ライトニングネットワークとは

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安藤 啓明 (Hiroaki Ando)
この記事の編集者
安藤 啓明

暗号資産 (仮想通貨) に関する記事のディレクターで、これまでにも「お金」をテーマにした記事のディレクションを多数行った経験があります。

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ライトニングネットワークの概要

ライトニングネットワークとは「オフチェーンスケーリング」または「セカンドレイヤースケーリング」と呼ばれる技術のひとつです。ビットコインブロックチェーンの外で取引を行うことにより、高速な取引や安価な取引手数料を実現します。

ライニングネットワークでは、ネットワーク上に「ペイメントチャネル」を開いて取引を行います。取引を行う2人が「ペイメントチャネル」に資金をデポジットし、そのチャネル内で送金を行うしくみです。チャネル外の人に送金したいときには、他のチャネルを経由した送金も可能です。

ビットコインブロックチェーンでは、支払いが完了するのにブロックが生成されるのを待つ必要がありますが、このペイメントチャネル内の支払いプロセスは瞬時に完了します。さらに、手数料がほとんどかからないため、数円から数百円といった少額の送金を行う「マイクロペイメント」にも活用可能でしょう。

チャネルを開始したり終了したりするときには、ビットコインのトランザクションが発生するため、ブロックチェーンでの手数料がかかります。よって、チャネル開いた者同士での取引件数が多いほど、コストパフォーマンスがよくなると言えます。

また、ライトニングネットワークの取引内容はブロックチェーンに記録されず、チャネルを終了したときの残高のみが記載されます。そのため、取引の内容を他人に知られずに済むといったプライバシーを保護する効果もあります。

ライトニングネットワークの特徴

少額決済

ビットコインはその仕様上、0.00000546BTCからでないと送金できません。一方ライトニングネットワークでは、0.00000001BTC (1satoshi) から送金できます。

高速送金

ライトニングネットワークでの取引は、ブロックの生成を待つ必要がありません。テキストメッセージを送付するときのように、瞬時に送金が完了します。

処理性能

ライトニングネットワークは1秒あたり数百万件の取引を処理できます。

低手数料

ペイメントチャネル内での送金には、手数料がかかりません。ただし、チャネルで直接チャネルでつながっていない人に送金する場合は、ノードを経由するごとに手数料を支払います。

手数料の計算式は「基本料金+送金金額×手数料率」となっており、単位はsatoshiです。手数料率はライトニングノードが各自に設定しているため、一律の値は存在しませんが、基本料金の中央値は1satoshi、手数料率の中央値は1satoshiあたり0.000001satoshi、つまり0.0001%です。[1]

1ML, Real-Time Lightning Network Statistics, 2021年6月18日参照

triangleまた、受信者に到達するまでに経由するホップ数の平均値は8.8となっています。[2]

上記の数値をもとに0.0001BTCを送付するときの手数料を計算すると、8.888satoshi (0.4円) となります。なお、上記のデータおよびレートは、2021年6月18日時点でのものです。

ライトニングネットワークの仕組み

ペイメントチャネル

ペイメントチャネルとは取引を行う二者専用の取引経路で、ライトニングネットワークのコアとなる技術です。このペイメントチャネルにより、高速送金と安価な手数料が実現されています。

ビットコインブロックチェーンで資金をデポジットするトランザクションを実行することにより、ライトニングネットワーク上にペイメントチャネルを作成できます。デポジットした資金はそのチャネルの残高となり、その残高内で取引を行うことができるようになります。

たとえば、Aさんが5BTCをデポジットし、Bさんとのペイメントチャネルを作成したとしましょう。AさんはBさんに1BTCを送金したり、Bさんから3BTCを受け取ったりできますが、残高を超える6BTCを送金することはできません。

取引を行った後にチャネルを閉じると、その時点でのの残高がビットコインブロックチェーンに記録されます。取引の中身は記録されません。

チャネルを開くときと閉じるときには手数料が発生しますが、ペイメントチャネル内では手数料は発生しません。

マルチホップペイメント

マルチホップペイメントは、ライトニングネットワーク上で直接チャネルを持たない者同士で取引を可能にする技術です。複数のチャネルを経由することにより、トランザクションを受信者まで到達させます。

たとえばAさんがDさんに送金を行いたい場合「AさんとDさんのチャネル」がなくても、「AさんとBさんのチャネル」と「BさんとCさんのチャネル」、「CさんとDさんのチャネル」を経由することで送金が可能になります。

マルチホップペイメントでは「HTLC」と呼ばれる技術が使われています。これは経由するチャネル内の人に資金を持ち逃げされないようにするための技術で、簡単に説明するとある条件を満たさない限り送金することができないというものです。

ライトニングネットワークが必要とされる理由

ライトニングネットワークが必要とされる背景には、ビットコインのスケーラビリティ問題があります。ビットコインで処理の遅延が起こるのは、次の2つに制限があるからです。

  • ブロック生成スピード
  • ブロックサイズ

ブロックチェーンはブロックが生成されることで更新されていきますが、処理データが増えたとしても、ブロックの生成スピードは変わりません。またブロックサイズが決まっているため、通常よりも多くの処理データを書き込むことは不可能です。

ブロックサイズを大きくしたりブロックの生成スピードを高速にしたりすることは、ネットワークの中央集権化につながりかねず、また悪意のある者に攻撃されやすくなるという問題点も抱えています。ビットコインのブロックチェーン自体を改良することは、簡単ではないのです。

そこで必要とされるのが、ビットコインブロックチェーン自体に変更を加えずに拡張性の高いものにできるライトニングネットワークです。ライトニングネットワーク上の取引はオフチェーンで行われ、ビットコインブロックチェーンの処理能力を使用しないため、ビットコインネットワークの混雑を解消する効果があります。

ライトニングネットワークの規模

以下のデータは、2021年6月18日時点での数値です (参照:Bitcoin Visuals)

ロック金額

すべてのチャネルにロックされたビットコインの数量は、約1,500BTCです。

ノード数

ノード数は約12,000です。

チャネル数

チャネル数は約46,000です。

取引量

ライトニングネットワークにおける取引は取引を行う者のみが見ることができ、公開されていません。よって取引量は不明です。

運用益

ライトニングネットワークでは、ノードを実行することでルーティングを手伝い、送金を行う人に対して手数料を請求できます。現状における運用益は0〜5%程度と言われていますが、一例として「月1万ドル (約11万円) 相当のトランザクションをルーティングすることで0.25%の報酬を得た」というツイートが、Lightning LabsのAlexBosworth氏によって2019年2月に行われています。[3]

Twitter, AlexBosworth氏のツイート, 2021年6月18日参照

triangle

ライトニングネットワークの利用事例

決済

ライトニングネットワークは、実店舗における決済に向いています。通常ビットコインを店舗のアドレスへ送金しても、着金するまでに一定の時間待たなければなりません。一方、ライトニングネットワークを使用すると瞬時に着金するため、決済がスムーズに完了します。

ライトニングネットワークを利用した決済アプリとして「strike」があります。

取引所の対応

海外取引所がライトニングネットワークへ対応しはじめています。2020年9月に対応したBitfinexに続き[4]

Bitfinex公式ページ, Bitfinex Launches Support for the Lightning Network, 2021年6月18日参照

triangle、2021年4月にはOKExが対応。[5]また、Krakenも2021年にライトニングネットワークに対応することを発表しています。[6]

取引所へ入出金する際の送金手数料が安価になれば、利用者の利便性が上がるでしょう。

投げ銭

1satoshiという少額から送金できるライトニングネットワークは、投げ銭に向いているといえるでしょう。ライトニングネットワーク対応の投げ銭サービスは、Twitterで投げ銭ができるTippinや、ビットコインをギフトとして贈る「lightning.gifts」などがあります。

ゲーム

少額のビットコインを獲得できるゲームにおいて、ビットコインの受け渡しにライトニングネットワークが使われています。「Sarutobi」や「CS:GO」などのゲームで使われているようです。

ライトニングネットワークの限界

ライトニングネットワークの欠点は、しくみが複雑で初心者にはわかりにくいことです。ウォレットアプリに実装することにより、UIはわかりやすいものにできるかもしれません。ですが、最初にビットコインを振り替えたり、送金者だけでなく受信者も操作が必要なったりする点は、一般的な送金システムとは全く違うため一般のユーザーには受け入れ難いでしょう。

またライトニングノードの10%がトランザクションの80%をルーティングしているという報告もあり、中央集権化の懸念が指摘されています。[7]

triangle

ライトニングネットワークの今後

ライトニングネットワークはさまざまなアプリに実装されはじめています。ですが、しくみや操作が複雑なため、現在の利用者は技術のあるビットコイン愛好家に限られています。

一般のユーザーに身近なものに実装されれば、ライトニングネットワークが大きく普及していくに違いありません。大手海外取引所がライトニングネットワークに対応したのは、大きな一歩といえるでしょう。

2021年6月、Twitter社のCEOジャック・ドーシー氏がTwitterへのライトニングネットワーク実装を示唆する発言を行っており[8]

triangle、ライトニングネットワークの普及へつながるのではと注目を集めています。

ライトニングネットワークのまとめ

ライトニングネットワークについてまとめると、以下のようになります。

  • ビットコインのスケーラビリティを向上させるための技術
  • オフチェーン上で二者間の取引ができる
  • チャネルを経由することで直接チャネルがつながっていない人へも送金できる
  • 瞬時に着金する
  • 手数料が格安なので少額の支払い (マイクロペイメント) に利用できる

ライトニングネットワークは今後さまざまなサービスに使われ、普及していくことが予想されます。

情報ソース・引用元一覧

1

1ML, Real-Time Lightning Network Statistics, 2021年6月18日参照

2

Bitcoin Visuals, ホップ数の平均値, 2021年6月18日参照

3

Twitter, AlexBosworth氏のツイート, 2021年6月18日参照

4

Bitfinex公式ページ, Bitfinex Launches Support for the Lightning Network, 2021年6月18日参照

5

OKEx公式ページ, OKEx supports Lightning Network for faster, cheaper BTC transactions, 2021年6月18日参照

8

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