Raribleとは
Raribleは、2020年初頭にAlex Salnikov氏とAlexei Falin氏によって設立されました。ロシアのモスクワを拠点とし、アート作品が中心に取り扱われているNFTマーケットプレイスです。
Raribleは、単にブロックチェーンを使ってアートやデジタルアイテムを収集するためのプラットフォームではなく、RaribleのERC-20ガバナンストークンであるRARIを発行しています。
ほかNFTマーケットプレイス同様、RaribleではNFTの発行・売買が可能ですが、Raribleでは出品者が購入希望者にコンテンツのプレビューや予告編などを提供し、購入者がそのNFTを購入した場合、コンテンツのフルバージョンを公開する仕組みなどがあります。
またRaribleは、コミュニティのガバナンスモデルによって運営される、完全に自律的なプラットフォームの構築を重要視しています。いわゆるDAO (自立分散型組織) を目指しており、プラットフォームのユーザーがすべての決定権を握ることで、RaribleのガバナンストークンRARIが重要であることを意味しています。
また2021年3月中旬にはブロックチェーンゲーム「マイクリプトヒーローズ」の運営会社double jump.tokyoとの提携も発表[1] PR Times: ブロックチェーンゲーム開発支援プログラム「MCH+」が、NFTのマーケットプレイスを運営するRaribleとパートナーシップ締結。, 2021年3月15日参照されており、日本での知名度もあげています。
Raribleが人気な理由
Raribleに人気がある理由として、大きな特徴が3点あります。
- 審査なしでだれでもNFTを生成できる
- Raribleで買ったり売ったりすることでRARIトークンがもらえる
- ロイヤリティを設定できる
1つめは、審査なしでだれでも気軽にNFTを発行できる点です。
NFTマーケットのなかには、審査に通ったクリエイターのみがNFTを発行を行える仕組みになっているものがありますが、Raribleではそういった審査がありません。だれでも自由にNFTの発行に挑戦できます。
2つめは、Raribleを利用した人にRARIトークンが配布されることです。
RARIトークン保有者は、Raribleの方向性を提案したり、方針の投票に参加できます。これは他のNFTマーケットにはないRarible特有の特徴といえるでしょう。
配られたRARIトークンは、UniSwapやSushiSwapなどのDEXを利用して他の通貨に交換することもできます。RARIトークンはERC-20規格で発行されているので、さまざまなDeFiに利用できるでしょう。
3つめの特徴は、ロイヤリティが設定できることです。ロイヤリティは、二次流通したときに売上の一部がNFT発行者に入るよう設定できます。
たとえばロイヤリティを10%に設定すると、転売されるたびに作者に売上の10%が入ります。永続的な報酬を生み出すことが可能なRaribleは、クリエイターにとって魅力的なプラットフォームといえるでしょう。
RARIとは
特徴の一つとしてもあがっていたRARIトークンですが、RARIはイーサリアム上から発行されたERC-20トークンです。RARIトークンが持つ役割は次の2つです。
- Raribleのアクティブユーザーに対する報酬
- Raribleのガバナンストークン
Raribleでは、1週間ごとに75,000RARIが売り手と買い手の両方に配布されます[2] Rarible公式ブログ Medium: Introducing $RARI — the first governance token in the NFT space, 2020年7月16日参照。つまりRaribleを利用してくれるユーザーに報酬としてRARIトークンが配られます。この仕組みはDeFiアプリでよく利用されている手法であり、新規ユーザーを獲得する効果があるとされています。
Raribleは、ユーザーによってサービスの方針や方向性が決められるDAO (自律分散型組織) です。その自治のシステムに使われるのがRARIトークンです。Raribeの方向性について提案したり、投票したりするときにRARIトークンを使用します。
ウォレットの接続方法
実際にRaribleを利用するときには、仮想通貨を送金したり、購入したNFTを受け取ったりするウォレットが必要です。
Raribleでサポートされているウォレットはいくつか種類がありますが、本記事ではMetaMaskを使用した場合の手順を説明します。MetaMaskをまだインストールされていない方は、MetaMaskの公式ホームページからダウンロードしましょう。
RaribleにMetaMaskを接続する際はまず、Raribleのトップページ画面右上に表示されている「ウォレットに接続」をクリックします。するとウォレットが選択できる画面が表示されるので、MetaMaskを選択しましょう。
するとMetaMaskのパスワード入力画面が表示されるため、パスワードを入力します。パスワードを入力すると、接続するアカウントを選択できる画面になるので、使用するアカウントを選んで「次へ」をクリックし「接続する」を押します。
次に「13歳以上である」と「利用規約に同意する」のボタンが表示されるため、両方にチェックを入れ「Proceed」をクリックします。
Raribleの購入方法
Raribleのトップページをスクロールすると、たくさんの作品が表示されています。Raribleでは「固定価格」「期限付きのオークション」「無期限のオークション」のいずれかの方法でNFTが販売されいるため、どの販売方法なのかを見分けるには、次を参考にしてください。
- 固定価格:価格の頭に「From」がない
- 期限付きオークション:アイコンの下に残り時間が表示されている
- 無期限オークション:残り時間の表記がなく、価格の頭に「From」がついている
また画面を下にスクロールしていくと真ん中あたりに「Explore」というセクションがあります。この「Explore」では以下カテゴリに絞って検索が可能です。
- Art:アート
- Photography:写真
- Games:ゲーム
- Metaverse:メタバース (仮想空間)
- Music:音楽
- Domains:ドメイン
またカテゴリ項目が表示されている一番右の部分に「Filter & Sort」と書かれたソート用のボタンがあります。ソートを利用することでNFTの並び順を変更できます。ソート項目は次のとおりです。
- 最近の追加
- 最安値
- 最高値
- Most Liked
- 検証済みのみ
なお「検証済みのみ」とは、一定の基準を満たし、Raribleから承認を得た出品者のみを表示させるオプションです。検証されたアカウントは、アイコンにチェックマークがつきます。
検索をして好みの作品が見つかったら、次は購入です。「今すぐ購入する」と「入札する」に分けて購入方法を解説します。
まず「今すぐ購入する」場合、これらは基本的に固定価格で販売されているものを指します。固定価格で出品されているものは「Buy for 〇ETH」ボタンを押すことで、購入画面に移動します。ウォレットが立ち上がるので「確認」ボタンを押して支払い手続きを行いましょう。なお商品価格に加えてガス代がかかりますのでご注意ください。
また固定価格で出品されているNFTであっても、購入希望者が「bit」ボタンを押して提示価格を入力することは可能です。これは値下げ交渉のようなものです。
「入札する」は、オークション形式と固定価格で販売されているものが当てはまります。「Place a bid」ボタンを押すことで入札できます。入札にはガス代がかかりますので、ウォレットで支払い処理を行いましょう。
RaribleでNFTを発行する方法
次に、自分がアーティストとしてRaribleでNFTを発行する手順を4STEPにそって説明します。事前にオリジナルのデジタルコンテンツを用意しておきましょう。
まずRaribleの画面右上に表示されている「作成する」をクリックします。
すると「シングル」か「マルチ」かを選ぶ画面が表示されます。複数のNFTを作成する場合は「マルチ」を、発行するNFTが1つの場合は「シングル」を選択します。
選択し終えると、NFT発行に必要な情報を入力する画面に変わります。
まず「Upload file」という項目でNFTに紐付づけるファイルをアップロードしましょう。アップロードできるのは、ファイルの拡張子がPNG, GIF, WEBP, MP4, MP3のもの、かつファイルサイズが100MB以下であることに注意してください。
次に「Put on marketplace」の項目で販売方法を選択しましょう。販売方法は「Fixed Price:固定価格」「Timed auction:期限ありのオークション」「Unlimited auction:無期限のオークション」の3つから選択できます。
固定価格を選択した場合、いくらで売るのかを「価格」欄に入力します。なお通貨単位は以下仮想通貨から選択できます。
- イーサリアム (ETH)
- ダイ (DAI)
- USD Coin (USDC)
- Rarible (RARI)
- ASH (ASH)
- Atari トークン (ATRI)
期限ありのオークションを選択した場合は「Minimum bid:スタート価格」、すぐにスタートするか、開始日と時刻を指定するかを選択する「Starting Date」、オークションの期間を選択する「Expiration Date」を入力または選択します。
無期限オークションを選択した場合には記入する項目はありません。なおこの方法でオークションを終えるには、出品者がオファーを受け入れる必要があります。
販売形式を選択したら、次の項目を設定しましょう。
「購入後にロックを解除する」をオンにすると、最終的な購入者へ高解像度のアートを送るための、秘密のキーや外部リンクを送付できます。
「コレクションを選択」では、発行するNFTの形式を選択できます。こだわりがなければデフォルトで選択されている「RARI」のままにしておきましょう。
「Title」には、作品名を記入します。
「説明」では、作品の説明や購入者がそそられるようなメッセージを入力するとよいでしょう。
「ロイヤリティー」は、NFTが二次流通したとき、売上の一部が作者に入る割合を設定できます。
最後に「Create item」ボタンを押すとMetaMaskが立ち上がり、ガス料金が表示されます。「確認」を押してガス代を支払いましょう。
なおガス代はネットワークの混雑具合によって変わりますので、イーサリアムネットワークが比較的混雑していない時間帯を狙って作成するとコスト削減につながるかもしれません。
ガス代を支払ってから数分後にNFTの生成が完了し「My item」タブから作成されたNFTを確認できるようになります。
Raribleのまとめ
Raribleについてまとめると、次のとおりです。
- 審査なしでNFT発行ができるNFTマーケット
- 多数のジャンルのNFTが販売されている
- アクティブユーザーにRARIトークンが配布される
- RARIトークンを保有するとRaribleの自治に参加できる
- 転売されたときに作者に報酬が入る「ロイヤリティ」を設定できる
RARIトークンをもらえる仕組みは、Raribleにユーザーを惹きつける魅力的な特徴といえるでしょう。