- 仮想通貨業界で話題になったクローバーコインを紹介
- しかし強制捜査を受けたことなどから詐欺コインという評判が目立っている
- 怪しい仮想通貨を見分けながら、資産を守る方法も解説
仮想通貨業界でクローバーコインが話題になっていて、気になる方も多いでしょう。しかしネガティブな経緯から詐欺コインという評判も目立っており、実際にトラブルもあったようです。
今回はクローバーコインの特徴や、詐欺コインという評判を受けた背景などを紹介するので、これを読めば全体像がつかめると思います。仮想通貨をめぐるトラブルに巻き込まれないための心得も述べるので、この記事をきっかけに良質な仮想通貨の見分け方も学びましょう。
クローバーコインとは?
クローバーコインとは、48ホールディングスで開発が進んでいた仮想通貨で、2017年から話題になりました。日本にビットコインを持ち込んだという人物のプロデュースや、購入によるリップルの特典などをアピールし、注目する人も多かったようです。
積極的なセミナー開催などで支持を集めたものの、強制捜査などのスキャンダルの影響を受け、現在は日本で購入できません。詐欺コインの典型例として反面教師的に見る向きもあります。
運営会社の48 (よつば)ホールディングスに強制捜査
クローバーコインは、運営会社である48ホールディングスに強制捜査が入ったため、プレリリースの最中に販売がストップしています。それ以来復活の気配も見られません。
2017年9月に運営会社の札幌本社に、国税庁および消費者庁の強制捜査が入りました。日本経済新聞などで報道を受けたため、多くの投資者から返金や退会希望を求める声が殺到するなど、世間を騒がせています。
強制捜査の影響により、2017年10月3日の販売終了を最後に、クローバーコイン関連の活動は限りなくストップしている状態です。48ホールディングスの活動自体は続いているようですが、目立った動きはありません。
クローバーコインの運営会社48 (よつば) ホールディングスの概要
48ホールディングスは札幌市豊平区の会社であり、1993年設立当初はWEBコンテンツメーカーとして活動を続けてきました。2017年に仮想通貨であるクローバーコインの開発を行い話題になったものの、強制捜査を受けて以来目立った活動はありません。
この章では48ホールディングスの代表的人物や、クローバーコインをめぐる公式発表などをまとめました。
代表者
48ホールディングスの代表取締役兼会長は淡路明人氏であり、副社長だった中田義弘氏は日本にビットコインを持ち込んだ人物として紹介を受けています。会社を代表する2人の詳細を述べます。
淡路明人
淡路明人氏は1993年に48ホールディングスを設立し、WEBコンテンツビジネスを手がけていました。現在は同社の会長というポジションで、仮想通貨ビジネスに会社の方向を変えたのは2015年末です。
中田義弘
中田義弘氏は48ホールディングスの副社長を務めた時期があり、当時はクローバーコインのセミナーにおいて講師を務めていました。しかし現在は48ホールディングスを退社しています。
48ホールディングスの発表
48ホールディングスは2017年10月27日に、クローバーコイン販売における告知内容などに不備があったとして、特定商取引法に基づいた措置命令を受けたと発表しました。同年11月15日には、クーリングオフ期間に関係なくお客さんへの返金に応じることを明かしています。
しかし翌年2月には、バウヒニアでクローバーコイン上場が決まったとお客さんに説明したものの中止となり、その後連絡を絶ってしまったようです。
バウヒニアでの上場中止以後は、公式サイトの更新情報も夏季や年末年始の休業期間のお知らせがたまに出る程度で、クローバーコインの続報はありません。
強制捜査を受けたあとも、48ホールディングスの対応がひどいと感じた人は多く、こうした出来事がクローバーコインの悪評につながっているようです。
クローバーコインの特徴
クローバーコインは、ビットコインを日本に持ち込んだ人物のプロデュースや、購入によるリップル特典などの特徴が目立っていました。主なポイントについて、3つにわけて解説します。
レベルアップができる
クローバーコインは、自身の売却量に応じて会員レベルを上げられるルールがありました。購入すれば価値上昇で資産を増やせる可能性があるだけでなく、他のユーザーに紹介し買ってもらうことで、購入額の60%を報酬として受け取れるチャンスもあったそうです。
クローバーコインは、購入により利益を上げるパターンが複数にわたることで、多くのユーザーが興味を示したと考えられます。
日本のビットコイン第一人者がプロデュース
クローバーコイン発行当時に48ホールディングス副社長だった中田義弘氏は、日本にビットコインを持ち込んだ人物として宣伝を受けていました。メディアでは報じられていませんが、仮想通貨の実績がある人物のプロデュースと聞いて、多くの顧客が信用したとうかがえます。
しかし中田氏がビットコインを世に広めたことは根拠に乏しい状況です。今後新しい仮想通貨に手を出すときは、こうした情報も裏取りなどによる自主検証が必要でしょう。
購入でリップルプレゼント
クローバーコインは、購入額の2割分のリップルをプレゼントしてもらえるキャンペーンが話題になっていました。クローバーコインが世に出た2017年には、リップルの知名度も上がり始めており、48ホールディングスもリップルとの抱き合わせで顧客を集められると考えたのでしょう。
仮想通貨業界でもリップルの信頼性などへの評価は高く、クローバーコインによるコラボレーションに魅力を感じた人も多いでしょう。
しかし当時からリップルはほかの仮想通貨取引所でも手に入れられたにもかかわらず、48ホールディングスはセミナーなどで、自社でしか買えないと宣伝していたとされています。このような事実と異なる説明は、情報の裏取りをしないと虚偽だということに気づけないので要注意です。
クローバーコインが詐欺と言われている理由
クローバーコインはいわゆるマルチ商法の典型であり、強制捜査などのスキャンダルもあったので、現在は「詐欺コイン」という悪評が目立ちます。仮想通貨は一度世間から悪質とみなされれば、その後の活動は困難でしょう。クローバーコインの評判が悪い背景を解説します。
マルチ商法
クローバーコインはマルチ商法の典型という評価が目立ちます。いわゆる「ねずみ講」で、ほかのユーザーを紹介しクローバーコインを買ってもらえば、購入額の60%を紹介者が報酬として受け取れる制度がありました。
ネットビジネスにおける紹介制度は多くの分野で見られますが、購入額の60%という条件は健全なところでは見られません。
事実なら購入額の関係により運営側は40%しか実質のお金を受け取らないので、財源が足りなくなる可能性も想定すべきでしょう。
以上から報酬の割合が高いルールのあるビジネスは、慎重な情報チェックを行い、怪しければ手を出さないことが賢明です。
「絶対に儲かる」など過剰な宣伝・勧誘
クローバーコインにおける悪評は、「絶対に儲かる」など強い誘い文句も関係しているようです。投資は不確定要素が多く、100%の確率で高額の利益を得られる保証はありません。こうした無理な約束を持ち出す運営会社には注意が必要です。
しかしクローバーコインを手がける48ホールディングスは、積極的に開催していたセミナーや宣伝資料で「絶対に儲かる」などの言葉を使い、多くの入会者を集めていたようです。
物事に絶対はないため、買うだけで必ず儲かる仮想通貨は存在しません。このように過剰な宣伝、勧誘を行うビジネスには気をつけましょう。
強制捜査が新聞に掲載される
2017年9月上旬に、消費者庁と国税庁は48ホールディングスの札幌本社に強制捜査を行い、日本経済新聞での報道を受けています。この結果、多くのクローバーコイン投資者がだまされたと感じ、窓口には返金や退会希望を求める人々が殺到しました。
同時期にはクローバーコイン購入者用の口座凍結など、スキャンダラスな話題が続きました。大規模な投資事業のスキャンダルは、その後のクローバーコインの活動にも大きな影響を与えています。
販売終了、上場は絶望的に
2017年10月3日を最後に、クローバーコインは販売を終了しました。48ホールディングスはクローバーコインを買ったお客さんへの返金手続きなど、損失補償に応じると明かしていますが、未だに補償を受けていない人も多いようです。
48ホールディングス公式サイトでもクローバーコインに関する続報は見られず、活動はストップしていると考えるべきでしょう。
MLMの上位層はとてつもない利益を得た
多くの人が損失したイメージの強いクローバーコインですが、こうしたMLMの上位層には大きな利益を上げた人もいるようです。
MLMとは「Multi Level Marketing」の略で、英語でマルチ商法を意味します。上位層は運営側や、大量の紹介に成功した人です。運営側はクローバーコインのような草コインを発行し、顧客から大量のイーサリアムなどを調達できます。
MLM上位層は紹介者を集めてたくさんの報酬を稼げるので、少しでもクローバーコインの価値がアップしたときに、すべてを売却してイーサリアム調達が可能です。以上からMLMの上位ポジションにいる人々は、クローバーコインで損失どころか、大量の利益確保が望めたでしょう。
このようにマルチ商法は、上位層しか得をしないしくみなので、話題を知ってから参入した人が損をしやすいといえます。
クローバーコインが解約・返金手続き
クローバーコインのトラブルの受けて、解約や返金を求めるお客さんも相次いでいますが、多くはまともに対応してもらえていないのが現状です。この章ではクローバーコインにおける解約や返金手続きの内容をまとめました。
未だに返金されていない人も多数
クローバーコインは、2018年7月時点で、2月申請分までは返金対応が終わっているとのことですが、まだお金を返してもらえていない人も多数いるようです。
返金対応をしてもらえる人でも、かなりの時間がかかっているとうかがえます。運営会社の48ホールディングスは2017年11月に返金対応を発表していますが、その後は目立った動向がありません。すべての人が投資分を返してもらえるかは難しいと考えられます。
返金作業には時間がかかる
今回のクローバーコインのようなトラブルが起きた事業者に返金を求めても、その作業には時間がかかると覚えましょう。
クローバーコインでは幸いにも解約や返金要求に対し一定の誠実な対応は見せているようです。しかし詐欺案件によっては全く対応せず、連絡を絶ったままというケースも珍しくありません。
以上からトラブルに遭っても、事業者から返金してもらえる可能性は高くないでしょう。
誠意は見えるが、報告はなし
クローバーコインは公式ホームページで、強制捜査や返金対応などの情報を公表するなど、ある程度の誠実な対応は取っています。しかし実際に詐欺にあった人には、返金を約束してもらっても、報告の連絡が来ないケースもあるそうです。
このようにトラブルが起きた事業者は、最初のうちは返金の約束など誠意のある対応見せても、問題が解決するまでコミュニケーションを続けてくれるとは限らない、と想定すべきでしょう。
クローバーコインの返金方法
運営会社の48ホールディングスの公式ホームページで、会員ログインを行い、解約資料を印刷しましょう。この紙に必要事項を記入して資料送付を行う必要があります。
会員ページには資料一覧があり、11番が解約資料なのでダウンロードとコピーで取り寄せられます。
48ホールディングスによると、クーリングオフ期間関係なく全額返金できるのが多数ですが、中途解約は8割程度の返金です。
クローバーコインの今後
クローバーコインは、今後も目立った活動が見られない可能性が高いでしょう。香港の取引所での上場例が残っているようですが、少なくとも日本での活躍は困難と考えられます。
日本ではJVCEA (日本仮想通貨交換業協会)から上場に値する通貨として正式に認めてもらう必要がありますが、現在までクローバーコインにそうした動きは見られません。以上から、今後もこの仮想通貨が活躍する可能性は限りなく低いのではないでしょうか。
クローバーコインから学べること
クローバーコインの事件は仮想通貨業界にとどまらず、世間に衝撃を与えました。今後投資詐欺事件に巻き込まれないためにも、クローバーコインから学べる教訓を実践しましょう。
セミナーでの言葉を鵜呑みにしない
クローバーコインは積極的にセミナーを開催し、利益を上げられる可能性が高いことを宣伝していましたが、こうしたセミナーでの言葉は鵜呑みにしないことが大切です。
仮想通貨の基礎知識を学びながら情報の真偽を見極め、セミナー講師の言葉が本当に正しいかを検証しましょう。
仮想通貨の運営会社だけでなく、ネットや本、公的機関などからの関連情報を自身から積極的に集め、何が正しいかの判断が大切です。
その場で投資することを決めない
セミナーで仮想通貨に好印象を感じても、その場ですぐに買おうと決めないことが大切です。セミナーでは講師も、お客さんに積極的に宣伝商品を買ってもらおうとします。ポジティブな説明を聞いたあとで買わないことをもったいないと感じる方もいるでしょう。
しかし仮想通貨などの投資案件は不確定要素が多く、セミナーで教えられた内容どおりに相場が動くとは限りません。クローバーコインのような仮想通貨を魅力的と感じでも、考える時間を作ることが大切です。
言葉に騙されない
仮想通貨セミナーでは、「絶対に儲かる」や「日本限定」などの誘い文句に乗らないよう気をつけましょう。仮想通貨はプロトレーダーでも簡単には予測しづらいですし、世界共通の通貨なので日本限定や先行販売、お試しで買えるタイプなどはありません。
セミナーの内容をメモし、一つひとつが正しいかどうかをネット検索などで検証しましょう。裏づけがない情報の場合、投資を控えることも大切です。
仮想通貨は何よりも安全性を意識
仮想通貨に投資するなら、システムの魅力よりも安全性を優先しましょう。たとえばビットコインやイーサリアムの人気仮想通貨はセキュリティが優れており、現在も多くのユーザーから信頼を受けています。
仮想通貨の開発者などのプロフィールなども調べ、実績などの情報が充実しており、信用できる内容かを見極めましょう。
クローバーコイン まとめ
クローバーコインは2017年に登場し話題になりましたが、強制捜査などのトラブルにより現在はほとんど活動していない状況です。投資した結果大損を強いられた人も多く、返金作業に対応してもらえないケースも見られます。
「絶対に儲かる」「紹介で報酬60%」など、大げさに儲かると宣伝する事業者には注意が必要です。だまされないためにも、情報の裏どりなどで内容をチェックしましょう。