仮想通貨ウォレットの仕組みまとめ

編集:
松本 頌平 (Shohei Matsumoto)

仮想通貨ウォレットとは

仮想通貨ウォレットとは自分が保有しているウォレットを保管・管理する場所のことで、電子財布とも呼ばれています。

仮想通貨の取引はインターネットに接続して行うため、ハッキングの被害に遭うリスクが高いです。ハッキングをされて仮想通貨の「秘密鍵」が盗まれてしまうと、自分の仮想通貨を自由に動かされてしまいます。そのため仮想通貨ウォレットでは、仮想通貨の「秘密鍵」を暗号化して管理しています。

公開鍵はだれでも確認できますが、秘密鍵は限られた人にしか公開してはいけません。
仮想通貨ウォレットの種類は大きく分けると、インターネットを使うホットウォレットと、インターネットを使わないコールドウォレットの2タイプです。それぞれのタイプのなかでも、さらに仕組みによって細かく分別され、種類が豊富です。

仮想通貨ウォレットの仕組み

仮想通貨ウォレットは「公開鍵暗号方式」によって仮想通貨を保護しています。

公開鍵暗号方式とは、暗号化するために使用する鍵と復号の際に使用する鍵を、それぞれ「公開鍵」と「秘密鍵」に分けることで、セキュリティを強化するシステムです。従来の共通鍵方式では、この2つの役割を同一の鍵が担っていました。

大量の仮想通貨を管理する取引所は常にハッカーたちに狙われているため、ハッキングのリスクがあります。取引所は顧客から預かった仮想通貨の秘密鍵を管理しているため、ハッキングされたときに私達の秘密鍵が一括で流出してしまう可能性があります。秘密鍵が流出すると、かんたんに仮想通貨が盗まれてしまいます。実際、取引所のハッキングでユーザーの秘密鍵が盗難され、ユーザーの仮想通貨が紛失した事件はこれまでに何度もありました。例えば、2014年に470億円相当のビットコインが盗まれたマウントゴックス事件[1]

日本経済新聞, マウントゴックス破綻 ビットコイン114億円消失, 2021年6月22日参照

triangleや、2018年に580億円分のネムが盗まれたコインチェック事件[2]などがあります。仮想通貨のウォレットでは、秘密鍵を自分で管理するためハッキングの被害に遭うリスクを軽減できます。

トランザクションとウォレットの関係

仮想通貨におけるトランザクションとは、送金額・送金先・受取先・送金日時などの取引のことです。すべてのトランザクションはブロックチェーン上で記録されおり、ウォレットアドレスに送金後に残ったUTXO (未使用残高) も記録されていきます。

ウォレットでは保有している資産の額を、ウォレットアドレスが記載されているすべてのトランザクションのUTXOを合計して算出しているのです。

仮想通貨を送金する場合には、ウォレットがトランザクションを生成します。そのため送金側のウォレットアドレスはネットにつながっている状態でなくてはなりません。

ホットウォレットは常にネットにつながっている状態なので、いつでもトランザクションの生成が可能です。また送金先はネットにつながっているの必要はありません。ブロックチェーン上にトランザクションが記録されると、ウォレットの残高に反映されます。

取引所のウォレット管理

取引所を利用する際には、必ず口座開設が必要です。口座開設をすると同時に個人専用のウォレットも作成されます。国内の主要取引所が提供しているウォレットは、ユーザーが預けている資産をすべてコールドウォレットやホットウォレットで管理しており、取引所によってもさまざまです。

仮想通貨ウォレットの種類別特徴

仮想通貨ウォレットにはオンラインで管理する「ホットウォレット」とオフラインで管理する「コールドウォレット」があります。更にホットウォレットは、ブラウザで使用できる「ウェブウォレット」、スマートフォンにインストールして使える「モバイルウォレット」、PCにソフトウェアをダウンロードする「デスクトップウォレット」の3つに分かれます。

また、コールドウォレットも専用の端末を使用する「ハードウェアウォレット」と紙に秘密鍵を印刷する「ペーパーウォレット」の2種類に分けられます。これらのウォレットにはそれぞれ仕組み上の特徴があり、目的に沿って使い分けることが重要です。

ウェブウォレット

ウェブウォレットはホットウォレットの1種です。ブラウザ上で登録・管理ができ、ウォレットによってはスマホアプリやデスクトップアプリとも互換性があります。セキュリティ対策はサーバーを運営している企業が行っているため、自分で対策する必要はありません。常にインターネットに接続しているため、取引所への送金が即座に行えるのも魅力です。

一方で、オンライン上で仮想通貨を管理しているため、他のウォレットと比較してハッキング被害を受けやすいです。また、サイトの運営会社が引き出し制限を行った場合、一時的に仮想通貨が取り出せなくなるリスクもあります。そのため、ウェブウォレットを選ぶときは、信用できる運営会社を選ぶ必要があります。

モバイルウォレット

モバイルウォレットは保管だけでなく、外出先でQRコードを読み込むだけでかんたんに決済できるホットウォレットの1種です。スマートフォンやタブレット端末で利用できます。

万が一端末が故障・紛失しても、復元フレーズさえあれば新しい端末からアプリを再ダウンロードして復元できるので、ウォレット内で保管している資産に影響はありません。復元フレーズとは、ウォレットの登録時にのみ確認できる文章で、紛失したウォレットアカウントを復元するために必要になります。ただし復元フレーズを紛失すると復元できないため、保管していた資産はすべて失ってしまいます。管理には十分な注意が必要です。

またインターネットを利用するためハッキングの可能性もあります。多額の資産を預けるのは推奨しません。

デスクトップウォレット

デスクトップウォレットは専用のソフトウェアを、自分のパソコンにダウンロードしてオフラインで仮想通貨を保管できます。送金時など、必要に応じてインターネットに接続するためホットウォレットに分類されます。

1つに対して1種類の通貨にしか対応していないものがほとんどです。そのため複数の通貨を管理するためには、複数のウォレットをインストールする必要があり、そのぶんパソコンに負荷がかかってしまいます。

デスクトップウォレットにはブロックチェーン上の全取引データを確認できる完全型と、必要に応じてインターネットに接続する簡易型の2タイプあり、完全型では一定の条件を満たせばマイニングへの参加も可能です。

簡易型は取引の度にインターネットに接続します。そのため、ハッキングやウイルス感染などのリスクもあります。ただし送金は完全型よりもスピーディーにできるので便利です。

ハードウェアウォレット

ハードウェアウォレットはインターネットに接続せずに、オフラインで管理できるコールドウォレットの1種です。そのためハッキングや遠隔操作の心配はありません。

ただし、ハードウェアウォレットの中には悪意を持って初期設定を終わらせているものもあります。そのため中古品などを購入すると、業者が復元フレーズを入手して、ウォレット内の仮想通貨を盗まれる危険性があります。購入の際には正規代理店や公式サイトから購入することを強く推奨します。

万が一使用している端末や機器が紛失したり故障したりしても、復元鍵を使えばウォレットが復元できます。

ペーパーウォレット

ペーパーウォレットは公開鍵と秘密鍵が紙に記載されたタイプのウォレットです。インターネットを使用しないコールドウォレットの1種なので、ハッキングやウイルスの被害に遭うリスクはありません。

そのため多額の仮想通貨を保有している人や、長期間保管したい人に向いています。ただし紙に公開鍵と秘密鍵が記載されているので、紙が破損したり紛失したらウォレットにアクセスできずに資産を失うことになるので注意しましょう。

また紙を盗まれてしまうと、ウォレット内の資産が盗まれる可能性もあります。管理には十分な注意が必要です。

仮想通貨ウォレットの仕組みまとめ

仮想通貨のウォレットにはさまざまな種類があります。公開鍵と秘密鍵を用いた公開暗号方式で守られています。そのため取引所に預けているよりも安心です。

ホットウォレットとコールドウォレットの違いは、インターネットへの接続をするかどうかです。ホットウォレットならば利便性の高い点がメリットですが、ハッキングのリスクがあります。コールドウォレットはハッキングされにくく、セキュリティーは強固ですが、利用シーンは限られてしまいます。

仕組みをよく理解したうえで、自分に合ったウォレットを活用しましょう。

情報ソース・引用元一覧

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日本経済新聞, マウントゴックス破綻 ビットコイン114億円消失, 2021年6月22日参照

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