- 暗号資産(仮想通貨)のデリバティブは、金融商品の1形式
- デリバティブ取引で、相場の乱高下の影響を受けにくくなる
- 複雑な取引方法になっているので、損失リスクに注意
「暗号資産(仮想通貨)のデリバティブって何?」「取引するとお得なの?」などと疑問に思っていませんか。デリバティブは特殊な金融商品なので、メリットやデメリットを参考にしながら投資を判断しましょう。
今回はデリバティブを知りたい人のために、その意味やメリット、デメリットなどを解説します。
本記事を読めばデリバティブの基本的な知識を学べるでしょう。
デリバティブとは何か?
デリバティブとは金融商品の形式です。将来のある時点での価格を決めて、2人以上の当事者の合意で売買契約を結びます。たとえば期日を1週間後に決めて、暗号資産(仮想通貨)1枚あたりの価格や数量、買うか売るかの意思などが決まったとしましょう。1週間経過すれば内容どおりの取引が成立するしくみです。
暗号資産(仮想通貨)において新しい形式のように見えますが、デリバティブ自体は歴史が長いといえます。中世ヨーロッパを中心に取引され商人たちの間で人気だったからです。
現在では株式、金利、市場指数などさまざまな投資分野で使われます。取引所の仲介なしで、ユーザー同士の合意だけで売買成立のケースもあるなどデリバティブのパターンは多種多様です。
取引の価値は暗号資産(仮想通貨)や株式などの原資産の相場をベースにしており、先物、オプション、スワップなどさまざまな取引形式があります。
デリバティブとは特殊な金融商品であり、さまざまな方法があることを学びましょう。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブの特徴
多様性
デリバティブの1つ目の特徴は多様性です。暗号資産(仮想通貨)を利益を狙う目的で利用する人は多いといえますが、デリバティブを使えば現物より多くの利益を出せるチャンスでしょう。
値上がりだけでなく値下がりで利益が出るケースも見逃せません。価格がまったく動かなかったとしても利益が発生するパターンもあるなど、デリバティブの商品や投資方法はさまざまです。
現物取引は購入後に値上がりを受けて売ることでしか儲けられません。しかしデリバティブでは柔軟な取引方法を試せます。
あらゆる場面でチャンスを秘めていますが、特殊形式なので初心者には難しいといえます。投資の知識がある程度備わってきたらチャレンジしてみましょう。
金融商品のパターンだけでなく、チャンスの面でも多様性に恵まれているのがデリバティブの特徴です。
利便性
デリバティブの2つ目の特徴として利便性が挙がります。レバレッジ取引の一環として扱われることが多く、ユーザー自身が必要な金額は少なくてもよいからです。
暗号資産(仮想通貨)の取引には、取引所の専用口座にユーザーがお金を預ける必要があります。通常の現物取引なら口座にあるお金の範囲でしか売買できません。しかしレバレッジ取引なら預けたお金の何倍分もの金額を売買できます。
デリバティブ商品もレバレッジをかけることで、口座にあるお金より多額の売買が可能です。利益が出れば現物より何倍ものプラスが出ますが、マイナスのリスクも高まるので注意を要します。
それでもデリバティブは暗号資産(仮想通貨)においても利益のチャンスが大きいでしょう。先ほどの多様性とも合わせて便利な商品形式です。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブの種類
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブはさまざまな種類が登場しています。ここでは主要な4つをまとめました。
- 先物取引
- 先渡取引
- スワップ
- オプション
先物取引は将来のある日に取引を決める契約にもとづいています。価格は事前合意であり、買主は期日が訪れたら必ずそれを受け入れる契約です。
先渡取引も将来のある時期に取引をする契約を決め、期日に履行するタイプです。しかし当事者同士の交渉で個別に契約できるほか、レバレッジなしの現物取引として履行可能と先物と違うポイントがあります。
スワップ取引では暗号資産(仮想通貨)で発生する「スワップポイント」を交換します。スワップポイントとはレバレッジ取引で暗号資産(仮想通貨)を持っていると発生する手数料です。同じ通貨で異なるスワップを交換し、保有条件を改善できるでしょう。
最後がオプション取引です。決まった時間内に、決まった価格で暗号資産(仮想通貨)を売買できる権利をもらえる契約方法です。お金を払って売買権利自体を買ったり売ったりしますが、取引後に権利を行使しなくても問題ありません。
以上の4種類は株式やFXなど他の投資分野でもありますが、最近ではそれぞれの暗号資産(仮想通貨)版が登場しています。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引を行う理由
トレーダーが暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引を行う理由は2つです。単純に投資で利益を増やしたい人が多いようですが、リスクヘッジの目的で利用する人もいます。
デリバティブは金融商品の一形態です。価格が上がると思えば買いポジションを建て、高額での売却を狙えます。一方で価格が下がると思えば売りポジションを建て、安く買い戻すことで利益を望めるでしょう。
このようにスペキュレーションという目的でデリバティブを狙う人もいます。
一方でリスクヘッジのためにデリバティブに注目する人もいるようです。暗号資産(仮想通貨)は価格が急変動しやすいので、影響を受けての損失から身を守りたい考えもあるでしょう。
リスクヘッジ目的で先物取引を成立させると取引当日に暗号資産(仮想通貨)の価格が前より下がっていたとしても、先物価格が実際の相場より高い状態で売れるかもしれません。このように従来の相場より有利な条件で取引できる可能性がデリバティブにはあります。
トレーダーがデリバティブを使うのは、主に投機目的とリスクマネジメントのどちらかです。状況に合わせて使い分けてもよいでしょう。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引のメリット
価格変動リスクが回避可能である
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引を利用すれば、現物にありがちな価格変動リスクを避けられます。買いだけでなく売りからはじめられるからです。
売りからはじめれば価格が下がったあとに買い戻すことで下がる前との差額を利益にできます。値上がりだけでなく値下がりでもチャンスが生まれるでしょう。
価格変動リスクを賢く避けながら利益を追求できる面で、デリバティブは魅力的です。
レバレッジ取引が可能である
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ商品はレバレッジ取引に対応しています。たとえばレバレッジ5倍なら、デリバティブ商品が示す金額の5分の1の現金を準備するだけで売買を済ませられます。
少ない資金で多くの利益を得られるチャンスが暗号資産(仮想通貨)デリバティブのポイントです。これからレバレッジ取引をやってみたい人は要注目でしょう。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引のデメリット
証拠金以上の損失が出る可能性がある
デリバティブのデメリットとして、証拠金以上の損失には注意しましょう。少ない資金で多額を取引できるのは魅力ですが、予想に反して相場が動いた場合は損失も大きくなるからです。
デリバティブもレバレッジの倍数が大きいほど損失リスクも高いでしょう。
以上からデリバティブに慣れたり充分な資金力がついたりするまでは、2~3倍のような小さいレバレッジを推奨します。証拠金以上の損失が出ると、追加証拠金として口座にお金を払わなければならず多額の出費を強いられるからです。
取引の高度化・複雑化が進行している
デリバティブは取引が高度だったり複雑だったりして、初心者には分かりづらいでしょう。
プロの投資家だと投資商品に対するニーズが複雑になりがちです。デリバティブ取引のなかでも複数の種類がありますが、それぞれの意味がすぐに分からない人もいるでしょう。
ネットショップで入門書を買ったり、セミナーに参加したりすることで、デリバティブの意味を学べます。これらのなかで暗号資産(仮想通貨)に特化したものはまだ少ない状況ですが、デリバティブ自体の定義を知るうえではためになるでしょう。
充分な知識がないままデリバティブ取引に臨んでも、大きな損失を受けるリスクが高まるだけです。知識やリスクを認識したうえで売買を判断しましょう。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブの活用方法
ヘッジング
デリバティブの活用方法としてヘッジングが挙がります。これは「リスクヘッジ」とも呼び、暗号資産(仮想通貨)にありがちなマーケットリスクのカバーに有効です。マーケットリスクとは暗号資産(仮想通貨)のような投資商品の価値変動により、損をする可能性を意味します。
暗号資産(仮想通貨)の価格は常に変動しており、売買したくてもいつなら有利な条件で取引を成立させられるか分からないでしょう。買ったあとに相場が急落、売ったあとに相場が上昇したりして損をするかもしれません。
そこでヘッジングをすればマーケットリスクをある程度回避できます。デリバティブの取引額は成立するまで固定なので、ある程度のリスクカバーができます。
たとえば現物取引でもらったビットコインを買っていて、同時にビットコインのデリバティブ商品の売りポジションを建てたとします。ビットコインの値下がりにより現物で損をしても、デリバティブの売りポジションを買い戻した利益でカバーできます。
ヘッジングを実践すれば、暗号資産(仮想通貨)のマーケットリスクに備えられます。
スペキュレーション
デリバティブには「スペキュレーション」という活用方法もあります。
スペキュレーションとはデリバティブ価格の変動を予想し、利益を見込んでポジションを建てることです。ギャンブル的なレバレッジ取引として、デリバティブ商品を売買することを意味します。
デリバティブ商品を使ったスペキュレーション行う人を「スペキュレーター」と呼びます。レバレッジ取引の対象商品としても有用なので、投機目的で取引を重ねる人が多いようです。
レバレッジ倍数をかけている分利益も大きくなりますが、リスクも高まることに注意しましょう。
スペキュレーションという目的でデリバティブ商品に注目する人は多いようです。現物よりも多くの利益を得る可能性はありますが、リスクに気をつけながらの投資を心がけてください。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引ができる取引所
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引ができるのは、基本的に専用の取引所です。BINANCEやFTXといったデリバティブを扱っているところにアカウント登録し、口座を開いてから参加しましょう。
海外ではシカゴ・オプション取引所のように、暗号資産(仮想通貨)がメインでない場所でも取引できます。しかしシカゴ・オプション取引所は2019年3月に提供を終わらせました。
一方で2020年12月にはナスダックがビットコインの先物取引導入を検討中と発表しましたが、その後の進展は見られません。このように暗号資産(仮想通貨)のデリバティブを受け入れる体制にはまだ課題があるのが現状です。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブを求めるなら、当面は暗号資産(仮想通貨)取引所で注文することが望ましいでしょう。
BINANCE

- 取扱通貨
- 取引手数料
- 最大レバレッジ
- 日本語対応
- -
- スマホアプリ
- 〇
- 法人口座
- 〇
BINANCE (バイナンス) は、取引高世界1位を誇る仮想通貨取引所です。シンガポールを拠点に全世界へ展開しています。300種類以上の豊富な取扱通貨数や、手数料の安さなどが高い評価を受けています。セキュリティ体制も充実していて、信頼性の高さも魅力的です。日本語にも対応しています。
BINANCEはマルタ島を拠点にした暗号資産(仮想通貨)取引所です。2019年9月2日に、デリバティブの取引プラットフォームであるJEXを買収して以来、デリバティブ事業に乗り出すようになりました。
JEXは今回の買収を受け「BINANCE JEX」と改称し、先物やオプション取引を中心としたデリバティブ市場を目指しています。
現在ではBINANCEにアクセスすれば、最大125倍のレバレッジで先物取引を売買できるようになりました。
BINANCEは世界トップクラスの実績を誇る取引所なので、信頼感を持ってデリバティブ取引に臨めるでしょう。
FTX

- 取扱通貨
- 取引手数料
- 最大レバレッジ
- 日本語対応
- ◯
- スマホアプリ
- 法人口座
FTXは、2019年に設立された新興の仮想通貨取引所で、スポット取引、先物取引、レバレッジ付きトークン、トークン化株式、予測市場など多岐にわたる取引機能を提供しています。低い手数料体系とわかりやすいプラットフォームが特徴です。FTXは、Alameda ResearchとBinanceとの提携を通じて信頼性を示しており、2021年7月の時点で100万人以上のユーザーを抱え、取引量において世界第三位の仮想通貨取引所でした。FTXは、特に日本市場においてFTXジャパンを立ち上げ、グローバルなサービスを展開しています。
FTXとは2019年4月設立の暗号資産(仮想通貨)取引所です。こちらはデリバティブに特化しています。
デリバティブのパターンが充実しているのがポイントです。アルトコインや草コインを複数種類まとめたインデックス商品を取引できます。ビットコインだけでなく珍しい通貨をデリバティブにまとめているのが魅力的でしょう。
他にもレバレッジトークンを買うことで、証拠金なしの特殊なレバレッジ取引に参加できるなど、FTXのサービスはオリジナリティにあふれています。
FTXはデリバティブのパターンが豊富で、レバレッジトークンという独自のサービスも注目を受けています。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引に関するQ&A
デリバティブ取引とは何ですか?
デリバティブとは、金融商品の特殊な取引方法です。基本的には暗号資産(仮想通貨)のような投資対象の将来価格をベースに、当事者同士で将来の取引期日と契約内容を決めます。
たとえばビットコインの取引において「3日後に1BTC175万円で0.1BTC買う」という契約が決まったとします。実際に3日後になったら、実際の相場にかかわらず0.1BTCを17万5000円で購入することになるしくみです。
将来の価格をあらかじめ固定しているので、相場の急変動による影響を受けづらいでしょう。しかし市場の流れを読み違えると実際より買値が高すぎたり、売値が安すぎたりします。損な取引になりすぎないように気をつけましょう。
逆に相場より安い価格で買えたり高く売ったりできることもあるので、デリバティブで利益のチャンスもつかめます。
デリバティブの種類には何がありますか?
デリバティブには主に4種類あります。
先物取引 | 将来の取引内容を決定し、期日がきたら売買する |
先渡取引 | 将来の取引内容を決定し、期日がきたら商品の手渡しとして現物売買をする |
スワップ取引 | 同じ暗号資産(仮想通貨)同士のスワップポイントを交換する |
オプション取引 | 将来における暗号資産(仮想通貨)の売買権利自体を取引する |
それぞれの特徴をチェックし、投資すべきかを判断しましょう。
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引のまとめ
暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引とは、主に将来の取引内容を決めて、期日がきたら売買することです。もっともスタンダードな先物取引だけでなく、先渡やスワップ、オプション取引などさまざまな形式があります。
デリバティブを利用することで相場の急変動の影響を受けずに思いどおりの価格で売買できます。そのため利益を目指した投資に限らず、損失リスクへの対策としても役立つでしょう。
デリバティブ取引は特殊な形式なので、充分な知識を備えることが大切です。理解が深まったらチャレンジしてみませんか。