ブロックチェーンとは
日本ブロックチェーン業界はブロックチェーンに関して以下のように定義付けしています。
- ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装を「ブロックチェーン」と呼ぶ
- 電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義の「ブロックチェーン」と呼ぶ。
つまり、改ざんが不可能に近いトランザクションを高いセキュリティで管理する技術ということです。
ブロックチェーンによって実現すること
ブロックチェーンの特性を生かすことは、仮想通貨だけでなく、様々な既存システムの体系を変化させます。
中央がいない分散型システム
ブロックチェーンは非中央集権的なシステムの構築を実現します。トランザクションデータをチェーン状に繋ぎ、トランザクションデータはユーザーに公開されユーザー同士で管理し合うため、特定の管理者が存在しない分散型管理を可能にしています。
この点において、ブロックチェーン技術を採用している仮想通貨は既存の法定通貨とは異なるため、有用性に大きな期待が集まっているのです。
利益目的のために、中央管理者が取引の手数料を徴収することはないので、分散型の特性を生かしたビジネスモデルがいくつも生まれています。
シェアリングエコノミー
ブロックチェーンはシェアリングエコノミーを加速させます。
シェアリングエコノミーとは、商品、サービスなどを多くの人と共有して利用するシステムのことを指します。
ブロックチェーンは、中央集権管理者がいなくてもシステムは起動しますし、商品やサービス自体の価値を客観的なデータとして可視化できるので、商品やサービスを共有する利用者は、互いの信頼関係を構築してなくても共有や交換などのサービスを安心して利用できます。
多種多様な経済圏
ブロックチェーンは多種多様な経済圏を実現させます。
既存の経済圏の範囲は法定通貨や紙幣に依存する傾向がありましたが、ブロックチェーン技術をデジタル通貨に採用することで、誰でも自由にトークンを発行できるようになります。
各自が独自のトークンを発行し取引が行われることで、トークンごとに経済圏が構築されるので、小さなコミュニティなるものが増えることになります。
ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンが実現することの多くは、ブロックチェーンが持つ特徴が革新的であることに由来します。その特徴は、既存のサーバー・クライアント型のネットワークと比較することで理解しやすくなります。
データの改ざんや複製が困難
ブロックチェーンでは、取引データは公開され、不正があるとブロックをチェーンで繋ぐ作業 (マイニング) が行えないので、データの改ざんや複製を行うことは困難です。
一方サーバー・クライアント型のネットワークでは、クライアントはサーバ側の管理に依存することでしかサービスを利用することはできないので、サーバ側は意図的にデータの改ざんや複製を行うことができてしまいます。よって、透明性の高い運営を客観的にしているのかに疑問が残ってしまいます。
データが各ノードに分散していてオープン
ブロックチェーンでは、トランザクションデータは公開されたブロック(台帳)に記入されていき、世界中に分散された各ノードが保管します。サーバー・クライアント型のネットワークでは、データをサーバ側が一箇所で管理することになるので、オープン且つ分散型管理とはなりません。
よって、データの流出などのセキュリティ面などに不安が発生してしまい、ハッキングやデータ破損に対応することが困難となってしまいます。
P2Pでのやりとり
ブロックチェーンは、P2Pでのやりとりとなるので、ネットワーク参加者それぞれがデータを分散して保持していることになります。つまり、1つのサーバーがハッキングやデータ破損の被害を受けたからといってサービス停止とはなりません。
サーバー・クライアント型のネットワークは、サーバ側がクライアントのデータを管理するので、サーバ側のシステムの不具合がサービス全体の不利益を招いてしまうのです。
ブロックチェーンの仕組み
ブロックチェーンの特徴で紹介したものの多くは、マイニングという承認作業の仕組みによって成り立っています。大きく分けると、改ざんが困難なシステムを実現する仕組みと、集中的なサーバー攻撃に強いシステムを実現する仕組みに分けることができます。
P2P
ブロックチェーンのP2Pは、サーバ攻撃に強いシステムを実現する仕組みとなります。
ブロックチェーンでは、ユーザー同士でデータの整合性や不正を管理します。つまり、各ノードのデータは分散して管理することになるので、サーバダウンやデータの破損のリスクを軽減しています。ブロックチェーンネットワークに参加する全員で一つのブロックチェーンを作り上げていくようなイメージです。
公開鍵暗号技術
ブロックチェーンには、公開鍵暗号技術が採用されています。公開鍵暗号技術とは、公開鍵と秘密鍵と呼ばれる暗証ロックのような鍵をペアで発行することにより、公開鍵から秘密鍵の生成に関して不可逆性を持たせるというものです。
ブロックチェーン上で取引を行う場合、データの送金先のアドレスと取引承認する個人の署名が必要です。送金先のアドレスは公開鍵から生成され、個人が所有することになる秘密鍵は取引実行を承認するために使用されるので、秘密鍵さえ流出しなければデータの不正利用などを防ぐことが可能となっています。
よってオープンな管理体系でも安全にデータのやり取りを行うことができるのです。
ハッシュ関数
ブロックチェーンでは、ハッシュ関数の特徴を採用することで、データの改ざんなどを防いでいます。ハッシュ関数とはデータを数値化したハッシュ値と呼ばれるものを導くための関数で、データを一方向にしか変換できず、異なるデータから同じハッシュ値が取れることはほとんどないという特性を有するので、ハッシュ値からデータの情報を導くことは不可能に近くなります。
このハッシュ関数は、マイニングの過程において何度も使用され仕組みを複雑化するので、ブロックチェーンでのデータの改ざんが困難になっているのです。
承認アルゴリズム
承認アルゴリズムとは、取引の整合性をチェックする一連の工程を指します。
ビットコインのブロックチェーンにおいては、PoWと呼ばれる計算量に基づく承認アルゴリズムが採用されています。
ブロックチェーンの応用例
ブロックチェーンは仮想通貨のみならず様々なユースケースに応用されています。
仮想通貨
ブロックチェーン技術の応用例の代表格は仮想通貨でしょう。仮想通貨では、システムにブロックチェーンを採用することで既存の金融システムとは異なる価値を生み出しています。
仮想通貨は法定通貨に依存しない非中央集権的な通貨としての役割を果たしていくことを目的としており、その特性はブロックチェーン技術の上に成り立っています。
Dapps
Dappsとは分散型アプリケーションと呼ばれ、中央管理者がいないアプリケーションの提供により、国家や組織の枠組みを超えたサービスの展開が可能となります。
Dappsを活用したサービスの目的は、ブロックチェーンの分散型管理という特性の上に成り立っています。
hyperledger
hyperledgerは、ブロックチェーン技術を仮想通貨だけでなく様々な分野に応用していくことを推進するプロジェクトで、既にIBMをはじめとする世界的IT企業が、プロジェクト参加メンバーとしてブロックチェーン技術の多岐に渡る活用に動いています。
ブロックチェーンの仕組みまとめ
中央管理者に依存しない分散化の流れが加速していく時流において、ブロックチェーン技術を主体的に理解していく姿勢が個人にも求められ始めています。本記事を参考にブロックチェーンについて理解を深めていってください。