- GMOコインは追証なしで取引できる
- 預入口座の証拠金維持率は75%
- 証拠金以上の損失を被る可能性がある
Webの情報源をいくつか見ていくと、「GMOコインは追証が発生しない」との記述が散見されますが、実際のところはどうなのでしょうか。
この記事では、「GMOコインの追証制度」について初心者の方でもわかりやすいように解説しています。
そもそも追証って何?
追証とは追加証拠金の略称です。証拠金とは仮想通貨FXでレバレッジを効かせた取引を行う際にあらかじめ預け入れる必要のあるお金のことを指します。そして取引による損失が預け入れた証拠金の額を上回った場合、追加証拠金として取引所に追加で入金する猶予時間が与えられます。
もし判定時刻までに証拠金維持に必要な入金を行わなければ、その時点で強制決済(ロスカット)となります。わかりやすいように具体的な金額を例にレバレッジ取引について説明します。
例えば100万円分のビットコインを買いたいと仮定しましょう。現物取引であれば100万円のお金が必要であるにも関わらず、10倍のレバレッジを効かせたFX取引を行えば10万円のお金で取引可能です。このように手元に少額の資金しかなくても、実際には大きな金額を使った売買を行う取引をレバレッジ取引といいます。
しかし思いもよらぬ含み損が出てしまい、本来必要な10万円の証拠金が5万円に減った状態になったとします。もともと必要なお金の半分である5万円しか入っていないことになるので、この状態の証拠金維持率は50%です。
口座の証拠金維持率が取引所の決めている一定の水準まで下がってしまうと、強制ロスカットが行われるか追証を求められます。どちらの対応措置が取られるかは取引所ごとの追証制度の有無によって異なります。[1] Kasobu, 追証とは?初心者でもわかりやすく投資の基本を徹底解説!!, 2021年7月29日参照
追証制度のない会社
まずは追証制度のない会社のケースです。口座の証拠金維持率が75%を下回ると強制的にロスカットが起こる場合、相場が下落して75%の維持率を下回った瞬間に強制ロスカットが起こります。その後相場が回復して証拠金維持率が100%以上に回復したとしても、ポジションは既に存在していません。
追証制度のないメリットは証拠金以上の損失を被る危険性が少ないことです。ここで「少ない」といった表現をした理由は、まれに追加で支払いを要求される可能性があるからであり、その理由については後ほど詳しく述べます。
一方でデメリットは一度でも規定の証拠金維持率を下回ってしまうと、その時点で損失が確定してしまうことです。
追証制度のある会社
次に追証制度のある会社のケースです。証拠金維持率が75%を下回ると追加証拠金が発生し、50%を切るとロスカットが行われるとします。
証拠金維持率が75%を割った場合には、追加証拠金を判定時刻までに口座に預け入れるよう通知が届きます。もし判定時刻までに追加証拠金を預け入れなければ、その時点で強制ロスカットです。ただし追加証拠金を預け入れるより先に、証拠金維持率が50%を下回ってしまう場合も強制ロスカットとなります。
追証制度のあるメリットは一時的な相場下落が起こった場合でも追加証拠金を預け入れることで、後の相場回復の際に利益が得られる可能性の損失を回避できることです。
一方でデメリットは想定以上の追加証拠金を求められてしまい、余裕の資金以上を投じてしまったりなど判断を誤ってしまう可能性があることです。また相場が回復せず、さらに下落する可能性も存在するため、リスクの大きな判断となります。
GMOコインのロスカットはいくらから?
GMOコインのロスカットについてみていきましょう。
ロスカットとは
ロスカットとは保有ポジションの損失がある一定の水準を下回ると、それ以上の損失の拡大を防ぐために自動的にポジションを強制決済する仕組みのことです。GMOコインではこの水準の尺度に証拠金維持率が用いられています。
ロスカットシステムがなければ、万が一の場合は預け入れた資産を全額失うどころか、追加で損失補填のための支払いを求められる可能性があります。ポジションの強制決済が行われた場合は一定額の損失が確定してしまうものの、ユーザーの資産はある程度守られます。
証拠金維持率とは
証拠金は前述で示した通り、レバレッジ取引を行う際に預け入れる必要のある資金のことを指します。
例えば証拠金が10万円でレバレッジ倍率を10倍にすれば100万円分の売買が可能です。そして現在のBTC価格は50万円なので、2BTCを購入したと仮定します。口座残高は30万円です。この取引をまとめると、以下のようになります。
- 口座残高30万円
- 証拠金10万円
- レバレッジ倍率10倍
- 1BTC=50万円
- 100万円分の2BTCを購入
ここで購入時点での証拠金維持率について考えてみます。BTCの価格が50万円のままであれば、必要証拠金10万に対して口座には30万円の残高があります。証拠金維持率の計算方法は以下になります。
30万円(口座残高)/ 10万円(証拠金)= 300 %(証拠金維持率)
しかし1BTCの価格が40万円に下がった場合、2BTC購入しているため20万円の損失が発生します。BTCの値下がりによる損失の計算は以下の通りです。
100万円(購入価格)ー 40万円(現在価格)× 2BTC=20万円(現在の含み損)
20万円の含み損を抱えている場合、口座残高はもともとの30万円から10万円に減っています。この時点での証拠金維持率は以下の通りです。
(30万円(口座残高)ー 20万円(現在の含み損))/ 10万円(証拠金)= 100%(証拠金維持率)
つまり証拠金維持率とは、レバレッジ取引に必要な証拠金である10万円をどれくらい維持できているかを表す尺度のことをいいます。
GMOコインでロスカットされる証拠金維持率
ではGMOコインでは証拠金維持率がどの程度下回ればロスカットされるのでしょうか。公式ホームページによると、口座の証拠金維持率が75%を下回ると保有ポジションが強制的にロスカットされます。
前述の「証拠金維持率とは」で解説した例で示すと、1BTCが38万7,500円以下になると証拠金維持率が75%になりロスカットが執行される仕組みです。
100万円(購入価格)ー 38.75万円(現在価格)× 2BTC=22.5万円(現在の含み損)
(30万円(口座残高)ー 22.5万円(現在の含み損))/ 10万円(証拠金)= 75%(証拠金維持率)
GMOコインでは証拠金維持率が100%を下回ると、ロスカットアラートと呼ばれる通知がメールで届きます。この通知により投資家は万が一のロスカットに備えて、口座の預入金を増やすなど事前の準備を整えておくことができるようになっています。
参考 : 証拠金維持率とは | 安全圏の目安から計算方法まで徹底解説
GMOコインには追証はある?
GMOコインの公式ページには、「追証は発生しますか」という質問に対して、以下のように回答が書かれています。
「仮想通貨FXにおきまして「追加証拠金」制度はございません。お口座の証拠金維持率が100%を下回った場合ロスカットアラートを通知させていただき、お口座の証拠金維持率が75%を下回ると保有建玉が強制的に決済されるという自動ロスカットが行われます。
当社のシステムは、各お客様の証拠金維持率を巡回しながら監視しているため、ロスカットの執行には、ある程度の時間を要します。そのため、お客様の証拠金維持率が上記の数値を下回ったとしても、直ちにお客様の建玉が決済されるわけでは無く、相場が急激に変動した場合には、証拠金の額を上回る損失が生じる可能性があります。
証拠金の額を上回る損失が生じた場合には、その超過額を不足金としてお支払いただきます。」
参照:GMOコイン公式ページ
公式ページの引用を参照すると、GMOコインには追証制度はないと記述されています。したがって口座の証拠金維持率が75%以下になれば、自動的にロスカットが執行されるルールです。
ただし証拠金維持率が75%以下になったとしても、ロスカットがすぐに執行されるわけではありません。そのため急な相場変動により証拠金の額を上回る損失が生じる可能性があり、上記の損失が生じた場合は不足分の支払いに応じる必要があります。
結論として追証制度自体は存在しないが、場合によっては追加証拠金のように別途損失を補填する支払いが生じる可能性があるということです。
GMOコインの追証・ロスカット まとめ
GMOコインは追証制度がない取引所のため、証拠金以上の損失を被る必要がないと認識されている方は多いでしょう。しかし追証制度がないことと証拠金以上の損失を被る必要がないことはイコールではありません。
GMOコインでは追証制度自体は存在しないですが、証拠金以上の額を上回る損失が発生した場合、別途不足分を補う支払いを求められる可能性があります。とはいえ証拠金維持率が100%を下回った時点で警告の通知が届きますので、事前の対策が取りやすいでしょう。
どうしても証拠金以上の追加支払いが生じるケースを避けたいのであれば、仮想通貨FXにおいて追証制度がなくゼロカットシステムを採用している取引所を探されるのがよいでしょう。