- hyperledgerはブロックチェーン技術の汎用的な活用を推進する
- 純粋にブロックチェーン技術を活用する点において仮想通貨とは異なる性質を持つ
- 有力企業が挙って提携している
仮想通貨関連で注目を集めるブロックチェーン。仮想通貨は、ブロックチェーン技術を採用しているからこそ価値があるとまで言われています。
そんなブロックチェーン技術は、仮想通貨への採用だけに留まってはいません。そこで登場するのがhyperledgerです。
hyperledgerとは
hyperledgerは、2015年にアメリカの非営利共同事業体のLinux Foundatioが主導して、仮想通貨だけではなく汎用性のあるブロックチェーン技術の促進を目指し設立されたコミュニティーです。
30以上の先進的IT企業が協力をして、様々なプロジェクトの推進と検証を実施しています。
hyperledgerが作られた目的
hyperledgerは、ブロックチェーン技術を仮想通貨に限らず様々な分野で活用していくことを目指しています。
ブロックチェーン技術は、既存のシステム管理に必要なコストを大幅に削減する新たな分散型管理技術として重宝されている技術です。ビットコインをはじめとする仮想通貨は、ブロックチェーンの特性をデジタル通貨の管理体系に導入している点において革新的なものとされています。
主として仮想通貨に採用されているブロックチェーン技術が応用範囲が広い可能性を有している点に着目し、ブロックチェーン技術を金融、保険、製造などの多岐に渡る分野において組み込むことで、信頼性や透明性の高いアプリケーションやプラットフォームの構築を可能にします。
ビットコイン (Bitcoin/BTC)やイーサリアム (Ethereum/ETH)との違い
hyperledgerは、オープンソースのブロックチェーンプラットフォームです。つまり、hyperledgerにおけるデジタル通貨は存在しません。
ビットコインやイーサリアムには、BTCやETHといった通貨をプラットフォーム運営に活用している特性があり、そのプラットフォームからトークンの発行などが可能となっている点がhyperledgerとは大きく異なります。
従ってhyperledgerは、仮想通貨の銘柄に依存しないので、ブロックチェーン技術が持つ特性を社会システムの様々な分野に純粋に活用していくアプリケーションやプラットフォームを構築します。
hyperledgerの進行中プロジェクト
hyperledgerでは、既に様々なプロジェクトが進行されています。
Hyperledger fabric
Hyperledger fabricでは、アメリカの世界的IT企業であるIBMが主導するプロジェクトです。
ブロックチェーン技術においてのアプリケーションやソリューションの開発基盤となることを目標とし、多様なユースケースに向けて、アプリケーションとセキュアなブロックチェーンネットワークとのやり取りをテストしています。
Hyperledger Sawtooth Lake
Hyperledger Sawtooth Lakeは、アメリカのIntel社が主導するプロジェクトで、リソース消費削減機能などを有したオープンソースの分散型台帳を実行、展開するためのモジュール式プラットフォームです。
Hyperledger Iroha
Hyperledger Irohaは、ソラミツ株式会社が主導するプロジェクトです。
データを管理する際に汎用的に使用できるパーミッション型ブロックチェーンシステムとなっており、システム導入の簡易化とメンテナンスを実現します。
Hyperledger Burrow
Hyperledger Burrowは、MonaxとIntelが主導するプロジェクトで、イーサリアムから派生したパーミッション型のスマートコントラクトマシンを開発することを目指しています。
Hyperledger Indy
Hyperledger Indyは、Sovrin Foundationが主導するプロジェクトで、Hyperledgerのプロジェクトやその他の分散型台帳システムにデジタルIDシステムを提供することを目指しています。
hyperledger関連企業
hyperledgerは、提携している企業や関連企業が有力なものであることも注目を集めています。
Ripple社
Ripple社は、決済や送金をソフトウェアを開発する企業であり、リップルネットワークを利用する際のデジタルトークン(XRP)で有名です。
hyperledgerとの提携で、「世界中のソフトウェア開発者は、企業向けにJAVAで インターレジャープロトコルにアクセスすることを実現する」とし、リップル社が掲げる「価値のインターネット」を推進する可能性があるため提携を行っています。
ドイツ銀行
ドイツ銀行は、ドイツ国内最大級のメガバンクとして機能しています。
hyperledgerとの提携で、オープンソース分散台帳技術を金融システムに組み込むことで、業務の効率化や多様化するニーズに対応できる形態の構築を目的としています。
huawei
中国大手IT企業huaweiは、スマートフォン端末を手がける企業です。
huaweiは、ブロックチェーンの性能をテストする「Caliper(キャリッパー)」をhyperledgerと共同で発表し、2018年4月には新たなHyperledgerのブロックチェーン「Blockchain-as-a-Service(BaaS)」を発表しています。
huaweiのHyperledgerとの共同開発は、中華系大手IT企業間での価格競争から抜け出し、ブロックチェーンを基盤とした技術開発を先導していく目的があるとされています。
AWS
大手電子商取引として有名なAWSは、EthereumおよびHyperledger Fabricプロトコルの為のすぐに使えるブロックチェーンネットワークの新サービスを発表しています。
ブロックチェーン技術に関する支持によって、イノベーションの促進を狙いとしています。
まとめ
hyperledgerは、ブロックチェーン技術の汎用的な活用を推進していくことを目指すコミュニティーであり、多くの有名企業が提携や共同開発を行っていることから、金融だけではない多岐に渡る分野でのブロックチェーン技術が、今後の社会システムを主導していくと考えることが可能です。
hyperledgerの提携や検証などの動向を見守っていく必要がありそうです。