- 送金とはあるウォレットから別のウォレットに仮想通貨を移動させること
- 取引所によって送金手数料が違う
仮想通貨の送金は、銀行を通して日本円で行う送金とは大きく違います。特に違うのは、送金先を間違ってしまった場合、その送金した仮想通貨は戻ってこないということです。銀行を通した送金であれば、違ったとしても取り消すことが出来ますが、仮想通貨の場合は取り戻すことがほとんど不可能です。
海外に送金する場合に仮想通貨を利用すれば、銀行を利用するときよりも遥かに安く、そしてすばやく送ることがで出来ます。また、仮想通貨を自分のウォレットで保管しようとした場合にもやはり送金は必要です。
多くの人が何らかの形で仮想通貨の送金を体験することになります。そのため、送金する時が来ても困らなくてすむように、今回の記事では送金について詳しく解説します。
仮想通貨の送金とは
仮想通貨を送金することについて少し詳しく説明すると、あるウォレットから別のウォレットへと仮想通貨を移動させることが、仮想通貨を送金するということです。送金をする間、様々なデータ処理が行われるのですが、ここではあえて詳しくは説明しません。
重要なのはウォレットにはそれぞれ違うアドレスが振り分けられていて、このアドレスが銀行口座で言う口座番号になります。仮想通貨を送金するときにはこのアドレスが重要なのです。
仮想通貨で送金するメリット
仮想通貨での送金のメリットとしては主に次の2つが挙げられます。
- 手数料を抑えることができる
- 法定通貨よりも送金にかかる時間を短くすることができる
メリット1 手数料を抑えることができる
日本や世界各国では、国や中央銀行が発行する法定通貨が使用されています。法定通貨は各国がそれぞれ発行している通貨であり、国をまたいで使用することはできません。
世界規模で見てみると日本の銀行から日本円で海外に送金をおこなう場合、楽天銀行では3000円の手数料がかかります。お金を送金する業者や管理をおこなう銀行員のなどの人件費や管理費として、余計な費用がかかっています。
一方で仮想通貨は電子上に存在する通貨です。ネット上で価値の取引がされるため、銀行のように大きな人員を費やす必要もなく大幅に手数料を削減できます。中央管理者が不在の仮想通貨が誕生したことで、安い手数料で世界中の人々にお金を送金できるようになりました。
メリット2 法定通貨よりも送金にかかる時間を短くできる
法定通貨を国際送金する場合、手数料ももちろんですが送金が完了するまでに長い時間がかかります。
日本の銀行から世界に送金する場合、銀行による非効率なチェックが入ります。その後目的の銀行に対して手続きがおこなわれますが、目的地に至るまでには複数の銀行を経由します。それぞれの銀行によっては時差や各銀行の営業時間もあり、結果として着金が完了するまでに数日から1週間ほどの時間がかかります。
仮想通貨では全てネット上でのやり取りとなるため、銀行を介在せずに直接人から人へ送金がおこなわれます。またブロックチェーンという仮想通貨を支える技術によって、素早く送金できる仕組みが整えられています。
仮想通貨が送金されるしくみ
秘密鍵、公開鍵、アドレスがウォレットで管理されている
仮想通貨は電子上のデータですが仮想通貨の存在を証明するデータとして秘密鍵と公開鍵があります。
仮想通貨のウォレットと呼ばれるものは、これらのデータを保管する場所です。ウォレットごとにアドレスが用意されており、どこのアドレスに仮想通貨があるか確認できます。
AさんのビットコインをBさんのウォレットに送金する場合、Aさんの取引情報がブロックチェーンに暗号化されて送られます。ブロックチェーンは仮想通貨を成り立たせている土台の仕組みです。ブロックチェーンでは取引情報(トランザクション)を検証する作業がおこなわれ、承認されることでBさんのウォレットにビットコインが送金されます。[1] Kasobu, 【保存版】秘密鍵のブロックチェーンにおける役割 | 秘密鍵を自分で管理できるウォレットも!, 2021年7月29日参照
マイナーへの報酬は送金にかかる費用である
仮想通貨を送金するには手数料が求められます。
これは送金の際にブロックチェーンにてトランザクションの正当性を確かめる、マイナーと呼ばれる人たちに支払う報酬として使用されます。そもそも仮想通貨は中央銀行のような中央管理者が存在しません。非中央集権が成り立っている理由として、ブロックチェーンの仕組みがあります。
ブロックチェーンではそのネットワークに参加する全てのコンピューターによって、監視がおこなわれています。そして送金などが発生する場合に、トランザクションの正当性をマイナーがマシンの計算能力を活用して証明します。マイナーは正しい検証をおこないブロックチェーンの維持に貢献したことから、報酬の仮想通貨を受け取ります。
仮想通貨の送金方法
出金したいコインを選ぶ
仮想通貨の送金はなにか特別に感じるかもしれませんが、なれてしまえば銀行振込よりも遥かに簡単です。まずは、送金する仮想通貨を選びましょう。今回は、最も知名度があり、多くのひとが触れる可能性が高いビットコインにします。
送金先を選択
では、次に送金先を選ばなければなりません。送金先は、ハードウェアウォレットや他の取引所など、人によって異なりますが、送金先のビットコインをアドレスを入手するというのは、どこに送金する場合にも同じです。
送金したい取引所やハードウェアウォレットなどのビットコインアドレスを入手しましょう。この入手は難しくありません。
送金する
送金先にビットアドレスを入手したら、あとは送金するだけです。送金するシステムの違いはありますが、送金先にアドレスと、送金するビットコインの数量、そして、支払う手数料を決めます。支払う手数料が多ければ多いほど送金速度は早くなりますが、急いでなければデフォルトの送金手数料のまま送金してしまいましょう。
これで、ビットコインの送金は完了です。あとは、指定したウォレットに届くのを待つだけです。今回はビットコインでしたが、他の仮想通貨でもアドレスを生成し、そのアドレスに送金するということは代わりがありません。ただ、通貨によっては送金に特殊なルールを設けているものもあるため、すべてがこの方法通りというわけではないことに注意してください。
仮想通貨の送金にかかる手数料
仮想通貨を一度でも送金した経験がある人は、仮想通貨の送金には送金手数料を求められた経験があるかもしれません。この送金手数料、その仮想通貨自体の価格が安いときにはそれほど重く感じませんが、価格が上昇すれば上昇するほど送金に必要とされる手数料は重くなります。
では、どの取引所が送金手数料が安いのでしょうか。以下、国内の主要な取引所でのビットコイン、アルトコインの送金手数料をそれぞれ比較していきます。
ビットコインの送金手数料
国内の主要な取引所を見ると、手数料に関してだけ言えばGMOコインの無料が目立っています。ビットコインの価格の高等具合によってはこの手数料自体が非常に高額になる可能性を考慮すると、無料というのはかなり評価できます。
また、素早くビットコインの送金を行いたい場合には、上記の手数料にさらに手数料を上乗せすることで、送金が早くなる可能性が高まります。
アルトコインの送金手数料
※注意!!
日本国内の取引所で扱われているアルトコインの種類にはかなり差があります。そのため、ここでは国内の取引所のほぼ全てにあったイーサリアムの送金手数料を比較しています。
アルトコインに関してもGMOコインは送金手数料は無料となっています。もしも、積極的に送金手数料を抑えたいという場合にはGMOコインを利用するのが良さそうです。
仮想通貨の送金にかかる時間
送金にかかる時間は、仮想通貨の種類やトランザクションの詰まり具合など、様々な要因によって決まるため、どれほどの時間がかかるのかというと一概には言えない状況にあります。ただ、トランザクションの詰まりがない状態においてのビットコインの送金は現在かなりスムーズに行えます。
どうしても早く送金したいと言う場合には、基本の手数料に加えて、送金手数料を上乗せしてみましょう。すると早く着金する可能性が高まります(ただ、執筆時点ではあえて送金手数料を上乗せする必要はないと思います)。
仮想通貨の送金が反映されないときの対応方法
仮想通貨を送金したのにも関わらず、中々反映されないときは不安に感じるかもしれません。そういう場合の対処法について解説します。ビットコインの送金を念頭に置いた解説となりますが、その他の通貨でもすることは似ているので応用することは出来ます。
アドレスの確認
まず、ビットコインが届かない場合に確認するのは、送金先のアドレスが正しいかどうかです。これを確認する方法は、ビットコインを送金するときに発行されるトランザクションIDを、トランザクションの確認出来るサイトに打ち込みます。確認可能なサイトは探せばいくつもありますが、日本語に対応しているbitFlyerの使い勝手が良いと思われます。
このとき確認するのは以下の2点。
- 自分の送金したビットコインアドレスが正しいのか
- 承認作業が進んでいるか
アドレスを間違って送ってしまった場合には先にも述べたように取り戻すことが出来ないので、送金先にアドレスを間違えないようにしましょう。送金先のアドレスが正しい場合は承認作業が進むのをゆっくりと待つしかありません。
トランザクションアクセラレーターを利用することも
しかし、待っても承認されない、あるいは承認を待てないと言う場合に利用出来るものが一つあります。それが、トランザクションアクセラレーターです。このサービスは無料で利用でき、なおかつビットコインの承認作業を早める機能があります。どうしてもと言う場合には利用してみるようにしましょう。
仮想通貨の送金ミスが起こる原因と防止法
送金ミスの原因とは?
仮想通貨を別のアドレスに送金する場合、送金した仮想通貨が無事に着金しないというトラブルが報告されています。仮想通貨が正しく送金されない理由は主に2つです。
送金先のアドレスが間違っているか、ブロックチェーン上で送金詰まりがおきているかのどちらかになります。送金先のアドレスが間違っている場合、最悪の状況では送金した仮想通貨は着金せず元のアドレスにも戻ってきません。また送金詰まりが原因なら時間が経つことで送金はおこなわれます。
送金するときの注意点
仮想通貨では現在1000種類以上のコインがあると言われています。全てのコインにそれぞれのアドレスが存在しており、そのコインの所在を証明する住所のような役割を果たします。
もしビットコインを別のアドレスに送金する場合、一番に気をつけるべきはアドレスの間違いです。ビットコインではなく別の仮想通貨のアドレスを指定してしまうと、本来のアドレスには着金しません。またアドレスを1文字でも打ち間違えると正しいアドレスには送金されず、そのビットコインは消滅してしまいます。
ビットコインの送金の時は送金先のアドレスをコピペして、正しいアドレスを指定しましょう。また試しに少額のビットコインを送金することで安全性を確かめる方法もあります。
送金詰まりを解消しよう
送金が完了しないもう一つの原因として、送金詰まりがあります。送金詰まりとはビットコインや仮想通貨のトランザクションを検証するブロックチェーンで、マイナーの承認作業が追い付かず従来よりも送金時間がかかることです。例えるとバス停に大量の人間が集まり、一度に全員を乗せられないような状況です。
送金詰まりを解消するには送金する仮想通貨を変更するか、マイナーに支払う手数料を多めに支払うことです。ビットコインは近年送金詰まりをおこしている通貨ですが、リップルは送金速度が早いことで有名な通貨です。
このような通貨に両替して送金することで素早い送金が実現します。またマイナーは報酬が多く手に入るトランザクションを優先するので、送金手数料を多めに支払うことで優先的に送金をおこなう方法もあります。
仮想通貨の送金で税金はかかる?
結論から言えば、仮想通貨の送金だけでは税金はかかりません。仮想通貨で税金の問題が出てくるのは、仮想通貨の売却、仮想通貨を利用した賞品の購入、仮想通貨で別の仮想通貨を購入した場合などによって利益を得た場合です。
仮想通貨を送金するだけでは利益を得ることは出来ません。仮想通貨の利益は売却などを行うことによって初めて利益となり、この利益の部分が税金に関わってきます。そのため、送金をするだけであれば今のところ税金について考える必要はありません。税金の心配は、利益を確定するなど、仮想通貨によって利益を得たときで大丈夫です。また、それでも心配な場合はやはり税理士など、専門家に相談するのが良いでしょう。
参考 : 【2021年4月最新】仮想通貨の税金ガイド | 法律から計算方法までわかりやすく徹底解説
まとめ
仮想通貨は世界中どこにいても利用できる、個人間の手数料の安い送金システムです。注目が集まり日本の中でも仮想通貨を所有する人が増えてきました。今回扱ったように送金するとしても、手数料が違っていたり、送金時間がビットコインの場合10分程度かかったりなど、知識があるのとないのとでは利用方法も変わってきます。