- デイトレードは市場が開いている時間内で完結する日ばかり取引のこと
- ファンダメンタル分析がほぼ必要ない
- テクニカル分析は時間足が大きいほど有効
投資を学ぶ上で「デイトレード」は頻繁に登場する用語です。デイトレードの特徴やトレードの仕方について理解すれば、短期間で利益を出す取引ができるようになります。
この記事では、「デイトレード」を行う際に頻出する基本的なワードから、実践的なトレード事例まで徹底解説します。今すぐ使うことができるワードや手法ばかりなので、投資を始めようと考えている方は記事を読んで実践してみましょう。
デイトレードとは
デイトレードとは当日中に注文と決済を完了させる投資スタイルのことです。その日のうちに投資を行い利益が確定する取引ともいえます。
利益の目安としては、1時間〜数時間の保有期間で売買する短期のトレード手法の場合は10000通貨で3,000円〜10,000円程 (30〜100pips) になります。その日の中で数回の取引を行いますのでスプレッドが非常に重要となります。
デイトレードのメリット
デイトレードは対象銘柄の市場が開いている時間で完結させる取引です。
そのため市場が閉まった後、対象銘柄の悪材料が流れても価格に影響しません。例えば株式の市場が開いているは午前9時から午後3時までです。そのため時間外に対象企業の情報が報道されても価格は変動しません。逆に仮想通貨やFXは24時間相場が開いているので、その心配はありません。
デイトレードでは短期トレードになるので、企業の情報などを深く調べる必要がないのです。主にテクニカル分析が有効で、トレンドなどを見極めることで利益を出せます。長期投資に比べるとすぐに利益を出すこともできるので、メリットであるといえるでしょう。
ただし次回市場が開いたとき、価格に反映されるため注意が必要です。
株・FX・仮想通貨の取引可能時間
株・・・平日9:00〜11:30,12:30〜15:00 (国内株のみ)
FX・・・土日を除く24時間
仮想通貨・・・24時間365日
デイトレードのデメリット
デイトレードは日中の限られた時間しか取引することができません。株式であれば大学生や社会人は取引が困難でしょう。そしてポジションを保有している間はチャート画面と向き合う必要があるため、精神的に負担が大きい取引方法であるといえます。
そんな方におすすめなのは仮想通貨やFXの取引です。
デイトレードに向いている人
デイトレードは、ずっとチャート画面に張り付いていられる専業トレーダー向けの取引方法であるといえます。
市場が開いている日中にチャートを見ていられない社会人や学生の方は不向きであるといえます。しかし多くの証券会社・仮想通貨取引所はスマホアプリを用意しているため、休憩時間などにチャートを見ることができる時代です。必ずしも張り付かなければ取引できないということはありません。
デイトレードに必要な環境
デイトレードはスマホやノートパソコンなどがあれば、気軽に取引を始めることができます。主にテクニカル分析ができれば取引ができます。専用アプリでインジケーターを利用することができるかどうかで、口座開設する証券会社・仮想通貨取引所を選びましょう。
デイトレードは初心者におすすめ
デイトレードは初心者に特におすすめです。3つのおすすめポイントについてご紹介します。
1.時間の拘束が少ない
デイトレードのメリットの1つが「時間の拘束が少ない」ということです。デイトレードは基本的に事前に戦略を立てておいて、注文を入れるため、それ以外の時間は自由に使えることができます。
たとえば、朝の間に注文を入れておいて、日中は本業をしたり、好きなことをしたりすることに集中できます。
2.規則正しい生活ができる
トレードをはじめると、つい不規則な生活になりがちですがデイトレードは規則正しい生活ができます。朝、戦略を立てて注文を入れておけば、その日の夜に取引を振り返る時間に当てることができます。
トレードは心の余裕も大切です。トレードに夢中になりスマホから目を離せずに不規則な生活を送るよりも、規則正しく心の余裕があったほうが良い結果が出せます。
3.スワップポイントを気にしなくて良い
スワップポイントを気にしなくて良い点も初心者におすすめな1つです。通常ですとスワップポイントを想定して戦略を立てると、どうしても売り注文をためらってしまいがちです。
ですが、デイトレードの場合はその日の内に注文と決済を済ましてしまうので、日を跨ぎ取引を継続する必要がありません。したがって長期投資や、スイングトレードのように、スワップポイントを気にする必要はありません。
デイトレードをする上で必要なマインド
自分で決めたルールを守る
デイトレードをする上で必要な心得を解説します。取引は主に自分との戦いになるので、取引を始める前にあらかじめメンタルを保てるようにしておきましょう。そして投資において自分にあった取引ルールを決めることは重要です。
しかしルールを決めても取引中にルールを守るとなれば、常に平常心でいる必要あります。冷静にポジションを持ち決済できるようにメンタルを維持しましょう。
メンタルを保つために必要なもの
メンタルを保つために必要なことは、自分の精神限界を知ることです。自分が許容できる範囲で、メンタルを一定に保てるトレードを行いましょう。必要に応じて自分のルールを変えることは重要ですが、ルールを破ることは違います。
どれだけ大損しようとも問題点を洗い出し、自分で決めたルールのどこがダメだったのかを検証して改めましょう。そして1度ルールを決めてポジションを持ったら、淡々とルールを守って取引します。
メンタルの強度には個人差があるため、最初はあまり大きなロット数を張らないようにすることをおすすめします。メンタルの許容範囲外なロット数を張ると、早めに利確してしまったり損切りが遅れる原因になる場合もあるのです。
デイトレードをする際に理解すべき注文方法
トレードにはさまざまな注文方法があります。注文方法について知りうまく使い分けて利益を上げましょう。
指値注文
指値注文は指定した価格よりも高ければ売り、安くなれば買う注文方法です。あらかじめ設定しておくことで、チャートを見ていなくても注文することができます。
逆指値注文
指値注文とは逆の注文方法で、指定した価格よりも高ければ買い、安ければ売る注文です。指値注文と同じくあらかじめ設定しておくことで、チャートを見ていなくても注文することができます。
成行注文
成行注文とは、注文時点で約定する価格帯で取引することです。すぐに約定するといったメリットがあります。しかし注文数が多い場合は予想していなかった価格で約定することもあるので注意しましょう。どうしても取引したい価格帯がある場合は指値注文がおすすめです。
デイトレードをする際に必要な知識
トレードをするときに必要となる知識について解説します。取引画面を見ていると、さまざまな用語が表示されています。そのため投資初心者の方にとっては難しく感じることでしょう。用語についてかんたんに解説するので、押さえておくことをおすすめします。
チャートの見方
チャート画面はこれまでの価格が表示されているものです。そしてチャートには人間の集団心理が反映されているため、ある程度の傾向があります。トレンドやサポートライン・レジスタンスラインなどを意識して取引しましょう。
テクニカル分析の理解
トレンドライン
①「上昇トレンドライン」とは、上昇トレンドに沿って引かれたラインです。上昇トレンドラインが意識されているため、一度価格が下がったものの再度少々しています。
①「下降トレンドライン」は、下降トレンドに沿って引かれたラインです。下降トレンドライン以上は価格が上がらず、ラインが意識されているため上値が重くなっています。
サポートライン・レジスタンスライン
①「レジスタンスライン」は「上値抵抗線」とも呼ばれており、価格が往復している範囲の天井部分になります。そして②「サポートライン」は「下値支持線」と呼ばれており、価格が往復している範囲で支えられている部分です。
レンジ
①「レンジ」とは、価格帯が往復している範囲のことを指します。そしてレンジから抜け出すことを②「レンジブレイク」といいます。
チャネルライン
①「チャネルライン」とは、トレンドラインと平行に引いたラインの2本線のことを指しています。チャネルライン内でもレンジと同じで、ライン内を価格が推移します。2本の線は平行です。
フィボナッチ
相場はトレンドが発生したときでも、価格が一直線に動くわけではありません。「戻り」の動きを繰り返しながら、トレンドに沿って価格推移します。
上昇相場における、価格が下がりきったポイント (押し目) や下降相場における一時的な価格戻りの目標価格を判断する指標としてフィボナッチが使われているのです。
フィボナッチでは、①38.2%、②50%、③61.8%の水準がよく用いられています。
強いトレンドの場合は、①38.2%前後の戻りにとどまります。そして弱いトレンドの場合は、半値戻し②50.0%前後か③61.8%前後まで戻ります。それ以上戻った場合には、このトレンドの起点となったポイントまで全て戻るという考え方が一般的です。
任意のポイントから直近の「高値 (安値) 」と「安値 (高値) 」を結んで、その「下降 (上昇) 」幅を①38.20%・②50.0%・③61.80%で分割し、戻りの目標値を算出しています。
ヘッドアンドショルダー
ヘッドアンドショルダーとは「トレンドが終わるとき」に形成されるものです。仏像が三尊並んでいることから「三尊」とも呼ばれることがあります。山なりになっているヘッドアンドショルダーは、上昇トレンドが終わるときに形成されるのです。
- 三尊の山頂は①「頭」
- 三尊部分の左山は②「左肩」
- 三尊の右山は③「右肩」
- 三尊を形成するために支えられていたラインは④「ネックライン」
そしておよそですが、「三尊の大きさ」とその後「底値となる価格までの幅」は1:1であるといわれています。
移動平均線
①「移動平均線」とは、推移する一定期間の価格を平均した線です。移動平均線はローソク足を先導するものではなく、後から付いていくものなので注意してください。移動平均線については、以下のことを押さえておきましょう。
200MAの「200」は、200日という期間を指しています。
MAは移動平均線 (Moving Average) のことを指していています。
- ローソク足が移動平均線より「上」にあるときは「強気相場」
- ローソク足が移動平均線より「下」にあるときは「弱気相場」
ちなみに矢印の部分では、ローソク足が移動平均線の下にあります。そのため「弱気相場」であるといえるのです。
ローソク足
画像内にピンク色で囲っている、赤色や緑色の線が「ローソク足」です。指定した時間内で上下して、一体時間が過ぎると右に新しいローソク足ができます。1つ前のローソク足が終わった時点から下に動くと「陰線」と呼び、上に動くと「陽線」になります。
ローソク足についている線は「ヒゲ」と呼ばれており、時間足内に動いた範囲を表します。下ヒゲが長ければ長いほど「買いが多い」ことを表し、上ヒゲが長ければ長いほど「売りが多い」ことを指しているのです。
平均足 (コマ足)
「平均足」とは、トレンドの継続性を示すツールのことです。平均足を使うと上昇トレンドでは緑色のローソクが並び、下降トレンドでは赤色のローソクが並びます。画像内で囲っているところが平均足でのトレンド転換点です。①は平均足使用時のトレード転換期を表しています。
平均足使用時の①トレンド転換点では、2本のローソク足がヒゲを含めて比較的同じ長さになっています。同じ色と大きさの平均足が並べば、基本的にトレンド転換点となっているのです。通常のローソク足でトレンド転換点だと思っていて騙されたポイントも、平均足を使用すれば騙されにくくなるメリットがあります。
損切りルール
トレードにおける損切りルールは非常に重要な項目です。ほとんどの初心者が損切りをできずに、大損して相場から退場しています。投資初心者の方によくありがちなパターンがあります。
少しずつ利確してコツコツ稼いだものの、結局損をした時に「待っていれば上がる」と思い込み、損切りせずに損失が膨らんでしまうことです。そのため損切りが正しくできるということは、「脱初心者」を意味するといっても過言ではありません。
ポジションを持つときは明確な根拠を持ってロングかショートを選びましょう。そして相場が想定と違う動きをしたら迷わず損切りしてください。根拠のないポジションでなんとなく稼いだとしても「まぐれ」なので、今後に活かすことができません。
マーケットの理解
マーケットの時間と相場の動き
為替市場では、月曜日の朝から土曜の朝まで市場が開いています。市場が開いている時間の中でも特に価格が活発に動く時間があるのです。デイトレードでは活発に値動きする時間を狙って取引しましょう。
取引量が増え始めて値動きが活発になる時間は以下のとおりです。それぞれの国で市場がオープンするため、参加者が増えることで値動きが激しくなります。
4時 | ウェリントン |
6時半 | シドニー |
8時半 | 東京 |
9時 | 香港・シンガポール |
14時 | バーレーン |
15時 | フランクフルト |
17時 | チューリッヒ・ロンドン |
22時 | ニューヨーク |
そして上記の中でも特に取引量が多く活発な値動きを見せるのは、以下の市場がオープンしたときです。
国 | 日本の時間帯 |
アジア | 午前 |
ロンドン | 夕方 |
ニューヨーク | 夜間 |
それぞれの国が市場をオープンすると、取引量が増えて値動きが激しくなります。
一つの通貨ペアにこだわらないようにする
デイトレードでは取引できる期間が1日以内となっているため、投資する金融商品によってはエントリーチャンスが来ない場合もあります。そのため1つの通貨ペアにこだわらず、複数の通貨ペアに分散して取引を行いましょう。
複数の通貨ペアに分散して投資することでリスクの分散にもなりますし、エントリーチャンスを増やすこともできます。通貨ペアによって値動きに傾向はありますが、1つの通貨で勝てているなら他の通貨ペアでもテクニカル分析は通用するでしょう。
デイトレードの実践的なトレード事例
ここまで解説してきた内容を活かした、実践的なトレード事例を2つほど解説します。
デイトレードではさまざまな要因を総合的に判断する必要があります。今後の値動きを確実に当てることはできません。しかしいくつかのテクニカル分析を駆使することで、ある程度の価格推移を予測することはできます。
実践トレード事例1.移動平均線 (EMA) とネックラインを用いたブレイクの見極め
上位足と下位足の方向の確認
時間が長い方を「上位足」時間が短い方を「下位足」といいます。今回は上位足を1時間、下位足を5分として解説します。デイトレードではまず上位足で広い範囲の値動きを確認して、次に現在の値動きに近い下位足でチャートをみるのです。
画像は5分足チャートでの平均足です。矢印の箇所で陰線が2本並んでいるためトレンド転換であると勘違いしがちです。これまで4回陰線の平均足が並びました。しかしその後価格は上昇し続けているため、ショートでポジションを持っていたら大損をすることになっていたのです。
次に上位足である1時間足チャートを見てみます。同じく平均足を使用していますが、1度も陰線の平均足は並んでいません。あらかじめ上位足で大きな流れを確認していれば、損失を出すことはありませんでした。
レンジ幅が2倍のときを目安にするのが利益確定のポイント
画像の①ではレンジブレイクし、大きく価格が上昇しています。①のポイントでロングポジションを持った場合、利確するのは②レンジ幅の2倍地点が良いとされています。
レンジをブレイクすると②の地点まで上昇したように、レンジ幅の2倍値動きするといわれているのです。その後さらに価格は上昇していますが、価格が今後も上がり続けるという根拠がありません。そのため②レンジの2倍幅で利確することをおすすめします。
損切りのタイミングは相場に合わせる
ポジションを保有するときに損切りのタイミングを決定します。損切りラインの基準は相場に合わせましょう。どれだけの値動きで損切りするといった考えは根拠がないのでおすすめしません。
自分のエントリーした根拠が否定される値動きをした場合、損切りをするようにしましょう。
実践トレード事例2.トレンド転換の正確な見極め
利益確定を先の値動きから決めるトレード
先ほど解説した画像と同じ範囲で考えてみます。例えば①のレンジブレイクした時点で、ロングポジションを保有したいとします。この後レンジから上昇トレンドに転換すると予想できるので、2倍幅である②の地点で利確すると決定してロングポジションを保有します。
そしてレンジブレイクすると②がサポートラインに変わるため、損切りラインを②の価格帯に設定しましょう。
1回のトレードで重要視するのは損益率
全ての値動きを予想することはできないので、なるべく損失が少なくなるようなポジションを保有するようにしましょう。トレードではリスクとリターンの割合が重要になります。
相場の方向性が判明したら、利益確定と損切り幅を計算して損益率を出すようにしましょう。
デイトレードで初心者が勝つためのコツ
それではデイトレードで初心者が勝つためのコツをご紹介します。
想定の損益を事前に考えておく
デイトレードに限らず、投資全般に言えることですが、想定の損益を事前に考えておくことはトレードで勝つために重要な要素です。たとえば朝に戦略を立てる際に、そのトレードがいくらぐらいの利益が上がると想定するか、いくらまでの損失なら許容するかなどです。
その他に具体的には「トレンドの戦略」「ポジション管理」「注文価格の決定」「利食いor損切りラインの設定」も事前に考えておくと良いでしょう。
これらを積み重ねていくことが、デイトレードで勝っていくスキルに繋がります。
展開が予想できない時は取引しない
デイトレードではチャートの先の展開が予想できない時は取引しないようにしましょう。チャートの展開とは、
- 上昇トレンド
- 下降トレンド
- トレンドなし
の3つに分類されます。
まとめ
デイトレードは取引できる時間は少々限られているものの、テクニカル分析を習得すれば高い確率で利益を出すことができる投資方法です。そのためチャート分析に興味がある方や本格的なトレードをしたい方に特におすすめです。
仮想通貨でデイトレードをする際には、各仮想通貨取引所の取引ツールの機能を比較して取引所を選ぶと良いでしょう。高機能なテクニカル分析ツールを使うことでトレードの勝率が高まるため、機能をきちんと比較することをおすすめします。