この記事のポイント
  • 移動平均線はトレンドに関する全般の情報を分析する指標
  • 短期・中期・長期の3本の移動平均線を活用

移動平均線とは、価格のトレンド方向やトレンドの強弱を見るためによく用いられるテクニカル指標です。

相場のトレンドをとらえることから売買のタイミングを計る法則まで、様々なことに役立つため、多くの投資家が意識するテクニカル指標になります。

今回の記事では移動平均線の基本的な使い方から実際に移動平均線を利用した投資手法までわかりやすく解説します。

株式相場に限らず、FXや先物取引、仮想通貨でも使えるのでぜひこの機会に理解を深めておきましょう。

移動平均線とは

移動平均線とは一定期間内の価格の平均を線でつないで線にしたものです。上図では青い線が移動平均線です。(色はツールごとに異なり、自分で設定することも可能です)

平均価格を用いることで短期的な暴騰・暴落に惑わされることなく、相場の全体的なトレンドを見ることができます。

移動平均線の役割

移動平均線は相場のトレンドを見るのに非常に便利です。(下図赤色)

移動平均線の方向とローソク足の向かう方向がそろっていることが分かると思います。

移動平均線

計算方法と表示方法

実際に移動平均線の計算方法を確認しましょう。ここでは5日間の移動平均線を作ってみます。例えば7日間の価格の終値が以下のようだとします。

計算 例
日数価格終値5日間の平均
1日目100円-
2日目105円-
3日目110円-
4日目115円-
5日目120円➀110円
6日目125円②115円
7日目130円③120円

まず、最初の5日間の価格の平均を計算します。
(110 + 105 + 110 + 115 + 120) ÷ 5 = 110円・・➀

続いて、2日目から次の5日間の価格の平均を計算します。
(105 + 110 + 115 + 120 + 125) ÷ 5 = 115円・・②

次の期間の計算も同様に、3日目から5日間の価格を平均します。
(110 + 115 + 120 + 125 + 130) ÷ 5 = 120円・・③

このように直近の終値を指定された期間で平均し、それらの数値をつなげたものが移動平均線になります。

実際には手動で計算する必要はなく、ツールで機械が自動で算出してくれるので安心してください。

期間別の種類

移動平均線の期間は自由に設定することができます。特に5日、25日、75日、200日の移動平均線は多くの投資家に意識されているため参考にしてみてください。

上記のように、表示する移動平均線は自分のトレード手法に合わせて選ぶのがおすすめです。

三種類の移動平均線

移動平均線には3つの種類があり、それぞれ特徴や計算方法が異なります。具体的な計算方法は覚える必要はありませんが、それぞれの概要を理解しておきましょう。

単純移動平均線

その名の通り、一定期間の終値を平均して線で結んだものです。移動平均線といったら一般的に単純移動平均線のことを指します。先ほど計算例や図で示したものも単純移動平均線です。

加重移動平均線

単純移動平均線より直近の価格に重点を置いた移動平均線です。単純移動平均線に比べて相場の動きに早く反応するため、単純移動平均線と合わせて使われることが多いです。

指数平滑移動平均線

単純移動平均線や加重移動平均線よりも早く反応するという特徴を持つ移動平均線です。

どの移動平均線がおすすめ?

どの移動平均線が一番であるということは断定できませんが、全ての相場において最もポピュラーに用いられているのは単純移動平均線です。

トレードの手法や期間によっても使いやすい移動平均線は分かれているので、自分に合ったものを利用することをオススメします。

移動平均線の使い方 ~見るべき2点~

ローソク足が上か下か

移動平均線とローソク足の位置関係に注目します。

基本的な見方は次の通りです。

移動平均線

  • ➀上昇トレンド・・・・ローソク足が移動平均線より上にある場合
  • ②下降トレンド・・・ローソク足が移動平均線より下にある場合
  • ③レンジ相場・・・ローソク足が移動平均線に張り付いている場合

このようにローソク足と移動平均線の位置関係に注目することで、トレンドをよりわかりやすくなります。

傾きでトレンドの強さを確認

もう一つ注目するべきなのは移動平均線の傾きです。

移動平均線

強い上昇トレンドの時には移動平均線の角度が急な右肩上がりになります。一方で強い下降トレンドの時には急な右肩下がりになるので、トレンドの強弱を素早く判断することができます。水平の場合はどちらに向かうか迷っている段階なのでトレンドの判断はできません。

移動平均線の傾きをローソク足との位置関係と組み合わせてトレンドの強弱をみることで、より正確なトレンドを把握できるようになります。

▶ 『ローソク足』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

移動平均線の期間設定方法

移動平均線の極意は「区切りの良い期間を意識する」

移動平均線の期間は自由に設定できますが、どのように期間を決めればよいのでしょうか。

移動平均線の期間を設定する際に重要なのは、その期間を自分以外の多くの投資家も意識しているのかどうかです。多くの投資家心理が反映されていくのが相場であるのと同様に、大勢の投資家が意識していないインジケーターはあまり意味がありません。

そこで一般的に多くの投資家に意識されている移動平均線の期間をご紹介します。

日足をベースのおすすめ期間設定「5」「25」「75」「200

まずは日足で使われることが多い「5」「25」「75」「200」の期間です。
これらの期間のどこが区切りが良いのでしょうか。

期間「5」は日足でいう5日間、つまり1週間の市場時間を表しています。(月曜~金曜までの市場が開いている期間)

次に、期間「25」の数値は日足でいうと約1ヶ月間を表しています。

1ヶ月や1年など期間は、続いて「75」ですが、こちらは「25」と似ていますが、約3ヶ月間を表してしています。

最後の「200」という期間ですが、これは日足でいう1年間を表しています。

1年は365日ですから200日という数字に疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし1年のうち実際に市場が開いている期間は約200日といわれているため、結果的に多くのトレーダーが200日を取り入れています。

週足ベースのおすすめ期間設定「13」「26」「52

次に週足で使われることが多い「13」「26」「52」の期間です。
まず「13」という期間は週足で約3か月を表しています。続いての期間「26」は週足での約6カ月を表しています。半年という期間はキリがいいため意識されやすくなっています。

最後に「52」という期間です。これは週足での1年間を表しています。3か月、6か月、1年と長い期間でのトレンドをとらえることができるため、自分のトレードの時間軸に合わせて「13」「26」「52」という期間を使ってみてください。

そのほかにおすすめ期間設定「10」「20」「21」「40

これまでご紹介してきた数値以外にも、「10」「20」「21」「40」という数値が多くのトレーダーに採用されています。

これまでと同様に、なぜこれらの数値が意識されるのか考えてみましょう。

まず移動平均線では1週間の営業日である5の倍数が意識されることが多いため、「10」「20」「40」という数字が採用されているということはなんとなく理解できると思います。

では「21」という数字はどこが意識されるポイントなのでしょうか。

株式相場やFXなど全てのチャートには投資家の心理が反映されているため、数学的に美しい数字などが意識されることが多いです。

例えば相場理論の一つであるエリオット波動では自然界の黄金比「フィボナッチ数列」をベースとしており5、8、13、21、34といった数字が応用されています。
またRSIというオシレーターの考案者J・ウェルズ・ワイルダー・ジュニアは7の倍数(7、14、21…)で動くと説いていました。

このようにアノマリー的な観点から「21」という数値は意識されやすくなっています。

投資家に意識される期間はたくさんあります。しかし、どの期間にすればいいかという正解はありません。いろいろな期間を試しながら自分が使いやすい期間を設定するのがいいでしょう。

移動平均線の活用法・実践例

短期・中期・長期の3本を使う

長期トレンドが上昇相場でも、短期トレンドでは下降相場であることがあります。

これに合わせて、移動平均線を3本表示することで相場の流れを把握しやすくなります。

3本の移動平均線による判断

Aの四角で囲まれた範囲では短期、中期、長期のすべてで上昇トレンドである事が分かります。

全ての移動平均線で上昇トレンドであるような場合には、押し目買いなどを上手に使った、トレンドに乗ったトレードがオススメです。

一方でBの四角で囲まれている範囲では、ローソク足が短期線と中期線の下にあり、長期線の上にあります。よって長期では上昇トレンドが継続中ですが、短期的、中期的には調整の段階であると判断できます。

BやCようなトレンドを判断しにくい時にトレードをすると、無駄な損失を出してしまう可能性が高くなります。3本の移動平均線を使って、トレンドが明確に判断できるときにトレードをしましょう。

レンジ相場のシグナル

BやCのようなトレンドが判断しにくいレンジ相場ではボラティリティ(値動きの幅)が小さく、大きな利益を狙うことが難しいです。

ここではレンジ相場に突入する際に現れるシグナルをご紹介します。

白い四角で囲まれた範囲では3本の移動平均線が収束し、傾きも水平に近くなっています。

このようにトレンドが弱まり移動平均線の角度が緩やかになると、3本の移動平均線が水平になり、レンジ相場になります。

なかでも、レンジ相場のシグナルとして一番意識する必要があるのは長期線です。3本の中で一番長い期間の長期線が水平ということは、それだけ長い間明確なトレンドが現れなかったということを示しているからです。期間が長い線であるほど方向性に対する信頼性は上がります。

長期線が水平の時はレンジ相場の始まりを強く表しているため、積極的なトレードは控えておきましょう。

短期と中期を使った売買判断

『良いチャートが見つからなかったので、見つかり次第詳しく書く』

このように短期と中期の移動平均線は支持線や抵抗線として機能しやすく、反発を利用した押し目買いや逆張りトレードなどに利用できます。

長期を使った売買判断

上図では3本全ての移動平均線が上を向き上昇トレンドが継続していました。

しかし、白丸の箇所でローソク足が長期線(赤線)を下抜けたことにより、ローソク足が全ての移動平均線の下になり、上昇トレンドの終わりを表しています。

このように、長期線はトレンドの終了を表す指標として機能しやすいという特徴をもちます。

ただし、これはあくまでも上昇トレンドが終了したという根拠であって、下降トレンドが始まるシグナルとは限らないことに注意しましょう。

移動平均線との組み合わせが有効なテクニカル分析

最後に、特に意識される移動平均線のチャートパターンについてご紹介します。

移動平均線乖離率

移動平均線乖離率とは、現在の価格が移動平均線柄どれくらい離れているのかをパーセンテージ(%)で表したものです。移動平均線から離れすぎたローソク足は、ある所で急激に移動平均線の方へ戻ってくる特徴があります。

上図の白丸のように価格が移動平均線から大きく乖離すると、移動平均線に近付いて元の水準に戻ろうとする力が働きます。したがって、白丸の局面で逆張りすることで勝率の高いトレードをすることができます。

パーフェクトオーダー

パーフェクトオーダーとは、短期・中期・長期全ての移動平均線が順番に同じ方向に並んででトレンドを形成している状態のことです。

パーフェクトオーダー状態では明確なトレンドが発生しているため、トレンドに乗った順張りトレードが有効です。

グランビルの法則

グランビルの法則とは米国のチャート分析家J.Eグランビルが提唱した法則です。相場(価格)と移動平均線の位置関係に着目して売買のタイミングを図る昔からある有名な手法として知られています。

▶ 『グランビルの法則』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロスとデッドクロスは、移動平均線同士の交差から相場転換のタイミングを判断する手法です。

短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けたら上昇トレンドの起点と判断するのがゴールデンクロス、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けたら下降トレンドの起点と判断するのがデッドクロスです。

相場の転換やトレンドの発生を示すシグナルとしてよく見るパターンなので覚えておきましょう。

▶ 『ゴールデンクロス・デッドクロス』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

まとめ

移動平均線の基本的な使い方から実際に移動平均線を用いた投資手法などをご紹介しました。移動平均線は多くの投資家が意識しているテクニカル指標です。

自分のトレード手法に合った期間の移動平均線を組み合わせて、トレードに活用してみてください。