- フィッシングやHYIPなどの詐欺の総称を「スキャム」と呼ぶ
- ビットコネクトやライトライズは「スキャム」の代表事例である
- 「スキャム」の共通点と投資本来の目的を理解することが被害対策となり得る
インターネットやニュースなどで、一度は目にしたり耳にしたりしたことがある人も多い「スキャム」は、犯罪でありながら、仮想通貨においては欠陥が多く、未だに被害者となる人が出現してしまっているのが現状です。
中国でのICO規制などの措置はICOでの「スキャム」が横行していた背景も要因とされており、市場全体でも投資家保護を主たる目的とした規制などの対策が講じられており、被害の拡大と市場の健全化は仮想通貨においては急務とされています。
スキャムの特徴
多くの人が、仮想通貨に対して危険やリスクを抱くのには「スキャム」での被害が拡大していることが大きな要因の1つです。「スキャム」の本質や現状を理解し、個人レベルでの警戒を持つことが重要となっています。
意味
「スキャム」の意味は「詐欺」です。仮想通貨においては実体のないICOプロジェクトや高配当を謳ったHYIPと呼ばれるものなどの詐欺的な通貨の総称を「スキャム」や「スキャムコイン」と呼ぶことが多いです。
語源
「スキャム」は英語で「scam」と表され、その語源は「schema」に由来します。
スキャムの主な手口
「スキャム」や「スキャムコイン」は仮想通貨やICOなどでの詐欺案件などの総称で呼ばれることが多く、様々な手口が存在します。「スキャム」の手口をや形態を理解することは、自身の資産を安全に運用することにも繋がります。
スキャムICOコイン
ICOでの「スキャム」の手口の特徴は、資金調達後にプロジェクト自体がいつまで経っても進行しないことが多いです。ICOはIPOなどの既存の資金調達とは異なるシステムを採用しており、プロジェクトの内容を可視化しにくい側面があります。また、表上は「尽力したがプロジェクトの進行は途中で断念した」となっていても、ICOの段階から意図的に資金調達だけ行い、その後飛んでいるケースも存在するようです。
運営側の意図は、ホワイトペーパーやプロジェクト参画メンバーなどからは測ることは難しいので、ICOでの「スキャム」は仮想通貨を利用した詐欺の常套手段となっています。
クラウドマイニング
仮想通貨のマイニングサービスを利用した手口も「スキャム」の一種です。
クラウドマイニングは、利用者がマイニングサービスに投資し、リターンとしてマイニング報酬の一部を受け取るというものですが、マイニング費用に投資家からの資金を利用し、突然のサイト閉鎖やサービス停止を行い、報酬を支払わないケースが非常に多いです。
投資家目線からは、クラウドマイニングでの高配当は美味しいものでありますが、投資する際は十分な注意が必要となります。
フィッシング
「スキャム」の手口には「フィッシング」と呼ばれるものもあります。「フィッシング詐欺」という詐欺を聞いたことがある人も多いでしょうが、大まかな認識は間違っていません。
仮想通貨における「フィッシング」の多くは、URLが微妙に異なった有名な取引所やウォレットの正規アドレスに似せたサイトにアクセスしてしまい、そこで取引を行ってしまうことで被害が発生します。
サイト自体が偽物であるので、送金した通貨が消えたり、返ってこないケースが大半であるので、必ずURLが正規サイトのものかどうかを確認する必要があり、信頼できるところからアクセスする必要があります。
HYIP
「スキャム」には、「HYIP」と呼ばれる高利回りの投資案件も分類されます。「HYIP」は現実では考えられない利回りを実現したもので、日利1%で月利30%などの高配当を受け取れます。「HYIP」の多くは、事業は行っておらずに、出資した資金を活用し利回りを実現するので、いずれは配当は止まります。
そもそも高配当を実現できる事業であるのであれば、出資を募る必要もありません。「HYIP」では、資金を集めて飛んだり配当を停めたりして投資家を上手く利用し、その形態をMLMなどにすることで、資金調達を停めることなく運営できるようにしているものが多いです。
スキャムの過去の実例
仮想通貨における「スキャム」の被害は大きな規模から公には明らかにはならないものまで様々です。大きな過去の実例には、ビットコネクト、USI-TECH、ライトライズなどがあります。
ビットコネクトBitConnect(BCC)
ビットコネクトBitConnect(BCC)が起こした事件は、ICOに関しての「スキャム」の実例として有名です。2016年にICOを行い、ビットコネクト(BCC)と呼ばれるトークンを発行しました。
ビットコネクトには、トレードやマイニングの他にもトークンを報酬として得れる「レンディング」という、ビットコネクト(BCC)を他の人に貸し付けることで、自分の元に返ってくる時には貸付額に加えて、貸し付けに発生した利子を受け取ることができるという仕組みが注目を集めるプロジェクトでした。
しかし、「レンディング」の機能は2018年初頭に廃止となり、トークンの価値が大暴落し、その後の新たなICOプロジェクトに乗り出そうとしたものの、内容はビットコネクトと同じもので、実体のないスキャムとされるようになり、インド人リーダーは逮捕されるという末路となりました。
USI-TECH
世界にビジネス展開し、ドバイに拠点を置くUSI-TECH社は、顧客からの資金をFXの自動取引や仮想通貨のマイニングを行い、顧客に対して利益を上乗せして返済し、MLM方式も採用するサービスを展開していましたが、突然出金ができなくなり、配当もストップしてしまいました。
このサービスの停止に伴う原因は役員のミスであったようですが、世界で非常に多くの利用者がいたため、「スキャム」と認識されるようになってしまいました。
ライトライズ (RIghtRise)
ライトライズ (RIghtRise) は、イギリス政府の公認を装って資金集めを行い、「月利40%」などの不可能に近い利回りを実現できる案件とした「HYIP案件」の疑いがあり、ライトライズ(RIghtRise) 側は突如飛んだため、「HYIP」で確定とされています。
ライトライズ (RIghtRise) では、高速道路での違反金をライトライズ (RIghtRise) 側に支払うという名目のプロジェクトであり、出資金の利息を確認することもできたので、多くの人への被害に繋がったとされています。
スキャムに遭わないための対策
「スキャム」に遭わないためにも、個人レベルで対策しておくことが必要です。仮想通貨を保有したり利用するならば、個人の資産は個人で守れなければなりません。その為にも知識を付けたり、よくある手口を理解しておくことが1つの判断基準ともなり得ます。
仮想通貨の知識を身につける
仮想通貨における「スキャム」は、仮想通貨に関して無知な人ほど被害に合いやすく、ターゲットも詳しくない人である場合が多い印象です。
仮想通貨の市場や認知度などは、既存の金融商品などと比較してもまだまだ発達段階にあります。仮想通貨に関する知識を身に付けておくことができれば、プロジェクトへの信憑性の理解や投資判断に大いに役立ち、「スキャム」を未然に防ぐことができるケースもあるでしょう。
ホームページの雰囲気から察する
ホームページからプロジェクトの雰囲気を察することも、「スキャム」の被害を防ぐ有効な手段となるでしょう。今は、個人レベルやメディアに関する知識がなくてもホームページが作れる時代です。そういったホームページが持つ信頼性は意外と無視できません。
特に、プロジェクトの概要ではなく、利回りや配当を軸に論点のすりかえを多用し展開されているサイトは気をつけるべきで、また、確定的な表現を多用しているものを「スキャム」である可能性が高いでしょう。
投資対象にふさわしいかしっかりリサーチする
「スキャム」の被害は、リサーチ不足が招いている可能性もあります。他のユーザーやトークンホルダー達が、対象となる案件に関してどう思っているかを調べておくことで、他人の意見が1つの判断基準ともなります。
ユーザーの評価がない場合やクローズドで展開している案件などには気をつけるべきです。
スキャム(詐欺)コインを見分けよう
「スキャム」をひとくくりにした際、多くに共通することがあるのはご存知でしょうか?
全てにあてはまる訳ではありませんが、共通項にあてはまる案件であれば、投資判断の1つの目安になるでしょう。
代理店が販売している
「スキャム」の多くは代理店が販売しています。この代理店とは個人であるケースが多く、代理店側は、紹介料を目的に販売しています。よって、プロジェクトの概要よりも配当などを誇張した表現で押してくるケースがあります。
しかし、プロジェクトを深堀りした質問などには答えることができないケースがあるので、代理店販売の形式を取っているものには注意が必要です。
価格の保障や最低購入価格がある
元金保障や、最低の参入価格を決定している場合の案件もあります。しかし、価格は需給の変動の上に成り立っていますし、投資に100%はないので、元金保障を謳うものは、そもそも一般的な金融商品の観点からは的外れです。
有名人の名前を出して宣伝している
ICOなどでよくある宣伝手口ですが、有名人やインフルエンサーを活用している場合があります。しかし、その有名人やインフルエンサーはプロジェクトを主導している人物でしょうか?
一概には断定できませんが、この因果関係を理解することができれば、ICOと有名人やインフルエンサーは無関係である場合が多いことに気づけるはずです。
仮想通貨のスキャムに関してよくある質問
仮想通貨における「スキャム」には、出資金の返還に関する事項や、有名な「スキャム」への質問が多いです。
騙されてたお金はどうなるの?
「スキャム」の場合、出資金は返ってこないケースが大半です。ICOは本来、資金調達の手段に仮想通貨を採用しており、出資者への返還の義務はありません。稀に、被害の拡大に伴い、プロジェクトを進行させる意図がない場合が明らかになった案件には、出資者への返還に応じるケースもあります。
有名なスキャムってなにかありますか?
有名な「スキャム」には、先ほども紹介したライトライズというHYIPなどがあります。しかし、「スキャム」の多くは、被害金額が甚大にならない限りは有名にならないことが多いので、知名度で判断することは非常に危険です。
この世に必ず儲かる話は存在しない
投資に関して、自分の意思がない場合(他人がやっているから、あの人が言うから)、「スキャム」の被害を他人に押し付けがちになります。
しかし、投資とは本来、投資資金の保証はありませんし、この世の中に必ず儲かる話なんてものは存在しません。この点を理解し、自身で納得した上で投資していく必要があります。
ノーリスクを謳うものほど怖いものはありませんよ。
まとめ
「スキャム」はHYIPなどの詐欺の総称で、昨今は仮想通貨を利用したものが増えてきています。
テクノロジーの進化に法整備が追いついてきていない現状では、各個人が、被害に合わない為に自身のリテラシーを向上させていく必要があるでしょう。