ネム (NEM/XEM) 今後・将来性について考察

編集:
安藤 啓明 (Hiroaki Ando)
1分で理解する要約
  • ネムの将来性がわかる
  • ネムの特徴がわかる

ネムとは、2015年に誕生したプラットフォームで「New Economy Movement」の頭文字を取って名付けられました。名前の通り、国や中央銀行などの既存の枠を離れて、新たな経済のしくみを確立することを目的としています。誰でも平等にネットワークに参加できることを理念とし、採用している独自のコンセンサスアルゴリズムにもその理念が反映されているのが特徴です。

本記事では、ネムの将来性を考察していきます。

ネム (NEM/XEM) の特徴

発行上限数に達している

仮想通貨は、発行上限数が決められているものと決められていないものの2種類に分けられます。ネムは発行上限数が決められている仮想通貨で、その数量は8,999,999,999XEMです[1]

かそ部, ネム(XEM) - 基本情報, 2021年6月5日参照

triangle。そしてそのすべてが既に発行、配布済みです。今後ネムが追加で発行される予定はありません。

一般的に発行上限数が決められている仮想通貨は、希少性が確保しやすいので価格が下がりにくいと言われています。

承認スピードが速い

ネムの特徴のひとつに、承認速度が速いという点が挙げられます。これは、ネムネットワークの処理速度が速く、ブロックの生成や取引の承認にかかる時間が他の仮想通貨と比較して短いためです。

たとえば、ビットコインがブロックを1つ生成するのにかかる時間はおよそ10分なのに対し、ネムはブロック1つを約1分で生成します。送金にかかる時間が短いということは、決済などの場面において高い実用性を発揮すると言えるでしょう。

セキュリティレベルが高い

ネムは仮想通貨の中でも、セキュリティレベルが高いことで評価されています。

ネムのセキュリティレベルが高いのは、「Eigen Trust++ (アイゲントラスト) 」という仮想通貨の中では独自のアルゴリズムを導入していることが要因のひとつです。

Eigen Trust++ではノード同士が監視や評価を行い、悪質なノードを発見するしくみになっています。具体的には、虚偽の情報を流すなど信頼性が低いノードがネットワークから自動的に排除されるシステムです。

上記アルゴリズムの導入によって、悪意を持つ者であっても簡単に参加できてしまうP2Pネットワークのセキュリティ問題を解決することに成功しています。

個人でICOができる

ネムはそのプラットフォーム上で、かんたんに独自トークンが作成できます。独自トークンの作成に、プログラミングなどの専門的な知識は必要ありません。そのため、個人であってもICOを行うことが可能です。

ネムのブロックチェーン上で発行されたトークンのことを「モザイク」と呼びます。今後モザイクの作成や販売が盛んに行われるようになれば、会員制度やポイント制度の代替手段となるかもしれません。

ネム (NEM/XEM) 2021年までの価格推移

2015年のリリースから2021年現在までの、ネムの価格推移を確認していきましょう。

2015年3月にネムの発行は開始されましたが、2017年の年始まで1XEM当たりの価格は1円前後で推移していました。2017年3月までは価格が1円未満の日も多かったのですが、2017年3月を過ぎてから徐々にネムの価格が上がり、1円を超えるようになります。この価格上昇は、仮想通貨全体が値上がりしていたことが主な要因です。

仮想通貨市場の拡大とともにネムの価格も上昇をつづけ、2017年12月には、ひと月で価格が50円から100円上昇するといった激しい価格変動も起こります。2018年を迎えてからもネムの価格は高騰し、市場では今後しばらくはこの流れが続くものと思われていました。

しかし、2018年1月26日に国内取引所のCoincheckに外部からの不正アクセスがあり、その結果日本円でおよそ580億円相当の大量のネムが流出してしまう事件が起きてしまいます。[2]

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この事件の影響により、上昇を続けていたネムの価格は急落。2018年1月8日には過去最高価格となる211円を記録していましたが、この事件が起きた後の2018年1月末には1XEM当たりの価格が80円まで急落、その後もさらに下落が続き、4月には20円台にまで落ち込んでしまいました。

2018年から2019年にかけてはときどき値上がりすることもあったものの、基本的には下落が続いています。2019年には価格が10円を下回る日もありました。下落の要因はいくつかあったものの、その中の1つにNEM財団が財政難に陥ったとのニュースが発表[3]

triangleされたことがあります。

しかし、その後ネムは大型アップデート「カタパルト」を行うことを発表し、カタパルトアップデートによって誕生する新たなプラットフォームは「シンボル (Symbol) 」、その内部通貨は「ジム (XYM) 」と名付けられました。シンボルのローンチ予定日が2021年3月であることが発表されると、期待感が高まりネムの価格も上昇。

アップデート直前には、1XEMの価格が約80円まで高騰しました、しかし、2021年3月に行われたシンボルのローンチ後、価格は下落し続け、2021年6月現在においてネムの価格は、20円前後を推移しています。

ネム (NEM) の今後・将来性は?

ネム (NEM) で決済できる店舗やサービスの増加

ネムを決済手段として利用できる店舗やサービスは、年々増えています。今後もこの流れが続き、ネムの需要が高まれば、価格も上昇していく可能性があります。

また先ほども説明したように、ネムはモザイクと呼ばれる独自のトークンを発行可能です。これを利用したプロジェクトもいくつかあり、以下はその例です。

今後も上記のようなネムの活用事例が増えれば、ネムの認知度や信頼性も高まり価格が上昇していくものと思われます。

ネムの取引を行う方は、ネムが今後活用される場面に気を配っておきましょう。

mijinとの提携

日本企業のテックビューロホールディングスが提供している企業向けのプライベートチェーン「mijin」は、ネムのブロックチェーンを基盤に開発されています。

mijinはビジネスのさまざまな分野においてブロックチェーン技術を活かした仕組みを提供しており、既に国内外の企業300社以上において導入実績があります。[6]

mijin公式ページ, mijinブロックチェーンであらゆる価値は躍動する, 2021年6月5日参照

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今後mijinがビジネスの場で採用されるケースがより増えれば、その基盤となったネムも注目されるようになるでしょう。ネムの今後を考える上では、mijinの動向やビジネスの現場における採用も要確認です。

大型アップデート「シンボル (Symbol) 」の実装

2021年3月にネムの大型アップデートにより、新しいプラットフォームである「シンボル (Symbol) 」が誕生しました。シンボルは、ネムとは異なる新しいブロックチェーンです。シンボルはエンタープライズ向けにブロックチェーン技術を提供することを目的に開発されました。
シンボルはまだローンチされてから月日があまり経っていないため活用事例も少ないですが、プラットフォームとして成長を続けていくことで注目度も上がっていくかもしれません。

2021年の大型アップデート「シンボル (Symbol) 」とは?

シンボル (Symbol) とは

シンボルとは、ネムの次期ブランドとして開発された新たなプラットフォームの名称です。ネムが主に個人向けに提供されていたのに対し、シンボルは企業や政府向けに提供されることを想定して開発されています。

シンボルはネムをもとに開発されているものの、まったく別のブロックチェーンで、現在はネムプロジェクトの中にネムのブロックチェーンとシンボルのブロックチェーンが共存している状態です。

シンボルの特徴は、パブリックとプライベートブロックチェーンの両方を兼ね備えたハイブリッドチェーンである点です。パブリックチェーンとプライベートチェーンは、それぞれにメリットとデメリットが存在しており、両者に適した場面があります。これまでパブリックチェーンとプライベートチェーンの間でやり取りを行うには、複雑な仲介システムが必要で、費用や時間などがかかっていました。

しかし、シンボルのハイブリッドチェーンを活用すれば、仲介システムなしでパブリックチェーンとプライベートチェーンの間に互換性を持たせられます。そのため、社外とはパブリックチェーンを、社内や機密情報を取り扱う場面ではプライベートチェーンを利用してやり取りするといった柔軟なシステムの構築が可能です

シンボル (Symbol) とジム (XYM) の特徴

シンボルで使用されている内部通貨は「ジム (XYM) 」と呼ばれます。プラットフォームは異なりますが、ネムの基本的な機能はジム (XYM) にも引き継がれているのが特徴です。

ジム (XYM) には以下のような変更や追加が加えられています。これはエンタープライズ向けのブロックチェーンとして、処理速度やセキュリティ面での向上を図るために実施されたものです。

  • コンセンサスアルゴリズムの変更
  • ブロックの生成にかかる時間が半減
  • プライベートネットワークの追加
  • モザイクの制限
  • マルチシグを複数階層で設定可能となった

なお、説明したようにシンボルの内部通貨はジム (XYM) ですが、国内で取引される際には「シンボル (XYM) 」と表記されます。

ネム (NEM/XEM) とシンボル (XYM) 今後の見通し

DeFi市場への参入

DeFiとは分散型金融とも呼ばれ、2021年現在、ブロックチェーン技術を用いたものの中でも、高い注目度を集めている領域です。

シンボルがローンチしたのと同じ月の3月に、ネムはシンボルと「Fantom Foundation」との提携を発表しています。「Fantom Foundation」はブロックチェーン技術を用いた高性能かつスケーラブルなスマートコントラクトプラットフォーム「Fantom」を開発している組織で、そのネットワークを活かして既にDeFiの分野にも進出しています。ネム (NEM) 公式は、今回のこの提携によって、シンボルが今後DeFiに参加することがより容易になったと述べています。[7]

Twitter, NEM公式Twitter, 2021年6月5日参照

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NFT市場への参入

シンボルが既に進出している領域としてNFT (非代替性デジタルトークン) も挙げられます。シンボルがローンチした翌月の2021年4月には、シンボルブロックチェーン上に構築されたNFTプラットフォーム「NEMBER ART」が公開されています。さらにその翌月の5月には、ネム公式がシンボルを用いて、NFTにおけるスポーツ選手のデジタルコレクションの取引を手掛けていくことを発表しました。[8]

Twitter, NEM公式Twitter, 2021年6月5日参照

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DeFiと並んで現在注目度が高いNFTの領域にもシンボルが参入していけば、今後シンボルがプラットフォームとして注目を浴びるようになるかもしれません。

2022年カタールワールドカップのホテル建設に採用

2022年にカタールで行われるFIFAワールドカップのために建設されているホテルのプロジェクト管理に、シンボルが使用されることが決定しています。[9]

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上記のホテル建設には、およそ120億ドルもの建設予定費がかかっています。それだけ大きな金額のプロジェクトがシンボルの導入によって成功すれば、シンボルの知名度や信頼性も上がると予想されます。

シンボル (XYM) のユースケース

シンボルはエンタープライズ向けのブロックチェーンとして開発されており、幅広いビジネスデータやプロセスの管理、さまざまな価値のトークン化をセキュアに実行可能です。シンボルはその機能を活かすことで、以下のようなシーンで活用されることが期待されています。

  • 店舗やサービスなどでの決済手段
  • 政府や官公庁などのプロジェクト管理目的
  • サプライチェーンの管理
  • エネルギー事業
  • 不動産事業
  • ゲーム事業

また既にシンボルが利用されている事例として、ケンタッキーウイスキーファンドのデジタルトークンをシンボルプラットフォーム上で発行されることが発表[10]

Coin Rivet, NEM and Wave announce launch of Kentucky whiskey fund, 2021年6月6日参照

triangleされたり、イスラエルやリトアニアで事業を行っている通信企業「FIX Network」との提携によって「SIMスワップ」と呼ばれる詐欺をシンボルのブロックチェーン技術で防ぐ取り組みが計画[11]されたりしていることが挙げられます。

ネム (NEM/XEM) とシンボル (XYM) の価格は今後どうなる?

ここまでネムの今後や将来性について解説してきましたが、シンボルが普及していくと、ネムの価格は今後下がるかもしれません。上記のようにシンボルがさまざまな場面で活用されるようになれば、アップデート前の通貨であるネムの取引を行おうとする人が減ると考えられるためです。

しかし、ネムとシンボルは別のブロックチェーンのため、今後両者がそれぞれ別の場面で活用されるようになれば、両方とも価格が上がる可能性も十分あるでしょう。ネムは、一時期1XEM当たりの価格が200円まで上昇したこともあり、今後の動向によってはそれだけ価格が上昇するだけのポテンシャルを秘めていると言えます。

ネム (NEM/XEM) 今後の課題

Coincheck (コインチェック) 流出事件のイメージが強い

ネムの価格が思うように上がらないのは、2018年に起きたCoincheckのネム流出事件のイメージが強いからかもしれません。

もちろん流出事件はあくまでネムが対象として狙われただけで、事件後の調査の結果、当時のCoincheckのセキュリティに問題が合ったことをコインチェック株式会社がプレスリリースで発表しています。[12]

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しかしこの事件が広く報道されたこともあり、ネムのセキュリティに問題があるという誤った認識が広まってしまった可能性もあります。

国内取引所での取り扱いが少ない

ネムは日本人のトレーダーに人気のある仮想通貨のひとつです。しかしその人気の高さの一方、2021年現在では国内取引所での取り扱いは多くないのが現状です。

2021年6月時点で、ネムの取り扱いをしている国内取引所は以下の6箇所です。

  • Coincheck (コインチェック)
  • DMM Bitcoin (DMMビットコイン)
  • GMOコイン
  • bitFlyer (ビットフライヤー)
  • Zaif (ザイフ)
  • Huobi Japan (フォビジャパン)

今後、国内取引所でネムの取り扱いが増えれば、ネムのユーザーが増えて価格が上昇するかもしれません。

類似したプロジェクトの存在

ネムとよく似た性質や機能を持つ仮想通貨として、イーサリアムが挙げられます。イーサリアムはICOやDeFi、NFTといったネムやシンボルが進出する領域において高いシェアを占めている仮想通貨です。ネム今後の課題としては、イーサリアム (ETH) のような他のプラットフォーム型仮想通貨と、どのようにして差別化を図るかという点にあるでしょう。

ネム (NEM/XEM) 今後の見通しや将来性まとめ

ネムとは、以下の特徴を持つ仮想通貨です。

発行上限数すべての通貨が発行済み
取引の承認スピードが速い
オリジナルトークンの作成ができるのでICOが簡単に行える

上記の特徴を活かせれば、今後ネムの価格が上昇していく可能性はあります。

しかし、ネムは2018年のCoincheckの流出事件で被害にあったこともあり、悪い印象を持たれてしまっている可能性もあります。また、似た機能を持つプラットフォーム型仮想通貨の存在もあり、今後は独自の機能をどこまで充実させられるかも課題となるでしょう。

これからネムの取引をする方は、ネムの次世代プラットフォームであるシンボルの最新情報も気にかけておきましょう。シンボルの普及や価格変動に伴って、ネムの価格も変動する可能性があります。

情報ソース・引用元一覧

1

かそ部, ネム(XEM) - 基本情報, 2021年6月5日参照

3
6

mijin公式ページ, mijinブロックチェーンであらゆる価値は躍動する, 2021年6月5日参照

7

Twitter, NEM公式Twitter, 2021年6月5日参照

8

Twitter, NEM公式Twitter, 2021年6月5日参照

10

Coin Rivet, NEM and Wave announce launch of Kentucky whiskey fund, 2021年6月6日参照