間に対応を決めることにしました。
検討された対処方法は以下の2通りです。
- ソフトフォークによって、口座凍結をしてハッカーが盗んだ資金を使えないと同時に、The DAOにも資金が戻らない対処方法
- ハードフォークによって既存のブロックチェーンとは別のブロックチェーンを作り、過去に戻りハッキングを含めたそれ以降のすべての取引データを無効とする
イーサリアムの改ざんに対する強度が高いことから、ハードフォークによって対処することが決まり、イーサリアムのコミュニティはこの対処方針をめぐって分裂してしまいます。
この分裂によって従来のイーサリアムは「イーサリアムクラシック (ETC) 」となり、新しく誕生した「イーサリアム (ETH) 」と分かれました。
今後もし同じような事件が発生した場合や間違いが発見されて修正が必要となった場合にも、ハードフォークによる対処が行われる可能性もあり混乱が懸念されます。
イーサリアム (Ethereum/ETH) の発行枚数について
イーサリアムの発行枚数について解説します。
現在約1億枚で上限がない
イーサリアムが2020年11月12日現在、発行している総枚数は約1億枚です。発行上限数はありません。
イーサリアムはビットコインなどと違い、発行枚数の上限は決められていません。マイニングが起これば起こるほど、発行枚数は増加していきます。
ちなみにイーサリアムが誕生した初期は7,200万枚が発行され、そのうち6,000万枚が市場に流通しました。残り1,200万枚は開発資金としてプロジェクトチームで分配・保管されました。
現在では1億枚以上が発行されていますので、2015年のリリースからおよそ4年間で新たに4,000万枚が発行されています。
発行枚数の調べ方
「CoinMarketCap」のサイトからイーサリアムの発行枚数を調べられます。CoinMarketCapは、仮想通貨の時価総額・発行枚数・取引量・価格推移など取引データを無料で閲覧できる便利なサイトです。
まず公式サイトを開き、チャートリストから「Ethereum」を探します。Ethereumの循環サプライの欄に表示された数字が現在までに発行された総枚数です。
2020年11月12日現在の代表的な通貨の発行枚数は以下のとおりです。
今後発行上限が設定されるかもしれない
現段階では発行上限を設定していないイーサリアムですが、今後も設定されないままなのでしょうか?
イーサリアムの発行上限については、さまざまな議論がなされており、今後が注目されています。
ヴィタリック・ブテリン氏の発言
イーサリアムの創始者かつ開発者であるヴィタリック・ブテリン氏は、2018年4月1日の「EIP-960」内で、「通貨の発行上限を120,204,432ETHに固定する」と発言しました。
ヴィタリック・ブテリン氏がイーサリアムの金融政策に直接言及した前例がないことから、注目を集めました。しかしこの発言は4月1日のエイプリールフールでのジョークとのちに訂正しましたが、イーサの通貨発行上限枚数については今後も発行上限枚数を設定しないと決定しておらず、「参加者の要望次第によるもので、上限設定を検討する価値がある」とも発言しています。
ハードフォーク
「イーサリアム (Ethereum/ETH) の特徴」内の「開発者チーム 「ETH DEV」による開発」でもふれましたが、今後イーサリアムでは第4段階のセレニティと呼ばれるハードフォークが予定されています。
イーサリアムの取引承認方法はPoWです。しかしセレニティを実施するためにPoSへと切り替わることで、ユーザーがブロックの承認ができるようになります。またPoWと比較して新規発行のペースが増大する可能性があることから、新規発行枚数を抑えるために、枚数上限を設定するかもしれません。
まだセレニティの実施時期の詳細については発表されていませんが、最終段階の大きなアップデートによってりイーサリアムの仕組みが大きく変化するとみられています。
上限がないイーサリアム (Ethereum/ETH) の価値
発行枚数の上限がないイーサリアムはどのように価値を維持しているのでしょうか?ここではイーサリアムの価値について解説します。
上限を設定するメリット・デメリット
上限を設定するメリットとデメリットについてみていきましょう。
希少価値がつく
発行枚数の上限を設定すると、ある程度の希少性が発生することから価格の下落を防ぎます。また上限発行数まで発行すると、新規発行ができなくなるため購入したい人は売る人を見つけて取引をしなくてはなりません。
金やプラチナなどのマイニングの量が決められているものの希少性は高く価値が下がりにくいのと同様に、入手できる量は決められているほうが希少性は生まれやすくなります。
極端なインフレに陥る
上限数のデメリットは、上限数以上の発行ができない点です。市場の流通量を決めることで、取引がしにくくなったり通貨価格が高騰したりするリスクもあります。
たとえば流通枚数が増えない状態でユーザーだけが増加すれば、極端なインフレに陥る危険性もあります。
マイニング報酬を減らし価格を維持
発行上限を設定しているビットコインではマイニング報酬を半減させて、マイニング速度が抑制し価格を安定して上昇させる効果のある「半減期」を導入しています。
これと同じくイーサリアムでは2019年に1ブロック当たり3ETHから2ETHへと、およそ33%マイニング報酬が減少しました。
マイニングによる報酬が高ければ高いほど、イーサリアムの発行枚数が増加します。
イーサリアム (Ethereum/ETH) はイーサリアム2.0でどうなる?
イーサリアムは最終段階のハードフォーク「セレスティ」でイーサリアム2.0へと大型アップデートを実施することが決定しています。イーサリアムはイーサリアム2.0でどのように変化するのでしょうか?
ここでは、イーサリアム2.0について解説します。
イーサリアム2.0で新規発行量「半減」
イーサリアム2.0へとアップデートすることで、イーサリアムの年間新規発行量が「半減」する見込みがあると、創始者であるヴィタリック・ブテリン氏が明かしました。
「POV Crypto」のポッドキャストのインタビューでヴィタリック氏は、新規発行量の削減はPoS導入の目的の1つと説明しています。
EthHubはイーサリアムコミュニティとヴィタリック氏が設立した、イーサリアムに関するさまざまなリソースを提供するコミュニティです。EthHubでは、PoSに移行した場合のより詳細な予測の資産をしました。その結果、PoSへ移行した場合の年間発行量は現在の年間発行量は約470万ETHに対して、18万~180万のあいだとなっています。
イーサリアム2.0の現状
現時点ではイーサリアム2.0のローンチの詳細日時は決められていません。しかしイーサリアム2.0デポジットコントラクトが2020年11月5日に公式サイトに配置されました。デポジットコントラクトとは、イーサリアム2.0のフェーズ0に該当するビーコンチェーンで、ステーキングを行うための契約機能のことです。
デポジットコントラクトは32ETHをステーキングし、イーサリアム2.0のバリデータになると最大年利21.6%のイーサリアムを報酬として獲得できます。ただし現状では、初期檀家のフェーズ0なので、フェーズ2までしか引き出せません。
なおビーコンチェーンの最短開始日は、日本時間2020年12月1日の21時です。
イーサリアム (Ethereum/ETH) のマイニング方法
イーサリアムにかぎらず、暗号資産(仮想通貨)の取引内容を承認する作業には、膨大な計算が必要です。この計算作業のことを「マイニング」と呼びます。
イーサリアムはマイニングによって取引の承認作業やスマートコントラクトの実行をするため、重要な作業です。
マイニングは世界中のマイナーによって行われていますが、すべての取引において承認できるマイナーは1人だけです。マイナーはコンセンサスアルゴリズムによって選出されます。
コンセンサスアルゴリズムには、「PoW」と「PoS」の2パターンあります。
PoWとPoSの違い
PoWとは「Proof of Work」の略称で、取引で承認をするために1番仕事した人を選びます。マイニングの膨大な計算には、電気代が発生することから個人がマイニングの参加はできません。またマイニングの専門集団による中央集権化のリスクがある点などがデメリットです。
PoSは「Proof of Stake 」の略称で、多くの通貨を保有していることが証明できる人を優先する方法のことです。PoWのデメリットを懸念して現在、ほとんどの通貨でPoSが採用されています。
イーサリアムはPoWを採用していますが、将来的にPoSへと移行することが発表されました。
最終的なPoSアルゴリズム「Casper(キャスパー)」
将来的にイーサリアムの実装するPoSが「Casper (キャスパー) 」です。Casperは従来のシンプルなPoSではありません。これまでのPoSが抱えてきた課題や問題などを解決できるになるのでは?と期待されています。
いまだにCasperの詳細については明らかにされていませんが、大きな特徴については明らかになってきました。その大きな特徴が「PoWとPoSとのハイブリッド型」です。
いままでのPoWは、計算能力が高い人が利益を獲得しやすい傾向がありました。そのためマイニングに特化した「ASIC」と呼ばれるプロセッサーを使って、マイニング報酬を独占しようとする動き出てきます。
イーサリアムではマイニング報酬の独占を防ぐためにASICを使ったマイニングができないようにしていましたが、今度はイーサリアム対応のASICが開発されてしまいました。
そこで対策としてCasperへの移行を決めました。キャスパーではPoWでマイニングするマイナーと、PoSで取引履歴を検証するために選出された「バリデーター (承認者) 」の両者に報酬を支払います。
報酬が両者へ支払われることでそれぞれの報酬額は減少し、またバリメーターには重大な過失や不正をした場合にはペナルティが発生します。
イーサリアムの3つのマイニング方法
イーサリアムでは以下の3つのマイニング方法があります。
- ソロマイニング
- プールマイニング
- クラウドマイニング
ソロマイニング
「ソロマイニング」とは、自分で必要な機材をそろえて、機会を稼働させる方法のことです。マイニングで発生する電気代も自己負担しなくてはなりません。一方で、マイニングが成功した場合には報酬が独占できます。
プールマイニング
「プールマイニング」は、2人以上が協力してマイニングする方法です。参加する人が、それぞれ必要な機材を持ち寄ったり、資金を出し合ったりしながらマイニングの環境を整えられます。
ソロマイニングよりも報酬を獲得できるチャンスには恵まれますが、参加者の計算能力に応じた報酬となるため、1人で見た場合にはあまり大きな額とはいえません。
クラウドマイニング
「クラウドマイニング」は、マイニングを行う組織に出資をして配当金としてマイニング報酬を獲得する方法です。クラウドマイニングは、マイニング会社への投資方ともいえます。
ソロマイニングやプールマイニングのように、専門的な知識がなくてもマイニングに参加できる点がメリットです。
しかし投資した会社が倒産する可能性もあります。また「マイニング詐欺」も発生しているのでくれぐれも注意しましょう。
イーサリアム (Ethereum/ETH) の発行上限に関するQ&A
イーサリアムの発行上限数に関してよくある質問を2つ紹介します。
イーサリアム (Ethereum/ETH) の発行上限はありますか?
イーサリアムには、発行上限が存在しません。マイニングの報酬が半分になる半減期なども存在せず、価格の安定性が高い暗号資産(仮想通貨)であるといえます。
イーサリアム2.0で何が変わりますか?
イーサリアムでの、ステーキングなどが可能になります。PoSブロックチェーンとPoSのメインチェーンを繋ぐ役割を持つ、デポジットコントラクトという機能によってイーサリアムをステーキングすることが可能になります。ステーキングを行うことによって、ステーキングをしたユーザーは報酬を得られます。
イーサリアム (Ethereum/ETH) は今後どうなっていきますか?
イーサリアム2.0によりデポジットコントラクトとビーコンチェーンが実装され、ヴィタリック・ブテリン氏が描いた構想を実現していくことになっていきます。
イーサリアム (Ethereum/ETH) の発行上限に関するまとめ
イーサリアムはビットコインのように発行枚数に上限を設けておらず、半減期もないために価格が安定しやすい暗号資産(仮想通貨)です。
イーサリアムでは近々、最終段階であるイーサリアム2.0への大型アップデートを予定しています。イーサリアム2.0では現在の新規発行数よりも半分ほど減少する見込みです。
今後も発行上限を設けないのかまたは発行上限を設けるのかについては、イーサリアム2.0が大きなキーポイントとなるでしょう。