- mijinはテックビューロ社が手がける
- mijinはプライベートチェーンである
- カタパルトの実装で飛躍的な処理速度を実現
ネムに関連してmijinという単語を目にした人も多いでしょう。
カタパルト実装やネムとの違い、mijinの特性などを理解することは、ブロックチェーン技術がもたらすトークエコノミーの実現を部分的に理解することにも繋がり、ブロックチェーン技術を活用したプラットフォームの代表例の1つとも言えます。
mijinの前に | ネム (NEM/XEM)について
日本では、Coincehck社の事件で、ネガティブイメージが先行しがちなネム。新しい経済圏の創出を目標としてはじまった仮想通貨プロジェクトの1つです。
Zaif (ザイフ)を運営するテックビューロ社のプロジェクト
ネムは、 Zaifを運営するテックビューロ社のプロジェクトです。
厳密には、プロジェクトの実現を達成するために、ネムのブロックチェーン技術を促進する活動を行っているNEM財団をプロジェクトの上部に持ち、NEM財団を構成する理事員の1人にZaifを運営するテックビューロ社のCEOである朝山貴生氏がおり、ネムの普及と開発に携わっています。
Zaif (ザイフ)について
Zaifとは、テックビューロ社が運営する仮想通貨取引所で、日本国内では大手仮想通貨取引所として多くのユーザーを抱えています。
テックビューロ社について
テックビューロ社は、仮想通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発している日本のIT関連の会社です。
2014年に創設され、仮想通貨取引所zaifの運営、それに関わる決済などのサービス開発と提供することと、企業用のブロックチェーン製品「mijin」の開発と販売の2つを主軸に展開しています。
mijinの特徴
mijinは、ネムのプロトコルを活用したプライベートブロックチェーンにより、企業内や企業間でのクラウド上での管理などを既存のブロックチェーンよりも高い利便性とシステム導入を容易に実現していくプラットフォームとなるものです。
特徴1 プライベートチェーンの構築
mijinでは、プライベートチェーンの構築により、高いセキュリティ面を実現します。プライベートチェーンはビットコインなどに採用されている誰でも情報にアクセス可能なオープンチェーンとは異なり、指定されたノードのみがネットワークに参加可能となるので、オープンチェーンよりもセキュリティ面を実現します。
プライベートチェーンでは接続が限定的となりますが、mijinはネムとの連動性を有しており、ネムはオープンチェーンの特性があるので、ネムとの互換性の実現により幅広い分野での応用が可能となります。
特徴2 ゼロダウンタイムの実現
mijinでは、ブロックチェーン技術の採用によりゼロダウンタイムを実現しています。
ゼロダウンタイムにおける「ゼロ」は「無し」を意味し、「ダウンタイム」とはシステムの故障や事故により「サーバーが停止している状態」を意味します。つまり、「サーバが停止することがない」システムを実現しているということです。
ブロックチェーンではP2Pというネットワーク技術を採用することで、サーバーという中央管理者が存在しないので、サーバが停止するという概念がないということを表し、半恒久的な記録を行うことができます。
特徴3 スマートコントラクト
また、mijinでは、スマートコントラクトを実行できる点もあります。
スマートコントラクトを有する代表格であるイーサリアムでは、複雑なコントラクトに対応できる反面、コントラクトにおいてバグが発生した場合の修正が難しいという側面有していますが、mijinでは、設計されたトークンやスマートコントラクトは、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムの中で実行されるため、バグで止まることがないという特性があります。
特徴4 第3者による改ざんが不可能
mijinはブロックチェーン技術であることに変わりがないので、ブロックチェーンの特性である第3者による改ざんを不可能にするという特性を有します。
mijinは、ネムのプロトコルを活用したプライベートチェーンとなり、ネム独自のブロックチェーンでは、これまでアセットをブロックチェーン上から盗まれていない実績があるので、mijinでのセキュリティ面も高いものとなっています。
特徴5 データの消失防止
mijinでは、ブロックチェーン技術によりデータを分散型で管理するので、データの消失を防ぐことが可能です。
また、単なる分散型台帳ではないので、多くのデータベースとの互換を可能にしており、不特定多数の大量計算処理などの「分散勘定エンジン」としての特徴も有しています。
特徴6 複数のアセット管理
mijinでは、複数のアセットを同時に自由に管理できるようになります。
ブロックチェーン上でアセットを定義さえすれば取引に基づいた勘定が実行され、加えてマルチアセットに対応することで、ビットコインなどのシングルアセットよりも高い汎用性を実現します。
複数のアセットを管理することが可能になることに加え、mijinが有するセキュアで安く簡単にコントラクトを実行できるという特性を考慮すると、企業が持つ既存の管理システムとの連携が容易になります。
mijin v.2 | カタパルトについて
カタパルトとは「mijin v.2」のことで、mijinの処理スピードを飛躍的に向上させるアップデートです。mijinには既に実装済みで、ネムへの実装は2018年以降予定となっています。
NoSQLの採用による処理速度の向上
カタパルト実装では、APIサーバーにNoSQLデータベースを採用することで、1秒間に4000件ものトランザクション処理を可能にしました。
このスピードはVISAにも匹敵すると言われており、ビットコインが1秒間に7件、リップルが1秒間に1000件程度であることと比較すると、飛躍的なスピードを実現していると言えます。
マルチレベルマルチシグ機能
カタパルト実装により、処理速度の向上だけでなく、マルチレベルマルチング機能が導入されました。
マルチレベルマルチング機能では、最大32人の複数処理に対応することが可能となり、実装では3レイヤーまでの署名を1つのトランザクションとして対応できるようになりました。
アグリゲートトランザクション
アグリゲートトランザクションでは、マルチングでの一方向での署名を、双方もしくは3者間で一度に処理できるもので、第3者によるエクスフロー無しでの取引の成立を可能にします。
今後のmijinについて
mijinは既に300社を超える企業の導入実績があり、実用化の拡大とネムとの連動性を有している点において、ネムの価値上昇が期待されています。
オープンで非中央集権なネムと、プライベートで中央主権なmijinにより、企業内外での経済圏で決済から管理まで幅広く機能していくことが予想されています。
まとめ
トークンエコノミーの活発化の流れの中で、ブロックチェーン技術はその基盤として機能しており、mijinは既に多くの実績を有しています。
金融業界だけでなく、商品の物流、教育、IoTなどの分野への応用が可能であり、なおかつ容易な導入が魅力の1つであると捉えることができるmijinを、テックビューロ社の動向や、ネムへのカタパルトの実装などと複合的な視点で注視していく必要が引き続きありそうです。