仮想通貨の歴史とこれからの展望を時系列で読み解く

仮想通貨の誕生

仮想通貨は、2008年10月にサトシ・ナカモトと名乗る匿名の人物がインターネット上に公開した「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」というビットコイン (BTC) についての論文から始まりました。この論文がきっかけとなり、複数の開発者が協力してブロックチェーン開発を進め、2009年にブロックチェーン最初のブロックといわれるGenesis Blockが誕生しました。

サトシ・ナカモトの正体は未だにわかっておらず、名前から日本人なのではという噂もありましたが、真実は謎に包まれたままです。

その後、2009年にはじめてビットコインと法定通貨の交換レートが提示され、そのレートをもとに世界ではじめて5,050ビットコイン、当時の額で5.02ドルで購入されました。2010年にはアメリカで1万ビットコインでピザ2枚を交換され、ビットコインがはじめて決済に使われた瞬間でもあります。この出来事があった5月22日は、今でも仮想通貨ユーザー間で「ビットコイン・ピザデー」として親しまれています。

2009年の初ビットコイン取引以降、アルトコインと呼ばれるビットコインから派生した仮想通貨も次々と生まれます。仮想通貨は中央の管理者が存在しない画期的なシステムとして登場して以来、暴落や下落相場や停滞はありつつも、全体的には右肩上がりの成長を続けています。

仮想通貨/ビットコイン (BTC) の価格サイクル

Coinbaseが2021年に発表した公式文献によると、2010年以降4つの主要な仮想通貨の価格サイクルが観測されています。各サイクルの期間は約2年から4年の間で変動しており、仮想通貨市場全体の時価総額は前回のサイクルよりも大幅に増加していることがわかります。また2020年後半に突入したと思われるサイクルの前に起きた3つのサイクルでは、価格はそれぞれピークから下落したものの、前回のピークよりも高い谷に収まっています。これらのサイクルは、ビットコインの価格を対数スケールで経時的に見るとわかります。

それら4つの価格サイクルに沿って、イベントを振り返ってみましょう。

  • サイクル1 2008~2012年
  • サイクル2 2012~2016年
  • サイクル3 2016~2019年
  • サイクル4 2020~2021年

サイクル1

2008年サトシ・ナカモトを名乗る人物が論文を発表
2011年TIME誌の紹介で価格上昇
2012年初の半減期

2008年にサトシ・ナカモトを名乗る人物がインターネット上に論文を発表しました。2009年にビットコイン (BTC) のソフトウェアが発表、2010年にはビットコイン (BTC) の取引所が誕生し、以後仮想通貨が世界に広まり始めます。

2011年にはアメリカの大手メディアTIME誌で紹介されたことをきっかけに、価格が1BTC=約1,500円まで急騰し、ビットコイン (BTC) は世界中から注目を集めることになりました。しかし、仮想通貨取引所Mt.Goxがハッキングを受けて相場は300円台まで下落します。

2012年にはWordPressがビットコイン (BTC) 決済を採用したことや、初の半減期を迎えたことが追い風になり1BTC=1,000円台まで価格が回復しました。

サイクル2

2013年キプロス危機により価格上昇
2014年Mt.Goxがハッキングを受け閉鎖
2015年ニューヨーク州が「Bit License」を導入

2013年は「キプロス危機」によるヨーロッパの混乱で、ユーロの避難先としてビットコイン (BTC) に資金が集まったり、中国の大手検索サイト「百度 (バイドゥ)」がビットコイン (BTC) を決済方法として採用するなどして価格が上昇しました。

さらに日本でもNHKでビットコインの特集が組まれるなど、日本国内での仮想通貨の認知度も上昇し、価格は一時1BTC=約12万円まで高騰しました。しかし、2013年12月に中国政府がビットコイン (BTC)の取引を禁止したことにより、仮想通貨の快進撃は一度止まります。

大幅な成長を遂げた2013年から一転して、2014年はMt.Goxが再びハッキングを受け85万BTCが盗まれた事件をきっかけにビットコイン (BTC) の価格は急落し、その後は大手IT企業のビットコイン決済導入により相場は回復しますが、2015年は停滞期が続きます。

2014年に続き、2015年も仮想通貨取引所であるBitstampがハッキングの被害に遭いました。相次ぐハッキング事件を受けて、ニューヨーク州ではビットコイン (BTC) を扱う事業者を免許制とする「Bit License」が導入されました。また2015年には欧州司法裁判所にて、ビットコイン (BTC) の取引はVAT (付加価値税) の対象外である見解が示され、税金の問題がクリアになりました。

停滞した相場のなかでも、2015年末には1BTC=約5万円台まで上昇しました。

サイクル3

2016年2度目の半減期
2017年「改正資金決済法等」施行
2018年ビットコイン (BTC)バブル崩壊
2019年相場の乱高下

2016年は2度目の半減期を迎えたことで、ビットコイン (BTC) の価格が約7万円まで上昇します。しかし、2016年の8月に香港の有力な仮想通貨取引所Bitfinexが盗難被害に遭ったため、一時的に価格が下落しました。

2017年は、ビットコイン (BTC) の存在が日本国内にも知れ渡った年です。「改正資金決済法等」が施工されて法整備が進み、大手金融機関や機関投資家も仮想通貨市場に参入し、ビットコイン (BTC) を始めとした仮想通貨の価格が高騰しました。

2017年8月には、ビットコイン (BTC) から分岐したビットコインキャッシュ (BCH) が誕生しました。また12月にはアメリカの先物取引所CMEがビットコイン (BTC) の先物取引を開始し機関投資家の参入を受けて資金が流れ込んだ結果、価格は一時的に200万円台まで高騰しました。

2017年は価格が高騰した一方で、2018年はFacebookやGoogle、Twitterが仮想通貨に関する広告の掲載を禁止しました。その影響もあってか2018年の12月には最終的に30万円台まで下落します。

2018年にビットコインバブルがはじけ一時の相場が低迷していましたが、2019年3月には上昇を開始します。6月に約150円台まで回復しました。9月には仮想通貨取引プラットフォーム「Bakkt」がビットコイン先物サービスを開始しましたが、サービスの出来高の低さによって市場は落ち込み、ビットコイン (BTC) は80万円台まで下落します。

下落後、回復するも2019年11月に仮想通貨取引所のBitmexから顧客のメールアドレスが流出する事件がおきました。また中国政府が仮想通貨を取り締まる規制を開始し、相場は約80万円まで再度下落しました。

サイクル4

2020年大規模な金融緩和政策により価格上昇
2021年ビットコイン (BTC)が過去最高値を更新

2019年に続いた下落トレンドも2020年に入ると上昇し、約75万円から約100万円まで高騰しました。しかし、2020年の仮想通貨相場は新型コロナウイルスの影響を大きく受けます。

2020年の3月11日にWHO (世界保健機関) が新型コロナウイルスについて「パンデミック」宣言をしました。WHOの発表を受けて、仮想通貨だけでなく株や金などの金融資産の価格も暴落しました。

新型コロナウイルスの影響により一時は市場が混乱しましたが、各国の金融緩和政策と3度目の半減期によって、ビットコイン (BTC) の価格は約100万円にまで回復しました。

2021年には約660万円まで上昇したのち、アメリカの仮想通貨取引所「Coinbase」が株式上場した影響で、2021年4月14日にビットコイン (BTC) は過去最高値の700万円を突破しました。

歴史からみる仮想通貨の価格変動要因

歴史的背景から仮想通貨の価格が上昇する要因として以下の4つが挙げられます。

  • 仮想通貨の利用普及
  • メディア紹介による認知度の上昇
  • 半減期による影響
  • 有事の避難先通貨としての購入

大手企業が仮想通貨を決済方法として採用すると、仮想通貨の普及が予想されます。通貨としての需要の拡大を察知した投資家が仮想通貨を購入することで、価格が上昇する傾向があります。実際、2013年に中国の大手検索サイト「百度 (バイドゥ) 」、2014年にマイクロソフトがビットコイン (BTC) 決済を採用した際にも価格は値上がりしています。

またメディア紹介による、一般人への認知度の上昇も仮想通貨の需要と価格の上昇に貢献します。実際に2011年にアメリカのTIME誌での紹介をきっかけに、1BTC=80円台まで上昇したのち1BTC=約1,500円まで急騰しました。

ビットコイン (BTC) は半減期を迎えるとマイナー (採掘者) の報酬が半分になります。半減期を過ぎるとマイニング報酬が減り、マイナーが売却するコイン量が減るため、ビットコイン (BTC) の価格が値上がりしやすい傾向があると言われています。実際に過去3回の半減期のタイミング (2012年・2016年・2020年) では、値上がりの傾向が見られます。

ビットコイン (BTC) には有事に購入され、価格が上昇しやすいという特徴も挙げられます。2013年3月のギリシャ危機の影響を受けた「キプロス危機」の時に、法定通貨であるユーロの信用が低下しました。キプロス危機では法定通貨の避難先としてビットコイン (BTC) に人気が集中し、価格上昇に繋がりました。

しかし新型コロナウイルスによる世界的金融危機の際には、ビットコイン (BTC) の価格も下落しています。そのため有事の購入による価格の上昇は、危機が発生している地域が限定されていることが前提にあるとも考えられます。

一方で、仮想通貨の価格が下落する要因として以下の2つがあげられます。

  • 各国の規制強化の影響
  • 取引所のハッキングによる信用低下

仮想通貨は各国の法規制により、短期的な価格下落の影響を受けます。過去に2013年と2019年の2度、中国政府が仮想通貨取引の規制を強化したことで、一時的に価格が下落しています。

法整備は犯罪を防ぐ目的として必要ですが、短期的な視点では自由な取引を阻害するため、仮想通貨の価格が下落します。国家以外にも、FacebookやGoogleなどの影響力をもつ大手企業が仮想通貨の広告掲載を禁止した際にも価格が下落しています。

また仮想通貨は、取引所がハッキングを受けた際にも暴落傾向にあります。取引所がハッキングを受けると、投資家の取引所に対する信用が低下します。信用が低下して投資家が資産を一気に売却することで暴落が起こります。過去に仮想通貨取引所であるMt.GoxやBitstampがハッキング被害に遭った際には、ビットコイン (BTC) の価格は下落しています。

仮想通貨の歴史まとめ

仮想通貨は誕生から日が浅いため、金融資産としては未成熟ですが、市場は全体的に拡大し、上昇を続けています。

仮想通貨の市場をよく知るためには、まず仮想通貨の歴史を理解することが重要です。これからの相場に向き合うためにも、仮想通貨の歴史を頭に入れておきましょう。

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