この記事のポイント
  • ボリンジャーバンドは統計学が元になっている!
  • ボリンジャーバンドの3つのパターンを覚えましょう!
  • ボリンジャーバンドの設定期間は人によって様々!

ボリンジャーバンドとは1980年ごろにジョン・ボリンジャーという人物によって考案されたトレンド分析の手法です。

移動平均線という分析指標に、統計学の知見を加えて完成したのがこの手法になります。

統計学とは「バラバラのデータの中の規則性を見つけ出す学問」ですので、様々なトレーダーの動きが反映されるチャートの情報を分析するには大変相性の良い学問と言えます。

学問と言われると一見難しく感じるかもしれませんが、ボリンジャーバンドは大変有用な分析指標ですので、本記事では初心者の方でもわかりやすいように丁寧に解説していきます。

▶ 『ボリンジャーバンド』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

ボリンジャーバンドとは

まずはボリンジャーバンドがどのような指標なのか見ていきましょう。

統計学が元になった指標

ボリンジャーバンドは先述の通り、統計学が元になっています。

この統計学という部分は、 標準偏差から求められる移動平均線を中心としたその上下の帯状のラインのことです。このラインによって囲まれた範囲が、将来の値動きの可能性を示した幅になります。具体的にはボリンジャーバンドの±1σ(シグマ)の中での値動きになる確率は68.3%、±2σ(シグマ)の中での値動きになる確率は95.5%だとされています。

つまりほとんどの値動きは±2σ (シグマ)の中に収まるという考えから、「逆張り」によってポジションを建てる際の王道的なテクニカル指標とされています。ちなみに考案者のジョン・ボリンジャー氏は「順張り」のためのテクニカル指標だと考えているそうです。

ボリンジャーバンドの計算式

標準偏差のことはσ(シグマ)と表します。

σ(シグマ) 計算式

σ=√(期間×期間内の終値の2乗の合計-期間内の終値の合計の2乗) ÷ (期間 ×(期間-1))

  • ±1σライン・・・移動平均線の値±標準偏差
  • ±2σライン・・・移動平均線の値±2×標準偏差
  • ±3σライン・・・移動平均線の値±3×標準偏差

実際のトレードでこの計算式が必要なことはありませんが、±1・2・3σラインがボリンジャーバンドを使う際の具体的な指標になるので、これらがどのような値なのか頭に留めておくと良いでしょう。

ボリンジャーバンド3つのパターン

ボリンジャーバンドには「スクイーズ」「エクスパンション」「バンドウォーク」という基本の3つのパターンがあり、それぞれのパターンから相場の状況を読むことができます。パターンごとの特徴を下の表にまとめました。

ボリンジャーバンドの3パターン
指標スクイーズエクスパンションバンドウォーク
σバンド収束する拡大する拡大する
移動平均線平行に近いトレンド方向への傾きトレンド方向への傾き
ローソク足σを往復する動作トレンド方向への動きσに沿った場所
相場状況値動き幅が小さいトレンド発生中強いトレンド発生中

このボリンジャーバンドの3パターンと特徴は、実際のチャート分析で非常に重要になります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

スクイーズ

スクイーズ」とは英語で押しつぶす、絞るといった意味になります。

ボリンジャーバンドのスクイーズとは、上下のσラインが狭まってきて相場に大きな動きがないレンジ相場のことを指します。

しかし相場はレンジ相場からブレイクした後に大きく動き、大きなトレンドが終わるとまたレンジ相場へ戻るといった繰り返しでできています。

つまりスクイーズが起こっているということは、その後に大きな値動きが控えているということでもあるのです。

エクスパンション

エクスパンション」とは英語で拡大・発展という意味になります。

スクイーズとは逆の状態で、ボリンジャーバンドが大きく広がっていることを言います。大きなトレンドが起こっているときにエクスパンションは発生します。

上の画像の黄色で囲まれた部分がエクスパンションです。

強いトレンドが発生すると上下両側のバンドが広がっていきます。こうなると強いトレンドがしばらく続くことが多いですが、トレンドが終わるタイミングはなかなか読めないため急いで飛び乗ると反転を食らう可能性があります。

バンドウォーク

バンドウォークとは強いトレンドが起きているときに発生する現象で、ボリンジャーバンドの±2σラインにローソク足が沿って並ぶことを言います。

これは一旦ボリンジャーバンドが収束した後に相場が±2σラインを超えると発生することが多いです。


このバンドウォークが発生している間は強いトレンドが継続しているとみることができます。

ボリンジャーバンドの期間設定

ボリンジャーバンドの設定期間は人によって様々で、一概に正しい値はありません。しかしその中でもトレードスタイル別に効果のある設定期間は確かにあります。

ここでは各トレードスタイルに適した期間設定と実際の使い方を紹介します。

トレードスタイルと設定期間の関係

それぞれのトレードのスタイルごとに効果のある設定期間は異なり、それにより表示されるボリンジャーバンドにも違いが出てきます。中でも自分のスタイルと同じ多くの投資家が使っている設定値を使うことで、その指標に基づいて行うチャート分析の精度が高くなります。そして結果的に分析と同じ方向に相場が動くことが多くなるのです。

現代のトレードスタイルは主に「短期」「中期」「長期」に分けられ、それに適したボリンジャーバンドの設定期間はある程度確立しています。それぞれに相性の良い設定期間とその考え方を見ていきましょう。下の表は「短期」「中期」「長期」が実際にどれくらいの時間の幅を指すかまとめたものです。

トレードスタイル
トレードスタイル保有期間
短期(デイトレード)数秒~1日
中期(スイングトレード)数日~数週間
長期(ポジショントレード)数週間~数年

デイトレード時の設定値

デイトレードでボリンジャーバンドを使うときの設定期間は 「9」か「10」が一般的です。デイトレードのような短期間のトレードでは1回でそれほど大きな値動きが期待できないので、エントリーの回数を多くする必要があります。

「9」や「10」のような短期のボリンジャーバンドでは、小さな値動きもチャート上に反映されやすくなるのでエントリーチャンスは増えます。それゆえ、日足よりも短い時間足のチャートに短期のボリンジャーバンドを表示してトレードをすることが多くなります。

ただしエントリーチャンスが多い分、短期トレードにありがちな「ダマシ」も多く発生するので注意が必要です。

editMEMO

「ダマシ」とはテクニカル指標では買いシグナル・売りシグナルが出ているのにそれと反対の方向に相場が動くことを指します。これに引っかかったトレーダーは損失を出すことも多く、この「ダマシ」を完全に回避することはほとんど不可能です。

▶ 『デイトレード』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

スイングトレード時の設定値

スイングトレードでボリンジャーバンドを使うときの設定期間の数値は 「20」「21」「25」が一般的です。これらの数値はスイングトレードをする時だけでなく、標準的なボリンジャーバンドの設定値として使われることも多いです。

スイングトレードは数日から数週間のスパンで取引を行うので、日足や週足を用いて中期的な相場の方向性を見る必要があります。そのため、およそ1か月分の値動きを表す「20」「21」「25」といった数値が適しているのです。またこのような中期の時間足では、デイトレードで用いる細かい時間足よりもスクイーズとエクスパンションの動きが控えめです。

そのため他のトレーダーが中期的な視点で注目している価格帯が掴めるので、「この価格を超えたらエントリー(イグジット)しよう」といった取引の目安が見つけやすくなります。

▶ 『スイングトレード』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

ポジショントレード時の設定値

ポジショントレードにボリンジャーバンドを使うときの設定期間の数値は 「50」「75」が一般的です。ポジショントレードでは長期的視点での値動きを見たいので、このように2~3か月分のデータをもとにするのです。

ポジショントレードでは長期的なポジションの保有が前提になるので、エントリーする前に週足や月足のチャートも見てエクスパンションを確認することが重要です。

長期的な取引なのでエントリーのタイミングを間違えると、大量の含み損を抱えてしまうことも起こります。ポジションを建てる前にはトレンドの向きや勢いとボリンジャーバンドの形をきちんと確認しておきましょう。

設定するうえでの注意点

ボリンジャーバンドの期間設定で重要なのは「相場の何を見たくて、どのような取引をしたいか」を明確にすることです。ボリンジャーバンドは価格がどの範囲まで動く可能性があるかを見るテクニカル指標です。

それぞれのスタイルで適切な設定期間は異なりますが、使い方は基本的に同じです。「エクスパンションは順張りの時に有効」「スクイーズは逆張りの時に有効」といった原則は変わりません。また、機械的に期間設定をいじるだけで簡単に利益が出るわけでもありません。基本となる期間設定を参考にしながら、自分のトレードスタイルや生活習慣、性格など様々な要素を加味して自分に最適な設定値を探してみましょう。

▶ 『ボリンジャー バンドの設定』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

ボリンジャーバンドを実践的に使ってみる

次は実際のチャートの中でどのようにボリンジャーバンドを使うと効果的か見ていきましょう。

トレンド相場

まずはトレンド相場での順張りを見てみましょう。

上の画像はドル円の日足のチャートになります。左から3点エントリーしているのでそれぞれ見てみます。

  • ・-2σを超えてローソク足が確定した地点でショートでエントリー(左の赤丸)
  • ・+2σを超えてローソク足が確定した地点でロングでエントリー(青丸)
  • ・+2σを超えてローソク足が確定した地点でロングでエントリー(右の赤丸)

前半の2回のエントリーではその後ボリンジャーバンドが示す通りにトレンドが継続して順張りは成功しました。しかし最後のロングのエントリーはすぐにレンジ相場に戻ってしまい、トレンド相場での順張りは失敗になってしまいました。このような「ダマシ」も発生することがあるので、損切りを忘れずに設定しましょう。

こちらは同じくドル円日足のチャートですが、2σのみ表示したものです。

このチャートではスクイーズが起こった後に強い上昇トレンドが発生しています。このように±2σや±3σに沿って相場が動くことをバンドウォークと言い、順張りをするには絶好のチャンスになります。

レンジ相場

次はレンジ相場でのボリンジャーバンドの活用法を見てみましょう。

こちらも同じくドル円日足のチャートになります。

  • ・+2σに触れた後に陰線のローソク足が確定したらショートでエントリー
  • ・-2σに触れた後に陽線のローソク足が確定したらロングでエントリー

レンジ相場では2σのラインに触れたところで反転することが多いので、2σのラインを基準にした逆張りはメジャーなトレード方法です。ただし今の相場がトレンド相場かレンジ相場なのかの判断は正しく行う必要があります。

スクイーズとエクスパンション

相場はトレンド相場ともみ合いのレンジ相場の繰り返しのため、ボリンジャーバンドもエクスパンションとスクイーズの繰り返しになります。ボリンジャーバンドが収束しているスクイーズの局面は次のエクスパンションに向けて相場が力をためている段階だと言えます。

スクイーズが終わりを迎える局面では次のトレンドが初動を見せます。ここでσバンドは開き出してエクスパンションを形成しようとします。このタイミングでσバンドがトレンドと同じ方向だけでなくその反対側にも開いているかがとても重要です。エクスパンションが大きく開いているという事は、値動きの幅が大きいということを指すのでトレンドの裏付けになるのです。

ただ先ほども述べた通り、今の相場がスクイーズかエクスパンションかで取引の方法は全く異なります。今がどちらの相場なのかきちんと見極める必要があるのです。またスクイーズの相場で逆張りをしている時には、急なエクスパンションへの転換が始まった時のために損切り注文を入れておきましょう。

ボリンジャーバンドでトレードする際の注意点

ボリンジャーバンドを使う際の注意点も知っておくと「ダマシ」による損失や誤ったチャート分析を少なくすることができます。

スクイーズかエクスパンションかの見極め

先ほど紹介した通り、スクイーズが発生しているレンジ相場ではσバンドを反転のサインとして捉えます。

しかしトレンドが発生しているときにσバンドに触れた場合には順張りのシグナルになります。つまりボリンジャーバンドの形状を見て「これはただのエクスパンションか?」や「ボードウォークも発生しているか?」を判断しなければならないのです。また他にも移動平均線やローソク足などの形も見る必要があります。

基本的にトレードは複数のシグナルを総合的に見て判断を下します。そして多くのテクニカル指標が同じ方向を示しているほどその優位性は高いといえます。それゆえボリンジャーバンドという指標の信頼度は高いですが、他の指標も見て判断を下すことが重要です。1つの指標しか見ておらず、それだけが逆の方向を指していたら大きな損失になってしまうのです。

設定値の限定はトレンドの傾向を逃す可能性

ボリンジャーバンドに限らず全てのテクニカル指標に共通することですが、1つの時間足しか見ていないと小さな「ダマシ」に引っかかる可能性が高くなります。特に短期取引をしているときに小さな時間足のチャートしか見ていないと、大きな相場のトレンドを掴めないのです。

例えば1時間足しか見ないでトレードをしているとそのチャートでは下落トレンドが発生していても、日足や週足で見れば大きな上昇トレンドの中の小さな下落に過ぎなかったというようなケースはとても多いです。

また日足や週足で大きな支持線や抵抗線があるような重要な価格帯に入っていても、それに気づかなければ勝つことは難しくなります。重要な情報を逃さないように複数の時間足を常に見るようにすることが大切です。

まとめ

ボリンジャーバンドはチャート分析の中でも特に有名な指標で、使っているトレーダーもとても多いです。この先の値動きの幅がわかることで分の悪いエントリーは事前にその危険性がわかるようになります。

まずは通常の設定値で試してみつつ、自分のトレードスタイルに適した期間設定をぜひ見つけてみてください。

▶ 『ボリンジャーバンド』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

▶ 『テクニカル分析』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。