- 取組高とは未決済の総建玉数のこと
- 出来高と値動きの関係に注意!
「取組高」とは未決済の総建玉数のことです。簡単に言うと反対売買されずに残っている売買契約の数量のことです。 取組高を理解することで、相場のトレンドを読み、有利に取引を行うことが可能になります。
本記事では用語が似ている「出来高」との違いや「取組高」の利用の仕方について丁寧に解説します。ぜひこの機会に理解を深めてください。
『取組高』とは
まず『取組高』と『出来高』の違いについて確認しておきましょう。
- 取組高・・・未決済の建玉の総量のこと
- 出来高・・・買い注文と売り注文が成立した数量のこと
▶ 『出来高』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。
先物取引において市場に残っている未決済の総建玉数のことを取組高といいます。 日本の商品取引所では出来高や取組高を公表しており、これは投資家にとって非常に意義ある重要な情報です。
例えば取組高100枚というのは、買建玉と売建玉の両方それぞれ100枚が未決済である状況を指します。
出来高と値動きの関係
出来高は一般に、市場の人気や規模を表す指標として注目されます。
取組高と値動きの関係は、出来高と値動きの関係とほぼ同様で、相場が上昇トレンドか下降トレンドか、取組高が増加か減少かによって大きく4つのパターンに分かれます。
上昇トレンドで出来高が増加
これは新規買いによって資金が流入していることを示しています。さらに、上げ局面で評価損の膨らんだ売り方が手じまい買いを誘います。
そのような要因によって、この場合の相場は強気になります。
上昇トレンドで出来高が減少
このときの相場は上昇しているのに売り方の損覚悟の手じまい買いが主導しており、資金は市場に流入していません。どちらかといえばむしろ、資金は流出気味です。この買い戻しが一巡すると、上昇を継続させる力が不足するようになります。
したがって、この場合の相場は弱気になります。
下降トレンドで出来高が増加
新規売りによって資金が流入していることを示します。また取組高が増えて下降トレンドが続く状況では、高値での買い建玉の評価損が膨らみます。
この評価損の膨らんだ買い方が投げ売りを誘い、この場合の相場は弱気になります。
下降トレンドで出来高が減少
買い方の手じまい売りが下降を引き起こしていると考えられます。これが一巡すれば、下落に歯止めがかかります。
したがってこの場合の相場は強気になります。
出来高・取組高と値動きの関係をまとめた表がこちらです。
パターン | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
取組高 | ↑ | ↑ | ↓ | ↓ |
出来高 | ↑ | ↓ | ↑ | ↓ |
市場要因 | 新規買 | 新規買 | 買戻し | 買戻し |
基調 | 強気 | 堅調 | 堅調 | 弱気 |
パターン | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
取組高 | ↑ | ↑ | ↓ | ↓ |
出来高 | ↑ | ↓ | ↑ | ↓ |
市場要因 | 新規売 | 新規売 | 転売 | 転売 |
基調 | 弱気 | 軟調 | 軟調 | 強気 |
取組高から分かること
売買を行う際に誰でも必ず見るのは相場の動向だと思います。直近のトレンドや長期的なトレンドはどうなっているか、短期的なトレンドと長期的なトレンドは一致しているのかなどに着目するでしょう。 今後の相場の動向がどうなるかを見極め判断するためには、現在の動向を確認する必要があります。
それとあわせて取組高も見ることで、自分の判断に根拠をつけることができます。
前述のように、相場と取組高の関係によって売買における心理的要因も大きく変化します。したがって、取組高を見ることは相場の動向を把握し予想するために不可欠といえます。
▶ 『トレンド』についてくわしく知りたい方はこちらの記事が参考になります。
取組高を見る上でのワンポイント
取組高を見るときに一緒に見るべきなのが出来高です。出来高は、売買が成立した時点での市場のエネルギーを表します。同じ幅の価格上昇でも、出来高が少ない時点の価格上昇よりも大きな出来高を伴った価格上昇のほうがより意味深いといえます。
逆に、同じ出来高であっても新規注文の比率が決済を行う仕切注文の比率を上回ったときに取組高が増加し、逆の場合は減少します。
出来高と取組高の関係を注意して見ることが今後の相場動向を探る手がかりになります。取組高を見る際は必ずあわせて出来高も見るようにしましょう。