- ポンジスキームは実態がなく出資金で高利回りを実現
- 投資に100%はない
- 高配当の投資案件が個人に降ってくる可能性は低い
金融商品や仮想通貨など、何らかの投資をはじめると「ノーリスクハイリターンの投資案件」や「絶対儲かる投資案件」などに勧誘されるケースがあります。
これらの多くはポンジスキームと呼ばれる詐欺案件の可能性が高く、手を出すと大きな損失を蒙ることがあります。
こうした詐欺案件の被害を防止するには、ポンジスキームの性質やよくある手口を理解する必要があります。この機会にきちんとポンジスキームについての知識をつけて、詐欺被害に遭わないようにしましょう。
ポンジスキームとは
ポンジスキームの特徴
ポンジスキームとは、名目は高配当の利回りを実現できる投資案件としながらも、実際は出資者から募った資金で配当を賄っていく詐欺のことを指します。
当然実際に資金を運用していないので、新しい出資者がいなくなると高配当な利回りを実現できなくなってしまい案件は破綻することになります。
多くのポンジスキーム詐欺案件では被害者は実際にモノを購入していくケースが多く、連鎖して増えていく出資者も商品を購入するという目に見える形で詐欺案件は拡大していきます。さらに紹介した分だけ配当が受け取れるという様態のため、拡大速度はどんどん加速していくのです。
【ポンジスキームとねずみ講】
ねずみ講とポンジスキームを同一認識で捉えている人も多いようですが、ねずみ講は別名ピラミッドスキームと呼ばれているように、紹介制度などで連鎖されていくピラミッドの中で、上位に位置する人は儲かる仕組みになっています。
しかし最近ではポンジスキームをねずみ講形式で拡散させていき、新規出資者からの資金流入を実現しているものもあるので、同一認識とされているのです。
タコ足配当とは
タコ足配当とは、資産運用会社が不景気などで高配当な利回りを期日までに実現できないと判断した時に、本来切り崩してはいけないお金や顧客から預かった資金で、レバレッジ取引などを行い成功させて利回りを実現させるものです。
簡単な例を挙げるならば、夫婦で管理している預金通帳に3日後に10万円振り込まれるから今日10万円引き出して利用し、結果として3日後には資金が減っていないようになっている状態のようなものです。
ポンジスキームはこのタコ足手法を応用した詐欺案件の手法と言うことができるでしょう。
ポンジスキーム型の詐欺案件の事例
ポンジスキームは実態がなく目に見えないことや最初のうちは高配当が実現できるので、信用して投資してしまう人が多く、これまで公になっている事件では著名人が絡んでいる場合もあります。
数あるポンジスキーム事件の中で大きな事件のひとつとして有名なのは、ナスダックの元会長が起こした事件です。
この事件にはイギリスの大手銀行ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドをはじめとする世界の大手銀行やヘッジファンドが被害者となり、日本の野村証券も被害を受けており、被害額は日本円で約6兆円弱に及び過去最大の詐欺事件とされています。
日本の最大手金融機関の野村證券でさえ、被害にあうほどですので、投資詐欺は決して侮ってはいけないことがわかるかと思います。
※「大銀行も相次ぎ被害、ナスダック元会長マドフ容疑者の巨額詐欺」
ポンジスキーム詐欺の典型的なパターン
ポンジスキームには、どのケースにもある程度通ずる典型的なパターンがあるので紹介します。
ポンジスキーム詐欺でよく使われるフレーズ・言葉
ポンジスキームには、頻繁に利用される謳い文句のようなものがあることが特徴です。
よく使われるフレーズや言葉として、「確実に儲かる」や「元本保証」などがあります。他にも「ローリスクハイリターン」や「有名な芸能人も投資している」などの謳い文句も定番フレーズとして用いられます。
投資の根本の性質を理解していれば、高い利回りには高いリスクがつきものであることが理解できると思います。
こうした謳い文句がある場合はポンジスキームである可能性を疑った方がよいでしょう。
ポンジスキーム詐欺に共通する性質
ポンジスキームの詐欺案件には、共通する性質がいくつかあります。
それらの多くは、非現実な利回り、口コミによる案件の広がり、運用実態がわからず運用者に会うことができないなどの共通する性質があります。
ポンジスキーム詐欺への対策
ポンジスキームの詐欺被害を抑えるためにはどのようなことを心がければよいのでしょうか。この章では3つの対策について解説します。
- 「確実に儲かる」投資などないと心得る
- 「100%元本保証」を疑う
- 社会面・技術面での価値や内容を細かくチェックする
「確実に儲かる」投資などないと心得る
「確実に儲かる」投資はこの世に存在しないことを心に刻んでおきましょう。価格が下がるリスクを取るから投資なのであって、仮想通貨に限らずどんな投資手法も目減りする可能性があります。
もし本当に「確実に儲かる」投資だとなら、なぜあなたに勧誘するのでしょうか。誰にも知らせずに親しい友人や家族だけで確実に利益を回したほうがよいはずです。勧誘した人があなたから何らかの利益を得ようとしている可能性を考えてみましょう。
「100%元本保証」を疑う
投資信託の中には「元本保証型」とされる商品があります。しかしあくまで元本を保証するように運用しているだけであって、決して元本割れしないわけではありません。
仮想通貨も同様に元本を保証している通貨はありません。もし「100%元本保証」と謳う投資があればそれは間違いなくウソですので、騙されないようにしましょう。
社会面・技術面での価値や内容を細かくチェックする
投資する仮想通貨を選定する際に、発行する団体の素性やプロジェクトの将来性について情報を集めることをおすすめします。仮想通貨を発行する団体はホワイトペーパーという事業計画書を公開していることが多いです。
そのホワイトペーパーを熟読した上で、そのプロジェクトは社会的な意義があるか・チームの技術力は高いか・人物像は・コネクションは、といったところまで情報を集めましましょう。もし悪い噂があった場合は投資をやめることをおすすめします。
ポンジスキーム詐欺の提案は非現実的
高配当の利回りを実現できるものであるならば、一般人に出資を募ることは事業の効率から考えて合理的ではありません。
また、投資の世界では、**年利10%**出すだけでも凄腕の部類で、投資の神様と称されるウォーレン・バフェットでもポンジスキームのような利回りを実現することはありえません。
そんな投資法があるのであれば、相場の世界は崩壊するでしょう。
【仮想通貨投資とポンジスキーム】
仮想通貨に関しては仮想通貨バブルと呼ばれた2017年末からの暴騰で、ボラティリティの大幅な拡大をみせた場面がありました。その後の大幅な下落の中でも、銘柄によっては月利20%の利食いを成功できるケースも存在しました。
そのため、仮想通貨投資ではポンジスキーム案件の提示するような非常に高い利回りを実現できる可能性も0ではありません。そのため、ポンジスキームがどうかを判断することは非常に難しいというのが現状です。
まとめ
ポンジスキームは実態がない分、配当が入ってくることを確認できるとさらに投資金額を増やしていくという人のお金に関する欲求を刺激してしまう危険なものです。
高配当な利回りを実現する投資案件などは、一般の個人にはまず降りてくることはありません。
仮想通貨に関しては、「ビットコインも昔は信用されていなかったが現在はこうなってくる。今はじめることがチャンスだ」などの市場が未成熟なことを逆手にとったものが多いので、一般投資家も気をつける必要があります。