- 先物取引は満期日がある取引のこと
- 満期日を迎えると取引所によって自動的にポジションが決済される
- 暗号資産(仮想通貨)の先物取引が行える国内取引所はbitFlyerだけ
「暗号資産(仮想通貨)の先物ってよくわからない・・・」そうお悩みではありませんか?本記事では暗号資産 (仮想通貨) の先物取引について知りたい方のために、先物取引の特徴やメリット・デメリット、現物取引との違いについてまとめました。本記事を読むことで、暗号資産(仮想通貨)の先物取引がどういう取引なのかわかります。
暗号資産(仮想通貨)の先物取引の特徴
限月という決済期日が存在する
先物取引の特徴は、取引が満了する期日が決められている点です。たとえば2021年5月11日に取引が停止される先物は、取引所によって表記は異なりますが、「BTC/JPY-11MAY2021」というシンボルで表されます。この取引が停止される期日を満期日または限月 (げんげつ) と呼びます。
なぜ取引が停止される期日が決まっているかというと、先物取引は「あらかじめ○月○日に△△円で買う (または売る) ことを約束する取引」だからです。よって○月○日を迎えると取引は終了し、ポジションが取引所によって自動的に決済されます。
先物取引の取引方法は2通りあります。「満期日に市場価格が△△円以上になっている」と予測するのであれば△△円の買いポジションを持ち、「満期日に市場価格が△△円以下になっている」と思えば△△円の売りポジションを持つだけです。そのまま満期日を迎えると、取引所によって市場価格を参考にした清算値 (SQ値) で決済され、ポジションとの差額が口座に入ります。
なお満期日を迎える前に反対売買を行い、ポジションを清算することも可能です。
レバレッジがかけられる
先物取引では、レバレッジをかけたトレードを行えます。たとえばレバレッジ4倍に設定できる取引所を利用し、証拠金として100万円入金すれば、400万円分の注文を出せます。資金を効率的に利用できるのは、メリットといえるでしょう。
売りから取引がはじめられる
先物取引では、売り注文から取引をはじめられます。そもそも先物取引は、将来の特定日における商品の価格を予想する取引です。「○月○日に△△円よりも価格が上がる」と思えば「△△円で買い注文」を出しますし、価格が下がるとトレーダーが予想するのであれば売り注文を出せます。下落相場でも利益を出すことができる点は、現物取引にはない魅力です。
ロスカットがある
先物取引でポジションを建てたあと、相場が予想と逆に動くと、ポジションが取引所によって強制的に決済されることがあります。これをロスカットと呼びます。ロスカットが発生するとポジションの損失が確定してしまい、証拠金の現金残高が減ってしまうでしょう。
ロスカットが発生するのは、証拠金維持率が取引所の求める水準を割ったときです。レバレッジ倍率が高ければ高いほど、市場価格の変動が証拠金維持率に及ぼす影響は大きくなるため、ロスカットされやすくなります。
追証が必要な場合もある
ポジションが取引所によって強制決済されてもなお、証拠金維持率が取引所の求める水準を割っている場合は、追加で証拠金の入金を求められることがあります。これを**追証 (おいしょう) **といいます。追証が発生したときは、取引所が求める日時までに、指定された証拠金を入金しなければなりません。追証を支払わなければ、トレードを再開できないでしょう。
ビットコイン以外の先物取引できる暗号資産(仮想通貨)の種類
イーサリアム先物
イーサリアム先物は、多くの暗号資産(仮想通貨)取引所で上場しています。限月ありの先物と限月なし (無期限) の先物取引がありますが、限月ありのイーサリアム先物を取扱っている取引所は以下です。
- BINANCE
- OKEx
- BitMEX
- FTX
- Huobi Futures
- Deribit
- Kraken
- KuCoin Futures
上記の取引所は暗号資産(仮想通貨)だけを取扱う業者ですが、伝統的な取引所でもイーサリアム先物が取引されています。たとえば米国商品先物取引委員会によって認可されている先物取引所ErisXにおいて、2020年5月にイーサリアム先物が上場しました。
さらに米大手先物取引所CME (シカゴ・マーカンタイル取引所) においても、イーサリアム先物の上場が検討されていると2020年10月に報じられています。
リップル先物
リップル先物は、下記の暗号資産(仮想通貨)取引所で上場しています。
- BINANCE
- OKEx
- BitMEX
- FTX
- Huobi Futures
- Deribit
- Kraken
- KuCoin Futures
- Crypto Facilities
リップル先物の歴史は古く、英国の暗号資産(仮想通貨)取引所Crypto Facilitiesにおいて2016年から取引されていました。
暗号資産(仮想通貨)の先物取引とは
ビットコインを例に説明したいと思います。ビットコインの先物取引には取引方法が2種類あり、買い注文と売り注文が可能です。たとえば9月1日のビットコイン価格が100万だった場合の買いと売りそれぞれの注文から、決済の流れを説明していきます。
買い注文
満期日 (ここでは11月1日とします) までに100万円以上になっていると予想したとき、先物取引で買い注文を入れます。数量を1BTC、指値100万円で買い注文を出します。注文が約定したら、そのまま期日の11月1日まで待ちましょう。
満期日 (11月1日) におけるビットコインの市場価格が1BTC=110万円になっていたとき、差額の10万円が利益となります。反対にビットコインの市場価格が90万円へ下落していたときは、差額の▲10万円が損失となるでしょう。
売り注文
現在のビットコイン価格100万円よりも、満期日時点の価格が安くなると予測するのであれば、売り注文を行いましょう。数量1BTC、指値価格100万円で売り注文を行います。満期日のビットコイン価格が100万円以下であれば、100万円との差額が利益となるでしょう。たとえば1BTC=90万円になっていたとき、差額の10万円が利益となります。
暗号資産(仮想通貨)先物取引のしくみと用語
限月
限月 (げんげつ) とは、先物の期限が満了する月のことです。日本では、大阪取引所でさまざまな金融商品の先物取引が行われておりますが、その大阪取引所の先物取引において、限月が3、6、9、12月に設定されています。
なお暗号資産 (仮想通貨) の先物取引の場合は、取引が満了する期間の基準を「週」とする場合があります。たとえば直近の金曜日に満期を迎える「1週間先物」、12週間先物から1週間後に満期となる「2週間先物」などです。この「月」以外を基準とする満期のことは、「満了日」と言い換えたほうがいいかもしれません。
レバレッジ
レバレッジとは、口座残高よりも大きな額のポジションを持つ取引、および入金した資金額に対する、増幅できる倍率を指します。たとえば100万円のポジションを持つときの必要証拠金が25万円である場合、その取引のレバレッジ倍率は4倍です。レバレッジ倍率4倍の取引所を利用するユーザーは、証拠金を取引所に預入れることで、資金を4倍に増幅してトレードできます。
追証
**追証 (おいしょう) **とは、預入れている資産の価値が相場の変動によって、取引所の求める基準を下回ったときに追加しなければならない証拠金のことです。追証になった場合、取引所の指定する期日までに指定された金額を差し入れなければなりません。
ロスカット
ロスカットとは、取引所によって強制的に、保有しているポジションを強制決済されることです。ロスカットが発生するのは、取引所に預入れている資産の価値が、相場の変動によって取引所の求める「ロスカット基準」を下回ったときです。ロスカットはユーザーの口座残高が0になる手前に発動するものであり、ユーザー資産を保護する目的で執行されます。
暗号資産(仮想通貨)の現物取引と先物取引の違い
注文の種類
現物取引は買い注文だけですが、先物取引は売り注文からでも取引がはじめられます。売り注文からはじめる場合は、取引所からビットコインを借りる形になります。
レバレッジがあるかないか
先物取引は現物取引ではできないレバレッジをかけられます。日本ではレバレッジの規制が2~4倍と厳しく設定されているところが多いです。
暗号資産(仮想通貨)の先物取引のメリット
少ない資金で大きな取引ができる
先物取引ではレバレッジをかけられ、少額の資金でも大きい取引が可能となります。高いレバレッジ倍率をかけられその分大きい利益を狙えます。
売り注文からスタートできる
また現物取引では不可能な売り注文からはじめられる点もメリットです。相場が下落傾向にある場合だとしても売り注文で利益が狙えます。
売り注文と買い注文をうまく使えば大きい利益が狙えます。
暗号資産(仮想通貨)先物取引のデメリット
ボラティリティが大きいので予測がつきにくい
数週間後の価格が予測しづらく、決済時の利益や損失を推測することは難しいです。
レバレッジによる損失拡大
先物取引はレバレッジをかけれるため口座残高より多額のポジションを持つことが可能で大きな利益を狙えますが、同時に損失も大きくなります。たとえば現物取引で30万円分の取引を行うときと、レバレッジをかけて120万円分の取引を行うときを比べてみましょう。
暗号資産(仮想通貨)の価格が10%減少したとき、30万円の現物取引の含み損は3万円ですが、レバレッジをかけて120万円の取引を行ったときの含み損は12万円となります。レバレッジをかけると取引する金額が大きくなるため、その分の損失額が大きくなります。
ロスカットの可能性がある
強制的にロスカットされるとレートの反発による利益が得られる可能性がなくなります。
取引期限をすぎたら強制決済される
現物の受取期日がすぎると証拠維持率を下回らなくても強制的に決済されてしまいます。
暗号資産(仮想通貨)の先物取引ができる取引所
bitFlyer (ビットフライヤー)
bitFlyerでは、ビットコインの先物取引が行なえます。レバレッジ倍率は最大4倍です。先物取引のサービス名は「bitFlyer Lightning Futures」です。提供されている先物は、次の3種類の満期日のものです。
上記のビットコイン先物のほかに、ビットコインのレバレッジ取引できる「bitFlyer Lightning FX」、現物取引所や販売所などもあります。初心者から中~上級者まですべてのユーザーが満足できる取引所といえるでしょう。
証拠金の預入方法
bitFlyerで先物取引を行うとき証拠金として預入できるのは、日本円とビットコインの2種類です。ここでは日本円を証拠金として預けれる手順を解説します。手順は次の2ステップです。
最初にbitFlyerの口座に日本円を入金しましょう。口座へ入金するには、左メニューから①「入出金」をクリックし、②「日本円」③「入金」と進みます。
そして表示されるいずれかの入金方法を選択し、画面に従って手続きを行ってください。口座へ着金したら、bitFlyer Lightningのページへ移動し、資金を移動しましょう。
左メニューから「bitFlyer Lightning」を選択します。そうすると、先物取引が行える、中上級者向けの取引サービスbitFlyer Lightningの画面が表示されます。
左にある「メニューボタン」をクリックします。メニューが表示されますので、「入出金」をクリックしましょう。画面を下にスクロールすると、「Lightning FX/Futures 証拠金」という画面が現れます。
通貨選択画面で日本円を選択し、預入れる金額を入力しましょう。そして「証拠金口座へ預入れる」ボタンを押します。以上で証拠金口座への預入は完了です。
ビットコイン先物の影響
ビットコイン先物は暗号資産 (仮想通貨) 取引所では2017年以前から提供されてきました。ですが株価指数や金先物などの一般的な先物取引やオプション取引を取扱う、伝統的な取引所においてビットコイン先物が取扱われはじめたのは、2017年12月ごろです。」
米国の大手取引所CMEとCBOE (CBOEは2019年にビットコイン先物を廃止) が採用しました。
伝統的な取引所がビットコイン先物を上場したことで、巨額の資金を運用する機関投資家がビットコイン先物を取引するようになったとのことです。そして暗号資産(仮想通貨)の暴落を引き起こす一因になったとされています。
先物取引において買い建玉よりも売り建玉の金額が大きければ、トレーダーの多くは「ビットコイン価格が将来的に下がる」と予測しているということです。暗号資産(仮想通貨)が大暴落した2018年には売建玉が買い建玉よりも数倍多く、多くのトレーダーが悲観的な見方を示していたことがわかっています。
暗号資産(仮想通貨)の先物取引に関するQ&A
現物取引と先物取引の違いはなんですか?
先物取引が現物取引と異なる点は、主に次の3つがあります
「将来」の価格で取引する
現物の受け渡しを行わない
レバレッジをかけられる
現物取引は「今」の市場価格で売買を行うのに対し、先物取引は「将来」の (予想) 価格で売買を行うことが特徴です。また現物取引は現物の受け渡しを行いますが、先物取引は行わずポジション価格と決済価格の差額が口座に反映されます。
そして先物取引はレバレッジをかけて取引できることも大きな魅力です。ポジションの価格よりもはるかに少ない自己資金の入金だけで済みますので、資金を効率的に利用できます。
ロスカットとはなんですか?
ロスカットとは、ポジションの含み損が取引所の定める水準まで膨らんだとき、取引所によって保有しているポジションを強制的に決済させられることをいいます。ユーザーの証拠金残高の減少を一定程度で止めるために発動されるものです。
暗号資産(仮想通貨)の先物取引のまとめ
暗号資産 (仮想通貨) の先物取引は、将来における価格の変動を予想することによって行う取引で、満期日を迎えると自動的にポジションが決済されることが特徴です。先物取引を試してみたい方は、bitFlyerで口座開設してみることをおすすめします。