イーサリアム (ETH) マイニングに必要なもの
イーサリアムのマイニングを行うときに準備が必要なものは、次の3つです。
- PC
- マイニングツール
- イーサリアムのウォレット
技術的には自分のPCを用いることで誰でもマイニングに参加できますが、利益を上げられる程度に効率よくマイニングを行うには、グラフィックボード (GPU) を搭載した一定以上の性能を持つPCが必要です。
PC
マイニング用のPCを自作する場合、以下のパーツを用意しましょう。
- グラフィックボード(GPU)
- OS
- メモリ
- 電源ユニット
- マザーボード
- リグフレーム
上記のうち、マイニングの成功を左右するのはグラフィックボード (GPU) です。GPUのメモリ (VRAM) は最低でも6GB以上のものを用意しましょう。
OSはWindows10であればOK。CPUの性能やメモリの容量はマイニングに関係ないので、最低限のもので問題ありません。ただし、電源ユニットは1000W以上の高品質なものを用意しましょう。なぜならマイニングは消費電力が非常に大きいからです。
マザーボードは、グラフィックカードを差し込むPCIeスロットが多いマイニング専用のものを用意するとよいでしょう。リグフレームは、上記のパーツを取り付けていくためのフレームです。
上記のパーツ類はインターネット上で販売されているほか、PCパーツショップでも購入することができます。一式揃えると、30万円程度はかかるでしょう。
マイニングツール
マイニング用のソフトウェアプログラムはインターネット上から無料でダウンロードできます。代表的なイーサリアムのマイニングツールは以下の5つです。
- ETHminer
- Claymore
- CGMiner
- WinETH
- Minergate
本記事の後半では、Claymoreのマイニングツールである「Claymore’s Dual GPU Miner」の設定手順や使い方を紹介します。
ウォレット
イーサリアムウォレットは、イーサリアムネットワークのアカウントにある資産を管理するためのアプリです。ウォレットがないとマイニングの報酬を受け取ることができません。
代表的なイーサリアムのウォレットには、「MyEtherWallet (マイイーサウォレット) 」や「MetaMask (メタマスク) 」などがあります。どちらもPCとスマホの両方から利用できる無料のアプリです。
マイニングプール
マイニングを単独で行うソロマイニングは、ネットワークに参加しているすべてのコンピューターとの激しい競争に勝ち抜かなくてはならないため、成功する確率は高くありません。成功する確率を上げるには、マイニングプールを利用するのがおすすめです。
マイニングプールに参加すると、自分のコンピューターのハッシュレート (演算能力) を同じプールの参加者と組み合わせることができます。貢献度によって報酬が割り振られるため成功報酬は少なくなりますが、単独で行う場合よりも安定してマイニングを行うことが可能です。
2021年現在において有名なマイニングプールは以下の3つです。
- Sparkpool
- Ethermine
- F2Pool
約24%のシェアをもつ「Sparkpool」は、中国のブロックチェーン企業FarontierTech社が運営するマイニングプールです。
約20%のマイニングシェアをもつ「Ethermine」を運営するのは、オーストリアのブロックチェーン企業であるbitfly (ビットフライ) 社です。Ethermineでは、約1%の手数料がかかります。
中国の北京に拠点をおくF2Pool社は、さまざまな仮想通貨のマイニングプールを運営している企業です。F2Poolのイーサリアムにおけるマイニングシェアは約8%ですが、ビットコインのマイニングではトップのシェアを誇ります。
イーサリアム (ETH) のマイニング方法
ソロマイニング
ソロマイニングとは、マイナーが1人でマイニングプロセスを完全に実行する方法です。完単独でマイニングを行うため、ブロック生成時の報酬を総取りできます。
ただしイーサリアムやビットコインなどの成熟した状態のネットワークはマイニングの難易度が高いため、報酬を獲得できる確率は非常に小さいです。個人が単独でソロマイニングを行うことはおすすめできません。
ソロマイニングを行うときは、マイニング用のPCとマイニングツールを準備するのに加えて、イーサリアムネットワークに接続するための専門的な知識が必要となります。
プールマイニング
プールマイニングは、マイニングプールと呼ばれるコミュニティの参加者と協力してマイニングを行う方法です。プール参加者が保有するPCの演算能力を組み合わせることができるため、ソロマイニングよりも成功率が高いことが特徴です。
プールがブロック生成に成功した場合、まず報酬がプールを運営する事業者に支払われ、プールの手数料が差し引かれた後に個人の作業割合に応じて報酬が分配されます。
プールマイニングに必要なのは、マイニング用のPCとマイニングツール、プールマイニング事業者が提供するソフトウェアのセットアップです。
クラウドマイニング
クラウドマイニングは、マイニング設備を運営する事業者から設備の一部をレンタル、または購入し、間接的にマイニングを行う仕組みです。マイニング機器の設定や保守は事業者が行うため、専門的な知識がない方でもマイニングに参加できる点が特徴です。
クラウドマイニングのモデルは、業者のマイニング機器を購入またはリースする形式のほか、マイニング設備のハッシュパワーをリースする形式のものもあります。
クラウドマイニングではマイニング機器の準備やソフトウェアのセットアップは必要ありません。初期費用やランニングコストを負担するだけです。
イーサリアム (ETH) マイニングのやり方
イーサリアムのマイニングに適したマイニングソフトウェア「Claymore’s Dual GPU Miner」を利用したイーサリアムマイニングの手順を解説します。
ダウンロードとバッチファイルの作
マイニングツールをダウンロードし、以下の5つの手順でマイニングを行います。
手順①:マイニングソフトウェアをダウンロードして任意の場所に解凍する
手順②:テキストエディタを開き、テキスト (以下参照)をコピーして貼り付ける
手順③:WALLET_ADDRESS」と「RIG_NAME 」を自分の情報に書き換える
手順④:上記のテキストファイルに拡張子「.bat」を付けて、マイニングツールが含まれているフォルダに保存する
手順⑤:batファイルをダブルクリックしてマイニングを始める
最初にマイニングソフトウェア「Claymore’s Dual GPU Miner」をダウンロードしましょう。ダウンロード先は以下のリンクから行います。
https://claymoredualminer.com/#download
次に、テキストファイルを開きましょう。メモ帳でも構いません。開いたファイルに、以下の内容をコピーして貼り付けましょう。
setx GPU_FORCE_64BIT_PTR 0
setx GPU_MAX_HEAP_SIZE 100
setx GPU_USE_SYNC_OBJECTS 1
setx GPU_MAX_ALLOC_PERCENT 100
setx GPU_SINGLE_ALLOC_PERCENT 100
EthDcrMiner64.exe -epool eu1.ethermine.org:4444 -eworker YOUR_RIG_NAME -ewal YOUR_WALLET ADDRESS -epsw x
上記の内容は、Claymore’s Dual GPU Minerを起動するための命令文です。作成したファイルはバッチファイルとなります。
貼り付けた後、「WALLET_ADDRESS」と「RIG_NAME」の部分を自分の情報に書き換えましょう。「WALLET_ADDRESS」は自分のイーサリアムアドレスに、「RIG_NAME」は自分のニックネーム (任意) に変更します。
変更したら「ファイルを保存」を選択し、ファイルの種類を「すべてのファイル」へ変更します。そして、ファイル名の後ろに、拡張子「.bat」をつけましょう。たとえば「test.bat」のようなファイル名です。
最初の行5 (setx)
テキストファイルに貼り付けたプログラムのうち、「setx」から始まる最初の5行の部分は、環境変数を指定するコマンドです。これはAMD製のグラフィックボードのうち、特に2~4GBのカードを使用している場合に必要になります。
eworker
任意の名前を設定してください。
ewal
イーサリアムウォレットのアドレスを入力します。
epsw
イーサリアムプールのパスワードです。パスワードとして「x」を使用します。
マイニングツールを実行する
作成した「〇〇.bat」をダブルクリックすると、書き込んだコマンドが上から順番に実行され、マイニングが始まります。あとはコンピュータが自動的に計算してくれます。
イーサリアム (ETH) マイニングは終了する?
PoSへの移行
現在実施されているイーサリアムの大型アップデートである「イーサリアム2.0」において、コンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSへ変更されます。コンセンサスアルゴリズムが変更されると、マイニングで報酬を獲得することはできなくなります。
なぜなら変更後のアルゴリズムであるPoSでは、報酬を獲得するための仕組みがマイニングからステーキングへと変更されるためです。現在のアルゴリズムであるPoWでは計算能力の多寡が獲得する報酬の量に比例していますが、PoSではイーサリアムネットワークに預け入れた資産の量に応じて報酬を獲得できるのです。
イーサリアム2.0でもマイニングをするには
先ほど説明したようにイーサリアム2.0への移行後はマイニングが終了するため、ネットワークに参加して報酬を獲得するには、「ステーキング」に参加する必要があります。
- 32ETH以上のイーサリアム をステークして直接ステーキングに参加する
- 海外取引所のステーキングサービスを利用する
- DeFiのステーキングサービスを利用する
1つ目は、イーサリアムのステーキングに直接参加することです。2021年5月現在での32ETHは日本円に直すと1千万円前後で、大量の資金が必要となります。また、ネットワークのデータ処理を行うノードをサーバーなどに建てるなど、技術的なハードルも高いので初心者の方にはおすすめできません。
2つ目の方法は、海外取引所が提供するステーキングサービスを利用することです。これはPoWでいうマイニングプールのようなもの。取引所がステーキングを実施し、ユーザーが取引所に預け入れたイーサリアムの量に応じて報酬が分配される仕組みです。技術的な知識も不要で、預けるイーサリアムの数量が少額でも参加できるため、おすすめの方法といえます。
3つ目は、DeFi (分散型金融) のステーキングサービスを利用することです。この方法は2つ目の海外取引所が提供するステーキングサービスとほぼ同じですが、「サービス提供者が存在せず、プログラムによって自動実行される」点が異なります。
DeFiではトラブルがあっても問い合わせ先が存在せず、自力で解決しなくてはなりません。またプログラムにバグがあると、預け入れたイーサリアムが盗まれてしまう可能性があるため、書かれたプログラムが信頼性のある機関よって調査されたものであるかチェックする必要があるでしょう。
イーサリアム (ETH) マイニングのやり方まとめ
イーサリアムのマイニングのやり方についてかんたんにまとめると、以下となります。
- 初期投資が必要のはマイニング用のPCだけ
- 金額は30万円が目安
- マイニングツールは初期設定を行えばマイニングが自動実行してくれる
- 報酬獲得のチャンスが多いプールマイニングがおすすめ
上記のうち最も時間を要するのは、マイニング用PCのパーツを集めたり、組み立てたりするところでしょう。逆に必要なものさえ揃えてしまえば、マイニング自体は難しくありません。マイニングを始める際は、ぜひ本記事の情報を参考にしてください。