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ネム (NEM/XEM) とは

ネム (NEM/XEM) は企業や個人へのソリューション提供を目的として2015年に誕生したプラットフォームです。「New Economy Movement」の頭文字を取って名付けられており、国や中央銀行などの既存の枠を離れて、新たな経済のしくみを確立することを目的としています。ここでは、ネムの概要や仕組み、将来的な見通しなどについて解説していきます。

編集:
安藤 啓明 (Hiroaki Ando)

ネム (NEM/XEM) とは

ネムとは、2015年に誕生したプラットフォームで「New Economy Movement」の頭文字を取って名付けられました。名前の通り、国や中央銀行などの既存の枠を離れて、新たな経済のしくみを確立することを目的としています。誰でも平等にネットワークに参加できることを理念とし、採用している独自のコンセンサスアルゴリズムにもその理念が反映されているのが特徴です。

ネムでは決済や送金の手段としてブロックチェーン技術を用いており、ネム の内部で使われる通貨はゼム (XEM) と呼ばれます。取引所で取引される通貨のことをネムと呼ぶ場合が多いですが、厳密に言えば取引されているのはゼム (XEM) です。

2021年3月には大型アップデートが行われ、「シンボル (Symbol/XYM) 」 と呼ばれる新たなプラットフォームが誕生しました。ネムとは異なり、こちらはエンタープライズ向けのブロックチェーンとなっています。

ネム (NEM/XEM) の特徴

承認速度が早い

ビットコイン (BTC) は1ブロックを生成するまで、およそ10分かかります。一方、ネムが1ブロックを生成する時間は約1分です。

仮想通貨は処理速度が速いほど、送金や決済の処理から承認までの時間が早くなります。ネムは処理速度が非常に速いため、スピーディな取引が可能です。またネムは、ビットコイン (BTC) と比較すると非常に送金手数料が安いのも特徴となっています。[1]

Github, NEM Project, 2021年6月11日参照

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高額の取引を行う場合、着金まで時間がかかると不安に感じる方が多いでしょう。ネムはすばやく処理が完了するので、取引における信頼性の高さにつながります。

発行上限枚数に達している

ネムは、発行上限数の8,999,999,999XEMが既に発行、配布済みです。

多くの仮想通貨ではマイニングが行われることによって、発行量が増えていきます。しかし、ネムは既に発行上限数に達しているため、今後供給量が増えることはありません。そのため、市場に出回る通貨が大量に増えてインフレが生じる心配をせずに、取引を進められます。

独自のコンセンサスアルゴリズム

ビットコインなどの仮想通貨では、取引データの承認を行う作業をマイニングと呼び、承認作業を行った人 (マイナー) には報酬が支払われます。マイニングは「Proof of Work (PoW) 」というコンセンサスアルゴリズムを採用している仮想通貨で行われ、取引の承認をより多く行った人に報酬が支払われるしくみです。

しかし、マイニングは取引の承認のために大量の計算を高速で行う必要があるため、高性能なコンピューターや大量の電力を必要とします。支払われる報酬を目当てに、資金が豊富な企業などがマイナーとして多く参加しており、個人でマイニングを行うのは困難なのが現状です。

一方ネムは、「Proof of Importance (Pol) 」という独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しています。これはネムネットワークにおけるアカウントの重要度に応じて報酬が支払われるしくみです。アカウントの重要度は、保有しているネムの量や取引量などから計算される「PoIスコア」によって管理されています。ネムを保有したり取引したりするだけで、承認作業に参加して報酬を受け取れるため、PoWと比較すると平等なアルゴリズムであると言えるでしょう。

高いセキュリティ

ネムは「EigenTrust++ (アイゲントラスト) 」というアルゴリズムを唯一用いている仮想通貨です。これは、ネムのネットワークにおけるノードの動作を監視し、信頼性の低いノードの接続を拒否するシステムです。

虚偽の情報を流すようなネットワークの維持に悪影響を及ぼすノードを自動で排除することによって、ネットワークの健全性を保っています。

ネム (NEM/XEM) 独自の機能と仕組み

ハーベスト

ビットコインなどの仮想通貨はマイニングで取引が承認されますが、ネムでは「ハーベスト」で取引の承認が行われます。ハーベストは一定額以上のネムを保有していれば誰でも参加でき、取引の承認に成功すれば報酬を獲得できます。

マイニングと異なり大量の計算が必要ないので、高性能のコンピューターなどが必要ありません。ハーベストに参加するには、1万XEM以上を一定期間保有するなどの条件があります。取引量や取引数を増やし、ネムの流通に貢献するほどハーベストで報酬を得やすくなるでしょう。

個人でICOが可能

ICOとは企業や団体などが独自の仮想通貨やトークンを発行し、資金調達を行うことを指します。クラウドファンディングに似た方法です。ネムはこのICOを個人でも行うことができます。

ネムのプラットフォーム上では「モザイク」と呼ばれる独自トークンを発行でき、このトークンをICOに用いることが可能です。発行したトークンは独自の通貨として流通させることができるほか、投票などにも用いることができます。

アポスティーユ (公証) 機能

ネムには公証を作成する機能も備わっており、この機能を「アポスティーユ機能」と呼びます。公証とは、かんたんに言えば私文書の内容を公証人が確認することで、その内容が偽造されたものでないことなどを証明することです。ネムのアポスティーユ機能はブロックチェーンの改ざんがほぼ不可能であるという点を活かしており、公証人を介さずに公証を作成することができます。

ネム (NEM/XEM) これまでの価格推移

リリース時の2015年から2年ほどの期間、ネムの価格は1円未満でした。しかし、2017年3月に上昇しはじめ、1XEMの価格が1円を超えるようになります。

それから2018年までネムの価格は上昇しつづけ、1月7日には過去最高値の211円を記録しています。しかし同じ1月に、取引所のCoincheck (コインチェック) がハッキングされ、ネムが大量に流出する事件が起きました。その影響で、1月末には価格が80円台まで急落します。

その後も下落は続き、2018年11月には1XEM当たりの価格は10円を下回ります。2019年はNEM財団の倒産危機の報道を受けて価格はさらに下落し、9月以降は5円以下となりました。

しかし、2021年3月に大型アップデート「シンボル」がローンチされることを受け、期待感から価格は上昇します。アップデートが行われた月には、価格が80円まで上がりました。その後は価格が徐々に下落し続け、2021年5月末現在の価格は10円代後半です。

現在のネム (NEM/XEM) の課題

ネムはいくつかの課題を抱えており、2021年現在、価格が伸び悩んでいます。

2018年1月、Coincheckからおよそ580億円に相当する大量のネムが流出しました (参考:ロイター) 。[2]

triangleこの事件はCoincheckのセキュリティ体制の不備に原因がありましたが、ネムはセキュリティが低い仮想通貨という誤った認識が広がってしまいました。また、ネムを取り扱う国内取引所が少ない点も課題です。増えてきてはいるものの、ビットコイン (BTC) やイーサリアムといった通貨に比べると多くはありません。

さらに、ネムとよく似た機能を持つ仮想通貨が他に存在することも大きな課題です。特に類似点が多い通貨として、イーサリアム (ETH) があります。

たとえば、ネムはモザイクの発行機能によりICOに用いることができますが、イーサリアム (ETH) もプラットフォーム上で独自のトークンを発行することが可能です。さらに、これまでに実際に行われたICOの多くがイーサリアム (ETH) 上で行われており、ネムはシェアを大きく奪われている状態と言えます。

ネム (NEM/XEM) の今後と将来性

ネムは日本国内にもファンが多く存在し、コミュニティの動きも活発です。ネムを決済に用いる店舗もあり、今後そういった店舗が増加することで、ネムの実用性はさらに増すでしょう。

さらに近年では、ネムの活用事例も増えてきています。2019年6月にはネムのブロックチェーン技術を使った歯髄細胞の流通管理システムを、岐阜県が研究助成金に採用しています。[3]

triangleその他では、リトアニア中央銀行が2020年7月にネムのブロックチェーンを用い、世界初のデジタルコレクター通貨となる独立記念コイン「LBCoin」を発行しました (参考:NEM公式ブログ) 。[4]

ネム 独自の機能を活かした活用事例が今後さらに増えれば、ネムの需要も上がると考えられます。

シンボル (Symbol/XYM) とは?

ネムは2021年3月にカタパルトアップデートが実施され、「シンボル (Symbol/XYM) 」と呼ばれる新たなプラットフォームが誕生しました。処理速度が大きく向上し、1秒間あたり最大でおよそ4,000件のトランザクション処理が可能です。送金の遅れや手数料の高騰といったスケーラビリティ問題が生じにくくなり、決済手段としての期待が高まっています。

すでにシンボル (Symbol/XYM) を、実際の現場で利用する動きもあります。

2022年に中東カタールで開催されるFIFAワールドカップにあたり、ホテル建設のプロジェクト管理プラットフォームに、シンボル (Symbol/XYM) が利用されることが発表されました。[5]

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またシンボル (Symbol/XYM) は、昨今話題となっているDeFi (分散型金融) やNFT (非代替性トークン) の分野にも進出を決めています。[6]

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ネム (NEM/XEM) の買い方

ネムは仮想通貨取引所で購入できます。仮想通貨取引所で本人確認書類の提出などを行い、口座開設を行います。取引所の口座に日本円を入金後、ネムを購入可能です。

購入方法としては、パソコンから購入する方法とスマホから購入する方法の2通りがあります。また、取引所の中にはスマホアプリを提供している場所もあり、その場合はスマホアプリからの購入も可能です。

ネム (NEM/XEM) を購入できる取引所

2021年5月現在、ネムを購入できる国内の取引所は、CoincheckとDMM Bitcoin、GMOコイン、bitFlyer、Zaif、Huobi Japanです。今後もし他の国内取引所で購入できるようになれば、ネムの価格が上昇する可能性があります。また、ネムを取り扱っている海外の取引所にはBINANCEやKuCoin、OKExなどがあります。

なお現時点でシンボル (XYM) を購入できる取引所は、上記のうち国内はZaif、海外はKuCoinです。

ネム (NEM/XEM) を保管できるウォレット

保有しているネムは取引所に預けておくのではなく、ウォレットで保管すれば、ハッキングなどによって流出するリスクを下げられます。

ネム公式のウォレット「NEM Wallet」を使えば、ハーベストへの参加も可能です。他のウォレットではハーベストへの参加条件を満たせないため、注意しましょう。

ネム (NEM/XEM) まとめ

ネムは、新たな経済のしくみの確立を目指して作られたプラットフォームで、内部通貨の名称はゼム (XEM) です。

ネムは処理速度が速く、他の仮想通貨よりも取引にかかる時間が短いのが特徴です。また、独自のコンセンサスアルゴリズムやハーベストを採用し、誰でもネットワークへ参加しやすくなっています。個人でのICOも可能で、アポスティーユ機能を使った公証の作成もできます。

ネムのプロジェクトにはブロックチェーン技術をビジネスや公的事業に提供するものが多いため、内容によっては価格が大きく上昇することも考えられます。現在は価格が伸び悩んでいますが、興味のある方は今後の動向をチェックしてみてください。