この記事のポイント
  • 仮想通貨のセキュリティを向上させるには複数の秘密鍵が用意できるマルチシグが最適
  • 一つの秘密鍵が紛失しても他の秘密鍵が用意されていれば取引や送金を行うことが可能
  • 初心者でも扱いやすいマルチシグに対応しているウォレットはいくつも用意されている

仮想通貨は特定の国で保障されていないバーチャルなお金であり、取り扱いは自己責任です。仮にユーザーの不注意で自分の資産を失うことになっても助けてくれる人はいません。

購入した仮想通貨を取引所に預けたままにするのは危険です。仮想通貨を守るのであれば自分でセキュリティを高めなければいけませんし、 マルチシグを利用して秘密鍵も守るべきです

仮想通貨の運用には秘密鍵の管理が重要となり、ぞんざいに扱っていたら外部から資産が盗難されるリスクが高まります。セキュリティ向上にはマルチシグが必要となるので、マルチシグの導入をオススメします。

マルチシグの前に | 秘密鍵の重要性

秘密鍵は仮想通貨の所有権を主張するために必要な鍵であり、仮想通貨の取引を行う時にランダムで設定される文字列です。金庫を開けるために必要な鍵でもあり、秘密鍵を奪われてしまうと自分の財産も盗難の被害に遭います。 誰にも教えてはいけない鍵が秘密鍵です

ICO (仮想通貨を利用した資金調達)や個人の決済などで秘密鍵を聞かれても教えるのは厳禁です。送金用のアドレスだけで充分であり、秘密鍵を聞き出そうとする相手と出会ったら警戒しましょう。

近年はサイバー犯罪によるハッキング被害が多発しており、秘密鍵の管理を怠ると自分がいつ標的にされてもおかしくありません。個人で扱うウォレットはセキュリティを意識するべきですが、仮想通貨取引所も秘密鍵をきちんと管理しなければいけません。

2018年1月には取引所のCoincheckがハッキングの被害に遭って、600億円相当もの仮想通貨ネムが奪われる事件が起こりました。Coincheck事件は取引所のセキュリティの不備が原因で起こり、一時は取引所の資産自体が凍結にまで追い込まれています。

盗難の被害に遭った資産の補てんは行われましたが、 Coincheck事件をきっかけにセキュリティの重要性が問われるようになりました。Coincheckも自社のセキュリティ改善を目指し、マネックスグループの参加に入ることでサービスの向上を目指しています。

Coincheckは利用しやすさを追求したかわりにセキュリティが不充分でした。日常で使うPCやスマホもセキュリティを設定する必要があるように、秘密鍵にはマルチシグが必要です。

▶ 『Coincheck (コインチェック) の事件』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

マルチシグとは

マルチシグとは複数の秘密鍵を設定できるシステム

マルチシグは『マルチシグネチャ』の略称であり、セキュリティ向上のために作られました。複数の秘密鍵を設定すればハッキングを受ける危険が下がりますし、ウォレットのセキュリティが高まります。

仮想通貨の取引には承認が必要です。マルチシグを導入することで、必要になる承認が半数以上になります。たった一つの秘密鍵が漏えいしても、不正な送金をされることはありません。個人でも仮想通貨を管理する際は、 マルチシグが設定されたウォレットを選ぶことがオススメです

マルチシグの仕組み

マルチシグのために取引(トランザクション)の署名を複数することで、秘密鍵を分散して管理することができます。

具体的には『2 of 3』と呼ばれるシステムが働いていて、3つの秘密鍵から2つの秘密鍵で署名によって取引が成立します。セキュリティを充実させている仮想通貨取引所では、複数の秘密鍵を用意しています。

マルチシグのメリット

マルチシグには大きなメリットがいくつもあります。コインチェック事件で盗難の被害に遭ったネムだけでなく、あらゆる仮想通貨を守るために必要な秘密鍵は多く揃えた方が安全です。

メリット1 セキュリティが向上

近年はハッキングする側の技術も向上しているので、セキュリティは常に高めていく必要があります。 秘密鍵がたった一つだけでは資産が盗難の被害に遭うリスクが高まります

自分だけは被害に遭わないという意識を持たず、常に秘密鍵は多く用意しておきましょう。仮想通貨の普及はこれから広まっていくので、自発的にセキュリティを整えることが大事です。

メリット2 秘密鍵を紛失した時に役立つ

秘密鍵を紛失した時にもマルチシグが役立ちます。一つの秘密鍵がなくなる事態になっても、 他の秘密鍵を用意していれば仮想通貨の利用が可能です

自分で徹底した管理をするべきですが、予想外のトラブルで紛失するリスクをゼロにすることは不可能です。予備の秘密鍵を用意できる視点から見ても、マルチシグによる複数の秘密鍵を用意するメリットは大きいです。

マルチシグのデメリット

マルチシグも決して万能ではありません。人間がマルチシグのことを理解しなければセキュリティの役割を果たすことは不可能であり、ハッキングの被害に遭います。

マルチシグに関するデメリットもきちんと把握すれば、自分の資産を守れます。デメリットを踏まえた上でマルチシグを利用して、仮想通貨のセキュリティを高めていきましょう。

デメリット1 手数料が高くなる

マルチシグはセキュリティが充実しますが、仮想通貨を守るための秘密鍵を複数用意する必要があるので、 送金する際に手数料がかかります。節約をしたい方にとってマルチシグは向かないでしょう。

手数料は微々たる数であり、日本円に直せば10円から100円単位であることが多いです。手数料に見合ったセキュリティを提供してくれるので、必要経費として考えた方がオススメです。

▶ 『仮想通貨・ビットコイン取引所の手数料比較ランキング』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

デメリット2 設定が大変

複数の秘密鍵を用意できることがマルチシグの利点ですが、それぞれの秘密鍵を別の場所に保管する必要があるので設定に手間がかかります。セキュリティが高度になるほど秘密鍵を設定する手間が増えてしまいます。

デメリット3 鍵の分配をどうするか

秘密鍵は 一つのPCだけに保存してはセキュリティが向上しません。複数のPCやスマホなど分配先を用意して、それぞれの媒体にどれだけの秘密鍵を分配するかを決める必要があります。
セキュリティの高い仮想通貨取引所では秘密鍵の分配をきちんと決めており、顧客から預かった仮想通貨を守っています。複数人から承認を行った上で送金が実行されるので、秘密鍵が漏れるリスクが減ります。

マルチシグ対応ウォレット

仮想通貨は種類ごとに性能や制作方法が異なるので、ウォレットの特徴も千差万別です。マルチシグに対応するウォレットは複数あり、メリットとデメリットも別れています。
そのウォレットの対応通貨をきちんと把握した上で、自分が利用する端末にウォレットをダウンロードしましょう。

▶ 『仮想通貨のウォレット』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

Bitgo

Bitgoは高いレベルのセキュリティを誇るウォレットであり、ビットコインを保管するために利用するマルチシグに対応したウォレットです。初心者でも扱いやすいほどにシンプルなシステムであり、複数のデバイスからログインするには認証が必要なので外部からの不正もされにくいです。

日常の決済でも利用することが可能ですが、決済利用の度に認証確認を行う手間がかかることがデメリットです。手間がかかる分だけセキュリティが高いので、 安全にビットコインを利用したい人にオススメできます

Copay

Copayはアメリカのbiypay社によって作られたウォレットであり、ビットコインの運用に役立ちます。対応する通貨はビットコインとビットコインキャッシュに限られていますが、 日本語で利用できることが大きなメリットです

iOSとAndroid、WindowsとMacと幅広いOSに対応しているので幅広いユーザーが利用できるでしょう。マルチシグにも対応していることでセキュリティに優れており、初心者でも利用しやすいウォレットと呼べます。

▶ 『Copay (コーペイ)』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

NanoWallet

NanoWalletはNEM財団によって制作されたウォレットであり、インターネットから切り離されたデスクトップウォレットです。NEMとNEMトークンのモザイクのみに対応したウォレットであり、ビットコインなどの仮想通貨を保存するのは不可能です。

NanoWalletのみに限定されたサービスを利用することが可能であり、スマホアプリのNEMWalletと提携ができます。NEMを長期的に利用したい人にとってはオススメのウォレットでしょう。

▶ 『Nano Wallet (ナノウォレット )』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

マルチシグ応用例

マルチシグは一つの秘密鍵をなくしても、他の秘密鍵を利用すればロックを解除できることが大きな利点です。複数の秘密鍵が用意されていれば、紛失した時に慌てることも無くなります。
マルチシグの利点を生かしたサービスも実施されており、資金の保管に役立ちます。マルチシグエクスローと呼ばれるシステムが応用例として有名で、多くの人から利用されています。

マルチシグエスクロー

マルチシグエスクローとは 仮想通貨の決済によるトラブルを避けるためのサービスです。エスクローとは商売で買い手と売り手の間に仲介する第三者のことであり、マルチシグエスクローは仮想通貨の取引に介入して公平性を判断する第三者を意味します。

秘密鍵の一つをマルチシグエスクローに渡すことで、不正な取引を防止することができます。取引でお金を支払っても商品が届かない場合、秘密鍵を所持する第三者がいれば仲裁も可能です。

不正を防止するための第三者の介入にもマルチシグは役立ち、マルチシグエスクローによって仮想通貨の騙し取りも防止できます。お金が届かなければ、エスクローによって返金をされる仕組みにもなっています。

マルチシグの課題

鍵をいくつかに分散できるマルチシグは、仮想通貨を盗まれないようにするためのセキュリティ向上施策のひとつです。しかしこのマルチシグを運用するにあたって、次の4つの課題があります。

マルチシグの課題
  • 設定が面倒
  • セキュリティの穴
  • 鍵の持ち主の選定
  • コールドウォレットとの併用

設定が面倒

マルチシグをウォレットに設定するときは手順が複雑です。仮想通貨取引所を利用している方であればマルチシグの設定をするかどうかは仮想通貨取引所の判断になるため、設定は不要です。ですが自分でウォレットを用意している方は自分でマルチシグの設定を行う必要があり、やや面倒でしょう。

セキュリティの穴

マルチシグにしたからといってセキュリティが完璧になるわけではありません。たとえば3人のうち2人の署名が揃えば送金できる 「 2of3 」 の設定にしたとき、自分以外の2人が結託すれば仮想通貨をかんたんに送金できてしまいます。

マルチシグはあくまで鍵をいくつかに分ける方法であって、その鍵をもつ人をコントロールできるものではありません。

鍵の持ち主の選定

マルチシグを運用する上で、 鍵の持ち主となる人を選定することは非常に重要な課題です。鍵の持ち主が不正することでセキュリティは崩れてしまいますし、鍵を保有していることを誰かに知られることで鍵の持ち主が危険にさらされる可能性もあります。

鍵の持ち主を選ぶときは、セキュリティー意識が高く、不正を行わないような人物を選定しましょう。

コールドウォレットとの併用

マルチシグは コールドウォレットと併用することでより高いセキュリティを構築できます。コールドウォレットとはオフラインで秘密鍵を管理するタイプのウォレットのことで、ハードウォレットやペーパーウォレットがそれに当たります。

マルチシグで鍵を分散させ、かつその鍵をハッキングされることがないハードウォレットに保存することで、分散した鍵を盗まれるリスクを低くできます。

▶ 『コールドウォレット』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

まとめ

マルチシグは仮想通貨を守るセキュリティの一つであり、秘密鍵はこれから仮想通貨を利用する人にとって忘れてはいけない鍵になります。手数料や設定の手間がかかりますが、 設定した分だけセキュリティの質も向上します

仮想通貨は期待されている技術の一つであり、違法に奪い取ろうとする人も多いです。ハッキングの被害から自分の資産を守るためにも、マルチシグの仕組みは学ぶことをオススメします。

コインチェック事件などの大事件について知りながら、マルチシグの重要性について学んでおくことをオススメします。過去の事件を振り返りながら、自分にとってベストなウォレットを選びましょう。

▶ 『仮想通貨・ビットコイン取引所のセキュリティ・安全性比較情報』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。

執筆者情報
仮想通貨部 かそ部 編集部

名前。 はじめまして。本サイトの執筆を担当している、「仮想通貨部 かそ部」編集部です。本サイトは、仮想通貨の総合情報サイト「仮想通貨部 かそ部」の運営や、各種Web情報メディア事業を展開するドットメディア株式会社により運営されております。編集部一同、正確な論拠に基づいた調査のもと、読者(ユーザー)様にとって正確かつ最新の情報をお届けできるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

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