プライベートブロックチェーンとは?概念や実用例を詳しく解説

プライベートブロックチェーンとは

プライベートブロックチェーンとは、参加に許可が必要なブロックチェーンのことです。プライベートブロックチェーンは、取引を承認する権限を持つノードが一部に制限されており、招待されることによって初めて取引の承認や記録を行えるようになります。

一部の管理者が情報の閲覧や取引の承認を行える範囲を制限できるため、プライベートブロックチェーンは限定的なネットワークを構築することに向いています。たとえば、企業内の人間のみがアクセスできるようにするといった利用方法があります。

プライベートブロックチェーンは、組織外部の人間がアクセスできないように管理者が設定できるため、セキュリティが高いのが特徴です。また、参加人数を少なくすることで、意思決定に関わる人数を減らすことができ、より迅速かつ低コストな取引を行うことができます。

ブロックチェーンの分類

パーミッションブロックチェーンとパブリックブロックチェーン

プライベートブロックチェーンは参加に許可が必要なため、パーミッションブロックチェーンとも呼ばれます。プライベートブロックチェーンやパーミッションブロックチェーンと対になる概念は、パブリックブロックチェーンです。

パーミッションブロックチェーンとパブリックブロックチェーンは、参加するノードが限定されるか否かで分別されます。先ほど説明したように、参加者を限定しているのはパーミッションブロックチェーンです。参加者が限定されていることからセキュリティが高く、組織の内部での運用に適したブロックチェーンで、個人情報などの機密情報を取り扱う金融機関などの分野で特に役立つと言われています。

パブリックブロックチェーンとは、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨で用いられているブロックチェーンのことです。参加に許可が必要なく、誰でも取引の承認や記録、閲覧が行えます。パーミッションブロックチェーンは、一部の管理者が存在するため中央集権的、パブリックブロックチェーンは、中央管理者が存在しないため非中央集権的と表現されることもあります。

コンソーシアムブロックチェーン​

プライベートブロックチェーン (パーミッションブロックチェーン) とパブリックブロックチェーンの間に位置する概念として、コンソーシアムブロックチェーンがあります。

ネットワークへの参加には制限がありますが、管理主体が複数の団体であることが特徴です。セキュリティを維持しつつも、ブロックチェーンのメリットでもある分散化を損なっていないシステムとなっています。

プライベートブロックチェーンのメリット

ブロック承認のスピードが速い

プライベートブロックチェーンは、特定の管理ノードが取引の承認を行います。許可された少数のノードがトランザクションを検証するため、承認作業をすばやく済ませられる点がメリットです。

対するパブリックブロックチェーンは管理者が存在しない上に、参加者が不特定多数のため、トランザクションの検証に時間がかかります。たとえば、ビットコインでは取引が承認されるまでにおよそ10分の時間を要します。組織内での承認に時間がかかってしまうと、その部分がビジネス全体のボトルネックとなってしまう場合もあるため、取引の承認に時間がかからないのはメリットと言えるでしょう。

情報の共有内容と範囲を限定できる

プライベートブロックチェーンは、参加するノードを制限し、情報の共有内容を限定して公開できます。参加しているノードの権限に応じて、閲覧できる情報を設定することも可能です。

さらに、プライベートブロックチェーンは管理者の判断で、取引の承認ルールや以前に承認したトランザクションを変更できます。パブリックブロックチェーンはそのしくみ上、一度承認されたトランザクションの変更はできません。また、取引の承認ルールを変更する際には、不特定多数の参加ノードで合意を形成しなければならないため、時間がかかってしまいます。

プライベートブロックチェーンは、その場の状況に応じて柔軟に対応できる点がメリットです。

インセンティブが不要

パブリックブロックチェーンでは、マイニングのようなトランザクションを検証する作業に対して手数料を支払う必要があります。ブロックチェーンを維持するために、手数料が経済的なインセンティブになっているのです。

一方プライベートブロックチェーンでは、参加しているのは信頼できるノードのみのため、マイニングのようにトランザクションの検証作業を複雑にする必要はありません。また、参加者は報酬目的でネットワークに参加するわけではないので、ブロックチェーンの維持にインセンティブを支払う必要がないのです。

プライベートブロックチェーンのデメリット

透明性・公共性が低い

プライベートブロックチェーンでは、一部の管理者が取引の承認や取引ルールの変更などを行えます。つまり、悪意のある管理者に運用をまかせてしまうと勝手にデータを改ざんする可能性もあるため、注意しなければなりません。また、情報を閲覧する権限もノードごとに変更できるため、透明性が低いのもデメリットです。

パブリックブロックチェーンでは誰もがすべての取引データを閲覧することができ、過去の記録の改ざんは事実上不可能です。管理者が存在して情報を書き換えることができる時点で、プライベートブロックチェーンはブロックチェーンとしての体をなしていないのではないか、という意見もあります。

コンソーシアムブロックチェーンには複数の管理者が存在するため、プライベートブロックチェーンと比較するとルールやデータの変更は難しいと言えます。

安全性・可用性の問題

プライベートブロックチェーンは管理者が限定されているため、そのノードがシステムトラブルに陥った場合、ネットワークとして機能しなくなる可能性があります。パブリックブロックチェーンに比べると、システムを継続的に稼働する能力が十分とは言えません。

また、ネットワーク自体も特定の企業や組織によって運用されているため、安全性が低い方法で運用されていた場合、ネットワーク全体がうまく機能しなくなったり危険にさらされたりする可能性もあります。

このようにプライベートブロックチェーンは、システムの稼働や安全を一部の個人や組織に依存している状態のため、可用性と安全性ともに低いと言わざるを得ません。

また、基本的に同じことがコンソーシアムブロックチェーンにも言えるでしょう。

プライベートブロックチェーンの実用例

リップル

仮想通貨のリップル (XRP) は、プライベートブロックチェーンを採用しています。
リップル社が独自に開発した台帳システム「XRP Ledger」を使い、すばやい決済や送金が可能です。送金手数料が安く、低コストで利用できるのが特徴です。

mijin

mijinとは、ネム (NEM/XEM) の開発者3人が共同開発したプライベートブロックチェーンです。個人や企業を問わず、プライベートブロックチェーンの技術を提供することを目的に開発されました。

プライベートブロックチェーンのため迅速な処理が可能なほか、24時間365日の稼働や改ざん耐性などのブロックチェーンの利点を活かして、さまざまな使い道を提供しています。

​Enterprise Ethereum Alliance

Enterprise Ethereum Allianceはイーサリアム (ETH) が発足した企業連合です。Microsoftや野村総研など数々の大手企業が加入しています。

イーサリアムの技術をビジネスで活かすため、パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの間で互換性を持たせる取り組みを行っています。

​### Hyperledger Burrow
Hyperledgerは、仮想通貨以外のさまざまな分野でもブロックチェーン技術を最大限に活かすことを目的としたコミュニティです。

Hyperledger Burrowは、Hyperledgerと複数のIT企業の協力によって生まれたプロジェクトの1つで、イーサリアムから派生したスマートコントラクトを実行するためのパーミッションブロックチェーンノードです。

MultiChain

MultiChainはビットコインから派生したプライベートブロックチェーンです。

参加するノードを制限し、プライベートブロックチェーンとして使用できます。使い方によっては、コンソーシアムブロックチェーンとしても利用できるでしょう。

プライベートブロックチェーンまとめ

プライベートブロックチェーンは単体の管理者が存在し、参加に許可が必要なブロックチェーンです。ネットワーク内では情報の閲覧範囲や取引の承認への参加を制限することで、迅速な処理とセキュリティの高さを実現しています。プライベートブロックチェーンはその性質から、金融機関や組織の内部での利用に向いているのが特徴です。

一方で、悪意のある管理者がデータを改ざんする恐れがあることや、そもそもブロックチェーンの利点を失っているのではないかといった指摘もあります。

パブリックブロックチェーンなど他の種類のブロックチェーンと比較したうえで、運用していく必要があると言えるでしょう。

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