リップル (XRP) の歴史 | これまでを価格の推移とともに振り返る

編集:
松本 頌平 (Shohei Matsumoto)

リップル (XRP) が開発された背景

従来の国際送金のシステムはSWIFTのルールに従って、送金する側の銀行口座から、海外にある送金先の口座までに複数の金融機関を介して送金する仕組みです。仲介した金融会社に発生する手数料がかさみ、手続きに時間がかかる問題を抱えていました。

リップルは国際送金のプラットフォームである「RippleNet」で活用されるデジタルアセットです。銀行のノストロ口座の維持にかかるコストをなくして、送金業者の外国為替リスクを軽減するために開発されました。ノストロ口座とは銀行間の取引で資金決済をする決済口座、外国に現地の通貨建てで保有する決済口座のことです。

リップルは世界中に取引を認証するバリデーターと呼ばれる人たちがいます。毎秒1,500件のスピードで処理されるため、世界中のどこにいても送金はわずか数秒で完了します。これは他の仮想通貨と比べても、銀行を通じた送金と比べても圧倒的な速さです。参考として、ビットコインは送金におよそ10〜30分、銀行だと国際送金には1〜3営業日必要です。

2021年6月5日時点で、RippleNetは世界中の200以上の金融機関に導入されています。リップルを運営・管理するRipple Labs Inc.のほか、国内では大手金融機関のSBIグループがマーケティングを主導しています。

リップル (XRP) の歴史

リップルの開発当時から現在に至るまでの歴史について解説します。

2012年 RCL (Ripple Consensus Ledger) の開始

リップル (XRP) は2012年に現在の「XRP Ledger」の前身である「RCL (Ripple Consensus Ledger) 」の開発を開始しました。効率の良い決済システムとして期待されていましたが、送金額が第三者に見えてしまうため、セキュリティやプライバシーの観点から問題となってしまいます。

2013年元日 リップル初の取引成立

2013年元旦にリップル (XRP) は発表されました。リップル社は、当時のシリコンバレーでは比較的少ない9億円程度の資金でサービスを開始しています。現在では、仮想通貨は”ICO”という資金調達手段を使うことが多いのですが、当時はそのようなシステムが無く仮想通貨業者にとって資金調達は至難の技だったのです。当初から最大発行枚数の1000億枚を既に発行しており、ビットコインと違って急激な価格上昇が起きづらいことが評価されていました。[1]

XRP blog, A History of XRP & Ripple: Part 1 2011-2013, 2021年6月30日参照

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2013年4月 Open CoinがGoogleベンチャーズから150万ドルを調達

2013年4月にOpenCoinは、世界的なベンチャーキャピトル企業であるGoogle ベンチャーズやIDG Capital Partnersなどから、150万ドルの出資を受けています。OpenCoinとはリップルプロトコルを開発していたスタートアップで、Ripple Labs Inc.の前身です。

2015年5月 アメリカの金融犯罪捜査網 (FinCEN) が、Ripple Labsに罰金命令

2015年5月にFinCENは、Ripple Labs Inc.と子会社であるXRP IIに対し70万ドルの罰金を命じました。FinCENに未登録の状態で、マネーサービス事業を提供してリップルを販売したため、銀行秘密保護法に違反したとされました。

FinCENとはアメリカの金融システムが、マネーロンダリングなどに悪用されないように保護するための組織です。仮想通貨は匿名で国境を超えた送金ができるため、マネーロンダリングに使われやすいという特徴があり、現在でも厳しく取り締まられています。

Ripple Labs Inc.は罰金45万ドルで和解し、同時にリップルの取引継続が認められました。これによって将来の取引を監視するリップルプロトコルの強化が求められています。この時点でのリップルのレートは1XRP=0.7601円です。

2015年10月 インターレジャーとの協力を進める構想を発表

2015年10月にRipple Labs Inc.はインターレジャーとの協力を進める、リップルのバージョンアップ構想を発表しました。

インターレジャーとは「通貨間台帳」のことで、仮想通貨や法定通貨を直接送金できます。

2016年9月 SBIホールディングスから5500万ドルの資金調達

2016年9月にRipple Labs Inc.は日本の大手企業である「SBIホールディングス」から5,500万ドルの資金調達をしました。

SBIホールディングスは資金調達によって、Ripple Labs Inc.の株式10.5%を保有します。またSBIホールディングスが60%、Ripple Labs Inc.が40%を所有する「SBI Ripple Asia」を設立しました。この時点でのリップルのレートは1XRP=1.3343円です。[2]

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2017年3月 三菱UFJ銀行が採用

2017年3月末には国内大手銀行の1つである「三菱UFJ銀行」が採用を決定しました。リップルの技術を用いた国際送金サービスを2018年には提供を開始すると発表しましたが、2021年現在でまだ実装されていません。この時点でのリップルのレートは1XRP=2.3023円です。

2017年 4月 スペインで2番手の銀行BBVAが送金成功×複数の銀行が参入

2017年4月24日にスペインで2番手の銀行である「BBVA」がリップルの技術を使った送金テストに成功したことを発表します。[3]

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Ripple Labs Inc.は自社ホームページ内で2017年4月26日、さらにいくつかの銀行がリップルネットワークに参入したと報告しました。この時点でのリップルのレートは1XRP=23.4014円です。

2017年9月 ブロックチェーンカンパニー「R3」がリップルを提訴

2016年9月にRipple Labs Inc.は、ブロックチェーンカンパニーの「R3」とパートナーシップを締結します。パートナーシップの内容には、2019年9月まで50億XRPを行使価格0.0085ドルで購入できるオプション契約が含まれていました。しかしR3側は、Ripple Labs Inc.が2017年6月に一方的に契約を破棄したとして提訴しています。[4]

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その後Ripple Labs Inc.は、R3の銀行顧客に対してRipple Labs Inc.を紹介しなかったことや、銀行システムで採用されるためにリップルを宣伝しなかったため、2016年の契約不履行を主張して反訴を提起しています。この時点でのリップル (XRP) のレートは1XRP=21.7074円です。

2018年1月 最高値 $3.83を記録

国内大手取引所のCoincheckによる2017年12月のCMや広告などの宣伝や、ビットコインの価格上昇によって、リップルも需要が高まりました。またRipple Labs Inc.が550億XRPのロックアップ完了も影響して、リップル (XRP) の価格は2017年12月の1XRP=0.247111アメリカドルが、過去最高値の1XRP=3.83アメリカドルまで上昇しています。この時点でのリップルのレートは1XRP=421.3円です。

2018年10月 世界貿易機構 (WTO) がリップルを「金融システムに破壊的な影響を与えうる」と評価

リップルのシステムでは、従来の国際送金システムよりも圧倒的にスピーディーかつ低コストな送金を実現しました。その結果世界各国の金融機関で導入されています。2018年10月に世界貿易機構 (WTO) はリップルに対して、「金融システムに破壊的な影響を与えうる」と高く評価したことが話題となりました。[5]

WORLD TRADE ORGANIZATION, World Trade Report2018, 2021年6月30日参照

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またWTOは、リップルを活用した国際送金の大規模なオペレーションを行っている金融機関は限定的であり、まだテスト段階であるとも紹介しています。

2019年4月 インド・サウジアラビア間の国際送金経路を契約

インドのIndusInd Bankと、サウジアラビアのSaudi Arabia British Bank (SABB) 間において、2019年4月に国際送金経路が契約されました。エンジニアリングの中心地として発展を遂げたインドは2018年の統計上、世界でもっとも国際送金が多い国でした。

通常では契約締結から実際の送金までには、数カ月かかります。しかし国際送金が多いインドへの送金経路は高い需要があり、SABBが以前からインドの法定通貨であるインドルピーを主力通貨として多く扱っていたため、わずか1カ月半のスピード実施が実現しました。[6]

triangleまた2019年5月20日時点で2行間の送金にかかる時間は3分、さらなる高速化を目指すと発表しました。IndusInd Bankは今後リップルの技術をインドで国内送金にも活用する方針です。

SABBはインドルビーの取扱量を拡大して、強力なインド間の送金経路の構築を目指しています。さらにはインド以外の国際送金にもリップルの技術を活用すると発表しました。この時点でのレートは1XRP=45.73円です。

2019年11月 RippleのXpring、スマートコントラクトプラットフォームに投資

2019年11月にRipple Labs Inc.の投資部門「Xpring」は、「フレア・ネットワーク」へ投資を決めました。フレア・ネットワークとはXRP Ledgerでスマートコントラクトの決済機能を有効化するための、スマートコントラクトプラットフォームです。

フレア・ネットワークはブロックチェーン上で契約を自動的に実行するスマートコントラクトに、イーサリアム仮想マシン (EVM) を活用しています。そのため既存のイーサリアムのDapp (分散型アプリケーション) をフレアに移植し、XRPエコシステムへの提供を実現しました。[7]

Coil, Investing in Flare Networks, 2021年6月30日参照

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また主要取引所はリップル保有者に対し、ネットワークで使用されるネイティブトークンの「Spark (SPARK)」の無料配布を発表し価格が高騰するなどの影響を与えました。この時点でのレートは1XRP=68.0174円です

2020年4月 リップル (XRP) がYouTubeを提訴

2020年4月にいくつかの業者が、リップル (XRP) の保有者を対象にした詐欺をyoutube上で行っていました。そこで、リップル社は YouTube が本来するべき十分な取り締まりを行っていなかったとして、Youtubeを提訴しました。

リップルに関連する詐欺には、「2000~50万XRPを送金すれば、10倍のリップルを獲得できる」などの内容をうたった事例が確認されています。動画にはまったく無関係のGarlinghouse氏のインタービューが含まれていました。

それまでに幾度もリップルは、YouTube側に対して詐欺を取り締まるように要求していました。しかし詐欺行為をそのまま放置したために、世界中の多くの人が被害に遭い、リップルやCEOであるGarlinghouse氏はブランドや名声が傷つけられたと主張しています。2021年3月、今後両者が協力して詐欺を防止することで和解しています。[8]

triangleこの時点でのレートは1XRP=24.0592円です。

2020年12月 アメリカの米証券取引委員会 (SEC) がリップル (XRP) を提訴

リップルはRipple Labs Inc.が中央集権的に管理・運営を行っている仮想通貨です。そのため企業が営利目的に発行する有価証券であると判断し、SECはリップルを未登録証券として販売したとして2020年12月23日に提訴しました。[9]

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SECとは1934年に投資家保護と公正な市場整備のために設立された、アメリカの証券取引委員会のことです。これによって多くの取引所ではリップルの取扱を中止し、価格にも影響を与えています。2021年6月6日現在も訴訟は続いており、証券法違反の判決が出された場合には取引所での上場廃止の危険性があります。2020年12月23日のレートは1XRP=28.5901円と、前日の45.969円から急落しました。

SEC訴訟 | これまでの経緯まとめ

SEC訴訟のこれまでの経緯を時系列で見ていきましょう。

  • 2020年12月23日にSECがRipple Labs Inc.とCEOのGarlinghouse氏、共同創設者のChris Larsen氏を提訴します。
  • 翌年の2021年1月28日には、フロリダ州でRipple Labs Inc.・XRP II・LLC・Garlinghouse氏に対して、XRP投資の損失の賠償を求める集団訴訟が起こされました。
  • 2021年1月29日にRipple Labs Inc.は、証券方違反によるSECの提訴に対して、反論文書を提出しています。
  • 2021年2月23日には大手送金会社である「MoneyGram」がSECの訴訟を受けて、リップル (XRP) の利用一時停止を決めました。
  • 2021年3月2にMoneyGramの株式投資家たちは、同社に対してリップル (XRP) に関するミスリードの情報を流したとして、カリフォルニア州の裁判所で集団訴訟を起こします。
  • 2021年3月4~5日にGarlinghouse氏とChris Larsen氏らが、自分たちに対する訴状を取り下げるようSECに対して一部取り下げを求めました。またRipple Labs Inc.はSECの修正訴状に対し、リップル (XRP) が世界中の200以上の取引所で毎月何十億ドル相当の取引をしていると説明しています。マーケットメーカーなど第三者もリップル (XRP) を活用していたとの反論文を提出しました。
  • 2021年3月11日はリップル (XRP) 幹部2人の個人財務記録提出要請は行き過ぎだとして、裁判所に無効を求めました。
  • 2021年3月12日にGarlinghouse氏とChris Larsen氏らが、SECに求めていた自分たちに対する訴状を取り下げ要求に関する審議スケジュールが決定します。しかし2021年3月18日にはSEC側が、両名の財務記録は訴訟に関係するとして、取り下げ要求却下の要望を裁判所に提出しました。
  • 翌日の2021年3月19日にはオンライン上でCEOらの個人財務記録の提出・リップル (XRP) の実用性などについて双方の弁護士が審議を行い、2021年3月24日に証拠開示手続きの審議を2021年4月6日に行うと発表されました。
  • リップル (XRP) の企業秘密を含む証拠書類を暫定的に密封し、一般に開示しないことを2021年4月1日に裁判所が認めます。
  • 2021年4月6日に裁判長がSECに対して、リップル (XRP) の有価証券問題に関する証拠開示手続きを要求しました。
  • 2021年4月9日、リップル (XRP) 幹部2人の個人財務記録提出を求めていたSECに対して、裁判官はリップル (XRP) トランザクション以外の個人的な財務記録は無関係と判断し、要求を却下しています。
  • 2021年4月19日にはリップル (XRP) の投資家集団は、本裁判への参加を求めている件について、SECの論点は投資家保護に反しているとした書類を裁判所へ提出しました。
  • SECは2021年4月23日、リップル (XRP) に関する情報を海外事業者に対して正式に請求できる権利を裁判所に申請しています。
  • 裁判所は2021年5月7日にSECに対いし、リップル (XRP) を有価証券と判断した理由や根拠とともに、ビットコイン (BTC)とイーサリアム (ETH) を有価証券と判断しない理由とその根拠について証拠開示を要求しました。
  • 2021年5月8日にSEC側は、裁判所にリップル (XRP) の「有価証券関連の法的助言」に関する書類開を求めています。
  • 2021年5月15日にはリップル (XRP) 訴訟の取り下げを求める嘆願書がSECの委員長宛てに提出されました。
  • 裁判所がSECのリップル (XRP) に対する情報開示請求を2021年5月31日に却下します。これは弁護士とリップル (XRP) 間には、秘匿特権が存在しているためです。リップル (XRP) の抗弁内容の正当性について秘匿情報を調べる必要がない限り、秘匿特権は放棄されないと指摘しています。

リップル (XRP) の歴史まとめ

リップルは従来の国際送金にかかる手数料を抑えて、リアルタイムに近い送金スピードを実現するために誕生した仮想通貨です。世界中で200以上もの金融機関で導入されています。

リップルはRipple Labs Inc.によって管理・運営されている中央集権体制であり、ビットコインのように非中央集権体制ではないため、「有価株価証券」に当たるとして現在SECから提訴されています。

判決によっては取引所では上場廃止される恐れもあるため、裁判の動向をチェックしておきましょう。