イーサリアムの歴史や価格推移をリリース時から現在まで解説

イーサリアムの歴史と価格推移

2013年〜2014年 イーサリアムのスタートとプレセール

2013年11月、イーサリアムのホワイトペーパーがヴィタリック・ブテリン氏によって公開され、その翌年の2014年1月にアメリカのマイアミで開催された「ビットコインカンファレンス」においてイーサリアムのプレゼンが行われました。プレゼンに対する聴衆の反応は非常に大きく、プレゼンが終了するとスタンディングオベーションが起こったとのこと。

2014年7月22日、当初の予定から約半年遅れてイーサ (ETH) の先行販売が開始されました。先行販売の期間は42日間設けられ、早期に購入するほど割安にイーサ (ETH) を入手できる仕組みでした。最も割安なレートは、1BTCあたり2000ETHです。当時のビットコインのレートは1BTC=68,000円なので、それをもとに計算すると、1ETHの価格は約34円となります。

このプレセールによってイーサリアムは約15億円の資金調達を行いました。

2015年7月 イーサリアムがリリースされる

2015年7月30日、イーサリアムブロックチェーンが一般公開されました。最初のブロックが生成され、内部通貨であるイーサ (ETH) のマイニングができるようになりました。これは4段階ある開発フェーズのうち、最初の「フロンティア」が開始されたことを意味します。

事前販売で配布されたイーサ (ETH) はブロックチェーンが起動するまでは送金できなかったので、ブロックチェーンが公開されたことで初めて送金したりガスとして利用できるようになりました。

statista.comによると、2015年8月のイーサ (ETH) の価格は1,25ドル (約140円) です。プレセール時と比べて、約4倍の価格になりました。

2016年3月 ホームステッドアップデート

2016年3月14日、イーサリアム2番目の大型アップデートである「ホームステッド」が行われました。いくつかのプロトコルとネットワークの変更が行われ、イーサリアムがプラットフォームとしてより使いやすいものへと改良されています。

このアップデートの影響でイーサリアムの価格は、約130円から約1,600円へと大幅に上昇しました。

2016年4月 The DAOのICO

2016年4月、ドイツのスタートアップ企業をバックにもつ分散型投資組織「The DAO」が、イーサリアムを通じてICOを開始しました。

ICOとは、イーサリアムのスマートコントラクトを通じてトークンを発行し、資金調達を行う方法のことです。トークンはイーサ (ETH) と引き換えに販売されました。

このICOは、開始2週間で約1億ドル (約110億円) もの資金調達を達成するほどの大人気でした。このときイーサリアムのレートは約800円から約1,700円へ上昇しています。

2016年6月 The DAO事件

The DAOによって記述されたスマートコントラクトに脆弱性が見つかり、ハッカーがその脆弱性をついてThe DAOが集めたイーサ (ETH) を盗み出す事件が起きました。盗難されたイーサの量は360万ETH以上で、当時のレートに直すと日本円で約52億円です。

イーサリアム開発チームは、新たなブロックチェーンを分岐させ、盗まれた記録のあるブロックチェーンを破棄するハードフォークを決定。しかしこのハードフォークに対して開発者の一部が反発し、盗まれた記録のある従来のブロックチェーンを使用し続けました。こうしてイーサリアムは、新たなブロックチェーンの通貨を「イーサリアム」、従来のブロックチェーンの通貨を「イーサリアムクラシック (ETC) 」として分裂することとなったのです。

この事件の影響で、イーサリアムの価格は約2,400円から約1,200円へ下落しました。

2017年2月 「イーサリアム企業連合 (EEA)」の発足

2017年2月、Enterprise Ethereum Alliance (イーサリアム企業連合:略称EEA) という団体が正式に発足しました。このEEAの目的は、イーサリアムブロックチェーンをもとにした、企業向けブロックチェーンを開発することです。

EEA発足当時の参加企業は約30社で、英石油大手のBP社や米金融大手のJPモルガン 、米マイクロソフト社といった大手企業が名を連ねました。なお現時点 (2021年5月) のEEA参加企業数は200社以上。野村総合研究所やNTTデータなど、日本企業も参加しています。

EAA発足当時のイーサリアムの価格は約1,200円でしたが、3ヶ月後に約8,000円まで上昇しました。

2017年7月 ハッカーによる盗難事件

2017年7月、英スタートアップ企業Parity Technologies社製のウォレットを利用していたユーザーから、総額約34億円相当のイーサ (ETH) が盗まれる事件が起こりました。原因は、ウォレットの脆弱性です。

さらに深刻な事態を招いたのは、Parity社の対応です。Parity社の開発者が誤ってコードライブラリを削除したため、ウォレットユーザーの資金が永久に引き出せなくなってしまったのです。引き出せなくなってしまったイーサ (ETH) の総額は、1億6000万ドル (約176億円) にものぼりました。

ブロックチェーンの性質上、アドレスに対応する秘密鍵を紛失してしまった場合は、いかなる手段をつかっても資金を引き出すことは困難です。Parity社はイーサリアムブロックチェーンの改善提案を提出し、ウォレットの復活を試みましたが、提案は拒否されました。

上記の盗難事件が発生したときのイーサリアムの価格は約25,000円です。

2017年10月 ビザンチウムアップデート

2017年10月16日、イーサリアムはブロックチェーンのアップデート「ビザンチウム」を実施しました。これは4つある開発フェーズのうち、3つ目の「メトロポリス」アップデートの第1段階です。ビザンチウムアップデートでは、9つの改善提案が採用されています。

ビザンチウムアップデートでは大きな価格変動が見られず、1ETHのレートは約34,000円でした。

2018年4月 G20サミットの開催による暴落

2018年3月19日から20日にかけて、アルゼンチンのブエノスアイレスでG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されました。このおよそ2ヶ月前に日本国内の取引所であるコインチェックで仮想通貨が盗難された事件があったことから、G20開催時点でイーサ (ETH) はピーク時から約40%価格が減少し約97,000円となっていました。

さらにこの会議においては、仮想通貨がマネーロンダリングに利用される懸念から、監視を強めることが採択されています。

国際社会における仮想通貨の規制強化の可能性を受けて、4月6日までにイーサリアムは下落し続け約40,700円となりました。この1年前までは1ETHは約16万円を記録していただけに、大幅な下落と言えるでしょう。

2018年4月〜 EIP (イーサリアム改善案) 1011による回復

2018年4月20日、イーサリアム開発者は「コンセンサス・アルゴリズムをPoSへ移行するための新しいコードの準備が整ったこと」を明らかにしました。

コンセンサス・アルゴリズムの変更はブロックチェーンの運営に伴う消費電力の効率化につながるため、期待が高い改善といえます。なおこの改善提案は「EIP1011」としてまとめられています。

この発表によりイーサリアムの価格は上昇し、約67,000円となりました。

2021年1月 記録的な下落

2018年~2019年は、仮想通貨全体にとって冬の時代でした。イーサリアムは2018年12月に約9,800円まで価格が減少しています。

2019年6月には約36,000円まで回復したものの、他の仮想通貨と同じように再び下落していきました。

一方、2020年は、価格が徐々に上昇していった年でした。年始に14,000円程度だったイーサリアムの価格は年末には約81,000円となりました。

2021年に入ってからも上昇を続けていましたが、1月11日に約29%価格が下落しています。これはイギリスで仮想通貨に関する法規制が施行されたことを受けてのものです。
ただし下落は一時的なものでした。その翌日から再び上昇基調に戻っています。

2021年5月 最高値を更新

2020年末から強い価格上昇を続けていたイーサリアムは、2021年5月11日に約46万円を
記録。これは現時点 (2021年5月26日) での過去最高価格となります。

その後、ビットコインの下落や中国当局による仮想通貨規制の発表により、イーサリアムをはじめとする仮想通貨の価格は大暴落し、イーサリアムの価格も一時期は20万円台前半まで落ち込みました。

しかし、その後投資家たちが再びイーサリアムを買い戻したことによって価格が回復し、執筆時点 (2021年5月26日) のイーサリアムのレートは約31万円です。

イーサリアムアップデートの歴史

オリンピック

「オリンピック」は、イーサリアムブロックチェーンが公開される前の開発フェーズにおける、最後のリリースです。リリース日は2014年5月9日。

このオリンピックでは、フロンティアで公開予定のイーサリアムブロックチェーン最後のテストが行われました。ネットワークを利用してテストを行う人が募集され、最大25,000ETHという賞金も用意されました。

フロンティア

「フロンティア」は、イーサリアムの4つある開発フェーズのうち1段階目にあたります。フロンティアでは、イーサリアムブロックチェーンがはじめて公開されました。公開日は2015年7月30日です。

ただしこのフロンティアでリリースされたイーサリアムは、一般ユーザーではなく、開発者の利用を想定したものでした。これは初期のソフトウェア特有の問題である、バグや不安定さが懸念されるためです。この時点でのUIは、一般ユーザーが使うにはハードルが高いものでした。

ホームステッド

「ホームステッド」では、フロンティアで発見されたバグや問題点が解消するためにプロトコルやネットワークも変更が行われました。このアップデートによりイーサリアムのネットワークが本格的に動き出し、一般ユーザーにも利用しやすいものとなっています。

メトロポリス

「メトロポリス」は、イーサリアムの開発フェーズ3段階目にあたります。ただしメトロポリスという名称のアップデートはありません。メトロポリスは、以下のいくつかの段階的なアップデートの総称です。

  • ビザンチウム
  • コンスタンチノープル・サンクトペテルブルク
  • イスタンブール

ビザンチウムアップデートは2017年10月16日に実施されました。このアップデートでは9つの改善提案が取り入れられましたが、大きな変更点は以下の2つです。

  • 匿名性をもたせるための技術「ZK-Snarks」が採用された
  • ブロック生成の報酬が5ETHから3ETHへ減少

コンスタンチノープルは適用が延期された後、コンスタンチノープル後に予定されていた「サンクトペテルブルグ」アップデートと一緒に実施されました。アップデート日は、2019年2月28日です。この2つのアップデートでは、5つの改善提案が採用されました。

3つ目のイスタンブールアップデートは、2019年12月7日に実施されました。イスタンブールでは6つの改善提案が実装されています。

ミューア・グレイシャー

2020年1月2日に「ミューア・グレイシャー」アップデートが実施されました。ミューア・グレイシャーでは、「ディフィカルティ・ボム」というしくみの適用を、約1年8ヶ月後に遅らせるよう変更されました。

ディフィカルティ・ボムとは、PoWベースのブロックチェーンにおけるマイニングに取り入れられている仕組みです。ブロック生成時間が短かったり長かったりするときに、自動的に難易度が調整され、平均ブロック生成時間を維持します。

イーサリアムでは、このディフィカルティ・ボムの影響でブロック生成に時間がかかることが度々あったとのこと。ディフィカルティ・ボムの適用時期を1年8ヶ月後ろにずらすことで、ネットワークの遅延が改善されるとしました。

セレニティ (イーサリアム2.0)

イーサリアムの最終開発フェーズであった「セレニティ」ですが、今は「イーサリアム2.0」と呼ばれることが多くなっています。

イーサリアム2.0で実装されるのは、主に次の2つです。

  • PoS (プルーフ・オブ・ステーク)
  • シャードチェーン

現在のイーサリアムブロックチェーンには、PoW (プルーフ・オブ・ワーク) というコンセンサスアルゴリズムが採用されているのですが、このPoWによってブロックチェーンネットワークを維持するには大量の電力が必要という問題点があります。なぜなら、PoWは大量の計算をいち早くこなしたコンピュータにブロック生成権と報酬を与える仕組みだからです。

上記の問題を受けて、イーサリアムはコンセンサスアルゴリズムをPoSへ変更することを決定しています。PoSとは、ブロックチェーン上に預け入れたイーサの量に応じて優先的にブロック生成権と報酬が与えられる仕組みです。つまり報酬を得るにはイーサ (ETH) の保有数を増やすことだけが重要で、コンピューターの計算速度は関係ありません。そのためコンセンサスアルゴリズムを変更することで、消費電力を大幅に抑えることができるのです。

2つ目の「シャードチェーン」とは、イーサリアムネットワークの速度を向上させるための技術です。一般的なブロックチェーンは、時系順に1つ1つのブロックがつながる形式になっていますが、シャードチェーンではブロックチェーンが分割されます。このことにより、いちどに複数のノードがデータ検証を並行処理して行えるため、ネットワークのスループットが向上します。

2020年12月1日にPoSチェーンであるビーコンチェーンがリリースされました。遅くとも2022年末までにはビーコンチェーンと現在のイーサリアムブロックチェーンがマージされ、コンセンサスアルゴリズムの移行が完了する予定です。

ベルリン

2021年4月15日「ベルリン」アップデートが完了しました。このアップデートは、現行のイーサリアム (イーサリアム1.0) に対するもので、ガス代やEVMの調整が行われました。主に開発者向けの内容で、一般のユーザーには大きな影響はありませんでした。ベルリンアップデートでは、4つの改善提案が採用されています。

次回のアップデートは「ロンドン」という愛称で、2021年7月に実施される予定です。

イーサリアムの歴史まとめ

2015年から2021年5月現在まで、イーサリアムの価格が上下した出来事をかんたんにまとめると、以下のとおりになります。

▽上昇した出来事

  • メジャーアップデートが実施されたとき (ホームステッドなど)
  • 人気のICOでイーサ (ETH) の需要が発生したとき (The DAOのICO)
  • 有名企業がイーサリアムに関心をもったとき (EEAの発足)

▽下落した出来事

  • イーサリアムのセキュリティに懸念が出たとき (The DAO事件やハッキング事件)
  • 仮想通貨全体の先行きが暗くなったとき (G20サミット)

2020年から2021年5月までの価格上昇を牽引した理由のひとつは、イーサリアム2.0に対する期待でしょう。イーサリアム2.0のアップデートは現在実施中で年単位の時間がかかるとされていますが、このアップデートが完了するとき、イーサリアムの価格は大きく変動するかもしれません。

イーサリアムは2021年5月に過去最高値を更新していますが、今後もさらに上昇が期待できるでしょう。

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