ウェブウォレットとは
ウェブウォレットは、仮想通貨をウェブサイト上で管理するウォレットのことです。取引所で作成する口座も広義のウェブウォレットにあたります。ウェブウォレットはブラウザで簡単に作成することができ、他のサイトとの同期も迅速に行うことができます。Chrome拡張、デスクトップアプリ、スマートフォンアプリと同期できるものが多く、インターネットにつながっている場所であればどこでも仮想通貨を管理・使用することができるのが特徴です。
ウェブウォレットのメリット
複数のデバイスで使用可能
ウェブウォレットは、ログイン情報さえあればスマートフォン、タブレット、各種PCなど複数のデバイスで使用することができます。他のウォレットはセキュリティの都合上、一つの端末でしか使用できないものがありますが、ウェブウォレットは使用するシーンによって端末を変更することが可能です。
例えば、普段の取引や手数料の支払いはメインのPCで、外出時の取引や決済をしたいときはスマートフォンアプリで、オフラインで管理したいなら使っていないPCで、など目的に応じて使い分けるのが一般的です。
アカウント管理が便利
アカウント管理が楽なのもウェブウォレットのメリットです。ブラウザ上にログイン情報を保存したり、Chrome拡張で常時ログイン状態にしたりすれば、ログインの度にパスワードや秘密鍵を用意しなくても使用が可能です。
マルチシグのコールドウォレットは複数の秘密鍵が必要になり、普段遣いをするには煩雑に感じる方もいらっしゃると思いますが、ウェブウォレットであればそのような心配はありません。その代わり、セキュリティの強度は大幅に低下しますのであまり多量の仮想通貨を保存するのは推奨しません。
決済が簡単
ウェブウォレットは、常にインターネットに接続しているため送金を迅速に行うことが可能です。コールドウォレットで決済をする場合は、サイトの決済に対応したウォレットに送金をしなければいけず、時間がかかる場合が多々あります。送金スピードが速いため、ウェブウォレットは期日の近い支払いや、速いもの勝ちの支払いに便利です。
ウェブウォレットのデメリット
不正アクセスに遭う可能性
ウェブウォレットを使うときは、不正アクセスの可能性に気をつけましょう。オンライン上で管理するウォレットですから、他のウォレットよりもハッキングリスクが高いです。二段階認証などでセキュリティを強くすることは可能ですが、不安な場合はオフラインウォレットへの分散も視野に入れたほうが良いでしょう。
カウンターパーティリスクが存在する
ウェブウォレットは、仮想通貨の管理をサイト/ 取引所の運営者に委託しています。そのためサイトを運営する会社が倒産・ハッキングによって仮想通貨を失ってしまったり、サーバーを管理する会社が自然災害などで被害を受けた場合、自分の仮想通貨まで紛失してしまったり、一時的に仮想通貨の引き出しが制限されてしまう恐れがあります。
このリスクを「カウンターパーティリスク」と呼びます。仮想通貨取引の場合は黎明期からこのリスクが顕在化しており、Mt.Gox事件やCoinCheck事件など大量の仮想通貨が盗難される事件も起きています。
対応通貨が少ない
ウェブウォレットは、比較的対応通貨が少ないというデメリットがあります。ダウンロードの際は、対応する仮想通貨の数を見ておきましょう。ウェブウォレットは基本的に一定の種類の通貨に対応しており、特定のサイトでその通貨を使うために存在しています。
例えば「Metamask」はイーサリアムとERC-20トークンしか保管できず、それらの通貨を使ってDeFiをしたり、ICOやNFTの手数料を支払ったりすることが主な利用目的になっています。そのため、ビットコインやイーサリアムクラシックを保管することはできません。
もちろん、取引所ウォレットはその取引所が扱っている通貨を全て管理することができますので心配は必要ありません。
仮想通貨のウェブウォレットを利用する際の注意点
ウェブウォレットの利用時は、フィッシングやウイルスなどの被害に気をつけてください。管理方法にも注意です。
フィッシング
フィッシングとは、本物とそっくりなサイトを作り、騙されてアクセスしてきた人からログイン情報を盗むことです。このようなサイトに引っかかってしまうと、ウォレットの中身を不正利用される可能性があります。SNSやブログなどに掲載されているリンクの中にはこのようなものもあります。必ず信頼できるサイトや、お気に入りまたはブックマークにしているサイトのリンクから推移するようにしましょう。
偽サイトは、検索結果の広告ページとして現れることが多いといえます。常に本物のサイトにアクセスできるように、正しいURLをブックマークしておきましょう。
ウィルス
インターネット上のウイルスは、パソコンやスマートフォン、ウォレットなどの情報を抜き取ります。ウォレットのパスワードや秘密鍵がウイルスによって第三者に伝わると危険です。不正アクセスで仮想通貨を盗まれてしまいます。
以上の事態を避けるには、セキュリティソフトを使いましょう。パソコンやスマートフォンに対応したソフトをインストールすれば、不健全なサイトへのアクセスのブロックなどで役に立ちます。
取引所での管理
ウェブウォレットにはアプリとしてダウンロードするタイプと、取引所の専用口座があります。後者は取引所がハッキングを受けたときに、仮想通貨を盗まれる恐れがあります。
過去にもMt.GoxやCoincheckなど、有名な取引所がハッキングを受けてきました。次にいつ起きるかはわからないので、仮想通貨はなるべくウェブウォレットでの管理が望ましいでしょう。
取引所に預けっぱなしにするよりも手元で管理できる方が、安全性が高いといえます。
ウェブウォレットだけでの管理
ウェブウォレットだけでの管理にも注意が必要です。ネット接続で使っている以上、ハッキングのリスクがあります。ウイルスに感染したり、ログイン情報を盗まれたりすると、仮想通貨を抜き取られてしまうでしょう。
ウェブタイプ以外のウォレットも準備してください。たとえば頻繁に使う必要があるぶんはウェブタイプへ、長期間の保管が目的ならハードウェアウォレットに収めましょう。仮想通貨の用途に応じてウォレットを使い分ければ、犯罪被害のリスクも軽くできます。
おすすめのウェブウォレット
ビットコイン (BTC) のウェブウォレット
Blockchain.info
Blockchain.infoは、「Blockchain-Bitcoin Wallet」とも呼びます。無料でダウンロードでき、日本語対応などのメリットがあるため、初めて使用するウォレットとしても使いやすいでしょう。
開発会社はマイニングのシェア率の公開やブロックチェーン技術の普及など、さまざまな活動をしています。信頼性の高い会社が生み出したので、安心して使えるでしょう。リカバリーには12個のフレーズが必要なので、情報のメモを交えた管理が重要です。それでもウォレットとしてセキュリティが強く、初心者におすすめといえます。
BitGo
BitGoも世界的に人気のウォレットです。2013年には1000万ドル分の仮想通貨を保管していることを公表し、最近は1兆ドルの保管実績を目指していることを明かしました。
BitGoは、ウェブウォレットには数少ない、「マルチシグ」と呼ばれるセキュリティシステムが実装されています。マルチシグは公開鍵暗号方式の一種で、データ送信時に複数の秘密鍵を必要とします。秘密鍵の管理が多少複雑になるものの、ウォレットのセキュリティを大幅に高めることが可能です。ウェブウォレットのセキュリティを万全にしたい、という方はぜひ使ってみてはいかがでしょうか。
イーサリアム (ETH) のウェブウォレット
MyEtherWallet (マイイーサウォレット)
MyEtherWalletはイーサリアムに対応したデスクトップウォレットの一種です。オンライン上ではもちろん、デスクトップアプリをインストールすることでオフラインでも使用することができます。イーサリアムだけでなく、同じ系統である「ERC20トークン」ならすべて対応しています。複数の通貨をひとまとめに管理できる点で、手間も省けるでしょう。
ペーパーウォレットとしての管理も可能です。このときは口座情報を印刷し、PCやスマホにも情報を記録したファイルを保存できます。これにより、デバイスを選ばずしてウォレットへのアクセスが可能です。
日本語に対応していることもMyEtherWalletの強みです。実際は全24の言語に対応しています。イーサリアム系の仮想通貨が好きな人にとっては、使いこなしやすいでしょう。
リップル (XRP) のウェブウォレット
Gatehub (ゲートハブ)
Gatehubはリップル用のウェブウォレットとして有名です。メールアドレスと携帯電話の番号を登録するだけで作れます。
秘密鍵を自己管理できるので、ハッキングのリスクは低いといえます。ウォレットにアクセスする媒体に制限がないのも強みです。ビットコインやイーサリアムといった他の種類にも対応しています。
ウェブウォレットに関するQ&A
ウェブウォレットで手数料は発生する?
仮想通貨をウェブウォレットから別の場所へ送金するときに、通貨ごとに手数料が必要です。媒体や送金元、送金先などによっては、あらかじめ料金が決まっているところもあります。一方で自分で設定できるものもあり、高いほど送金が早く済みます。しかし無駄な出費も避けたいので、バランスのとれた設定が重要です。
一般的に手数料無料での送金は数日~数週間はかかりがちなので、急いでいるときは手数料を要します。
取引所での管理とウォレットでの管理はどちらがおすすめ?
ウォレットによる管理がおすすめです。取引所の専用口座に仮想通貨を入れたままだと、ハッキングを受けたときに盗まれるリスクがあります。取引所に預けたままよりも、専用のウォレットに仮想通貨があるほうが安心でしょう。手元で管理できるため、安全性を感じやすいといえます。
以上からウェブウォレットは、大切な資産を守りたい人におすすめのツールです。
ウェブウォレットに関するまとめ
ウェブウォレットはネット接続によって仮想通貨を管理するツールです。ネットとつながることで送金がスムーズにできたり、手元での管理による安心感を覚えられたりします。
ただしハッキングのリスクにも注意が必要です。とくに取引所の専用口座に長期間入れっぱなしだと盗まれるかもしれません。ウェブウォレットだけでなく、長期間使わない通貨のためにオフラインで管理できるタイプも用意しましょう。
それでも手軽な操作による資産チェックや送金ができるという意味で、ウェブウォレットは有用です。