Plasma (プラズマ) とは

編集:
安藤 啓明 (Hiroaki Ando)

Plasma (プラズマ) とは

Plasma (プラズマ) とは、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために、サイドチェーンでトランザクションを処理する技術のことです。ビットコインのスケーラビリティ問題を解決するためのオフチェーンプロトコルである「ライトニングネットワーク」を提唱したJoseph Poon氏が開発に関わっていることもあり、Plasmaとライトニングネットワークは以下のような共通点があります。

  • メインチェーンから独立した環境で計算処理を行う
  • 最終的な結果のみをメインチェーンに記録する

ただし、ライトニングネットワークはオフチェーンでトランザクションを処理していたのに対して、Plasmaはメインチェーンとは異なる「プラズマ・ブロックチェーン」と呼ばれるチェーンを生成し、その上で分散処理や計算結果を検証しています。

Plasma (プラズマ) の特徴

イーサリアムをはじめとしたパブリックチェーンは、管理者が存在する閉鎖的なプライベートチェーンと比較すると、外部からの攻撃に強いというメリットがあります。一方、参加者や取引が増加することによって、ネットワークの処理速度が追いつかなくなったり送金手数料 (ガス) が高騰したりするといったスケーラビリティ問題も抱えているのが現状です。

Plasmaを含む「レイヤー2技術」の目的は、メインチェーンとは別の場所でトランザクションを処理することで、パブリックチェーンの利点を活かしつつ処理速度の向上や手数料の低下を実現することです。

Plasmaの主な特徴は以下の5点です。

  • パブリックブロックチェーンと同レベルのセキュリティ
  • 送金手数料 (ガス) がかからない
  • ファイナリティは最小200msと短く設計できる
  • イーサリアムのトークンはすべて使用できる
  • レイヤー1となるブロックチェーンはイーサリアム以外でもよい

Plasmaが本格的に実用化されれば、仮想通貨の世界に大きな変革が訪れるでしょう。

Plasma (プラズマ) の仕組み

Plasmaでは、イーサリアムのブロックチェーンに対してプラズマ・ブロックチェーンがツリー状に連なって接続されています。トランザクションはそれぞれの子プラズマ・ブロックチェーンで処理され、その結果が上の階層の親プラズマ・ブロックチェーンに伝達されることを繰り返すことで、最終的にイーサリアムのブロックチェーンに状態が記録されるという仕組みです。これにより、処理速度の向上およびメインチェーンと同等の安全性を確保できるようになっています。

Plasmaでは上記の基本的な仕組みのほか、以下のような特徴があります。

  • イーサリアムのメインチェーンはそれぞれのサイドチェーンに対して権限を持つ
  • プラズマチェーンは独自の仕様とスマートコントラクトを構築できる

プラズマ・ブロックチェーンでは、ネットワークの参加者がブロックチェーン上のすべてのデータを読み込まなくてすむように、ブロックチェーンの使い分けを可能にしています。実際にPlasmaのホワイトペーパーでも、プライベートチェーンやDEXごとに処理を完了し、最終的にメインチェーンに集約させるイメージ図が公表されています。[1]

Plasmaのホワイトペーパー, Plasma: Scalable Autonomous Smart Contracts, 2021年6月23日参照

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Plasma (プラズマ) の利用事例

Redditのクローン

アメリカのソーシャルメディアのRedditのクローンを、Plasmaのブロックチェーン上で構築するアイデアが発表されています。

  • 参加者によるコンテンツを作成
  • 趣味や所属などに関するコミュニティ作成

Redditには上記のような機能があり、Plasmaが作るブロックチェーンの親和性は高いと言われています。

プラズマ・ブロックチェーンをプライベートチェーンとして活用する提案

プラズマ・ブロックチェーンをプライベートチェーンとして活用する提案も行われています。

パブリックチェーンとプライベートチェーンの連携には特別なシステムの構築が必要で、現時点における多くのプライベートチェーンはパブリックチェーンと切り離されて運用されています。プラズマチェーンをプライベートチェーンとして使えば、パブリックチェーンとプライベートチェーンをそれぞれに適した場面で使い分けることが容易になると期待されています。

電力会社向けのシステム

Plasmaを活用した電力会社向けのシステムも考案されています。

太陽光発電や風力発電のような、再生可能エネルギーを買取する際の需給バランス調整にPlasmaを使用するというものです。そのために、ブロックチェーン技術を手掛ける日本企業のCryptoeconomics Labと中部電力の間で実証実験が開始されています。[2]

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プライバシー保護とセンシティブデータの活用を両立させるシステム

デバイスから届けられるセンシティブデータを活用した処理の実現でも、Plasmaの技術を活用することが期待されています。たとえば、

  • 電気自動車のセンサーとリアルタイムの降雨状況を連携させる
  • 体重計と連携して今後の体重予測データを算出する

といったことで、個人のプライバシーに関する情報を安全に保護しつつ、データを高速に処理することが可能です。

より高速なNFT (非代替トークン) ゲーム

Plasmaを活用すれば、NFTゲームにて売買処理を行うときにも、処理速度を速くできます。Plasmaはイーサリアム以外のブロックチェーンもメインチェーンにできるので、今後の発展が期待されています。

IT企業による金融サービス

Plasmaの処理性能とスマートコントラクトを組み合わせれば、各種金融サービスを低コストで提供できる可能性があります。現在イーサリアムのプラットフォーム上ではDeFi (分散型金融) が活発になっており、それに伴う手数料 (ガス) の高騰が問題です。Plasmaを活用できれば、DeFiのサービスを低い手数料 (ガス) で利用することが期待できます。

また、近年ではIT企業が金融サービスに乗り出すという事例もいくつかあり、そうした新事業の設立においてPlasmaが利用できる場面があるかもしれません。

Plasma (プラズマ) のセキュリティ

先述したようにプラズマ・ブロックチェーンは、メインチェーンの下にツリー状に連なって生成されます。子チェーンに参加している人は、自分の参加している子チェーンの上層に連なる親チェーンをすべて監視する必要があります。参加者が自分の参加しているチェーンを監視していない場合、自分が預け入れたトークンを第三者に不正に引き出されてしまう可能性があるためです。参加者自身が監視していなくても、他の参加者がチェーンを監視していればそのような事態は防げますが、セキュリティの面から言えば自分が参加しているチェーンは自分で監視すべきでしょう。

プラズマ・ブロックチェーンにおいて考えられる攻撃は以下の3つです。

  • 実際より多いトークンが子チェーンから引き出される可能性
  • 悪意のあるユーザーが子チェーンで任意のトークンを作る可能性
  • 子チェーンのブロック生成者がトランザクション処理をコントロールする可能性

Plasma (プラズマ) の今後

Plasmaは確かにメリットが大きい技術ですが、その技術が注目を集めている事例はあまりありません。

Plasmaの活用事例が少ないのは、Plasmaの技術自体がICOにおけるセールスポイントにならないことが原因に挙げられます。Plasmaは独自トークンを発行する技術ではないため、ICOを行う際にはPlasma以外の技術やプロダクトを開発する必要があり、それらを同時進行するためにPlasma自体の開発が遅れてしまっているのです。

しかし、Plasmaの実用化は進められており、今後Plasmaを含むレイヤー2技術によって新たなイノベーションが起きる可能性も低くありません。

Plasma (プラズマ) まとめ

Plasmaとは、イーサリアムの処理速度や手数料の問題を解決するために立ち上げられたサイドチェーンのプロジェクトです。今後Plasmaの技術が実現し、活用されていくことによって仮想通貨市場はより盛り上がりを見せると予想されます。

Plasmaの今後の動向や最新情報もチェックしておきましょう。

情報ソース・引用元一覧

1

Plasmaのホワイトペーパー, Plasma: Scalable Autonomous Smart Contracts, 2021年6月23日参照