【疑惑】不正に発行されていた?「テザー (Tether/USDT) 問題」とは?

編集:
Kasobu 編集部 (Kasobu editorial team)
1分で理解する要約
  • 「テザー問題」とは、テザー社が価値の裏付けとしているテザーと同等額のUSドルを保有していないのではないかという懸念

現在仮想通貨市場では、ビットコイン価格に大きな影響を与えかねない「テザー問題」が懸念されています。USドルと価格が連動した仮想通貨Tetherをめぐる疑惑のことで、本来価値の担保となるはずの同量のUSドルが実は存在しないのではないかという疑惑のことを指します。

仮想通貨「テザー (Tether/USDT) 」とは?

Tetherとは香港を拠点とする企業「Tether (テザー、以下「テザー社」) 」が発行している仮想通貨です。

1USDTあたりの価格がUSドルと連動しており、1USDT≒1USドルである点がTetherの最大の特徴だと言えます (USDTはTetherの単位) 。テザー社はTetherと同じ量のUSドルを担保として、Tetherを発行しています。つまり、テザー社の保有するUSドルがTetherの価格の根拠であり、価値の源泉となっているのです。この点はビットコインをはじめとする他の多くの仮想通貨と異なり、Tetherは発行元が価格を固定しているため、中央集権型の通貨だと言えます。法定通貨と価格が連動している仮想通貨を「ステーブルコイン (安定した貨幣) 」または「ペグ通貨 (固定された通貨) 」と呼びます。

テザー (Tether/USDT) が作られた目的

仮想通貨の価格変動が激しいという特徴は、仮想通貨の投資を一度でも経験した人はご存知でしょう。

Tetherのようなステーブルコインは、市場の状況に関わらず価格が安定しているため、相場が乱高下したときの逃げ場として利用できるメリットがあります。また、価格の面では円やUSドルのような法定通貨とほぼ同じにも関わらず、法律上は法定通貨と見なされないため、法定通貨と仮想通貨の交換が規制されている国で大きな存在意義を発揮します。たとえば、アメリカの一部の仮想通貨取引所ではUSドルと仮想通貨の交換が難しくなりつつあります。

実際にアメリカの大手仮想通貨取引所Bitfinex (ビットフィネックス) は法規制を逃れるために、ビットコインの取引は仮想通貨としか行わないと宣言しています。こうした状況を背景にUSドルと価格が連動したTetherは人気を集めました。

ところがTetherには2017年春ころから、ある疑惑が浮上しています。

何が問題なのか

Tetherを発行するテザー社が市場に流通しているTetherと同量のUSドルを保有していないのではないか?

2017年春、台湾銀行とウェルズ・ファーゴという大銀行がTetherの取引を取り止めることが明らかにしたことから、この疑念が広まっていきました。テザー問題の発端となった出来事です。本来なら1USDTを入手する際には、テザー社に1USドルを送金する必要があり、市場に10億USDTが存在しているなら、テザー社の口座残高は最低10億ドルあるはずです。

さらに、取引所のBitfinexがTetherをUSドルとの交換ではなく、テザー社から原価ゼロで入手していたかもしれないという疑惑も生じました。Bitfinexはテザー社の経営者が運営している取引所であるという事実もこの疑惑に拍車をかけています。

以上のように、テザー社がTetherの価値の裏付けとなるUSドルを十分に保有していないにも関わらず、Tetherを発行し続けているのではないかという疑惑が「テザー問題」です。テザー問題を受けて、匿名で公開された統計学に基づくレポートでは、過去1年間のTetherの発行時期がビットコイン価格の下落時と連動していることが指摘されています。

テザー問題が本当だったらビットコインの価格はどうなるのか

もしテザー問題が本当だとしたら、ビットコイン価格の下落時に合わせてTetherが大量に発行され、ビットコインの購入に充てられていた可能性があります。そして、本来価値の裏付けとなるはずのTetherと同量のUSドルが存在しないことになり、原価ゼロのTetherと大量のビットコインが交換されていたということになります。2018年5月末時点でTetherは約28億USDT発行されているため、テザー問題が真実だったときにビットコイン価格に与えるマイナスの影響は大きいと考えられます。

テザー問題は今後解決する見通しはあるのか

テザー問題はテザー社が自社口座のUSドル残高を公開する以外に解決しませんが、現時点ではその見通しは立っていません。ただし、テザー社を担当していた監査法人は少なくとも2017年9月15日の時点では、テザー社の銀行口座に発行済みのTetherとほぼ同額のUSドルが準備金として存在していたと報告しました。そして、少なくとも2018年5月末の時点ではTetherの価格は依然としてUSドルと連動しており、ステーブルコインとして機能していると言えます。

【まとめ】テザー問題に関する知見はビットコインに投資において必須

テザー問題は真実ならばビットコイン価格に大きなマイナスの影響を与えるリスクがある重大な事件です。

ビットコイン投資をしているのであれば、テザー問題に関するニュースが報道されたら注意深くチェックすることが必要です。